＊TＨE ＧOD OF DＥATH＊

―――――‥‥‥

真っ暗な部屋の中で
ベットの上に
横たわりながら

あたしは気持ちを
落ち着かせる

今から人を
殺しに行くから｡

――闇が囁く

｢行こうか｣

.

午前00:00

今日も狂いなく
正確な時間に

闇はあたしを
迎えに来る

さあ鎌を持って

闇の中へ血の中へ

.

あたしは死に神と共に
闇夜を歩く

この道はあたしの
―――通学路

‥ｶﾂ‥ｶﾂ‥ｶﾂ‥‥‥

規則的に響く足音

前方を見ると
そこには人影

.

あたしは無言で見つめ
その人影が
隣を通り過ぎるのを待つ

‥ｶﾂ‥ｶﾂ‥ｶﾂ‥‥

その"男"は
リズムを崩さず
あたしの隣をすり抜けた

暗くて顔は
よく見えない

.

両手を鎌と一緒に
振り上げる

‥ｶﾂ‥ｶﾂ‥ｶッ‥‥

男が足を止めた

ゆっくりと
振り返る

.

｢‥お前､もしかして‥
‥‥さくら―――｣

――――――ﾌﾞシｭッ

.

死に神は
首と胴体が
切断された"男"

――そう､朝から
あたしを怒らせた
"担任" に近寄り

魂を喰らった

｢‥‥‥‥ふふっ‥｣

思わず笑みが漏れる

.

｢やけに､ご機嫌
じゃないか｣

ニヤニヤした顔付きで
魂を喰らいながら
あたしに言う死に神

｢なんでもない｣

｢‥ｸｯｸｯｸｯ‥‥
‥ああ､こいつの魂は
美味くないねえ｣

.

｢‥味なんかあるの?｣

｢味というか‥‥
上手く説明出来ない｡
真ッッ白なﾓﾉが
私は好きなのだよ｣

(‥お前の好みなんか
興味ない)

あたしは一瞬
眉間に皺を寄せたが
死に神は気付いてない
フリをして
家に向かって歩き出した

その後ろを
数歩遅れて着いて行く

.

｢それは､取り出さないと
わからないんでしょ?｣

｢いいや､
私‥死神の眼には
"人の魂が見える"のさ
だから､取り出さなくてもわかる｣

――魂が見える‥？

｢じゃぁ､あいつ止めれば
よかったじゃない｣

後ろを指差し
死神に問う

.