darkness;FROM OZ
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#6 [OZ]
「あのね、
隠れん坊するんだ」
僕がそう言うと、気宇は露光に不満そうな顔をした。
「それ、やったことある」
僕は厳粛にうなずいた。
「僕が考えた隠れん坊は、いつものよりずっと楽しんだよ」
気宇は疑うように首をひねった。
「どうやるの?」
「まず、気宇が押し入れの中に隠れるんだ」
:07/07/17 21:58
:N700i
:☆☆☆
#7 [OZ]
僕がそう言うと、気宇はすぐさま押し入れに入っていった。
僕らの家の押し入れは、上の段と下の段にわかれている昔ながらのものだ。
かなりの広さのある押し入れだったが、お母さんはそこはじめじめしていると言って、めったに使おうとはしなかった。
「それで?」
気宇はにっこりとして僕を眺める。
僕は深呼吸をした。
大丈夫。
気宇は馬鹿だ。
:07/07/17 22:06
:N700i
:☆☆☆
#8 [OZ]
「……そしたら誰にも見つからないようにするんだ。
誰にもだよ。
僕が考えた隠れん坊は永遠に続くんだ。
……押し入れから出てって言うまで。
お父さんとかお母さんにも見つかったらダメだよ。
僕の前以外で声を出さないで……。
絶対に出ちゃいけない。
わかった?」
“わかったよ”
気宇はそう言った。
僕はその言葉を聞くと、部屋から飛び出した。
:07/07/17 22:12
:N700i
:☆☆☆
#9 [OZ]
玄関に向かい、急いで自分の靴を履き、気宇の靴は手で持った。
リビングに居るはずの母親に、
「これから気宇と遊んでくる!」
と大声で叫び、外に出る。
そして、近くを流れる川まで走った。
前日に雨が降ったため、水嵩が多く、流れもはやいように見えた。
よし……。
僕は川に靴を投げ込んだ。
:07/07/17 22:17
:N700i
:☆☆☆
#10 [OZ]
気宇の靴が水にさらわれていく。
あっという間に見えなくなってしまった。
僕はしばらく辺りを歩き回ったあと、川の水を少しだけ自分の服にかけた。
それがすむと、全速力で家まで帰り、玄関のドアを勢い良く開ける。
「お母さん、お母さん!」
僕はあらん限りの声で叫んだ。
お母さんは僕の声に驚き、転がるようにして玄関に現われた。
:07/07/17 22:23
:N700i
:☆☆☆
#11 [OZ]
「由宇……?どうかしたの?何かあったの?」
お母さんは心配そうに僕を撫でた。
僕は必死でお母さんに訴えかける
……ふりをする。
「お母さん!
気宇が川に落ちたかもしれないんだ!」
お母さんは固まった。
一気に顔が青ざめる。
「……嘘でしょう?」
「たぶん、本当だよ!
僕、一瞬だけど見たんだ!
気宇の靴が流されていくのを!」
:07/07/17 22:28
:N700i
:☆☆☆
#12 [OZ]
お母さんは小さな悲鳴をあげた。
おろおろとしてしまい、今にも泣きだしそうだ。
僕はうんざりして、心の中でため息を吐く。
「……警察に電話してみた方がいいんじゃない?」
僕がそう言って、ようやくお母さんは受話器を手に持った。
それからあとの事は、瞬く間に過ぎ去っていった。
:07/07/17 22:33
:N700i
:☆☆☆
#13 [OZ]
自分のしたことがバレるのではないかと心配したが、そのようなことは、ちっともなかった。
僕が放り投げた気宇の靴は、警察の手によって発見された。
気宇自体は発見されることはなかったが(あたり前だ。気宇は押し入れの中に居るんだから)、死亡したということになった。
お父さんたちはたくさん泣いたけれど、それは一時的なことだ。
後々、気宇を隠した僕に感謝するんじゃないかな?
僕はほくそ笑んだ。
:07/07/17 22:38
:N700i
:☆☆☆
#14 [OZ]
気宇を押し入れに隠してから八年が経過した。
僕は高校生となった。
気宇は押し入れの中で16歳の誕生日を迎えた。
そして、僕と気宇は相変わらずかなり似ていた。
もちろんそれは外見だけの話ではあるが。
僕は気宇のことを気遣って、色々配慮してやった。
食物は気宇が僕より痩せてしまわないように、きっちり与えた。
お風呂は両親がいないときを狙って、シャワーを浴びさせた。
:07/07/18 19:28
:N700i
:☆☆☆
#15 [OZ]
トイレは両親がいるときでも普通に行かせた。
だって僕らは似てるから。
両親にトイレに行く気宇の姿を見られたってなんの問題もない。
気宇は死んだと思われているのだもの。
両親はあれが僕であることを疑わない。
一つ気を付けなければいけないのは、気宇が押し入れから出たときは僕が隠れていなければいけないということ。
:07/07/18 19:32
:N700i
:☆☆☆
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