darkness;FROM OZ
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#92 [OZ]
蜜柑さん

お待たせして申し訳ないです(´;ω;`)
頑張りますので!
:07/09/08 22:42
:SH703i
:☆☆☆
#93 [OZ]
僕はそっと押し入れを開けた。
昨日と同じくうっすらと積もっているホコリと、わずかな僕の荷物しか入っていない。
あきらめて押し入れを閉めようとしたとき、あるものが僕の視界に飛び込んで来た。
それは押し入れの壁の隅の方に書かれた小さな字だった。
マジックペンのようなもので乱暴に『写真』とだけ書かれている。
「……写真?」
:07/09/08 22:52
:SH703i
:☆☆☆
#94 [OZ]
写真ってなんのことだ?
何か意味のあることなのだろうか?
なにかしらあるはずだ。
意味なく押し入れの壁に「写真」なんて書くなんておかしいじゃないか。
僕は行き詰まった。
そもそも僕は何を求めて、こんなにも何かを探っているのだろうか?
詮索して何か楽しいことが待っているというのだろうか?
……楽しいことが待っているはずなんかない。
現に僕は脅えているんだ。
得体の知れぬ何かに。
:07/09/08 22:59
:SH703i
:☆☆☆
#95 [OZ]
僕が居間におりていくと、長谷川さんが調度朝食を食べ終えたところだった。
「おや、みのる君は最近起きるのが早いのねぇ」
長谷川さんはからかうような笑みを浮かべ、僕の朝食を取りに台所へ行った。
僕はテーブルの前に腰を下ろし朝食を待つ。
長谷川さんの手伝いをする等という気は毛頭ないのである。
ふと、視線をあげるとテレビの隣にある低めの棚に、たくさんの写真立てが並べられてるのが目に入った。
「写真!」
:07/09/09 14:19
:SH703i
:☆☆☆
#96 [OZ]
今の今まで写真立ての存在など知りもしなかった。
この部屋で目にするのは、食事とテレビと長谷川さんくらいのものだったし。
僕が座っている位置からではよく見えないため、僕は立ち上がり、棚の前まで行った。
一つの写真立てを手に取ってみる。
その写真立てには六十代くらいのおじいさんの写真が入っていた。
軟弱そうな細い体に、ふわふわとした白髪が印象的だ。
「何を見ているの?」
:07/09/09 14:31
:SH703i
:☆☆☆
#97 [OZ]
僕は驚き、持っていた写真を落としそうになった。
振り向くと、長谷川さんがテーブルの上に朝食を置いているところだった。
訝しいそうに僕を見ている。
「あ……えっと、写真を……」
僕は珍しくもじもじしながら、写真立てを持つ手に力を込めた。
見てはいけないものだったのだろうか?
もしかすると、押し入れに書かれた『写真』という字はここに置かれている写真のことを指しているのかもしれない……。
「……すいません、勝手に見ちゃって」
:07/09/09 15:23
:SH703i
:☆☆☆
#98 [OZ]
長谷川さんはじりじりと僕の方にやってくる。
腰が曲がっていて顔が下を向いてしまっているので表情がわからない。
僕は身構えた。
しかし、僕の隣に立ち、写真を眺める長谷川さんの顔には笑顔が広がっていた。
あれ……?
長谷川さんは更に笑顔になって言った。
「全然かまわないわよ。
好きなだけ見て頂戴」
あ、あれあれ……?
「いいんですか?」
:07/09/09 15:34
:SH703i
:☆☆☆
#99 [OZ]
長谷川さんは『当たり前じゃない』というように頷いた。
そして、僕の手から写真立てを取ると、写真に映っているおじいさんを愛おしそうに指で撫でた。
「そのおじいさんは誰ですか?」
長谷川さんはほんのり頬を赤く染めた。
「……夫よ」
「あぁ、そうなんですか……。今、その人は?」
「死んじゃったわ」
:07/09/09 15:46
:SH703i
:☆☆☆
#100 [OZ]
僕の目に映ったおばあさんは、ちっとも悲しんでいる様子も懐かしんでいる様子もなかった。
「……他に写真はないんですか?」
棚に並んでいる写真立ての中に、このおじいさんのものは他になかった。
長谷川さんの顔から笑みがスッと消える。
「……残念だけどないの」
嘘だ。
:07/09/09 15:52
:SH703i
:☆☆☆
#101 [OZ]
僕は直感でそう思った。
この写真のおじいさんは、長谷川さんの夫ではない。
理由だってある。
写真のおじいさんはどこかの町を歩いているところだった。
目線は道の先の方を向いている。
写真を撮られていることに全く気付いていない様子だ。
普通、こんな風に自分の夫を撮らないだろう。
しかも写真はこれ一枚しかないという。
:07/09/09 20:08
:SH703i
:☆☆☆
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