*THE GOD OF DEATH*
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#1 [ま-イ子]
闇が迫る迫る
あたしは踊る
死 神 の
手 の 上 で ――‥
**THE GOD OF DEATH**
.
:07/07/21 10:34 :SH903i :UAZvXmqY
#2 [ま-イ子]
初めまして(∀)!
小説を書くのは初めてなので至らない点は
見逃して下さい('`)
色んな方に見ていただけると光栄です
ちなみに題名の意味は
『死神』です(^ω^)
では、ぼちぼち更新はじめます
:07/07/21 10:40 :SH903i :UAZvXmqY
#3 [ま-イ子]
―――‥ザシュッ!!
音と共に
飛び散る鮮血
闇夜の中では
その赤も黒。
倒れる人影
横にはもう二つの 影
.
:07/07/21 10:42 :SH903i :UAZvXmqY
#4 [ま-イ子]
「‥30個め」
一つの影が口を開く
声からして 女。
「もう30個‥早いねえ‥」
クックッと独特な笑い方を
するのは 多分 男。
男の方は倒れてる影に
音もなく近付く
そして 手を翳す
.
:07/07/21 10:46 :SH903i :UAZvXmqY
#5 [ま-イ子]
すると 口から
白い物体が浮いて出た
男はそれを掴み
ムシャムシャ食べ始める
「‥約束は守りなさいよ」
女は男を睨み付けながら
言い放った
ゴクンと"あれ"を飲み込んだ男は ふう と溜息をつき
口を開く
「君もしつこいねえ
わかってるよ。
"死神"は嘘をつかない。」
.
:07/07/21 10:52 :SH903i :UAZvXmqY
#6 [ま-イ子]
"死神"と言った男を
女は更に睨み付ける
「あたし、あんたみたいな
"人間じゃないやつ"
信じてないから」
クルッと死神に背を向け
女は歩きだす
「人間も‥
信じてないくせに」
ピクッと女は立ち止まる
そして 手に持っていたものを
思い切り 死神に
振りかざした
.
:07/07/21 10:57 :SH903i :UAZvXmqY
#7 [ま-イ子]
――ヒュ‥‥ガッ!!
女が振りかざしたモノは
空を切り
コンクリートに突き刺さった
「クックッ‥君に私は
殺せないよ」
いつの間にか女の後ろに
いる死神
馬鹿にした笑いに
女は苛立ちを覚えた
.
:07/07/21 11:01 :SH903i :UAZvXmqY
#8 [ま-イ子]
闇だった空から
ゆっくりと
月が顔をだす
辺りは黄色い光りに
照らされる
三つの影にも
降り注ぐ
先に顔を見せた女は
只の女子高生だ
しかしその手には
女子高生には似つかわしくない
大きな 鎌 が
握られていた
コンクリートから引き抜いた
鎌からは
真紅の血が
滴り落ちていた
.
:07/07/21 11:29 :SH903i :UAZvXmqY
#9 [ま-イ子]
徐々に明るく
なってゆく
そして照らした
もう一つの影
それは黒いマントに
身を包み
フードを被っていた
光りに照らされても
暗闇のような
全身黒の"それ"の顔は
人間では なかった
.
:07/07/21 17:20 :SH903i :UAZvXmqY
#10 [ま-イ子]
――‥骸骨
その言葉が
1番ぴったりだ
皮や肉は剥ぎ取られ
目玉はなく
歯は剥き出し
誰でも恐怖を
覚えるであろうその顔は
先程口にしていた
"死神"という言葉が
よく似合う
.
:07/07/21 17:24 :SH903i :UAZvXmqY
#11 [ま-イ子]
月に照らされ
露になった
死神の顔を見て
女は一瞬
息を呑んだ
そんな女の隣を
何事もなかったように
死神は歩き出した
.
:07/07/21 18:15 :SH903i :UAZvXmqY
#12 [ま-イ子]
小さくなった
死神の背中を
女は見つめる
そしてチラッと
足元にあるモノを見た
それは胴を切断された
中年男性の死体
俯せになっている
それの下は 血 の 海
.
:07/07/21 18:20 :SH903i :UAZvXmqY
#13 [ま-イ子]
見るも無惨な
それを見つめ
女はゆっくり 口を開く
「‥‥‥優真」
死神にはもう聞こえない
声で 呟いた
持っている鎌を
ギュッと握り絞める
.
:07/07/22 00:00 :SH903i :aM/nhX26
#14 [ま-イ子]
――何故こんなことに
なってしまったのか
それは、
二 ヶ 月 前 の 事
.
:07/07/22 00:02 :SH903i :aM/nhX26
#15 [ま-イ子]
――――――――
―――――
―――
「なつ」
ザワザワとした教室で
あたしの名を呼ぶ
その人の名は
アイ サワ ユウ マ
相 澤 優 真
あたしの 恋人。
.
:07/07/22 00:06 :SH903i :aM/nhX26
#16 [ま-イ子]
「帰ろうか」
「うん」
いつものやり取り
いつも通りの道で
いつも通り
手を繋いで帰る
それがあたしの幸せ
今日も変わらない
―そう思ってた‥
.
:07/07/22 13:59 :SH903i :aM/nhX26
#17 [ま-イ子]
あたし達はあたしの家の
少し前で別れる
いつもと同じ
"あの人"に見つかったら
何されるかわからない
今日も
名残惜し気に手を離し
「また明日」
優真はあたしに
背を向ける
.
:07/07/22 14:07 :SH903i :aM/nhX26
#18 [ま-イ子]
人気の少ない道だから
優真の足音しか
聞こえない
あたしは規則正しい
その音を聞きながら
優真の背中を見送る
三本先にある
角を曲がり
優真は見えなくなった
.
:07/07/22 14:11 :SH903i :aM/nhX26
#19 [ま-イ子]
それを確認し
あたしも
反対方向に歩き出す
家はすぐ見えた
(‥車がない
男のところかな‥)
"あの人"は家に
いない事を知り
ホッと胸を撫で下ろす
多分 夜中まで
帰ってこないのだろう
(今日は
殴られずに済む)
.
:07/07/22 14:19 :SH903i :aM/nhX26
#20 [ま-イ子]
あたしの名前
『なつ』は
"あの人"が付けた
夏に生まれたから
『なつ』
安易に付けられた名前
漢字さえ
付けてもらえなかった
当たり前だ
あたしは"あの人"に
愛されていないのだから
.
:07/07/22 14:21 :SH903i :aM/nhX26
#21 [ま-イ子]
あたしは"あの人"に
愛 さ れ て な い
だから殴られる
だから憎まれる
そんなあたしに
愛をくれた
手を差し延べてくれた
それが 優真だった
.
:07/07/22 14:25 :SH903i :aM/nhX26
#22 [たき]
あ〜げ(`・ω・´)
ふぁいとっ(^ω^)
:07/07/23 00:28 :SH904i :jXjMSnLs
#23 [ま-イ子]
たきさま
あげありがとうございます(^ω^)
誰も見てないと思ってたのでかなり嬉しいです
笑
:07/07/23 00:39 :SH903i :aPa0JZ/Q
#24 [ま-イ子]
だからあたしは
優真を 愛してる
この先何があろうとも
優真と生きてゆく
ことを決めた
あたしの 幸せ
・・・・・・・・・
闇が迫る
ゆっくり 確実に
ほらもう 目 の 前
.
:07/07/23 00:42 :SH903i :aPa0JZ/Q
#25 [ま-イ子]
そんな事を考えながら
あたしは家の扉に
手を掛ける
――――――‥ョ
(----‥!!)
なんだ 今の
誰かの声が‥‥‥
(気のせいだよね‥)
無理矢理納得させ
家の中に
足を踏み入れる
.
:07/07/23 00:47 :SH903i :aPa0JZ/Q
#26 [ま-イ子]
.
――ハ ヤ ク オ イ デ
「‥ッ!!!!」
気のせいなんかじゃない
――ハ ヤ ク オ イ デ ヨ
耳を塞いでも
頭に響き渡る
暗く 低音な 声
ドクン‥ドクン
他に聞こえるのは
静まる気配がない
あたしの鼓動
.
:07/07/23 01:20 :SH903i :aPa0JZ/Q
#27 [ま-イ子]
――コ ナ イ ナ ラ
どくん‥ドクン
(嘘だ嘘だ‥
何も聞こえないッ‥)
恐怖を覚えたあたしは
必死に自分に
言い聞かせた が
無駄だと思い知らされる
――コ イ ツ コ ロ ス ヨ
ど く ん ッ
:07/07/23 14:31 :SH903i :aPa0JZ/Q
#28 [ま-イ子]
あたしは
家を飛び出し
走り出す
目指すは 優真の元へ
いつの間にか
聞こえなくなっている声
「ハァ‥ハッ‥」
慣れない全力疾走と
焦り‥そして恐怖心から
息遣いは荒くなる
.
:07/07/23 22:01 :SH903i :aPa0JZ/Q
#29 [ま-イ子]
(早く‥はやくハヤク‥
もっとッ‥‥!!)
―――早くしないと
優真がッ‥‥‥!!
気のせいで
あってほしいと
願う反面
確信している
それは きっと
優 真 の 死
.
:07/07/23 22:08 :SH903i :aPa0JZ/Q
#30 [ま-イ子]
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
優真が死んだら
あたしは
どう 生きてゆけばいい?
駄目 そんなの
優真のいない世界なんて
考えられない
そんな世界 い ら な い
――死なせるものか
.
:07/07/23 22:12 :SH903i :aPa0JZ/Q
#31 [ま-イ子]
三本目の角まで
あと数十メートル
「ハッ‥は‥‥‥?」
気が付くと霧が
否 黒い靄が
辺りを覆っていた
―――――ゾクッ‥
今までに感じたことの
ない感覚が
身体を包み込む
.
:07/07/23 22:19 :SH903i :aPa0JZ/Q
#32 [ま-イ子]
※霧→きり
靄→もや
:07/07/23 22:20 :SH903i :aPa0JZ/Q
#33 [ま-イ子]
(なんか‥いる‥)
嫌でも身体に
伝わる
"何か"が いると---‥
手足が震える
あたしは走るのを止め
ゆっくり 歩き出す
一歩 また一歩
闇へ近付く
.
:07/07/23 22:23 :SH903i :aPa0JZ/Q
#34 [ま-イ子]
少し休憩します(..)
:07/07/23 22:26 :SH903i :aPa0JZ/Q
#35 [ま-イ子]
そしてあたしは
角を曲がり
足を踏み入れた
遠目に見える
影が 二つ
一つは 優 真 ?
じゃあ
も う 一 つ は ?
まだ震える足を動かし
前へ進む
靄が次第に晴れてゆき
視界が澄んでゆく
.
:07/07/24 10:42 :SH903i :aypxzKwg
#36 [ま-イ子]
「------‥ッ!!」
そこであたしが
見 た モ ノ は
ローブのようなものを
身に纏い
上から下まで
真っ黒な‥多分、男
片手には 大きな 鎌
そしてもう一つの手には
優 真 の 首 が
.
:07/07/24 11:56 :SH903i :aypxzKwg
#37 [ま-イ子]
優真は男に
片手で持ち上げられ
手足はだらん と
力なく垂れ下がっている
顔はよく見えないが
気絶しているか
あるいは 死――‥
.
:07/07/24 15:42 :SH903i :aypxzKwg
#38 [ま-イ子]
「‥ッ優真を‥離して!」
あたしは震える声で
男に叫んだ
男はピクッと反応し
ゆっくりと 振り向く
「――‥ッ!!?」
あたしは我が目を
疑った
なぜなら
"それ"の顔は
人間では なかった
.
:07/07/25 15:30 :SH903i :RLysqrAI
#39 [ま-イ子]
皮のない唇から
白い歯を剥き出しにし
ニヤリと笑う"それ"
あたしは
恐怖に身を震わせた
ゆっくりと
口が動く
.
:07/07/25 15:38 :SH903i :RLysqrAI
#40 [ま-イ子]
「断る」
「‥‥‥‥は‥?」
唐突に言われ
声を絞り出すのが
やっとだ
「君は『離せ』と言ったが
私には何の利益もない。
だから、断る」
.
:07/07/25 20:45 :SH903i :RLysqrAI
#41 [☆架恋//KID.aw.t]
何か緊張して来た
何か構成上手いねぇ~
頑張ってねっ☆★
:07/07/26 02:36 :W42K :HI0D50Oc
#42 [ま-イ子]
>>41 さま
見てくださって
ありがとうございます
全然ですよ
もっと上手くなるように
精進します(∩∀`)
:07/07/26 08:01 :SH903i :687A2P3I
#43 [ま-イ子]
「あなた‥なん、なの‥?」
あたしは
涙ぐんでいる瞳で
男を睨み付けながら
やっとの思いで
言葉を紡ぎだす
"それ"はにやりと
口角を上げた
「私は‥‥
死 神 さ 」
.
:07/07/26 08:30 :SH903i :687A2P3I
#44 [Ayumi]
感想板がないみたいなので、
作品の邪魔になると思いながらも
こちらにコメントさせて
頂きました。
大変だと思いますが
更新頑張って下さい★
:07/07/26 08:58 :P902iS :yQakWOLM
#45 [ま-イ子]
>>44 さま
感想板なくて
すいません
邪魔だなんてとんでもないです(Д)
応援の言葉
ありがとうございます
更新遅いですが
頑張ります(∀d)
!
:07/07/26 11:03 :SH903i :687A2P3I
#46 [ま-イ子]
(――今 な ん て ?)
受け止められない言葉
しかし目の前にいる
"やつ"を見ると
嫌でも認めざるを得ない
「‥‥‥‥」
「信じてもらえないのなら
今この場でこいつを
殺そうか」
(―――――!!?)
.
:07/07/26 13:56 :SH903i :687A2P3I
#47 [Ayumi]
:07/07/27 06:46 :P902iS :vZUfXW/c
#48 [ま-イ子]
Ayumiさま
あげありがとうございます(∩∀`)
今、少し忙しくあまり更新できなくて
すみません
あげ助かります
:07/07/27 08:14 :SH903i :wo3aXSCo
#49 [ま-イ子]
鎌を持ち上げ
優真を見る"死神"
「ッ‥やめて!!」
ピタッと鎌を
持ち上げる手を止める
「‥死神‥が
優真に何の用‥?」
怒りと恐怖で手が震える
「信じてもらえて
なによりだ」
.
:07/07/27 08:35 :SH903i :wo3aXSCo
#50 [ま-イ子]
そう笑いながら
死神は
鎌を振り下ろした
.
:07/07/27 13:28 :SH903i :wo3aXSCo
#51 [ま-イ子]
銀の刃は
優真の首に向かって
急降下する
―――ヒュンッ!
「ッ嫌ぁああ!!!」
優 真 ガ 死 ヌ――
.
:07/07/28 00:06 :SH903i :RPD.ncSc
#52 [ま-イ子]
「はぁッ‥‥はッ‥‥
‥‥‥ッは‥‥」
鎌の刃は
優真の首まで
あと数センチ
のとこで止められていた
「‥ハァッ‥‥うっ‥」
.
:07/07/31 12:10 :SH903i :In97VU..
#53 [ま-イ子]
突然の出来事に
あたしの心臓は
跳ね上がり
呼吸もままならない
苦しい
そんなあたしを
死神は 隠す様子もなく
面白がるように
見つめた
「クックッ‥」
.
:07/07/31 12:14 :SH903i :In97VU..
#54 [ま-イ子]
「な‥ん‥‥‥で
優、真‥‥‥を‥‥」
まだ呼吸が出来ない
喉と口で
必死に言葉を出す
「決まっている
私は死神。
こいつの魂を
もらいに来たのさ」
(―――‥ッ!)
タ マ シ イ ?
.
:07/07/31 12:18 :SH903i :In97VU..
#55 [ま-イ子]
「魂を集めること
それが私、死神の仕事」
「た、ま‥‥し‥‥を
取っ、たら‥‥‥?」
聞きたくない言葉
でも 聞かなければいけない
「もちろん 死ぬ」
.
:07/07/31 12:24 :SH903i :In97VU..
#56 [ま-イ子]
(――そんな‥‥)
眩暈がする
吐きそうだ
「今のは、免疫を
付けてあげたのだが」
喉を鳴らして
笑う死神
「"大切な人"が死ぬ場面
次はそんなに
驚かないだろう?」
――フ ザ ケ ル ナ
.
:07/07/31 12:30 :SH903i :In97VU..
#57 [ま-イ子]
優真が死ぬ場面なんて
もう二度と
味わいたくなんかない
「や‥め、て‥よ‥」
どうして優真なの
「それは出来ない
私の仕事だからな」
.
:07/07/31 12:33 :SH903i :In97VU..
#58 [ま-イ子]
きっぱりと言う
死神の言葉に
耐え切れず
あたしの瞳からは
涙が溢れた
「ッ‥お願ッ‥‥‥
‥や、め‥‥て‥」
留まることを
知らないくらい
涙は流れる
.
:07/08/01 09:41 :SH903i :Msw0RXYg
#59 [ま-イ子]
足の力が抜け
その場に崩れ落ち
顔を伏せて泣いた
そんなあたしを
死神は
無表情で見下ろし
口を開いた
「この男が大事か?」
.
:07/08/02 01:02 :SH903i :ekRyD4cU
#60 [ま-イ子]
死神の問いに
あたしは驚き
顔を上げた
そして 頷く
――あたしは優真が
1番 大事 なの
死神は 微かに
口角を上げた
.
:07/08/02 09:59 :SH903i :ekRyD4cU
#61 [ま-イ子]
「そうか‥‥
それなら
取 引 を し よ う 」
.
:07/08/02 10:00 :SH903i :ekRyD4cU
#62 [ま-イ子]
(――取‥‥引‥?)
あたしは呆けた顔で
死神を見る
「と、り‥ひき?」
頭で理解するのと
同時に
言葉で発した
「そう、取引だ」
.
:07/08/03 14:07 :SH903i :1jFtA1JI
#63 [ま-イ子]
――取引?
"優真の魂"と
引き換えに
何かをあげる
ということ?
‥なるほど
"あたしの魂"か
.
:07/08/03 14:11 :SH903i :1jFtA1JI
#64 [ま-イ子]
あたしはすぐに
死神の言葉を
推理した
奴が言っているのは
優真の魂を
取らない代わりに
あたしの魂を
渡すということ
.
:07/08/04 14:28 :SH903i :k5z/WT0w
#65 [ま-イ子]
人の為に命を
投げ出す等
馬鹿馬鹿しいにも
程がある
貴女達なら
そう思うでしょう
でもね
あたしは違う
優真がいる世界でしか
あたしは存在しない
優真は唯一
この世界の中であたしを
見つけてくれるから
.
:07/08/04 14:30 :SH903i :k5z/WT0w
#66 [ま-イ子]
優真がいない世界なんて
あたしもいないに
等しい
だから 答えは
決まってる
可笑しいと思う?
別に構わない
あたしはこういうヒト。
.
:07/08/04 14:33 :SH903i :k5z/WT0w
#67 [ま-イ子]
あたしは一度目を閉じ
そしてゆっくりと
死神を見た
死神もあたしを
上から見下し
口を開く
「取引内容は
"こいつの魂"と
"100 人 の 魂" だ 」
.
:07/08/04 14:40 :SH903i :k5z/WT0w
#68 [ま-イ子]
――――――な に ?
「あた、しの‥魂じゃ
ない‥の?」
確認するように
死神に問う
すると死神は
鼻を鳴らし答えた
.
:07/08/04 14:44 :SH903i :k5z/WT0w
#69 [ま-イ子]
「お前の魂をもらっても
私には何の得もない
取引とはお互いに
利益があって
やるものさ
まぁ、例外として
一方的なものもあるが」
理論的な考え方
なんて人間くさい
死神なんだ、と
あたしは思いながら
その言葉を納得した
.
:07/08/04 20:14 :SH903i :k5z/WT0w
#70 [ま-イ子]
‥誰も見てない
ですかね('`)
:07/08/04 23:04 :SH903i :k5z/WT0w
#71 [ま-イ子]
(でも"100人の魂"なんて
どうすれば――?)
「簡単な話しさ
お前は私と魂を集める
そうすれば
私はこいつを殺さない
拒否すれば
この場で殺す」
あたしの心を
見透かしたように
答える死神
.
:07/08/05 10:18 :SH903i :6rxCdOrc
#72 [ま-イ子]
「取引‥‥‥?
‥脅迫じゃない‥」
死神を睨み付けながら
あたしは言う
恐怖は段々と
薄れていく
「いや、取引さ
選択権はお前にある
私はどちらでも
構わない」
選択権等あるものか
答えは決まっているのだから
.
:07/08/05 10:24 :SH903i :6rxCdOrc
#73 [ま-イ子]
ゆっくりと立ち上がり
死神の前まで
あたしは歩く
恐怖など
もはや、なくなった
あるのは 憎しみと覚悟
優真を助けるという
決意
.
:07/08/05 10:27 :SH903i :6rxCdOrc
#74 [ま-イ子]
死神は手を離し
優真は地面に
崩れ落ちた
優真を横目で
生きていることを
確認し
ほっと胸を撫で下ろす
死神があたしの前に
差し出した
大きな 鎌
あたしはそれを
握り絞めた
.
:07/08/05 19:51 :SH903i :6rxCdOrc
#75 [ま-イ子]
「100人くらい
やってやるわよ
優真の為ならね」
死神をまっすぐ見据え
力強く言い放つ
死神はこれでもか
という位
口角を吊り上げた
「 取 引 成 立 」
.
:07/08/05 19:54 :SH903i :6rxCdOrc
#76 [ま-イ子]
こうして あたしは
死神と 取引をした
愛する人を 護る 為
闇 の 中 へ
.
:07/08/05 19:56 :SH903i :6rxCdOrc
#77 [ま-イ子]
誰も見ていないと
思いますが
自己満ですので
最後まで続けます
:07/08/05 19:59 :SH903i :6rxCdOrc
#78 [ゆうみ]
みてるで
:07/08/05 20:00 :P701iD :Yy8Xkkfo
#79 [ま-イ子]
>>78さま
見てくださってて
ありがとうございます!
やる気でましたあ
頑張ります
:07/08/05 20:10 :SH903i :6rxCdOrc
#80 [ま-イ子]
書き忘れてましたが
とりあえず
ここまでが第1章に
なります(..)
:07/08/05 20:26 :SH903i :6rxCdOrc
#81 [ま-イ子]
-・-第2章 死神-・-
:07/08/05 23:01 :SH903i :6rxCdOrc
#82 [ま-イ子]
―――
―――――
――――――――
あれから
もう二ヶ月が経った
あたしの日常は
変わらず 流れる
.
:07/08/05 23:34 :SH903i :6rxCdOrc
#83 [たき]
わーい(・ω・。)
いっぱい更新されてる!
主さん上手いっすね〜!!
頑張ってください〜(ノ∀`)
:07/08/05 23:36 :SH904i :Mh3XHkjY
#84 [ま-イ子]
‥‥ピピピピ‥ッカチッ
頭上で鳴り響く
目覚ましを
素早く止める
"あの人"が
起きないように
もう
慣れてしまった早起き
学校へ行く準備をし
朝食を作る
.
:07/08/05 23:41 :SH903i :6rxCdOrc
#85 [ま-イ子]
>>83さま
ありがとうございます
上手くないですよ
なんかグチャグチャしてしまって
文才欲しいです
見て頂けて
本当に光栄です(^ω^)
:07/08/05 23:43 :SH903i :6rxCdOrc
#86 [ま-イ子]
もちろんこの朝食は
"あの人"の分
と言っても
昼過ぎに起きる彼女に
とっては
昼食になるけれど。
あたしはカップに入った
珈琲を飲み干し
家を出る
.
:07/08/05 23:49 :SH903i :6rxCdOrc
#87 [ま-イ子]
朝早く登校するのは
あの家に
長く居たくないから。
あたしは家と学校の
ちょうど中間地点に
ある公園へと入る
ここで登校時間
ギリギリまで時間を潰す
これも日常
.
:07/08/05 23:53 :SH903i :6rxCdOrc
#88 [ま-イ子]
しかし二ヶ月前までは
優真の事を考えて
いた時間も
今では
"死神"について
考える時間になった
(――わからない)
あいつは
謎だらけだ
.
:07/08/05 23:55 :SH903i :6rxCdOrc
#89 [ま-イ子]
あたしと死神の
"魂集め"は
夜しか行わない
『犯行が見付からない
暗闇の中‥
夜が1番いい』
だそう。
夜になると突然
あたしの前に現れる
今‥朝や昼は
何をしているのか
.
:07/08/06 00:40 :SH903i :gh8xMIVs
#90 [ま-イ子]
あいつは何処から
やって来るのか
何故魂を集めるのか
全ては 謎
只 この二ヶ月で
分かったことと言えば
"あいつの性格"だ
.
:07/08/06 14:06 :SH903i :gh8xMIVs
#91 [ま-イ子]
全てにおいて
理論的に
理屈っぽい
しかし考えてることは
何一つ分からない
否 隠している
必要最低限の事しか
あたしに話さない
秘密主義者
.
:07/08/06 22:54 :SH903i :gh8xMIVs
#92 [ま-イ子]
でもあたしは
それを知らなければ
ならない
何故か?
あいつを信用
してないから。
"あたしが魂集めを
手伝えば
優真を助ける"
――そんな保証
どこにもない
.
:07/08/06 23:01 :SH903i :gh8xMIVs
#93 [ま-イ子]
だからあたしは
"もしもの時"
優真を助ける為
あいつの情報を
集めなければならない
こう見えても
頭は切れる方。
推理小説とか
好きだったりするし
――絶対暴いて見せる
死神の秘密
.
:07/08/06 23:04 :SH903i :gh8xMIVs
#94 [ま-イ子]
眉間に皺を寄せ
ベンチに座りながら
考えていると
‥キーンコーンカーンコーン‥
「‥‥‥‥‥‥あ。」
やっちゃった
.
:07/08/06 23:06 :SH903i :gh8xMIVs
#95 [ま-イ子]
あたしは短く
溜め息をつき
ベンチから腰を上げ
学校に向かって歩き出す
(‥あー‥
今日の言い訳どうしよ)
毎日ほとんど
遅刻しているので
言い訳が底を尽きた
.
:07/08/08 00:23 :SH903i :4TUrV1KA
#96 [ま-イ子]
―――――----‥
ガンッ!!
鈍い音が校舎に
響き渡る
「〜ッ‥むかつく‥」
その音を出した
張本人 あたしは
独り言を言いながら
自分の教室へと
向かった
.
:07/08/08 09:42 :SH903i :4TUrV1KA
#97 [ま-イ子]
何故あたしが
こんなにも
荒れているかというと
――数分前の話し
あたしが15分程
遅れて学校に着くと
お出迎えしてくれたのは
あたしの担任
その後は職員室で
「いっつもお前はなァ‥」
とか いつもみたく
長々と愚痴を言われてた
.
:07/08/08 10:19 :SH903i :4TUrV1KA
#98 [ま-イ子]
毎度お馴染みの事なので
あたしは外の天気を
見ながら聞き流していた
しかし 担任の
そう、あの男の
「なんで相澤も
こんなロクデナシと
付き合ってられるのか‥
あいつの将来も
落ちぶれたな」
この一言で あたしは
キ レ た 。
.
:07/08/08 10:26 :SH903i :4TUrV1KA
#99 [ま-イ子]
―バンッ!!!
あたしは担任の机を
思い切り叩き
驚いて目を見開いている
男を睨み付け
教室を出て行った
‥‥そして今に至る
.
:07/08/08 10:30 :SH903i :4TUrV1KA
#100 [ま-イ子]
壁を蹴り上げても
自身の右足が
鈍い痛みを負っただけ
しかしそんな事は
気にも止めず
あたしは廊下を
突き進んだ
(あのクソ男ッ‥‥
優真は関係ないのに‥)
そう、あたしは
遅刻には何の関係もない
優真を侮辱された事に
酷く憤怒したのだ
.
:07/08/09 10:32 :SH903i :z2qv.5ck
#101 [ま-イ子]
(‥あんな男‥‥あ。)
歩いていた足を
止めると同時に
思考も停止した
目的地に着いたあたしは
扉に手を掛け
思いきり開く
教室の後ろのドアから
堂々と遅刻して来た
あたしを
"クラスメート達"は
一斉に視線を送る
.
:07/08/09 11:26 :SH903i :z2qv.5ck
#102 [ま-イ子]
その視線を無視し
自分の席へと足を運ぶ
「またお前か‥‥
"桜井なつ"!!
何度遅刻すれば気が
済むんだ?」
1限目の数学の教師が
あたしに向かって
呆れたように言う
あ、桜井なつ=あたし ね。
.
:07/08/10 11:21 :SH903i :sADKwCMo
#103 [ま-イ子]
「‥説教なら
聞いてきました」
教師の方は見ないで
それだけ告げると
あたしは席に座った
教師は小さく
溜め息をつき
何もなかったかのように
授業を進めた
もう無駄だと
感じたのだろう
.
:07/08/10 11:27 :SH903i :sADKwCMo
#104 [ま-イ子]
結局教師も
最後には他人
他人にいちいち
口だしされるのは
凄く腹立たしい
(‥放っておいて
欲しいのに)
あたしは机に頬杖をつき
窓の外を見る
今日は 快晴だ
.
:07/08/10 11:36 :SH903i :sADKwCMo
#105 [ま-イ子]
(‥綺麗だな‥)
とても蒼く澄んだ空は
あたしの心も
少しは綺麗に
してくれたかな‥
先程の怒りも
忘れ去ろうとした が
あたしは眉間に
皺を寄せる
.
:07/08/10 11:40 :SH903i :sADKwCMo
#106 [ま-イ子]
--感じる視線
--聞こえないように
しているが聞こえる小声
あたしに向けられた
その二つに
一気に気分が悪くなる
‥よく学校来れるよね‥
まじうざいし‥‥‥‥
‥‥相澤君かわいそう‥
‥あいつ何様?‥
.
:07/08/10 11:49 :SH903i :sADKwCMo
#107 [ま-イ子]
女子からは
怒りと怨みの視線
男子からは
哀れみと興味の視線
――不愉快
その視線に
気付かぬフリをして
1限目を過ごした
.
:07/08/10 13:35 :SH903i :sADKwCMo
#108 [ま-イ子]
休み時間に
入ってからは
数人の女子に
取り囲まれ
意味の分からない
自分勝手な悪口を
聞かされた
あたしがこいつらに
忌み嫌われている理由
それは酷く簡単で
くだらない事
.
:07/08/10 13:39 :SH903i :sADKwCMo
#109 [ま-イ子]
"あたしが優真と
付き合っている"から。
女子の中での
[中心的存在]の女が
優真に好意があった
つまり、
そういうこと。
く だ ら な い
.
:07/08/10 13:46 :SH903i :sADKwCMo
#110 [ま-イ子]
そんな自分勝手な
理由で
あたしを苛々させる
本当に腹立たしい
教師 も 生徒 も
.
:07/08/10 13:50 :SH903i :sADKwCMo
#111 [ま-イ子]
(‥そうだ‥‥
皆 みんな ミンナ‥‥)
――死んでしまえばいい
.
:07/08/10 13:53 :SH903i :sADKwCMo
#112 [ま-イ子]
「‥‥‥なつ?」
「――!
‥‥あ‥‥‥何?」
優真が心配そうな顔を
しながらあたしを
覗き込んでいる
――今は昼休み.
優真と屋上でお弁当を
食べている所だ
「大丈夫か?
なんか元気ないな」
.
:07/08/11 14:17 :SH903i :XjIjPO7M
#113 [ま-イ子]
「ごめん、
考え事してただけだよ
ありがと、大丈夫。」
微笑みながら言うと
優真も安心したように
笑った
―――あ た シ 今
何 ヲ 考 え タ ?
.
:07/08/11 14:26 :SH903i :XjIjPO7M
#114 [ま-イ子]
"死ねばいい"なんて
今のあたしにとっては
"殺してやる"になるのに
死に神と
取引をしている間は
人ヲ殺シテモ
罪ニハ ナラナイ
なぜなら それは
優真の為になるから
.
:07/08/12 22:17 :SH903i :nyAURAF2
#115 [ま-イ子]
それなのに、あたしは今
人を自ら
殺そうとした
怖い
.
:07/08/12 22:18 :SH903i :nyAURAF2
#116 [ま-イ子]
どうしよう あたし
人を‥‥‥‥‥‥‥
あたし アタシ
快楽殺人者なんかに
なりたくない
.
:07/08/12 22:19 :SH903i :nyAURAF2
#117 [ま-イ子]
人を殺めて
手を紅く汚しても
あたしの心は
ヒトのままで‥
どうか
心まで汚さないで
その為には
理由が必要なの
"人を殺しても
良い理由"が
.
:07/08/12 22:23 :SH903i :nyAURAF2
#118 [ま-イ子]
―――――‥‥‥
真っ暗な部屋の中で
ベットの上に
横たわりながら
あたしは気持ちを
落ち着かせる
今から人を
殺しに行くから。
――闇が囁く
「行こうか」
.
:07/08/12 22:27 :SH903i :nyAURAF2
#119 [ま-イ子]
午前00:00
今日も狂いなく
正確な時間に
闇はあたしを
迎えに来る
さあ 鎌を持って
闇の中へ 血の中へ
.
:07/08/12 22:30 :SH903i :nyAURAF2
#120 [ま-イ子]
あたしは死に神と共に
闇夜を歩く
この道はあたしの
―――通学路
‥カツ‥カツ‥カツ‥‥‥
規則的に響く足音
前方を見ると
そこには 人影
.
:07/08/12 22:34 :SH903i :nyAURAF2
#121 [ま-イ子]
あたしは無言で見つめ
その人影が
隣を通り過ぎるのを待つ
‥カツ‥カツ‥カツ‥‥
その"男"は
リズムを崩さず
あたしの隣をすり抜けた
暗くて顔は
よく見えない
.
:07/08/12 22:38 :SH903i :nyAURAF2
#122 [ま-イ子]
両手を鎌と一緒に
振り上げる
‥カツ‥カツ‥カッ‥‥
男が足を止めた
ゆっくりと
振り返る
.
:07/08/12 22:41 :SH903i :nyAURAF2
#123 [ま-イ子]
「‥お前、もしかして‥
‥‥さくら―――」
――――――ブシュッ
.
:07/08/12 22:43 :SH903i :nyAURAF2
#124 [ま-イ子]
死に神は
首と胴体が
切断された"男"
――そう、朝から
あたしを怒らせた
"担任" に 近寄り
魂 を 喰 ら っ た
「‥‥‥‥ふふっ‥」
思わず笑みが漏れる
.
:07/08/13 03:48 :SH903i :tdPOnbbU
#125 [ま-イ子]
「やけに、ご機嫌
じゃないか」
ニヤニヤした顔付きで
魂を喰らいながら
あたしに言う死に神
「なんでもない」
「‥クックックッ‥‥
‥ああ、こいつの魂は
美味くないねえ」
.
:07/08/13 03:52 :SH903i :tdPOnbbU
#126 [ま-イ子]
「‥味なんかあるの?」
「味というか‥‥
上手く説明出来ない。
真ッッ白なモノが
私は好きなのだよ」
(‥お前の好みなんか
興味ない)
あたしは一瞬
眉間に皺を寄せたが
死に神は気付いてない
フリをして
家に向かって歩き出した
その後ろを
数歩遅れて着いて行く
.
:07/08/13 04:01 :SH903i :tdPOnbbU
#127 [ま-イ子]
「それは、取り出さないと
わからないんでしょ?」
「いいや、
私‥死神の眼には
"人の魂が見える"のさ
だから、取り出さなくてもわかる」
――魂が見える‥?
「じゃぁ、あいつ止めれば
よかったじゃない」
後ろを指差し
死神に問う
.
:07/08/13 04:08 :SH903i :tdPOnbbU
#128 [ま-イ子]
「別に喰えない
わけではない‥‥
‥‥それに」
言葉を一旦
止めた死神は
顔だけあたしの方を向き
ニヤリと笑った
「殺したかったんだろう?」
「――――ッ!!」
.
:07/08/14 10:18 :SH903i :e4Azs0zQ
#129 [ま-イ子]
--知って‥いた‥?
(いや、それよりも‥‥)
「勘違いしないで!!
あたしは優真の為に
"仕方なく"殺ったの!
あたしの為じゃない」
あたしが殺したくて
殺したとでも?
認めない
そんなの 認めない
.
:07/08/14 10:22 :SH903i :e4Azs0zQ
#130 [ま-イ子]
「クックッ‥‥そうか。
結果的に君の為になって
よかったじゃないか」
それだけ言うと
死神は再度歩き出した
「‥‥‥ふん‥」
人の全てを
見透かした様な
その言い方
腹が立つよ
.
:07/08/14 11:18 :SH903i :e4Azs0zQ
#131 [ま-イ子]
(--あいつは魂が
見えているんだ‥
‥‥‥ん?そうなると)
いつでも美味い魂を
喰らうことが出来るのに
それをしない
娯楽や食事なんかで
魂を取っている
わけではないの?
.
:07/08/14 11:22 :SH903i :e4Azs0zQ
#132 [ま-イ子]
それに
何故あたしに
魂を集めさせる?
そんな事をして
あいつに利益があるとは
思えない
やはり只の娯楽?
あいつにとっては
ゲームなの?
.
:07/08/14 11:24 :SH903i :e4Azs0zQ
#133 [ま-イ子]
優真の魂を喰らわず
あたしと取引をした
あの時
あたしも優真も
殺そうと思えば
殺せたはず
----そうだ
しかも、あいつは
わざわざあたしを
呼び寄せたんだ
な ん の 為 に ?
.
:07/08/14 11:27 :SH903i :e4Azs0zQ
#134 [ま-イ子]
(‥駄目だ、わからない)
でも、一つ分かった
この"魂集め"には
何か 裏 が ある
あいつにとって
これが1番
重要なのだろう
.
:07/08/15 15:25 :SH903i :cfyHPx.M
#135 [ゆい☆]
超面白いです(・_゚)!!!
頑張って下さい+゚!
:07/08/15 16:13 :W44T :COkclvco
#136 [ま-イ子]
>>135さま
面白いとか
かなり嬉しいですッ
(´;ω;`)
ありがとうございます
頑張ります〜(∀)
:07/08/15 19:39 :SH903i :cfyHPx.M
#137 [ま-イ子]
(聞いて素直に
教えてくれるわけが
ないし‥)
それでも
聞き出さなければ
少しずつ
パズルのピースを
埋める様に
死神の秘密を
.
:07/08/16 15:36 :SH903i :7u/QPPTM
#138 [ま-イ子]
『死神』
人の魂を喰らう
ば ケ モ の
あたしはこいつに
必ず 勝ってやる
"魂集め"と云う
ゲ - ム で
.
:07/08/16 15:38 :SH903i :7u/QPPTM
#139 [ま-イ子]
ここまでが
第2章になります(^ω^)
なんか話
よくわからなく
なってますね
読みづらかったり
アドバイスある方は
今のうちに
お願いします(∩∀`)
:07/08/16 15:40 :SH903i :7u/QPPTM
#140 [ま-イ子]
今日は無理かもしれないので、
明日には更新します
:07/08/16 19:44 :SH903i :7u/QPPTM
#141 [ま-イ子]
少し更新します(..)
:07/08/19 13:11 :SH903i :KHqiXnOk
#142 [ま-イ子]
-・- 標 的 -・-
:07/08/19 13:12 :SH903i :KHqiXnOk
#143 [ま-イ子]
-・-第3章 標的-・-
:07/08/19 13:13 :SH903i :KHqiXnOk
#144 [ま-イ子]
数週間が経ち
暑い陽射しが
降り注ぐ
8月中旬
あれから変わらず
"魂集め"の毎日
今日 の
標的-ターゲット- は ?
.
:07/08/19 15:37 :SH903i :KHqiXnOk
#145 [ま-イ子]
「‥井‥っ
‥‥‥‥桜井なつ!!」
「――――ッ!?」
耳元でいきなり
名前を叫ばれ
驚きで机に伏していた
顔を勢い良く上げた
まだ覚醒していない
脳で今の状況を
素早く呑み込む
.
:07/08/22 00:24 :SH903i :ByOaWHxE
#146 [ま-イ子]
「授業中は寝る時間
じゃないのよ!」
目の前では
年配の女教師が
眉間に皺を寄せながら
手を上下にさせて
『体を起こせ』という
ジェスチャーをしている
(あー‥
‥授業中か‥‥)
まだ開ききっていない
目で女を見て
のそりと体を起こす
.
:07/08/22 00:31 :SH903i :ByOaWHxE
#147 [ま-イ子]
女はあたしが起きたのを
確認すると
教壇に向かい
英語を話し始める
数ヶ月前から
夜中に出掛け
睡眠時間が大幅に
削られているあたしに
堅苦しい英語の羅列
子守唄の様な英会話
寝ずには
いられないだろう
.
:07/08/22 10:14 :SH903i :ByOaWHxE
#148 [ま-イ子]
机に頬杖を付き
未だに重たい
瞼を閉じる
視覚が閉ざされたせいか
聴覚が鋭くなり
クラスメート達の
密談が嫌でも
耳に入ってくる
「‥ていうか
村中って見つかった?」
「まだだって‥‥
拉致?誘拐?こわー」
「もう死んでんじゃん?」
「あは、言えてる」
.
:07/08/22 12:31 :SH903i :ByOaWHxE
#149 [ま-イ子]
話題の中心である
"村中"という男は
数週間前から
"行方不明になっている
あたしの担任"。
現在警察も捜査中
(‥‥無駄だけど)
もうこの世に
いないのだから
.
:07/08/22 17:45 :SH903i :ByOaWHxE
#150 [ま-イ子]
今は話題になっている
"村中"も
時が経つにつれ
皆に忘れ去られて
ゆくのだろう
あたしは
ヒ ト を 1 人
――― 消 シ タ
.
:07/08/23 21:40 :SH903i :Q32jP1Ik
#151 [ま-イ子]
この込み上げる
感情は ナニ?
罪悪感? 達成感?
恐怖? 悲しみ?
否、 快感?
.
:07/08/23 21:43 :SH903i :Q32jP1Ik
#152 [隔月]
マジ続きが気になりますぜ。頑張って下さい!!
:07/08/26 20:38 :SH902i :BaTWDPIc
#153 [ま-イ子]
>>152さま
ありがとうございます!
更新遅れてて
すいません('`)
今日は更新しますね
:07/08/27 10:45 :SH903i :QTL9kpRw
#154 [ま-イ子]
更新できなくて
すいません(Д)
テストが近づいている為
かなり不定期に
なると思います
でも、なんとか
合間を見て更新します!
読んで下さっている方
本当に申し訳ございません(..)
:07/08/28 06:19 :SH903i :rKLeWwwo
#155 [ま-イ子]
(‥そんなわけない)
頭の中で今の考えを
自動的に消去した
視線を窓の外から
教室の中に戻すと
いつの間にか授業は
終わっていて、あたし以外
皆昼食の準備をしている
(優真のとこ行こう)
あたしは鞄から
お弁当‥とは言っても
おにぎりのみなのだが。
を持って席を立つ
.
:07/08/28 09:38 :SH903i :rKLeWwwo
#156 [ま-イ子]
「‥‥なに」
ぶっきらぼうに
言葉を放つ
あたしの前には
「何処に行くわけ?」
腕を組み
後ろにお供を連れた女
神崎理奈-カンザキ リナ-
.
:07/08/28 11:08 :SH903i :rKLeWwwo
#157 [ま-イ子]
「‥関係ないでしょ
そこどいてくれる」
ドアの前に立たれ
優真の元へ行けない
あたしは苛立ちを
覚えたが
無表情のまま言った
しかし神崎は
どこうともせず
鼻で笑いながら
あたしのお弁当を
奪い取った
.
:07/08/28 13:12 :SH903i :rKLeWwwo
#158 [ま-イ子]
突然の事で
ビックリしたあたしだが
すぐに冷静になり
神崎を睨み付けた
「相澤君のとこに
行くんでしょう?
仲良くランチ?
いいわね、幸せ者は」
ニコニコとあたしに
話し掛ける神崎
だけど
「目、笑ってないよ
演技下手くそ。」
.
:07/08/28 13:15 :SH903i :rKLeWwwo
#159 [ま-イ子]
――バシッ!!
音と共に左頬には
鈍い痛み
思考は一瞬停止したが
直ぐに元に戻った
その代わりに頭は
ガンガンと痛む
「調子に乗るなよ」
先程の笑顔等とうに消え
神崎はあたしを
鋭い目で睨みつける
.
:07/08/28 13:22 :SH903i :rKLeWwwo
#160 [ま-イ子]
「あんたなんか」
ゆっくりと
あたしの"おにぎり"を
持っている手を上げる
「はやく‥
死んじゃえばいいッ!」
そう叫ぶと同時に
あたしにおにぎりを
投げ付けた
ぐしゃりと米が
潰れる音が聞こえた
.
:07/08/28 13:26 :SH903i :rKLeWwwo
#161 [ま-イ子]
神崎とお供の女達は
クスクスと嘲笑いながら
あたしにぶつかり
通り過ぎて行った
その際潰れかけた
米の集まりを
踏み付けて。
あたしは少しの間
その場に立ち尽くした後
無残な塊を拾い
ごみ箱に捨て
教室を出て行った
.
:07/08/28 13:45 :SH903i :rKLeWwwo
#162 [ま-イ子]
あたしは神崎に
"いじめ"を
受けている
‥家での痛みに
比べたらなんてこと
ないのだけれど
それでも
腹は立つわけで。
しかしあたしは
神崎に
やり返そうなんて
思ったことはない
.
:07/08/28 15:47 :SH903i :rKLeWwwo
#163 [ま-イ子]
それは、神崎を
恐れているから
あたしにそんな力が
ないから
なんて事ではなく。
一応あたしは
あいつに
悪い事をした気がある
優真を
奪ってしまったから
.
:07/08/28 15:51 :SH903i :rKLeWwwo
#164 [ま-イ子]
"奪う"というのは
正確な表現ではない
でもあいつから見たら
そうなるのだろう
あたしと神崎は
元は "友達" だった
普通に話し
普通に笑い合い
そんな、仲だった
.
:07/08/28 16:00 :SH903i :rKLeWwwo
#165 [ま-イ子]
あたしは神崎が
優真に気がある事を
知っていた
いつも笑顔で
優真の事を話す
神崎を見ていて
あたしはいつの間にか
優真が凄く
気になる存在に
なっていたんだ――‥
いけない事だと思った
"友達"の想い人を
好きになるなんて
.
:07/08/28 16:03 :SH903i :rKLeWwwo
#166 [ま-イ子]
‥諦めようと思った
でも優真は
あたしをきちんと
見てくれていて
告白、をしてくれた
止められないオモイ
あたしは
神崎の事など考えず
頷いたんだ
.
:07/08/28 16:06 :SH903i :rKLeWwwo
#167 [ま-イ子]
それからは
今日のような事が
続く日々
神崎が怒るのも
当たり前だと思う
だからあたしは
神崎にやり返そうなんて
思ったことはない
――――今までは
.
:07/08/28 16:07 :SH903i :rKLeWwwo
#168 [ま-イ子]
"あんたなんか
早く死んじゃえば良い"
表情には出さないけれど
気分は最悪
(‥それは)
こっちの台詞だ。
.
:07/08/29 15:01 :SH903i :Pri.406k
#169 [ま-イ子]
「なつ!」
微かに聞こえた声に
あたしは目線を上げると
少し先には
優真の姿があった
なんだか心配顔で
小走りでこっちに来る
「どうしたの?」
「いや、遅かったから‥
何かあったのかなって
思ってさ」
.
:07/08/29 15:07 :SH903i :Pri.406k
#170 [ま-イ子]
「ん、ごめん
寝てたんだよね」
困ったように苦笑する
優真はとても
愛しくて。
「お腹減ったよね?
屋上行こうよ」
優真の手を引き
足を運ぼうとする
しかし動かそうとした
手が逆に引っ張られ
転びそうになった
.
:07/08/29 15:12 :SH903i :Pri.406k
#171 [ま-イ子]
驚いているあたしを
真剣な眼差しで
優真は見ていた
「弁当は?」
‥ドクン‥‥‥
鼓動が少し
速くなったのが解る
驚きはしたものの
動揺はしない
「忘れちゃった」
頭を掻きながら
笑うあたしを見て
優真は眉を寄せた
.
:07/08/30 05:21 :SH903i :tgWYV9k2
#172 [ま-イ子]
馬鹿だよ、あたしは。
優真に嘘なんか
付けないのに
でも優真は優しいから。
あたしの嘘に
気付かないフリをするの
「‥購買行く?」
ほらね。
あなたは優しい
「いいよ、お腹減ってない」
「それは駄目。
ほら、行くぞ。」
.
:07/08/30 05:29 :SH903i :tgWYV9k2
#173 [ま-イ子]
あたしの手を引き
購買へと足を向かわせる
その背中が
堪らなく愛しい
―――ありがとう
言葉には恥ずかしくて
出来ないけれど
あたしの胸は
この気持ちで一杯だ
優真がいるから
どんなことでも
頑張っていけるんだと
改めて 感じた
.
:07/08/30 05:33 :SH903i :tgWYV9k2
#174 [ま-イ子]
優真はあたしが
神崎にされてる事を
何一つ知らない
否、知らせない
だって、もし
言ってしまったら
優真の事だから
責任を感じてしまう
でも最近は
感づいているかも
しれない
いや、もう既に
知っているのかも
しれない
.
:07/08/30 16:07 :SH903i :tgWYV9k2
#175 [ま-イ子]
何かある度に
優真はあたしを心配して
困った顔をする
そんな顔、
見たくないのに
―――誰のせい?
ああ、 原因を
壊 さ ナ く チ ャ
.
:07/08/30 22:46 :SH903i :tgWYV9k2
#176 [ま-イ子]
――コ ロ シ タ イ ?
ドクンッ
(こ‥の声‥は‥)
いきなり聞こえた声に
あたしは身を
強張らせる
―コ ロ シ タ イ ン ダ ロ ?
(殺したい‥?
あたしは神崎を‥‥‥)
.
:07/09/01 19:19 :SH903i :OGg3E0oA
#177 [ま-イ子]
(殺したいんじゃない)
殺 さ な き ゃ
い け な い ん だ
.
:07/09/01 19:22 :SH903i :OGg3E0oA
#178 [ま-イ子]
―――――
―――
―
「理奈ばいばーい」
「また明日ね!」
「うん!ばいばい!」
友達と別れ、
私-神崎理奈-は
教室を出た
時間は下校時刻を
かなり過ぎている
.
:07/09/04 10:50 :SH903i :7krRuwiA
#179 [ま-イ子]
太陽は紅く染まり
地平線に沈みかけている
坂を下りながら
相澤君の事を想う
(あいつさえ、
いなければ‥っ)
憎むべき相手は
あの女-桜井なつ-
"友達"から"好きな人"を
奪った最低な奴
.
:07/09/04 11:20 :SH903i :7krRuwiA
#180 [ま-イ子]
(明日は、
何をしようかな)
桜井に対する
"嫌がらせ"は----?
微かに口角が上がり
気分が良くなった私は
家までの道を急いだ
――‥カラカラカラ‥―
.
:07/09/04 11:29 :SH903i :7krRuwiA
#181 [ま-イ子]
「‥‥‥‥?」
僅かに聞こえた
何らかの音に
私は足を止めた
しかし耳を澄ましても
聞こえない。
(‥空耳かな)
そう認識して
足を進めた
――‥カラカラカラ‥
.
:07/09/04 11:37 :SH903i :7krRuwiA
#182 [ま-イ子]
(―空耳じゃ、ない!)
確かに聞こえた
金属を擦るのような音
勢い良く振り返るが
そこはさっきまで
歩いていた道
何の変哲もない
(ッ‥早く帰ろッ)
恐怖を覚えた私は
家に向かって走り出した
.
:07/09/04 18:12 :SH903i :7krRuwiA
#183 [ま-イ子]
‥‥タッタッタッ‥
―‥‥カラカラカラカラ‥
「――――――ッ!」
足音と共に聞こえる音
どんどん大きくなる
それは私の恐怖を
増幅させる
音 が 近 く な る
.
:07/09/04 18:15 :SH903i :7krRuwiA
#184 [ま-イ子]
「ハア、ハア‥‥ッ」
後ろから迫る恐怖に
私は振り向く隙もない程
無我夢中で走った
―‥カラカラカラッ!
(―何かを
‥引きずる音ッ‥?)
走りながら
音の正体を考えた
――――金属だ
.
:07/09/05 12:07 :SH903i :yJVbg4vE
#185 [ま-イ子]
(‥金属‥‥‥?
‥‥‥あ‥着いたッ!)
先に見えるのは私の家
一目散に走り込み
ドアに手を掛けた
―――カラカラカ‥‥
(‥‥‥え‥?)
音 が 止 ん だ
.
:07/09/06 08:13 :SH903i :JP5noDns
#186 [ま-イ子]
私は自然と
ドアに掛けた手を止め
ゆっくりと後ろを
振 り 返 っ た
「‥‥‥な、んだ‥‥」
そこには何の影も
見当たらない
安堵した私の足は
小刻みに震えていた
(‥馬鹿みたい‥‥)
.
:07/09/06 17:58 :SH903i :JP5noDns
#187 [ま-イ子]
自分を自嘲し
一息付いた後
扉に手を掛けた
――――ヒュッ‥ズシュッ
.
:07/09/06 20:31 :SH903i :JP5noDns
#188 [ま-イ子]
「‥‥‥‥?」
風を斬る音と
"何か"の音
その正体は解らず
私は手に力を入れる
―――ポタ...ポタ...
「‥‥ え ? ‥」
真紅のそれが
滴り落ちる
私の、腕、から----
.
:07/09/06 21:50 :SH903i :JP5noDns
#189 [ま-イ子]
右手首から下が
綺麗に切断されている
そこから紅い血が
噴き出す
「――――ッ!!
イやァッ‥ンぐッ!?」
痛みと恐怖から
奇声を発する前に
"何か"によって
口を塞がれた
.
:07/09/06 22:00 :SH903i :JP5noDns
#190 [ま-イ子]
涙でぼんやりとしか
見えない それは、
私の口を
塞いでる"それ"は
間違いなく、
私の 手 だ
「ッウゥ―――!!?」
これは夢だ、と
思い込むしかない私に
現実からの
言葉が降り注ぐ
.
:07/09/06 22:07 :SH903i :JP5noDns
#191 [ま-イ子]
「こんにちは、神崎。
あ、今は只の標的ね」
目の前には
不敵に笑う女
―――――桜井なつ
.
:07/09/06 22:32 :SH903i :JP5noDns
#192 [ま-イ子]
ここまでが第3章になります(∀)
休憩
誰か見てますかね
:07/09/06 22:33 :SH903i :JP5noDns
#193 [ま-イ子]
:07/09/06 22:54 :SH903i :JP5noDns
#194 [我輩は匿名である]
:07/09/06 22:57 :SH902iS :sxOqRUM6
#195 [ま-イ子]
>>194さま
わー
見てくださる方がいると
本当にやる気が出ます!
ありがとうございます
更新頑張りますね
今日はテスト勉強するので
明日、多分更新します
!
:07/09/06 23:35 :SH903i :JP5noDns
#196 [ま-イ子]
少し更新します
!
:07/09/07 15:31 :SH903i :zU9GB9nI
#197 [ま-イ子]
-・ー第4章 狂変ー・-
:07/09/07 15:32 :SH903i :zU9GB9nI
#198 [ま-イ子]
滑稽だ。
‥と、あたしは思った
目の前にいる
女-神崎理奈-は
自分の切り落とされた
手を口に含み
涙を流しながら
驚愕の目であたしを
見ている
――――滑稽だ。
.
:07/09/08 10:46 :SH903i :eQrdq6Ts
#199 [ま-イ子]
「ゥ‥ッウゥ‥‥‥」
体を震わせ
あたしを見つめる
その濡れた瞳に映るのは
―――----"恐怖"
「神崎、あたしが怖いの?」
いつも自信たっぷりで
あたしを見下し
蔑んできた貴女
.
:07/09/08 16:49 :SH903i :eQrdq6Ts
#200 [ま-イ子]
ふ、と口から
笑みが零れる
神崎が恐れているものは
"あたし" と "死" だ
ガタガタと震え出す
神崎の顔は青白く
唇は紫色。
本人も解っているだろう
右手から出ている血は
コンクリートに水溜まりを
作っている
.
:07/09/08 16:54 :SH903i :eQrdq6Ts
#201 [ま-イ子]
もうすぐ――--
「あんたは死ぬんだよ、
神崎理奈。」
貴女に現実と絶望を。
.
:07/09/08 16:57 :SH903i :eQrdq6Ts
#202 [ま-イ子]
その瞳は
大きく見開かれ
止まることを知らない
涙が頬を伝う
「どう?
今まで見下していた奴に
殺される気分は。」
呻きながら何かを
言おうとしている神崎
しかしその口に
更に奴の手を押し込む
「---ゥウッ!!」
.
:07/09/08 17:06 :SH903i :eQrdq6Ts
#203 [ま-イ子]
「駄目だよ。
叫ばれたら厄介でしょ。
もう、あたしは
あんたと話す事なんて
何もないよ」
ニコリ、と
笑顔を作って見せる
神崎の目には
どんな風に
映っているかな。
(―――--あと1分)
.
:07/09/08 17:09 :SH903i :eQrdq6Ts
#204 [ま-イ子]
「ねえ、神崎‥‥‥
あんた‥優真のこと
凄く好きだったよね?」
少し躊躇った後
小さく頷いた
「そっか、じゃあさ‥
優真の為に死んでよ。」
.
:07/09/08 17:16 :SH903i :eQrdq6Ts
#205 [ま-イ子]
握っていた鎌を
思い切り振り上げる
「ッゥ――――---!!」
―――――
――――――---‥
.
:07/09/08 17:21 :SH903i :eQrdq6Ts
#206 [ま-イ子]
「‥クックッ‥これは、
また酷い有様だ」
喉を鳴らし笑いながら
死神が音もなく近付く
足元にあるのは
切り裂かれた
神崎の、死体
‥原型など
留めていないのだが。
「頭は残して
おいたでしょ」
素っ気なく返すあたしに
再度馬鹿にした様に笑い
神崎の頭に手を翳す
.
:07/09/08 21:05 :SH903i :eQrdq6Ts
#207 [ま-イ子]
口から出てきた
神崎の"魂"を喰らう
こいつの姿は
何時見ても悍ましい
「ご馳走様。」
ニヤリと口角を
上げながら
律義に手を合わす
---死神のくせに
魂を抜かれた
神崎を一瞥し
家へと足を向かわせる
.
:07/09/08 21:17 :SH903i :eQrdq6Ts
#208 [ま-イ子]
「スッキリしたかい?
"いじめ"られた
仕返しが出来たんだろう」
後ろから聞こえる
言葉にあたしは
足を止めた
「---‥何度も
言わせないでくれる」
「わかっているさ
"優真の為"なんだろう?」
「‥‥‥‥‥」
.
:07/09/08 21:22 :SH903i :eQrdq6Ts
#209 [ま-イ子]
「そうよ」
鋭い目つきで
真っ直ぐ見つめ答える
それを聞いた死神は
何も言わず歩き出す
「‥でも‥‥」
と、付け足すあたしに
死神は足を止めた
「‥結果的には
あたしの為に
なっているのかもね」
.
:07/09/09 11:43 :SH903i :2a1MXMvg
#210 [ま-イ子]
吊り上げた口元は
更に死神を
不気味にさせた
「それでいいのさ
君は、自分の為に
生きているのだから」
---――なんだって?
.
:07/09/09 11:46 :SH903i :2a1MXMvg
#211 [ま-イ子]
(自分の為――‥?)
「"ヒト"は誰でも
自分の為にしか
生きない。
他人の為に、なんて
"偽善" さ。」
「偽善‥‥?
あたしが偽善者
だとでも言うの?」
なんて腹の立つ奴だ
.
:07/09/09 11:51 :SH903i :2a1MXMvg
#212 [ま-イ子]
「クックッ‥どうだろうね」
それだけ言うと
死神は暗闇に消えた
「‥‥‥チッ‥」
小さく舌打ちした音は
誰に聞こえるわけでも
なく、溶けていった
振り返ると、
"神崎がいた場所"には
大量の血の痕が。
.
:07/09/09 12:00 :SH903i :2a1MXMvg
#213 [ま-イ子]
悲惨な惨劇を
物語らせるソレ。
何も感じないのは、
あたしが
偽善者だから?
―――くだらない
.
:07/09/09 21:50 :SH903i :2a1MXMvg
#214 [ま-イ子]
あたしは神崎の為に
生きていた
わけではないし
あいつも
あんなに好きだった
優真の為に死んだんだ
同情など、
する筈がない
.
:07/09/09 21:52 :SH903i :2a1MXMvg
#215 [ま-イ子]
あたしは、
優真の為に
生きるんだ。
.
:07/09/09 21:54 :SH903i :2a1MXMvg
#216 [ま-イ子]
くるり、と向きを変え
家へと歩き出す
(早く、魂を
集めなければ)
あたしの心が
壊れる前に
.
:07/09/09 21:57 :SH903i :2a1MXMvg
#217 [ぼぼ]
書いてくださぃ(^^)
:07/09/14 12:34 :SH903i :GCHRJV6k
#218 [ま-イ子]
>>217さま
更新遅れてて
すみませんッ
今日テスト終わりました
できれば今日の夜
更新します!
カキ
ありがとうございましたー(∀)
:07/09/14 17:09 :SH903i :Ka01jnAY
#219 [ま-イ子]
..見てくださっている皆様へ更新できなくて
すいません(..)
昨日更新しようと思ったのですが、
テスト期間に小説から
離れていたため
少しブランク入ってます
これから亀更新になります。
それでも、私なんかの小説に付き合って下さる方に
深くお詫びと感謝を
申し上げます。
これからも、お願いします(∵`)
:07/09/15 22:49 :SH903i :WL71sBzA
#220 [ま-イ子]
「‥‥クックッ‥‥」
暗闇の中では
奇妙な笑い声が
響き渡る
家へと足を運ぶ少女を
ビルの屋上から
見下ろしながら
"死神"は 嘲笑う
「それでいい‥
それで、いいんだ」
.
:07/09/16 22:17 :SH903i :sQPTMLR6
#221 [ま-イ子]
"ヒトは皆、
自分の為に──---"
「全ては、
私の為に‥‥な」
ぽつりと呟くと
言葉と共に
闇に消えた
.
:07/09/18 08:11 :SH903i :VutIS6XE
#222 [ま-イ子]
‥‥‥‥・・・
あたしはこの時
死神の"計画"も
"正体"も
何かもかも
わからなくて
ただ 死神の手の上で
踊っていた
.
:07/09/21 11:07 :SH903i :hGEB0dpw
#223 [ま-イ子]
何かに気付いていれば
あたしの"運命"は
変わっていたの
だろうか──--
‥‥‥‥‥・・・
:07/09/21 11:08 :SH903i :hGEB0dpw
#224 [I`む~]
初めまして
私この小説
すごっく好きなんです
どんなに
遅くなっても
いいんで
続けてくださいフ
お願いしますK
:07/09/28 19:56 :W53CA :GYdQKtB6
#225 [でら]
更新待ち(*'。'*)
:07/10/01 00:02 :SH903i :EFw158ao
#226 [ま-イ子]
>>224さま
>>225さま
全く更新できなくて
本当にすみません‥‥
こんな小説を好きと言って頂いて、すごく嬉しいです!
遅い更新になってしまいますが、完結させたいので、どうかお付き合いお願いします!
本当にありがとうございます
+゚
:07/10/02 22:56 :SH903i :wS/ugN4o
#227 [ま-イ子]
---───翌日
いつも通り
登校時間より遅れて
学校に行ったあたしだが
いつも迎えに出て来る
教師は誰もいない
不思議に思いながら
教室に入り
ようやく理解できた
.
:07/10/03 13:11 :SH903i :e7JKCPx2
#228 [ま-イ子]
そこには、大人しく
席に座る生徒達
神妙な空気の中
あたしは席に着いた
未だ来ていない教師
空いている 神崎の席
それだけで
この事態を把握できた
.
:07/10/03 13:13 :SH903i :e7JKCPx2
#229 [ま-イ子]
数十分後、(新)担任が
静かに教室に入って来た
その顔からは
悲しみと、動揺の色が
伺える
教壇に手を掛けると
重たそうな口を開いた
「‥遅れて、すまない‥
実は、皆に‥
聞いてほしいことが‥
‥あるんだ‥」
.
:07/10/03 13:20 :SH903i :e7JKCPx2
#230 [でら]
上げますっ
:07/10/10 03:55 :SH903i :x0AW8GOY
#231 [ま-イ子]
>>230さま
あげありがとう
ございます
(._・)ノ
少し更新
します
...
:07/10/12 12:06 :SH903i :O6MkXvtg
#232 [ま-イ子]
途切れ途切れに
話す言葉には
深刻さがひしひしと
伝わってくる
"良い知らせ"では
ないことも、
「‥神崎が、
行方不明に‥なった」
重たい口から
放たれた一言に
教室内が一気にどよめく
.
:07/10/12 12:08 :SH903i :O6MkXvtg
#233 [ま-イ子]
驚きを隠せない者‥
悲しむ者‥
自分は関係ないと
思っている者‥
それぞれがいる中で
当然の如く
あたしは無表情だった
「このことに、ついて‥
何か知っていることが
あれば‥少しでも良い!
俺に、言ってくれ‥」
再度下を向く教師
周りも又静寂に包まれる
.
:07/10/13 09:33 :SH903i :tnYjbeGQ
#234 [ま-イ子]
他のクラスからも
ざわめきが聞こえる
全校に知れ渡る
"神崎失踪事件"
それは、"村中"の時よりも
生徒達に衝撃を与えた
「理奈死んだのかな‥?」
「縁起でもないこと、
言わないでよ!」
「どうしよう‥私、
理奈と仲良かったし‥
狙われたら─--!!」
「ッ‥‥ 怖 い ‥」
.
:07/10/13 09:54 :SH903i :tnYjbeGQ
#235 [ま-イ子]
聞こえる声に
心の中でにやりと笑う
神崎を心配
しているのではなく、
自分が狙われる危険を
心配しているのか
──----所詮そんなモノ
「人は皆、自分の為に---」
‥‥その通りだ。
.
:07/10/13 10:00 :SH903i :tnYjbeGQ
#236 [ま-イ子]
死神の言葉に
嫌々ながら
納得させられた
それでもあたしは
違うのだと、
自分に言い聞かせながら。
こいつらは、偽善者
偽善者は、こいつら
.
:07/10/23 16:21 :SH903i :mgRvsdWg
#237 [ま-イ子]
──────‥‥
時刻は下校時。
優真と一緒に
家へと向かう途中、
「気をつけろよ」
唐突に放たれた一言に
あたしは目を見開き
優真の方を向いた
.
:07/10/23 16:26 :SH903i :mgRvsdWg
#238 [ま-イ子]
何の事だか
わからない顔をすると
優真は一旦足を止め、
真剣な目を向けると
話し出した
「神崎の事だよ。
最近起きてる"この事件"
俺らの学校の回りで
起きてるだろ?
次は誰が狙われるのか
見当もつかないし。
とにかく、気をつけて」
真っ直ぐあたしから
目を離さない貴方。
あたしは素直に頷いた
.
:07/10/23 16:35 :SH903i :mgRvsdWg
#239 [ま-イ子]
少し高い位置にある
優真の綺麗な瞳を
顔を上げて見つめる
数秒間見つめ合った後
あたしは沈黙を破った
「心配してくれて
ありがとう」
笑顔で告げると、優真も
照れたように笑う
.
:07/10/23 16:43 :SH903i :mgRvsdWg
#240 [ま-イ子]
「大丈夫だよ」
(あたしも────---
そして、優真もね)
.
:07/10/23 16:50 :SH903i :mgRvsdWg
#241 [ま-イ子]
小さくなる優真の背中
見えなくなるまで
あたしは手を振る
角を曲がる。
――ーー‥ゾクッ‥
"あいつ"と出会ってから
優真と別れる時は
悪寒が走る
背中に
死神が見えてしまうから
.
:07/10/26 17:33 :SH903i :bb5hYAbA
#242 [ま-イ子]
(‥死なせない
ーーーーーーーーー絶対に)
とはいうものの、
あたしは焦っていた
死神に関する情報が
ここ最近、
全く増えていないからだ
このままでは
先に魂を
集め終わってしまう
どうすべきか。
.
:07/10/26 17:42 :SH903i :bb5hYAbA
#243 [ま-イ子]
歩きながら
あたしは考え込んだ
死神に勝つ方法を。
(‥‥ー-----ッ!)
身体がビクリ、と
反応する
その目線の先には
あたしの家の前に止まる
真っ赤な車
そう、
―――----"あの人"の
.
:07/10/28 21:37 :SH903i :BoSk1wrg
#244 [ま-イ子]
一気に頭の中が
真っ白になる
"クソッ"と、
心の中で舌打ちし
なるべく静かに
家へ近付いた
人の気配等しないが
車があるという事は
(-ーーーいる。あの人が)
落ち着く為に
一息を吐く
‥慣れてしまった
行動の一つだ
.
:07/10/28 21:42 :SH903i :BoSk1wrg
#245 [ま-イ子]
長い深呼吸で
落ち着きを取り戻した
あたしは扉に手を掛けた
――ーーカチャッ‥
静寂には大きすぎる
音が家の中に響いた
(嗚呼‥何故、扉と
云うものは音が鳴るの)
普段気にしないこの音を
今だけは、酷く怨む。
‥‥意味がないと
解っていても
.
:07/10/28 22:45 :SH903i :BoSk1wrg
#246 [ま-イ子]
出来るだけ
足音を立てずに
あたしは敷居を跨いだ
――ーーもう無駄なのに
こうしなければ、と
動く 身体が 憎い
あたしの前に
ぽつん、と置かれる
真っ赤なヒール
見るだけで
背筋が凍り動けなくなる
(赤は、あの人の色)
.
:07/10/28 22:54 :SH903i :BoSk1wrg
#247 [ま-イ子]
視界を閉ざす様に
あたしは目を閉じた
聞こえてくるのは、
通常より
倍は速くなっている
自分の鼓動
ドッ‥ドッ‥ドッ‥
脳に響き渡るのは
その音だけで
他には全く気配もない
.
:07/10/28 23:15 :SH903i :BoSk1wrg
#248 [ま-イ子]
(寝て、いるんだ)
いつもなら
玄関に入ると
同時に現れ、あたしを
引っ張っていくが
今日はそんな様子がない
きっと、
珍しくこの時間
寝ているのだろう
安堵したあたしの心臓は
徐々に静まってゆく
.
:07/10/28 23:29 :SH903i :BoSk1wrg
#249 [ま-イ子]
それなら尚更
起こさぬようにと、
あたしは家を
出ようとした
扉の取っ手を掴む
開けようとしたが
力を入れる前に
扉 が 開 い た
.
:07/10/30 11:58 :SH903i :9a6QsEw.
#250 [ま-イ子]
隙間から
蒸し暑い空気が
家の中に流れ込む
その空気に対する
汗とは別に
嫌な汗が頬を伝う
外との隙間が広がり
目の前には、
「何処に行くつもり?」
口に孤を浮かべた、
あたしの、母親
.
:07/10/30 12:09 :SH903i :9a6QsEw.
#251 [ま-イ子]
硬直して身体は
全く動かず
あたしは目だけ
泳がせた
獲物を狙うような、
そんな眼球とは
決して交わらさず
目の前の女が履いている
スリッパを 見つめた
(だから、靴があったのか)
.
:07/10/31 15:14 :SH903i :K63YY.hQ
#252 [ま-イ子]
身体とは逆に
冷静な頭は
今の状況を
素早く判断した
(今日は運が悪い)
それは、
"慣れ"なのか
"諦め"なのか――ーーー
どちらでも
変わらないのだけれど
.
:07/10/31 20:19 :SH903i :K63YY.hQ
#253 [ま-イ子]
一向に視線を
絡ませようとしない
あたしに苛立ったのか
"母"は一歩前に出て
敷居内に入ると
音を立てて扉を閉めた
――ーキィ‥バタン!
より一層近くに
なってしまった距離
あたしは自然と後退る
.
:07/10/31 20:24 :SH903i :K63YY.hQ
#254 [ま-イ子]
それすらも
まずかったのか
母は又一歩あたしに
近付いた
逃げても無駄
静かに、目を閉じた
――ーーーバチンッ!
.
:07/10/31 20:26 :SH903i :K63YY.hQ
#255 [ま-イ子]
左から受けた
衝撃に僅かによろめいた
―――ーー痛い
手が開かれているだけ
いつもよりマシなのだが
容赦ない平手打ちに
頭痛と目眩が起こる
母を見上げると、
その顔には先程の
卑らしい笑みはなく
只、憎しみだけが
伝わる
.
:07/11/01 22:28 :SH903i :vICgvZoc
#256 [ま-イ子]
「‥なんで‥‥?」
か細い声で
今にも泣き出しそうな
そんな、声で
「なんで、あんたなんか
生んでしまったの?」
あたしにではなくて
自分自身に、問う
彼女の後悔の念が
"暴力"として
あたしに降り注ぐ
.
:07/11/01 22:36 :SH903i :vICgvZoc
#257 [ま-イ子]
――――ーーー‥‥
「おや、今日は随分
顔色が悪いようで」
わざとらしく、
カンに障る言い方をする
死神を睨み付けた
あの後
殴られ蹴られ続けた
あたしの顔は
所々が、内出血で
濁った紫色をしていた
――身体は顔の比では
ないけれど。
.
:07/11/01 22:58 :SH903i :vICgvZoc
#258 [ま-イ子]
「‥心配してくれて
どうも。」
目を逸らしながら
厭味を言い返す
少しだけ驚いた死神は
直ぐに又、笑みを浮かべ、
「クックッ‥当然の事さ。
君くらいしか心配する
相手は、いないからね」
(‥言うんじゃなかった)
鳥肌が立つ言葉を吐いた
.
:07/11/04 22:35 :SH903i :6ZKGnHdM
#259 [ま-イ子]
死神に友達なんて
いるわけがないから
当然と言えば、当然だ。
(あたしは断じて、
友達なんかでは
ないけれど‥)
心の中で
目の前にいるヤツを
拒絶しながら
共に暗闇の街へ
繰り出した
.
:07/11/04 22:40 :SH903i :6ZKGnHdM
#260 [ま-イ子]
(――--いや、
ちょっと待って)
先程の会話と、
あたしの言動等を
振り返る
("死神に、友達はいない"
‥‥‥‥?‥)
そ ん な こ と 、
誰 が 決 め た ?
.
:07/11/04 22:47 :SH903i :6ZKGnHdM
#261 [ま-イ子]
"他の死神がいない"
なんて、あたしは知らない
もしかしたら
死神はコイツだけでは
ないのかもしれない
―--そいつらが、
優真を狙わない
可能性は‥‥??
背中に嫌な汗が滲む
.
:07/11/04 22:53 :SH903i :6ZKGnHdM
#262 [ま-イ子]
(‥これくらいなら、
聞いても大丈夫‥か?)
横を歩いているヤツを
一瞥し考えた。
死神の情報が入らない
理由の一つが、コレだ
むやみやたらに
本人に聞いてしまうと
もしかしたら、
逆上してしまうかも
しれない。
それを恐れて
情報を聞き出せなかった
.
:07/11/04 23:57 :SH903i :6ZKGnHdM
#263 [ま-イ子]
‥‥しかし。
もうそんな事を
言っていられる程
時間はない
意を決して
聞いてみるしかない
ゴクリ、と唾を呑み
あたしは口を開いた
「‥‥‥そういえば、」
死神の方は見ずに
言葉を発し、
一旦区切る
.
:07/11/05 00:05 :SH903i :yv7D.T76
#264 [ま-イ子]
死神は無言で
次の言葉を待つ
あくまで無表情を
保ちながら、
あたしは続けた
「‥死神って、
あんただけなの?」
何の反応も
動揺も見せない死神を
横目で見ながら
返答を待つ
.
:07/11/05 13:28 :SH903i :yv7D.T76
#265 [ま-イ子]
「クックッ‥そうさ
今は、私一人だ」
何の躊躇もなく
話すコイツに驚いた
それ以上に
他の死神がいない
ということに安堵する
しかし、
気になる事が一つ‥
「‥‥‥"今は"‥?」
.
:07/11/05 13:47 :SH903i :yv7D.T76
#266 [ま-イ子]
疑問を口に出すと
死神は喉を鳴らし笑う
「クックックッ‥‥
ああ。今は、な」
それだけ言うと
あたしの前を歩き出す
(どういう意味‥?)
今は、と云う事は
昔、死神がいたと
いうことになる
―---死んだ?死神が?
.
:07/11/06 11:02 :SH903i :2ljGEOdA
#267 []
あげ
:07/11/08 17:07 :D904i :d/Zn1IVg
#268 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>267さま
..
あげありがとう
ございます
今日の夜に更新
予定です!
‐‐‐‐‐‐‐‐
:07/11/09 12:17 :SH903i :vax8H2NU
#269 [Ayumi]
いつも見てます^^
更新頑張って下さい
(・⌒・)
ちなみに、感想板と
かありますか?
見落としてたらゴメ
ンなさい!!:07/11/09 14:33 :P702iD :Rr9lW8Zw
#270 [我輩は匿名である]
:07/11/09 19:50 :D903i :/uJ7tZy.
#271 [我輩は匿名である]
今まとめて読んじゃいましたx
めっちゃおもろいですね
ゆっくりでいいので更新待ってます。
:07/11/09 22:34 :W51S :LiWEB8hI
#272 [ま-イ子]
:07/11/10 00:00 :SH903i :YyPamZAM
#273 [ま-イ子]
「どういうこと‥?」
頭で考えるのも限界が
あるので直接聞いてみる
すると、死神は
僅かに肩を揺らし
反応を示した
――--聞くべきでは
なかったのだろうか
緊張しながら
待っていると
意外にも早く返答が来た
.
:07/11/10 16:26 :SH903i :YyPamZAM
#274 [ま-イ子]
「‥もしかしたら‥
死んでいるのかも
しれないな」
ぽつり、と
独り言のように呟く
コイツが酷く、脆く見えた
「わからないの‥?」
「‥‥‥ああ‥」
それだけ言うと
死神は先を急ぐように
足を早めた
.
:07/11/10 16:38 :SH903i :YyPamZAM
#275 [ま-イ子]
あたしはそれ以上
何も聞かなかった
否‥‥聞けなかった
(やっぱり、悲しい‥
‥のかな)
死神もあたし達と
同じ感情を
持ち合わせているのか
――-仲間や‥家族‥
.
:07/11/11 00:31 :SH903i :rcc6MJ0g
#276 [ま-イ子]
今、あたしは
どんな顔なのだろうか
憎むべき死神に
同情なんかしてしまって
きっと、酷く
情けないだろう
( で も ‥ )
仲間や家族といられない
そんな気持ちは
痛いほど分かるから。
自 分 と 重 な る
.
:07/11/11 00:36 :SH903i :rcc6MJ0g
#277 [ま-イ子]
―――--ボスッ
俯きながら
歩いていたあたしは
目の前にある
黒いモノにぶつかった
打った鼻先を摩りながら
黒物を睨みつけるが
「‥獲物だ」
ソレは詫びを
入れることもなく、
普段通り言い放った
.
:07/11/12 18:47 :SH903i :Mc5nTYR6
#278 [ま-イ子]
あたしが無言で
手を差し出すと
何処から出したのか、
その上に大鎌を乗せる
その柄をギュッと
握り締め、
前を歩く人影に忍び寄る
―――--ザシュッ!
.
:07/11/12 18:51 :SH903i :Mc5nTYR6
#279 [ま-イ子]
慣れてしまった鎌さばき
―――--ビチャッ‥
慣れてしまった
鼻につく血の臭い
何も感じない、
こ の ア タ シ は
「まだ‥"人間の仲間"‥
‥‥だよね‥‥」
.
:07/11/12 18:58 :SH903i :Mc5nTYR6
#280 [ま-イ子]
ヒトを殺して
おきながら
こんなことを言うなんて
可笑しいだなんて
わかっているのに。
言い聞かせないと
迫りくる何かに
押し潰されそうな、
そんな、
自分がいた――--‥
.
:07/11/13 21:13 :SH903i :gYSmP.MY
#281 [ま-イ子]
―――――――
―――‥‥
幼い頃の
あたしがいる
目に溜まる涙を
必死で抑えながら
母の暴力に耐えていた
嗚呼、
何と言うことだ
何と酷く、滑稽な様だ
.
:07/11/14 15:10 :SH903i :MJ9XnUzE
#282 [ま-イ子]
殴られ蹴られるのは
当たり前の事で、
壁に打ち付けられ、
逃げようとすると
紙を引っ張られ
いくら悲鳴を
上げようとも
いくら嘔吐して
苦しんでも
母はその手を
休めることを知らない
.
:07/11/14 15:18 :SH903i :MJ9XnUzE
#283 [ま-イ子]
(こんなに
酷かっただろうか)
----この、行為は。
そんな事を思いながら
目の前で行われている
無情な光景を
只、黙って見つめる
鈍い音を響かせて
腹を蹴られた
幼いあたしは、
その場にうずくまった
.
:07/11/14 16:19 :SH903i :MJ9XnUzE
#284 [ま-イ子]
母が、拳を振り上げ
小さくなっている
あたしに、振り下ろした
―――ピンポーン‥‥
するはずの
鈍い音はせず
代わりに訪問者を
知らせる、
軽快な音が鳴り響いた
.
:07/11/15 13:50 :SH903i :9ziQIBqA
#285 [ま-イ子]
母はハッとして
自分の子供を
一瞥してから、
パタパタと足音を立てて
玄関に消えて行った
"子供"は震えながら
ゆっくりと顔を上げる
玄関から聞こえる
陽気な声に安堵して
一気に肩の力が
抜けたようだ
震えが小さくなった
.
:07/11/15 20:20 :SH903i :9ziQIBqA
#286 [ま-イ子]
「‥‥会いたかった‥」
「‥‥俺もさ。
今から、大丈夫か?」
「‥もちろんよ‥‥」
しかし、
耳に入ってくる声に
"子供"の顔は暗くなり
扉の閉まる音によって
その瞳からは涙が零れた
.
:07/11/15 20:30 :SH903i :9ziQIBqA
#287 [ま-イ子]
独りぼっちの家で
少女の啜り泣く音だけが
静かに、響く
ぽた、ぽた、と
フローリングに
落ちる雫に気付くと
少女はそれを腕で拭った
.
:07/11/15 21:06 :SH903i :9ziQIBqA
#288 [ま-イ子]
ゴシゴシと力強く、
服の袖で何度も。
暫く続けた後、
腕を止めた少女は
勢いよく立ち上がった
その顔には、
清々しい笑顔が。
.
:07/11/15 23:24 :SH903i :9ziQIBqA
#289 [ま-イ子]
―――‥‥
―――――――
目を開くと、
そこには
見慣れた天井があった
ゆっくり体を起こし
辺りを見回すと
やはり、自分の部屋だ
カーテンの隙間から
陽射しがもれている
(‥‥‥夢、か)
.
:07/11/16 12:08 :SH903i :s6v3.oe.
#290 [ま-イ子]
"夢"は、的確な
表現ではない
あれは、あたしの
"幼い頃の記憶"だ
(‥‥胸糞悪い‥‥‥)
心の中で
悪態をつきながら
布団から抜け出す
カーテンを全開にすると
眩しい朝日が
目の奥を刺激した
.
:07/11/17 10:52 :SH903i :PKBBNluc
#291 [ま-イ子]
――――何故、今更。
あんなモノを、
見たのだろうか。
(‥昨日の‥せいかな)
久しぶりに受けた
あの、行為のせいだ
窓から見える
澄んだ青空とは反対に
どんよりとした、心
.
:07/11/17 11:00 :SH903i :PKBBNluc
#292 [ま-イ子]
‥‥ピピピピ‥‥
「―――――!」
突然の音に
心臓がびくり、と跳ねた
鳴り響く音の
正体が分かり、あたしは
ソレに手を掛け止めた
ふう、と短く息を吐き
部屋を出て
キッチンへと足を運ぶ
.
:07/11/17 11:10 :SH903i :PKBBNluc
#293 [ま-イ子]
綺麗にされた
(と、云うか使ってない)
キッチンで、あたしは
朝食を作り始める
(いつから、だっただろう)
あたしが、あの人に
朝食を作るように
なったのは―――‥‥
ごみ箱を見ると、そこには
コンビニで買ってきた
弁当や、おにぎりの空が
詰め込まれていた
.
:07/11/17 11:21 :SH903i :PKBBNluc
#294 [ま-イ子]
その横に並ぶのは
お酒やビールの空き瓶
明らかに体を
蝕むモノばかりで。
だから、
せめて朝食だけは。と
作るようになったのだ
材料を買って
冷蔵庫に入れておく
あの人の行動から
きちんと、食べている
ことが分かった
.
:07/11/17 11:30 :SH903i :PKBBNluc
#295 [ま-イ子]
"どうして"と言われれば
それまでなのだが。
あたしは、あの人を
憎めないのかもしれない
.
:07/11/17 20:57 :SH903i :PKBBNluc
#296 [ま-イ子]
恐怖は何度も感じた
逃げ出したい気持ちで
一杯だった
でも‥‥‥あたしは、
あの人に
"憎しみ"を感じない
あの人はあたしを
憎んでいるけれど
.
:07/11/17 20:59 :SH903i :PKBBNluc
#297 [ま-イ子]
その理由は――‥1つ
父が、"あたしを助けて"
死んだからだ。
.
:07/11/17 21:02 :SH903i :PKBBNluc
#298 [ま-イ子]
- - - - - - - -
昔々、ある所に
平凡な若夫婦が
住んでいました
お互い愛し合い
二人の間には、
愛娘が生まれ‥
幸せな日々を、
送っていました
- - - - - - - -
:07/11/17 21:08 :SH903i :PKBBNluc
#299 [ま-イ子]
- - - - - - - -
しかし、ある日
愛娘が生まれて
間もないころに
一つの事件が、
起きました‥‥
殺人鬼に三人の
家は、襲われて
しまったのです
- - - - - - - -
:07/11/18 10:58 :SH903i :6yw63oM.
#300 [ま-イ子]
- - - - - - - -
殺人鬼は娘を、
殺そうと包丁を
振り上げました
しかし、夫が、
娘を庇い刺され
最期残った力を
振り絞り‥‥‥
殺人鬼と共に、
窓から飛び降り
てしまいました
- - - - - - - -
:07/11/18 11:02 :SH903i :6yw63oM.
#301 [ま-イ子]
- - - - - - - -
妻は愛する夫の
死に、泣き叫び
その後はヒトが
変わったように
娘に暴力を与え
続けました‥‥
失ったモノへの
憎しみを、誰に
向ければいいか
わからなかった
かのように――
- - - - - - - -
:07/11/18 11:08 :SH903i :6yw63oM.
#302 [ぼぼん]
がんばれー\(^O^)/
:07/11/19 19:33 :N700i :NID1N8Kw
#303 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>302ぼぼんさま
ありがとうございます!
更新頑張りますね(*''*)
出来れば今日にでも、
更新します(`・・)‐‐‐‐‐‐‐‐
:07/11/19 22:01 :SH903i :KzZNG752
#304 [ま-イ子]
(‥‥‥‥‥。)
あたしは
そんな"あの人"から
逃 げ る 術 を
知 ら な い
.
:07/11/19 22:14 :SH903i :KzZNG752
#305 [ま-イ子]
物心ついた頃に
酔ったあの人から聞いた
‥‥この事実
嗚呼、だから
この人はあたしを
殴るのだ。と、
だからあたしを
憎むのだ。と、
.
:07/11/20 10:57 :SH903i :coETQySo
#306 [ま-イ子]
気付いた時には
もう遅かった
壊れそうな彼女に
手を差し延べる事も
棄てる事も
あたしには
出来なかった――
.
:07/11/20 15:48 :SH903i :coETQySo
#307 [ま-イ子]
只‥彼女の、苦しみを
逃れる方法が
あたしへの
暴行だと云うのなら
受け止めるしかない、と
幼いながらも
それを感じ
今に至るというわけだ
.
:07/11/20 15:53 :SH903i :coETQySo
#308 [ま-イ子]
(‥それ‥なのに‥)
あの夢は、なんだ
あの人の憎しみを
痛みとして味わっていた
はずなのに
幼いあたしは
‥笑顔だった
.
:07/11/21 14:41 :SH903i :x2JYgMJU
#309 [ぼぼん]
がんばれ
:07/12/03 17:46 :N700i :RSdQ4Cuk
#310 [我輩は匿名である]
頑張って!この小説好きだから待ってるよ
:07/12/06 21:24 :P902i :FQAQklDU
#311 [まーイ子]
:07/12/06 22:55 :SH903i :RNudFEDM
#312 [まーイ子]
とっくの昔に
覚悟は決めたはずだ
しかし‥‥‥
あの笑顔が
あの時の想いが
ーーーーー頭を駆け巡る
.
:07/12/06 23:01 :SH903i :RNudFEDM
#313 [まーイ子]
あたしは
あの人を、
信じていたんだ
"きっと
目を醒ましてくれる"
"きっと
あたしを愛してくれる"
それだけを信じて
生きていたんだ
.
:07/12/06 23:08 :SH903i :RNudFEDM
#314 [まーイ子]
(‥‥‥そうだ‥‥)
あたしは、あの人に
愛 さ れ た か っ た
.
:07/12/06 23:10 :SH903i :RNudFEDM
#315 [まーイ子]
「―――ーーーッ!」
込み上げる 何かが
体の奥から 溢れ出す
それを抑えるように
冷たい珈琲を
口に運んだ
喉を潤しながら
器官を流れるソレで
落ち着きを取り戻す
.
:07/12/06 23:35 :SH903i :RNudFEDM
#316 [にや]
今日初めて読んだ
いっきに読んだよー
まぢおもしろい(^ω^)
主たそがむばれー
:07/12/06 23:37 :N902i :/kqcSmdQ
#317 [まーイ子]
:07/12/06 23:49 :SH903i :RNudFEDM
#318 [にや]
はいいっきに読んで
しまいますた(´Pωq`)
頑張ってなあー
応援してる
でわでわここにこれ以上書き込むと読みづらくなると思うンで私わ去ります
ここに感想かかなくても最後まで読むからネ
楽しみにしてるからさッ
/
主たそファイトッッッ
\
:07/12/07 00:04 :N902i :ubC5l9OQ
#319 [まーイ子]
:07/12/07 08:46 :SH903i :MU.2ksv.
#320 [みぃぷ]
:07/12/07 10:29 :F902iS :QTm0nPLo
#321 [まーイ子]
:07/12/08 23:15 :SH903i :9jcIHcGc
#322 [まーイ子]
本日何度目かの
溜め息をつき
掛け時計に目をやると
いつも家を出る時間を
とっくに過ぎていた
朝食の準備も終わり
制服に着替え
家を出ようとした
―――――――が。
.
:07/12/08 23:22 :SH903i :9jcIHcGc
#323 [まーイ子]
玄関に掛けてある
鏡に映っているのは
気持ち悪い程
頬の肌が変色した
あたしの顔
(‥‥これは、さすがに‥)
片足だけ履いてた
靴を脱ぎ捨て
リビングへと
身を翻した
.
:07/12/08 23:24 :SH903i :9jcIHcGc
#324 [まーイ子]
―――――――
―――‥‥
校門をくぐると
見馴れない光景があった
ーーー登校する生徒たち
普通の事だとは
思うのだが、
毎日誰もいない時間に
登校するあたしとっては
新鮮だった
.
:07/12/09 00:08 :SH903i :FinwMbOg
#325 [まーイ子]
何故、かというとーーー
家を出る時間が
遅くなってしまった
あたしは、
いつも時間潰しに寄る
公園には足を止めず
学校を目指したのだ
遅刻の根源とも言える
朝の寄り道をしなかった
そんな訳で、久しぶりに
"普通の登校"が出来た
.
:07/12/09 00:15 :SH903i :FinwMbOg
#326 [まーイ子]
一直線に
自分の教室を目指す
その、長い廊下には
朝からふざけあって
走り回る男子生徒や
友達同士他愛のない
話で盛り上がる
女子生徒がいた
その横を擦り抜けて歩く
あたしの顔を見ては
何事かと驚く
.
:07/12/09 10:46 :SH903i :FinwMbOg
#327 [まーイ子]
(‥驚くのも無理はない)
右側の口端と目尻に
貼られた絆創膏
左頬には、大きな湿布
何処からどう見ても
普通の状態では
ないのだから
‥‥喧嘩‥‥?‥‥‥‥‥‥‥‥なんだ、あれ‥‥‥‥うわっ!‥‥喧嘩だろ‥‥‥やだァ‥怖い‥‥‥
.
:07/12/09 10:54 :SH903i :FinwMbOg
#328 [まーイ子]
――どうしてコイツラは
こんなにも、
人に興味を示すのか
出来れば放っておいて
欲しいあたしとは裏腹に
いろんな"噂"が飛び交い
あたしの耳から滑り込む
溜め息を尽きながら
教室へと入る
.
:07/12/09 11:02 :SH903i :FinwMbOg
#329 [まーイ子]
何処にいたって
それは変わる事等ない
登校してきた生徒は
順番にあたしを見て
知ったかぶる奴から
在りもしない事実を聞く
(前もあったな、
こんな事が)
それは、まだ
中学生だった頃‥。
.
:07/12/09 11:09 :SH903i :FinwMbOg
#330 [まーイ子]
母の前でうっかり、
父の名を出してしまった
あたしが、"しまった"
と思った時には既に遅く
気絶するまで
殴られた事がある
(死んだと思ったな、
あの時は)
顔が変色し腫れた
しかし学校を休むと
家に一日中いる事になる
それが嫌で、渋々登校した
.
:07/12/09 11:17 :SH903i :FinwMbOg
#331 [まーイ子]
あの時と、全く同じだ
‥噂‥勝手な妄想‥
その日はずっと
あたしへの話題が
絶えなかった
(今日も、そうなるのか)
これから始まる1日に
再度溜め息をついた
.
:07/12/09 11:19 :SH903i :FinwMbOg
#332 [まーイ子]
ーーーそういえば誰かが。
"溜め息をつくと
幸せが逃げる"
なんて事を言っていた
この事に
あたしは酷く疑問を持つ
幸せならば
溜め息をつくはずがない
‥‥‥‥だろう?
.
:07/12/09 11:23 :SH903i :FinwMbOg
#333 [まーイ子]
少なくともあたしは、
幸せならば
溜め息等つかない
ー―――実際
優真といる時に
溜め息をついた事なんて
一度たりとも
在りはしなかった
.
:07/12/09 11:28 :SH903i :FinwMbOg
#334 [まーイ子]
"溜め息をついたら
幸せが逃げる"
のではなく、
"溜め息をつく程
幸せがない"
になるのだと思う
それを考えると
自分の幸せの無さに
呆れ返る
.
:07/12/09 11:30 :SH903i :FinwMbOg
#335 [まーイ子]
幸せになりたいなんて
思ってはいない
否、思ってはいけない
母から幸せを奪った
あたしは、
そんな事を
思う資格などないのだ
でも、只――ーーー
.
:07/12/09 11:36 :SH903i :FinwMbOg
#336 [まーイ子]
――――ーガラッ!
「‥なつ!?」
突然開いた扉から
あたしの名を呼ぶ
‥‥叫ぶと言った方が
正しいのだが‥
その人は、やはり
「‥優真‥‥」
.
:07/12/09 11:39 :SH903i :FinwMbOg
#337 [まーイ子]
「どう、したの?」
物凄い剣幕で
近付いて来る優真に驚き
少し言葉が詰まる
「それ、こっちの
台詞だから」
(――ー怒ってる‥)
いつも見せない様な
眉間に皺を寄せた顔で
いつもより低い声で
あたしと話す優真は
誰が見ても憤怒していた
.
:07/12/09 11:47 :SH903i :FinwMbOg
#338 [まーイ子]
「‥別に何でもない‥よ」
「嘘つくな
何だよその顔‥」
教室内では
あたしと優真の声が
静かに響く
生徒達は話す事が出来ず
あたし達を見ている
「‥とりあえず、
教室出よう」
.
:07/12/09 11:56 :SH903i :FinwMbOg
#339 [まーイ子]
――――――‥
「‥‥それで、
一体どうしたんだよ」
教室を出た後
あたし達は
屋上に足を運んだ
夏の陽射しと共に
温い風が汗を誘う
少し落ち着いた優真は
先程より優しい声で
あたしに聞いた
.
:07/12/09 12:03 :SH903i :FinwMbOg
#340 [まーイ子]
「‥優真‥‥‥‥
心配してくれて
嬉しいんだけど、
本当に何もないの」
「‥‥何もなくて
こんな傷出来ないだろ?」
そっ、と
あたしの頬に触れる優真
壊れ物を扱うかの様な
優しく綺麗な指先に
あたしは
自分の手を重ねた
.
:07/12/09 23:34 :SH903i :FinwMbOg
#341 [まーイ子]
安心、する――ー
優真に触れていると
それだけで。
「優真がいるから
もう大丈夫」
微笑みながら言う
あたしを見て
優真は困った顔をした
.
:07/12/09 23:47 :SH903i :FinwMbOg
#342 [まーイ子]
「‥‥なつは、さ」
「‥‥ん?」
顔を少し俯かせ優真は
ぽつりと言葉を紡ぐ
「俺が心配しないように
いつも、我慢する」
「‥‥‥‥‥。」
バレてたか。
分かってはいたけれど。
.
:07/12/11 16:55 :SH903i :WL4oBY1I
#343 [まーイ子]
「‥俺、頼りないか?」
「そんなことない」
即答するあたしを見て
優真は一瞬、
驚いた顔をした
そんな優真の手を
少し強く握る
.
:07/12/11 17:00 :SH903i :WL4oBY1I
#344 [まーイ子]
「そんなんじゃないの‥
‥あたし優真には
いつも助けて
もらってるから‥」
「俺何もしてないだろ」
再び眉間に皺を寄せる
優真に苦笑し
あたしは続ける
「‥してもらってるよ
今も‥‥傍に
いてくれてるでしょ?」
.
:07/12/11 17:05 :SH903i :WL4oBY1I
#345 [まーイ子]
「傍にいてくれるだけで
凄く安心するの。
それだけで、あたしは
何にでも堪えられる」
優真の存在を
確かめるかのように、
その手を握り締め
自然と目を閉じた
――風が流れる
ふわり、ふわりと
肌を撫でるように。
.
:07/12/11 17:11 :SH903i :WL4oBY1I
#346 [まーイ子]
するり、と優真の手が
あたしの手から
擦り抜けた
(‥嫌だったか)
残念に思いながら
ゆっくりと目を開けた
ふわり。
先程の風とは違う
甘い香りのものが
あたしを包み込んだ
.
:07/12/11 17:25 :SH903i :WL4oBY1I
#347 [まーイ子]
「‥‥ゆう、ま?」
突然の出来事に
さすがに驚き
少し焦るあたしを優真は
更に強く、抱きしめた
「‥‥もう聞かない。
なつが話したくないなら
それでいいよ。」
小さく‥でもしっかりと
した声で言葉を紡ぐ
.
:07/12/11 17:34 :SH903i :WL4oBY1I
#348 [まーイ子]
「でも‥‥少しでも
辛いって感じたら、
俺にも話して。
一人で抱え込まないで」
―――嗚呼‥‥
貴方はどうして
こんなにも優しくて
こんなにも愛しいの
「‥ん、‥ありがと‥」
瞳から溢れたモノが
一筋、頬を伝った
.
:07/12/11 19:04 :SH903i :WL4oBY1I
#349 [まーイ子]
あたしには
幸せを求める権利なんて
ないけれど、
でも、只‥‥
このヒトを
愛する資格だけ
求めてもいいですか―ーー
.
:07/12/11 19:30 :SH903i :WL4oBY1I
#350 [馨]
面白いx
しかも、最近ゎ感動までしてチョットうるAしちゃいますホ
:07/12/11 19:50 :W51S :4QQBPQxg
#351 [まーイ子]
:07/12/12 01:22 :SH903i :kWjbT7es
#352 [ma☆na]
ストーリーがめちゃこってておもしろーぃ
続きも楽しみにみてます
頑張って下さい。
死神ワールドにハマルッ
:07/12/12 18:41 :SH903i :t/rx3CpA
#353 [馨]
〒ま‐ィ子様
名前ゎカオルって言いますxどうぞ、夜露死苦お願いします
:07/12/12 19:51 :W51S :VDSm.f/k
#354 [まーイ子]
:07/12/14 01:05 :SH903i :pQJkC4yM
#355 [み]
:07/12/14 03:27 :SH904i :4tMNdMBA
#356 [ぼぼん]
がんばってねえ
応援してるお(・∀・)
:07/12/16 00:51 :N700i :0A79Xf9g
#357 [ぼぼん]
書かないんですかあ
?
:07/12/20 07:04 :N700i :XH39LTsQ
#358 [馨]
マィペースでィィので頑張ってくださいツ
:07/12/20 07:39 :W51S :6Ig8Q4Fc
#359 [まーイ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
見てくださっている皆様
放置すみません
バイトやらで忙しく
余裕がありませんでした‥
これからは合間を見て
更新していきたいと思います(゚3!)
こんな主と小説に
お付き合いしてくださる皆様に
感謝と謝罪を申し上げます。‐‐‐‐‐‐‐‐
:07/12/22 21:05 :SH903i :eLHisyTA
#360 [まーイ子]
:07/12/22 21:10 :SH903i :eLHisyTA
#361 [まーイ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>360
アンカーみす
改行みす‐‐‐‐‐‐‐‐
:07/12/22 21:12 :SH903i :eLHisyTA
#362 [まーイ子]
――――――‥
「じゃあ、また‥‥」
あの後、二人で一緒に
屋上で過ごし
下校時間を向かえ
今に至る
正面にいる優真は
少し弱々しく微笑み
言葉を濁らせた
「‥まだ気にしてるの?」
.
:07/12/22 21:27 :SH903i :eLHisyTA
#363 [まーイ子]
優真が気にしていること
それは――――‥
「怒鳴ったことなんて
気にしてないよ」
あたしに対して
怒りを感じ、怒鳴ったこと
(‥優し過ぎるのも
問題かな)
小さく笑みを零すと
うん、という声が
聞こえて来た
.
:07/12/22 21:31 :SH903i :eLHisyTA
#364 [我輩は匿名である]
「気をつけて、帰れよ」
それだけ告げると
優真は反対方向に
歩いて行った
響く足音が今日は
何だか心地良くて
耳を澄ませて聴いてみる
ふと、音が止み
不思議に思ったあたしは
その主に眼を向けた
.
:07/12/23 00:10 :SH903i :OEEpCAWE
#365 [馨]
頑張ってくださいx続きを楽しみに待ってます
:07/12/27 00:02 :W51S :9C6u1luQ
#366 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>365 馨さま_
ありがとうございます!
すみません、体調を
崩してしまいました
回復してきたので、
更新がんばっていきたいと
思います(∵)‐‐‐‐‐‐‐‐
:07/12/30 09:57 :SH903i :n3rkYYwc
#367 [ま-イ子]
「‥‥‥‥ぇ‥」
この眼に、映ったものは
曲がり角の前で足を止め
こっちを向いて
あたしに手を振る優真
いつも この場所で別れ
同じ言葉を言い合い
優真の背中を見送る
付き合い始めてから
ずっと そうだった
.
:07/12/30 11:06 :SH903i :n3rkYYwc
#368 [ま-イ子]
今まで、一度たりとも
優真がこの道を
振り返ったことなんて、
在りはしないのに
(‥ど‥して‥‥?)
見えなくなる最後まで
優真の手は、
あたしを向いていた
.
:07/12/30 17:30 :SH903i :n3rkYYwc
#369 [サキ]
更新されてる∩ー`)
最後まで応援してます
:07/12/30 18:44 :P902i :oNhrgZ6I
#370 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>369 サキさま_
お待たせして
申し訳ありません
こんな亀更新な小説に
お付き合いいだだいて
感謝します(・ ̄`)ノ‐‐‐‐‐‐‐‐
:07/12/30 21:54 :SH903i :n3rkYYwc
#371 [ま-イ子]
本当は、毎日
怖 か っ た
この道を優真が通るのが
酷く恐ろしくて。
押し込んだ言葉は
" い か な い で "
.
:08/01/02 00:04 :SH903i :dab.kL1k
#372 [ま-イ子]
背筋に走る悪寒
高鳴る鼓動
優真を狙う死神
瞳に残る彼の残像
すべてが、光と化してゆく
.
:08/01/02 00:15 :SH903i :dab.kL1k
#373 [ま-イ子]
もう、あたしは
死神(あいつ)なんかに
怯えたりしない
優真が全部
あたしの不安を
取り除いてくれたから
も う 恐 れ な い
.
:08/01/02 01:15 :SH903i :dab.kL1k
#374 [我輩は匿名である]
面白いです……面白いッテ言っていいのか分かりませんが…(人が沢山死ぬので
)
さっき全て読み終えました。これからも頑張ってください
:08/01/02 01:21 :P902iS :cbFiBnQ.
#375 [ま-イ子]
瞳から溢れそうになる
何かを堪え拳を握る
(そうだ、今日は
あいつから何かを
聞き出そう)
今までのあたしなら
有り得ない程
軽い足取りで、
家へと身を翻した
.
:08/01/02 01:22 :SH903i :dab.kL1k
#376 [ま-イ子]
:08/01/02 01:28 :SH903i :dab.kL1k
#377 [ま-イ子]
―――――――‥
……ドカァ!
「ぅぐ、っ‥‥!‥」
腹部への衝撃に
堪えられず声が洩れた
痛みが押し寄せるそこを
両腕で抱えながら
床で悶え苦しむ
.
:08/01/02 01:37 :SH903i :dab.kL1k
#378 [ま-イ子]
そんなあたしを
冷ややかな目で
見下ろしているのは、
「ふふ‥‥滑稽ね‥」
"あ の 人" だ
.
:08/01/02 01:41 :SH903i :dab.kL1k
#379 [ま-イ子]
今現在、あたし達が
いるのは家の居間
日が沈みかけ
この空間を
真っ赤に染めている
照らされるあの人は
不本意ながら
綺麗に見えた
(だって、赤は‥‥)
.
:08/01/02 01:48 :SH903i :dab.kL1k
#380 [ま-イ子]
そんなあの人とは相対し
部屋の中は荒れていた
物は散らばり
椅子は倒れ
壁や床には大きい傷
それが
真っ赤なものだから
大量虐殺でも
行われたのではないかと
錯覚してしまう
.
:08/01/02 01:57 :SH903i :dab.kL1k
#381 [我輩は匿名である]
主サンの思うように書かれたらいいですよぉ
ハッピーエンドでも、悲しい終わりになっても…(笑)
私は読ませていただいているだけなので……
これからも読ませて頂くつもりなので…頑張って完結してくださいね
カゲながら応援してます
:08/01/02 02:09 :P902iS :cbFiBnQ.
#382 [ま-イ子]
:08/01/02 09:32 :SH903i :dab.kL1k
#383 [ま-イ子]
(‥‥なんで‥‥
こんな、ことに‥‥)
朦朧とする意識の中で
これまでの
経緯を思い出す
―――そうだ、あの後
優真と別れ家へと
向かう途中に、
あたしは異変に気付いた
.
:08/01/02 09:47 :SH903i :dab.kL1k
#384 [ま-イ子]
(‥見られて、る‥?)
―――視線を感じた
獲物を狙うような
そんな視線を感じる
しかし、あたしは
(気のせいだろう)
浮かれすぎていて
そんなこと気にも止めず
足を進めた
.
:08/01/02 09:53 :SH903i :dab.kL1k
#385 [ま-イ子]
目標地点にたどり着き
あたしは扉を開いた
「――――――ッ!!」
一瞬にして息を呑む
大きく開かれた
瞳の先には
"あの人"が立っていた
.
:08/01/02 10:02 :SH903i :dab.kL1k
#386 [ま-イ子]
突然の出来事に
心臓は速度を増し
あたしは固まる
今まで軽かった足は
地に縫い付けた様に
全く動かなくなった
瞳孔が開かれた瞳に
映るあの人の唇が
動き始める
「‥随分と、
楽しそうね? なつ 」
.
:08/01/02 10:08 :SH903i :dab.kL1k
#387 [ま-イ子]
―――――ゾクッ!
有り得ない、
この人があたしの名を
呼ぶなんて
有り得ない
(何を‥‥‥‥)
全身から吹き出る汗
小刻みに奮え出す身体
全てがこの人を拒絶する
.
:08/01/02 10:13 :SH903i :dab.kL1k
#388 [ま-イ子]
焦るあたしとは裏腹に
彼女はくすくす、と
顎に手を添え笑う
「‥なつ‥‥
あなたは、今、」
区切られた言葉
緊張感が増し
肺が圧迫され苦しい
「‥あなたは今、
幸 せ ?
」
.
:08/01/02 16:27 :SH903i :dab.kL1k
#389 [ま-イ子]
:08/01/02 16:29 :SH903i :dab.kL1k
#390 [ま-イ子]
(――――――ッ!!)
そういうこと、か
" 見 ら れ て い た "
優真といるあたしの姿を
―――嗚呼、今日も
ツイてない日だ
.
:08/01/02 16:34 :SH903i :dab.kL1k
#391 [ま-イ子]
―――-----
その後は
今現在の状況を見れば
理解できるだろう
"あの人"をちらり、と
見上げると
その顔は鬼の様で
彼女が怒り狂っているのが
見て取れた
.
:08/01/06 22:01 :SH903i :aJxCIWoE
#392 [ま-イ子]
多少楽になった肺に
少しずつ酸素を送り込む
呼吸する度に
痛む身体を反転させ
仰向けになった
腹部に手を沿え
思い切り空気を吸う
――ドスン!
.
:08/01/06 22:08 :SH903i :aJxCIWoE
#393 [ま-イ子]
「―---ッ、がはっ!」
手の上から踏み付けられ
重なる痛みに
意識が飛びそうになった
「‥苦しいの?なつ‥
大丈夫よね?
あなたには‥‥‥‥
心の支えがあるんだもの」
先程までの形相からは
想像も出来ないくらい
優しい声で
あたしの上から囁く
.
:08/01/06 22:14 :SH903i :aJxCIWoE
#394 [ま-イ子]
----"心の支え"とは
つまり、優真のこと
退く気配のない足は
更に重みを増していく
力強く押さえ付けられ
まともな声が出ない
声が続く
「‥あたしからは
全てを奪っておいて‥
あなたは、
幸せになるの‥?」
.
:08/01/06 22:20 :SH903i :aJxCIWoE
#395 [ま-イ子]
悲しげな、寂しげな
そんな声で
彼女はあたしに問う
(----そんなんじゃ、)
ない、とは
言い切れない
だって"この人"の
言っていることは
間違っていないのだから
.
:08/01/06 22:23 :SH903i :aJxCIWoE
#396 [ま-イ子]
見られたのだ
この人の瞳には
"幸せ"なあたしが映った
(何も、言い返せない)
もうこの行為が
早く終わる事を
静かに願った
.
:08/01/07 13:50 :SH903i :5Usbk9Mo
#397 [ま-イ子]
そんなあたしの
心とは裏腹に
止まない声が
耳を刺激する
「貴女のせいで、
あの人は死んだのよ‥
貴女が‥貴女が‥‥ 」
ぶつぶつ、と呟き声で
話す"あの人"の眼は
恐ろしい程濁っていた
.
:08/01/07 14:15 :SH903i :5Usbk9Mo
#398 [ま-イ子]
「貴女が
産まれたから!
あの人は死んだ!」
突然大きくなった声に
びくり、と身体が
反応する
それと同時に
心に何かが突き刺さった
ぐさり。
.
:08/01/07 14:19 :SH903i :5Usbk9Mo
#399 [ま-イ子]
それは、じわじわと
あたしの中を蝕む
―――ごめんなさい‥
.
:08/01/07 14:21 :SH903i :5Usbk9Mo
#400 [ま-イ子]
「それなのに、
貴女は幸せに‥?」
口元を引き攣らせ
拳を握り奮わせている
「そんなの
絶対許さない!」
―――ごめんなさい‥
.
:08/01/07 14:28 :SH903i :5Usbk9Mo
#401 [ま-イ子]
これは何に対する懺悔?
父に? それとも、
――――この人に?
悔いる過去は
変わることをせず
彼女を苦しめ
あたしを蝕んでゆく
.
:08/01/08 15:17 :SH903i :C8JPCuP2
#402 [ま-イ子]
ぽたり。
頬に落ちたそれは
滑り落ち
液体であることを示す
ゆっくりと、
彼女の顔を見ると
ぐしゃぐしゃになった
泣き顔が
悲哀で溢れた瞳が
あたしの視線の先に。
.
:08/01/08 15:22 :SH903i :C8JPCuP2
#403 [ま-イ子]
(そんな眼で見ないで)
悲しみ 哀しみ 憎しみ
それらが混ざり合い
罪悪感へと、変わる
自然とあたしの瞳からも
雫が流れ落ちた
.
:08/01/08 15:26 :SH903i :C8JPCuP2
#404 [ま-イ子]
あたしがこの人を
憎めない理由は
もう一つあるのだ
この人は、あたしを
殺そうとしない
.
:08/01/08 15:28 :SH903i :C8JPCuP2
#405 [ま-イ子]
いくら憎しみを
与えられようとも
いくら痛みを
与えられようとも
この人は今まで
あたしを
殺そうとしなかった
.
:08/01/08 15:31 :SH903i :C8JPCuP2
#406 [ま-イ子]
必要最低限な
お金は与えるし
食料だって買っておく
理由なんて、
わかるはずはない
けれど、
(錯覚する)
.
:08/01/08 15:34 :SH903i :C8JPCuP2
#407 [ま-イ子]
:08/01/08 15:35 :SH903i :C8JPCuP2
#408 [ま-イ子]
そんなことない、と
考えてみるものの
それ以外の理由が
見つからないのも
また事実で。
幼い頃から
それだけを希望に
―――生きてきた
.
:08/01/08 15:39 :SH903i :C8JPCuP2
#409 [ま-イ子]
「‥‥ッ‥うっ‥‥う‥」
上から鳴咽が聞こえる
もちろん、それは
彼女のもので。
両手で顔を覆いながら
泣いている
いつの間にか足は
退けられていて
新鮮な酸素が身体に入る
でも、もうそんなことは
どうでもよかった
.
:08/01/08 16:00 :SH903i :C8JPCuP2
#410 [ま-イ子]
今、目の前で
泣いているのは
いつもの"あの人"
なんかじゃ、ない
こんなにも弱々しい
こんなにも、
何かを求めるような
瞳をしている
.
:08/01/08 16:06 :SH903i :C8JPCuP2
#411 [ま-イ子]
:08/01/08 16:09 :SH903i :C8JPCuP2
#412 [ま-イ子]
ぴくり、と反応し
彼女の鳴咽が途絶えた
(-----戻って)
優しい頃の貴女に
(-----戻って)
夫を純粋に
愛していた貴女に
.
:08/01/08 16:23 :SH903i :C8JPCuP2
#413 [ま-イ子]
あたしの願いを
知ってか知らずか
顔を覆っていた手が
徐々に離れていく
そこに、あったのは
母の冷めた瞳と、
無表情な顔
.
:08/01/08 16:29 :SH903i :C8JPCuP2
#414 [ま-イ子]
「‥‥‥‥‥ぇ‥‥」
さっきまでの"母"は?
あたしの、お母さん…
―――――ガッ!
「っ痛…ッ!」
突然髪の毛を掴まれ
痛さに顔が歪む
.
:08/01/08 22:36 :SH903i :C8JPCuP2
#415 [ま-イ子]
ぐい、と持ち上げられ
母との距離が近くなった
「‥今、何て言った‥?」
未だ無表情のまま
あたしに問い掛ける
「…っ………ゃ、…」
緊張と恐怖で声が出ない
「今何て言ったって
聞いてんだよ!」
.
:08/01/08 23:11 :SH903i :C8JPCuP2
#416 [ま-イ子]
――――ガンッ!
鈍い音が室内に響く
頭を壁に打ち付けられ
痛みを通り越して
何も、感じない
(‥何が‥起こったの?)
思考回路を
閉ざされた脳は
現在を理解出来ずにいた
.
:08/01/08 23:21 :SH903i :C8JPCuP2
#417 [ま-イ子]
「…"お母さん"…だって?
……………ふ、………
…あははははははは!!」
突如大声で笑い始めた母
あたしはそれを
只、黙って見上げるしか
出来ない
「あはははは!、………」
ぴたり、と笑い声が止み
母の顔が歪んでゆく
.
:08/01/08 23:32 :SH903i :C8JPCuP2
#418 [ま-イ子]
「…また…………」
一気に声が低くなり
恐怖が増幅する
「また"お母さん"だなんて
言ったら、あんたなんか
殺してやる!」
(――---今、何て…?)
.
:08/01/08 23:36 :SH903i :C8JPCuP2
#419 [ま-イ子]
見開かれた目に映るのは
鬼の様な形相の母
―――――どうして、
只、呆然としている
あたしを睨みながら
母は言葉を続ける
その言葉で、
全ての謎が解けた
.
:08/01/08 23:40 :SH903i :C8JPCuP2
#420 [ま-イ子]
「もう二度と、
"あの人の顔で"
お母さんだなんて
言うんじゃないよ!」
(――--そういうことか)
.
:08/01/08 23:45 :SH903i :C8JPCuP2
#421 [ま-イ子]
以前探し物をしてた時に
偶然発見したアルバム
それには幸せそうな
父と母が写っていた
(本当に幸せそうだった)
その時初めて見た
父の顔に驚愕した
.
:08/01/08 23:58 :SH903i :C8JPCuP2
#422 [ま-イ子]
なぜなら、その顔は
あたしと
恐ろしく似ていたから
.
:08/01/09 00:01 :SH903i :JMqgoNq2
#423 [ま-イ子]
つまり、こういうこと
あたしは"この人"に
愛されていたわけじゃ
なかったんだ
.
:08/01/09 00:03 :SH903i :JMqgoNq2
#424 [ま-イ子]
只、父と似ている
あたしを
憎み、愛しく想い
傷付け、束縛し
その存在を
確かめていたんだ
.
:08/01/09 00:07 :SH903i :JMqgoNq2
#425 [ま-イ子]
殺さなかったのもあの悲しそうな瞳も
"母"と言った事に
憤怒したことも
全 て が 繋 が る
.
:08/01/09 00:11 :SH903i :JMqgoNq2
#426 [ま-イ子]
この人は、
あたしなんか
見ていなかった
ずっと今まで
父を重ね
父だけを見て
父だけを望んだのだ
.
:08/01/09 00:14 :SH903i :JMqgoNq2
#427 [ま-イ子]
殺さなかったんじゃない
――殺せなかったのだ
自分の自己満足の為に
それだけの為に
あたしは"生かされていた"
.
:08/01/09 00:16 :SH903i :JMqgoNq2
#428 [ま-イ子]
「…………ふふ、……」
(なんて、滑稽なの)
何事だ、というような眼で
あたしを見る母に微笑む
(なんて、愚かなの
貴女も……あたしも…)
.
:08/01/09 00:25 :SH903i :JMqgoNq2
#429 [ま-イ子]
愛されていなかった
所詮この人も、
自分の為に
あたしを――――--
あたしは、何の為に ?
何 の 為 、 に
産 ま れ た の
.
:08/01/09 00:28 :SH903i :JMqgoNq2
#430 [ま-イ子]
:08/01/09 00:30 :SH903i :JMqgoNq2
#431 [ま-イ子]
「…ふ、…あはははははははははは!!」
笑い出すあたしを見て
目を見開く彼女
先程とは逆の立場に
満足感を覚えた
溢れ出る、
笑いが止まらない
.
:08/01/09 00:36 :SH903i :JMqgoNq2
#432 [ま-イ子]
「…………ひっ…!」
母は初めて見る
あたしの豹変ぶりに
恐怖を覚えたのか
放る様にあたしを床へ
投げ付け、後退る
(……おもしろい、
おもしろいよ………)
.
:08/01/09 00:42 :SH903i :JMqgoNq2
#433 [ま-イ子]
這い蹲る体勢から
起き上がろうと
手を動かした
ぬるり。
顔を上げると
赤い液体が点々とある
不思議に思い
頭に手をやると
ズキッ、とした痛みと共に
手が赤く染まった
.
:08/01/09 00:50 :SH903i :JMqgoNq2
#434 [ま-イ子]
(…ああ、さっきの…)
壁に打った時に
切ったのだろう
今まで気付かなかった
じっ、と手を見つめる
これを染めてるのは
…赤、 朱、 紅 ……
.
:08/01/09 00:56 :SH903i :JMqgoNq2
#435 [ま-イ子]
にんまり、と
口角が上がる
上体を起こし彼女を
前髪の隙間から見ると
未だ目を見開き
怯えていた
「――…どうしたの‥?」
あたしが口を開くと
彼女の身体が
びくり、と跳ねた
.
:08/01/09 01:01 :SH903i :JMqgoNq2
#436 [ま-イ子]
「何を、そんなに
怯えているの……?」
微笑みながら
四つん這いで
彼女に近付く
「……こ、な…い で‥」
震える足で後退りながら
途切れ途切れに
言葉を紡ぎ出している
.
:08/01/09 01:05 :SH903i :JMqgoNq2
#437 [ま-イ子]
それでもあたしは
確実に近づいて行く
―--ずる、ずる、
顔を青白くした彼女は
腰を抜かしたのか
その場に尻餅をついた
「----や、……いや…」
首を横に振りながら
尚もあたしから
離れようとする
.
:08/01/09 01:11 :SH903i :JMqgoNq2
#438 [ま-イ子]
彼女まであと数歩
「…ねえ、見て……
……綺麗でしょう…?」
血がべっとりと着いた
左手を見せる
震える彼女の瞳には
映っていないけれど
「‥好き、よね‥赤‥」
.
:08/01/09 01:15 :SH903i :JMqgoNq2
#439 [ま-イ子]
伸ばした左手で
彼女の頬に触れた
あたしが指を滑らすと
そこには赤い曲線が
「あたしが、今……
染めてあげる」
.
:08/01/09 01:20 :SH903i :JMqgoNq2
#440 [ま-イ子]
この日から、
あたしの中で
何かが変わった
:08/01/09 01:22 :SH903i :JMqgoNq2
#441 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
第4章 狂変
終わりました!
長かった… ←
久しぶりにたくさん
更新いたしました
今からアンカー貼ります‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/09 01:25 :SH903i :JMqgoNq2
#442 [ま-イ子]
:08/01/09 01:30 :SH903i :JMqgoNq2
#443 [極◆UVERtV6RnU]
更新たくさん遅くまでお疲れさまでしたI
読んでてめっちゃ楽しかったですP
また次もがんばってくださいツ
おやすみなさいM
:08/01/09 01:33 :W51S :8FMcJ2HA
#444 [ま-イ子]
:08/01/09 01:34 :SH903i :JMqgoNq2
#445 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
4章長すぎた
勝手ながら、
区切らせていただきました‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/09 01:35 :SH903i :JMqgoNq2
#446 [ま-イ子]
:08/01/09 01:40 :SH903i :JMqgoNq2
#447 [ま-イ子]
:08/01/09 02:10 :SH903i :JMqgoNq2
#448 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
見づらい、などの意見
受け付け中です!‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/09 19:54 :SH903i :JMqgoNq2
#449 [我輩は匿名である]
いえいえッット
とッても見やすいです
:08/01/09 20:35 :W51S :8FMcJ2HA
#450 [骸]
4章終わったンですね~面白かったです続きも頑張ってくださいx
:08/01/09 20:49 :W51S :ah2CTXtU
#451 [ま-イ子]
:08/01/09 21:30 :SH903i :JMqgoNq2
#452 [ま-イ子]
:08/01/09 21:31 :SH903i :JMqgoNq2
#453 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
よし、更新
しようかな(・ω・)‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/09 23:15 :SH903i :JMqgoNq2
#454 [ま-イ子]
-・-第5章 捜査-・-
:08/01/09 23:45 :SH903i :JMqgoNq2
#455 [ま-イ子]
「………ふぅー…」
溜め息混じりに
息を吐き出すと
白い煙が空中を舞った
短くなった煙草を
灰皿に押し付け
逆の手に持っていた
資料に目を通す
「………妙な事件だ…」
.
:08/01/09 23:52 :SH903i :JMqgoNq2
#456 [ま-イ子]
―――ガチャッ
「あ、警部。
此処にいらしたんですか」
声のした方に
視線を向けると
スーツに身を包んだ
後輩が扉から
顔を出していた
「………何か用か」
.
:08/01/09 23:57 :SH903i :JMqgoNq2
#457 [ま-イ子]
直ぐに視線を戻し
吐き捨てる様に言うと
「そんな言い方しなくても
良いじゃないっスか」
男は苦笑いしながら
扉を閉め、俺の元へと
近付いて来た
「馬鹿野郎。
俺はお前の暇潰しに
構ってやる程
優しくもないし
暇でもねーんだよ」
.
:08/01/10 00:05 :SH903i :zb3FNp4s
#458 [ま-イ子]
「暇潰しって…………
…あ、これって
"例の事件"ですか?」
言いかけた言葉を止め
俺の後ろから
資料を覗き見る
「………………ああ。
どうも、謎だらけでな」
短く刈った頭を
ガシガシ、と掻きながら
資料を見る目を細めた
.
:08/01/10 00:16 :SH903i :zb3FNp4s
#459 [ま-イ子]
「…まあ…そうでなければ
犯人なんて
直ぐ捕まってますよ」
「そりゃそーだ。」
後輩の言葉に
納得させられた
(なんか悔しいな)
ギシ、という音を立てて
椅子から立ち上がり
扉へと向かう
「あれ、何処行くんすか?」
.
:08/01/10 00:20 :SH903i :zb3FNp4s
#460 [ま-イ子]
「現場検証だよ。
………お前も行くか?」
のけ反る形で
後ろの奴に聞くと
「いいんスか?」なんて
顔を輝かせている
(半分冗談だったんだが)
「……着いて来い。」
上着を翻し
部屋を後にした
.
:08/01/10 00:27 :SH903i :zb3FNp4s
#461 [ま-イ子]
俺の名前は
柳田 信司(ヤナギダ シンジ)
職業は、刑事
34歳 既婚者
(ちなみに、もうすぐ
三歳になる娘がいる)
と、自己紹介は
この辺にしておこう
.
:08/01/10 00:39 :SH903i :zb3FNp4s
#462 [ま-イ子]
「…そういえば、警部」
ああ、こいつは
俺の後輩の峯(ミネ)だ
(覚えやすいだろう)
ハンドルを握り
シートベルトを
締めている
「現場検証って……
何処行くんですか?」
.
:08/01/10 00:45 :SH903i :zb3FNp4s
#463 [ま-イ子]
「……そうだな。
一番最近起きた所が
いいだろう」
パラ、と資料をめくり
丸印が多々付いている
地図を見る
「北川ですね?
わかりました。」
エンジンが掛かり
車は走り出す
.
:08/01/10 00:52 :SH903i :zb3FNp4s
#464 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐※
この物語はフィクションなので
人物・場所などは
私の勝手な創りものです
※‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/10 00:55 :SH903i :zb3FNp4s
#465 [ま-イ子]
「…それにしても、本当に謎だらけな
事件ですね。」
数分の沈黙の後
峯が口を開いた
「…………ああ。
"連続誘拐事件"
今までにも何度か
起こった事件だか…
今回のは異例だ。」
.
:08/01/10 01:03 :SH903i :zb3FNp4s
#466 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>465
×起こった事件だか
〇起こった事件だが
すいません‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/10 01:07 :SH903i :zb3FNp4s
#467 [ま-イ子]
"連続誘拐事件"
連続と言っているものの
その被害の多さは
今までの比ではない
ここ半年近くで
約90人の被害が
出ているのだ
これは尋常では、ない
.
:08/01/10 01:13 :SH903i :zb3FNp4s
#468 [ま-イ子]
それに――――…「数だけでなく
今までと決定的に
違う点は
"誘拐する手口"だ。」
書類に留められていた
数枚の写真を眺める
.
:08/01/10 01:18 :SH903i :zb3FNp4s
#469 [ま-イ子]
この数カ月、俺達が
動かないわけがない
誘拐が行われる度に
辺りを捜索し
聞き込みをした
しかし、毎度毎度
見つかるのは――――
.
:08/01/10 01:24 :SH903i :zb3FNp4s
#470 [ま-イ子]
「被害者の、血痕だけだ。」
一枚の写真を
運転している峯に見せる
そこに写っているのは
大量の血に染まっている
コンクリート
横目でちらっと見た峯は
僅かに眉を寄せた
.
:08/01/10 01:29 :SH903i :zb3FNp4s
#471 [ま-イ子]
「その量では…もう…」
語尾を濁らせる峯の
言いたい事は、分かる
「手遅れだろうな」
ポケットから出した
煙草に火をつけながら
続きを代弁する
峯の顔が
明らかに曇った
.
:08/01/10 01:38 :SH903i :zb3FNp4s
#472 [ま-イ子]
「…気にしてるのは
そこじゃねえ」
窓を開けて煙を吐き出す
少し肌寒い空気が
車内に入り込む
「分かっていますよ
………死体、ですね。」
「そうだ。
被害者はおろか、
死体さえ
見つかっていない。」
.
:08/01/10 01:43 :SH903i :zb3FNp4s
#473 [ま-イ子]
行方不明者が出ると
必ず新しい血痕が
見つかる
「この量だ。
死んでいておかしくない」
だが、死体は
何処にもないのだ
血痕が見付かった
場所から
死体を隠せる場所は
警察が殆ど探した
.
:08/01/10 01:48 :SH903i :zb3FNp4s
#474 [ま-イ子]
約90人もの死体なんて
隠し通せる訳がない
しかし、
見つからないのだ
こんなことは
絶対に有り得ないのに
「…故に、この事件には
別名があってな……」
.
:08/01/10 01:54 :SH903i :zb3FNp4s
#475 [ま-イ子]
この事件の、
もう一つの名は――ーー
" 神 隠 し "
.
:08/01/10 01:59 :SH903i :zb3FNp4s
#476 [ま-イ子]
:08/01/10 02:02 :SH903i :zb3FNp4s
#477 [ま-イ子]
:08/01/10 02:07 :SH903i :zb3FNp4s
#478 [☆anon☆]
:08/01/10 02:10 :SH903i :r.Ok5hC2
#479 [ま-イ子]
:08/01/10 11:46 :SH903i :zb3FNp4s
#480 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
更新しようかなっ(*¨)b
‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/10 12:09 :SH903i :zb3FNp4s
#481 [ま-イ子]
――――――‥
「着きました、警部。」
峯の言葉とほぼ同時に
車が止まり
俺はくわえていた煙草を
使われていないであろう
車内の灰皿に入れた
ドアを開け外に出ると
ひんやり、とした空気が
身体を包み込む
(もう、11月だな…)
.
:08/01/10 12:18 :SH903i :zb3FNp4s
#482 [ま-イ子]
車から降りると
そこは住宅街
しかし人通りは少なく
遠くから聞こえてくる
車の音だけが耳に入る
足を進めると
コツ‥コツ‥とした音が
周りに響き渡った
「…あそこだな…」
.
:08/01/10 12:23 :SH903i :zb3FNp4s
#483 [ま-イ子]
そう呟く俺の
目線の先は
黄色いテープで仕切られ
その中は、そこだけ
違う空間のように
真っ赤だった
一応手に持っている
資料と確認してみたが
間違いないようだ
.
:08/01/10 12:27 :SH903i :zb3FNp4s
#484 [ま-イ子]
ゆっくり近付くと
その光景に
吐き気を感じた
地面にはそれこそ
大量の血が付いているが
住宅を仕切る塀にまでも
飛び散った血痕が
生々しく残っている
「……酷いっスね…」
峯がその場所を
見つめながら呟いた
.
:08/01/10 12:34 :SH903i :zb3FNp4s
#485 [ま-イ子]
「…一昨日起こったものだ
もう血は乾いているな。」
黄色いテープを跨ぎ
現場へと入る
塀に付いてる血痕に触れ
指先を見てみたが
いつもの肌色だ
「被害者とされているのは
この近辺に住む男性だ。
一昨日から行方不明で
今だ発見されていない」
淡々と言う俺の説明を
峯は静かに聞いている
.
:08/01/10 12:41 :SH903i :zb3FNp4s
#486 [ま-イ子]
「捜索中だが…………
まあ、見つかる可能性は
低いだろうな。」
今までと同じ手口なのだ
見付けるのは困難だろう
――――ザリッ
地面の血痕にも
触れてみるが
塀に付いたものと
変わらなかった
.
:08/01/10 12:49 :SH903i :zb3FNp4s
#487 [ま-イ子]
「………………。」
しゃがみ込み、いきなり
無言になった俺の顔を
峯が覗き込む
「………警部?
どうかされまし…」
「妙だと思わないか」
峯の言葉を遮り
言葉を放つと
へ?と素っ頓狂な
声が聞こえた
.
:08/01/10 12:54 :SH903i :zb3FNp4s
#488 [ま-イ子]
「この血の量からして
死んでいておかしくない
なのに死体がない
ということは、
犯人が運んだと
言うことになる。」
「でもそんな痕跡
ないですよね。」
峯はキョロキョロと
辺りを見回しながら
言葉を返して来た
.
:08/01/10 12:58 :SH903i :zb3FNp4s
#489 [ま-イ子]
「その方法も謎だが、
1番の謎は……………
"何故そんな事をしたか"
ということだ。」
「見付かったら困るから
とかじゃないんですか?」
きょとん、とした顔で
首を傾げて聞いてきた
(やはりお前はまだ青いな)
.
:08/01/10 13:04 :SH903i :zb3FNp4s
#490 [ま-イ子]
「そう考えるのが
普通なんだが……
ならば何故、犯人は
"わざわざ殺してから"
運んでいるのか。」
未だ頭に?を浮かべてる
峯を横目に続ける
「死体を運ぶなんて、
そう簡単な事じゃない。
それに、見付かりたく
ないのであれば
こんな人目に付く場所で
殺したりなんかせずに
隠してる場所へ連れて行き
殺した方が楽だろう?」
.
:08/01/10 13:12 :SH903i :zb3FNp4s
#491 [ま-イ子]
ああ、と感心する峯
(おせーぞ)
「それをしない、
ということが
何を意味するのか……」
短く生えた顎髭に
触れながら考え込む
.
:08/01/10 13:48 :SH903i :zb3FNp4s
#492 [ま-イ子]
「血痕が見つかっている
場所は、バラバラだ。
死体を一カ所に
集めているとは
考えにくいんだが…」
地図を見ると
丸印はあちこちに
付いていた
「それなら、何人かは
見付かってもいいはず…
……………ですよね?」
.
:08/01/10 13:54 :SH903i :zb3FNp4s
#493 [ま-イ子]
自信なさ気に
聞いてきた峯に
ああ。と返事をすると
顔が明るくなった
(単純な奴)
そんなコイツに呆れる
「犯人は何を
考えているのか――…」
はぁ、と大きく溜息をつき
ガシガシ、と頭を掻いた
無意識にポケットへ
手を伸ばし煙草を取る
.
:08/01/10 14:02 :SH903i :zb3FNp4s
#494 [ま-イ子]
「一昨日の被害者と
今までの被害者との
関係は?」
「今のところ無しだ。
今までの被害者達で
共通する所もバラバラ。
全員に共通しているのは
"この街に住んでいる"と
いう所だろうな…」
それだけ一気に言うと
煙草に火をつける
.
:08/01/10 14:13 :SH903i :zb3FNp4s
#495 [ま-イ子]
「次の犯行の予測も
つかない…………
お手上げっスね…」
肩をすくめ峯は
溜息をついた
それにつられて俺も
息を吐き出す
「どうしたもんか…」
.
:08/01/10 14:38 :SH903i :zb3FNp4s
#496 [ま-イ子]
重たい沈黙が流れる
峯は顎に手を添え
考え込み
俺は灰になっていく
煙草を眺めていた
少しずつ
長さを増していく灰は
重力に耐え切れなくなり
地へと
落ちていった
.
:08/01/10 14:50 :SH903i :zb3FNp4s
#497 [ま-イ子]
「あーーーー!!」
突然の峯の大声が
住宅街に響き渡る
「な、なんだよ!
いきなり大声で!」
驚いた俺もすこし
声を張り上げた
当の本人は俺を指差し
口をパクパクさせている
.
:08/01/10 15:36 :SH903i :zb3FNp4s
#498 [ま-イ子]
「なんだよじゃ
ないですよ!
何、現場に灰なんか
落としてんスか!!」
「なんだそんな事かよ」
冷静を取り戻した俺は
再度煙草に口をつける
なにやってんスか〜、と
峯は慌てた様子で
血痕の上に落ちた灰を
手で掃いていた
.
:08/01/10 15:40 :SH903i :zb3FNp4s
#499 [ま-イ子]
俺はその様子を
見下ろしながら
再度煙草を口にくわえる
煙を肺に入れた瞬間
冷たい風が頬を掠めた
はらはら、と灰が舞う
流れ落ちてゆく粒子を
目で追い掛けた
.
:08/01/10 20:51 :SH903i :zb3FNp4s
#500 [ま-イ子]
(―――――――ん?)
目を細め
見ていた場所を確認し
そこに近付いた
しゃがみ込み、
"そこ"に触れる
―――やっぱり、だ
.
:08/01/10 21:26 :SH903i :zb3FNp4s
#501 [ま-イ子]
そこにあったのは
細い、割れ目
(まるで、何かが
刺さっていたかのような)
じ、と見ていると
後ろから話し掛けられた
「…………警部……
ちょっとコレ、
見て頂けますか?」
.
:08/01/10 21:30 :SH903i :zb3FNp4s
#502 [ま-イ子]
「…………あ?」
不思議に思いながら
峯に近づき
指を指している部分に
視線をやる
そこにあったのは
「‥‥‥これは‥」
不自然に途切れた血痕
.
:08/01/10 21:32 :SH903i :zb3FNp4s
#503 [yえりちぁンy]
:08/01/10 21:37 :W53T :K.XYEPw6
#504 [ま-イ子]
「………ね?不自然に
途切れていませんか?」
ほんの、小さな
目を凝らさないと
わからないような
そんな、途切れ
まるでそこに
何かがあったかのような
.
:08/01/10 21:37 :SH903i :zb3FNp4s
#505 [yえりちぁンy]
:08/01/10 21:38 :W53T :K.XYEPw6
#506 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>503 えりちぁン様_
アンカーありがとう
ございます(*¨)b‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/10 21:39 :SH903i :zb3FNp4s
#507 [yえりちぁンy]
:08/01/10 21:40 :W53T :K.XYEPw6
#508 [yえりちぁンy]
:08/01/10 21:42 :W53T :K.XYEPw6
#509 [ま-イ子]
「確かに…不自然だ」
まじまじとそれを
見ていると、
近くに他にも数箇所
途切れてる部分があった
「……ここに、
何かがあったのか…?」
調べてみる価値は
ありそうだ
.
:08/01/10 21:43 :SH903i :zb3FNp4s
#510 [yえりちぁンy]
アンカ連貼りスイマセンホO
この 小説まぢすぅきですニ~
これからも頑張ってさぁい
:08/01/10 21:44 :W53T :K.XYEPw6
#511 [ま-イ子]
:08/01/10 21:49 :SH903i :zb3FNp4s
#512 [ま-イ子]
車から白いチョーク
(以前、交通課の奴から
奪っ………頂いた。)
を持って来て、
途切れている部分を
繋いでみる
「なんですか?コレ…」
峯には、白い
曲線で描かれた"何か"
にしか見えてないようだ
だが、俺には――ーーー
.
:08/01/10 21:58 :SH903i :zb3FNp4s
#513 [ま-イ子]
:08/01/10 22:00 :SH903i :zb3FNp4s
#514 [ま-イ子]
そう、俺にはどう見ても
人の手の形にしか
見えなかった
「ひ、人の手…?
そんな馬鹿な………」
口元を引き攣らせながら
峯は身を乗り出して
もう一度曲線を見る
「………………あ。」
.
:08/01/10 22:04 :SH903i :zb3FNp4s
#515 [ま-イ子]
どうやら峯にも
見えたらしい。
阿呆面をしながら
固まっている
「………なんで
こんな所に手の跡が?」
困惑した表情で
俺に聞いてくる峯
(俺が知りてーよ)
.
:08/01/10 23:18 :SH903i :zb3FNp4s
#516 [ま-イ子]
人が殺されたのだから
当たり前と言えば
当たり前なのだが、
「この場所にあるなんて
明らかにおかしい。」
この通りは少しだけ
傾いており、血痕は
その坂のお陰で
流れる形となっている
.
:08/01/10 23:21 :SH903i :zb3FNp4s
#517 [ま-イ子]
手の跡があるのは
流れている血痕の
先の方にあるのだ
「もし、此処で
被害者がやられた
のであれば、
手があそこにあるのは
おかしいんだが…」
血痕の始まりである
場所に立ちながら
うーん、と唸る
.
:08/01/10 23:30 :SH903i :zb3FNp4s
#518 [ま-イ子]
ふ、と下を見てみると
先程見付けた亀裂が
足元にあった
(―――――そうか)
「なんでこんな場所に…
他に誰か居たんスかね?」
「いや、もっと単純な
問題だ。」
.
:08/01/10 23:35 :SH903i :zb3FNp4s
#519 [ま-イ子]
俺の方を向き
驚いた表情を見せる峯
「えー!
もう解ったんですか?」
「………此処見ろ」
足元を指差し
見るように促すと
峯は前屈みになり
そこをじぃ、と見た
.
:08/01/10 23:42 :SH903i :zb3FNp4s
#520 [ま-イ子]
「亀裂が入ってんだろ」
「え……ああ、
…………それが…?」
全く意味の通じない峯に
厭味を込めて大きく
溜息をつく
「…あれは被害者の
切断された手だ。」
.
:08/01/10 23:49 :SH903i :zb3FNp4s
#521 [ま-イ子]
「…え、……ええっ!?」
峯は目を丸くし
驚愕している
「この亀裂は、
凶器の刃物が
刺さった跡だな。」
「は、刃物…ですか…?」
.
:08/01/11 00:13 :SH903i :eC0pJ16w
#522 [ま-イ子]
「ああ。此処で
腕を切られたんだろう
勢いが良すぎて
地面に刺さったって
ところか?」
成る程、と感心する
峯に呆れるばかりだ
「…峯、鑑識に
連絡してくれないか」
唐突に名前を呼ばれ
素早く顔を上げた
.
:08/01/11 00:30 :SH903i :eC0pJ16w
#523 [ま-イ子]
「この亀裂から、
凶器を絞れないか
聞いてみてくれ」
それだけ言うと
黄色いテープを跨ぎ
車へと向かう
「わかりました。」
後ろから聞こえた声に
足を止める事なく
コツ‥コツ‥という
足音を響かせた
.
:08/01/11 00:36 :SH903i :eC0pJ16w
#524 [ま-イ子]
車の横に寄り掛かり
煙草を吹かす
携帯電話で話しを
している峯の声を
耳に入れながら
事件について
思考を巡らした
(わからねぇ………
犯人の、目的が。)
.
:08/01/11 00:45 :SH903i :eC0pJ16w
#525 [ま-イ子]
理由もなく
只、無差別に、誘拐を
繰り返しているのか
それとも―――
何 か が 必 要 な の か
どちらにしても
放ってはおけない
(せめて、被害者の
生死だけでも
確認したいものだ…)
.
:08/01/11 00:52 :SH903i :eC0pJ16w
#526 [ま-イ子]
行方不明になった
被害者の家族に
その生死だけでも
伝えてやりたい
今でも、生きている
と信じて帰りを待つ者や
もう、死んでしまったのか
と絶望を感じている者に
せめてそれだけ――…
.
:08/01/11 00:55 :SH903i :eC0pJ16w
#527 [ま-イ子]
「………警部!」
少し離れた場所から
呼ばれるのが聞こえた
声がした方へ顔を向ける
「早急に数名が
調べに来るそうですよ。
‥‥どうします?」
こちらに向かいながら
峯は俺に問い掛けた
.
:08/01/11 01:00 :SH903i :eC0pJ16w
#528 [ま-イ子]
「俺等が居ても
役に立たねーだろ。
行くぞ。」
「そうっスね。」
お互い同意しながら
車へと乗り込む
「…何か解りますかね」
シートベルトを
締めながら
峯が俺に尋ねる
.
:08/01/11 01:05 :SH903i :eC0pJ16w
#529 [ま-イ子]
「あまり期待は
出来ねーな。
見落としてた奴らが
調べんだから。」
「またそう言う事を…
仕方ないっスよ、
全部似たような
現場なんですから。
見落としの一つや二つ
ありますって。」
苦笑いしながら言う峯に
ふん、と鼻で笑う
.
:08/01/11 01:13 :SH903i :eC0pJ16w
#530 [ま-イ子]
「それが90箇所も
あっちゃ、たまんねーな」
皮肉を言った俺は
苛々を治める為に
煙草を取り出した
最後の一本だ
「警部……最近、
量増えてますよ?」
.
:08/01/11 01:21 :SH903i :eC0pJ16w
#531 [ま-イ子]
峯が横目で俺を見ながら
心配そうな顔をしている
「家で吸えねーんだから
仕方ねえだろ。」
「娘さんですか?」
「嫁もだ」
「それキツイっスね」
はは、と笑う奴を無視し
最後の一本に火を付ける
.
:08/01/11 01:27 :SH903i :eC0pJ16w
#532 [ま-イ子]
「……この事件、」
ぼそり、と俺が
口を開くと
峯は無言で先を待つ
「いつまで、
続くんだろうな」
ふ、と自嘲気味に
笑ってみる
.
:08/01/11 01:35 :SH903i :eC0pJ16w
#533 [ま-イ子]
この事件が
公表されてから、
人々を襲ったのは
次に誰が狙われるか
わからない、恐怖感
.
:08/01/11 01:41 :SH903i :eC0pJ16w
#534 [ま-イ子]
もしかしたら、
自分かもしれない
自分の、
大切な人かもしれない
そんな不安を胸に
今の人々は
生きているのだ
.
:08/01/11 01:43 :SH903i :eC0pJ16w
#535 [ま-イ子]
それは警察と言えど
関係なくて、
俺にも家族がいるのだ
不安に駆られるのは
当然の事。
早く、事件が解決し
この不安から逃れたい
という気持ちは
日々、増してゆく
.
:08/01/11 01:47 :SH903i :eC0pJ16w
#536 [ま-イ子]
俯いた俺は
両手をぐ、と握り締めた
どうしようもない不安に
胸が一杯になる
重い空気が流れる車内
沈黙を破ったのは
峯だった
「何言ってんスか。
俺達が、これを
止めるんでしょう」
.
:08/01/11 01:52 :SH903i :eC0pJ16w
#537 [ま-イ子]
その言葉に呆気に取られ
身体中の力が抜けた
「何他人事みたいに
言ってるんですか。
俺達が1日でも早く
犯人を見つけて、
皆を安心させるんですよ」
そうでしょう?と
笑いながら聞く峯に
つられて俺も
笑みを零した
.
:08/01/11 01:57 :SH903i :eC0pJ16w
#538 [ま-イ子]
「――――そうだな。」
(その通りだ。
俺が弱気になって
どうする)
肩の力を抜き
くわえてた煙草を見ると
半分ほど灰になっている
慌てて灰皿に詰め込み
落下を防いだ
.
:08/01/11 02:00 :SH903i :eC0pJ16w
#539 [ま-イ子]
ふぅ、と息を吐き
運転席に視線を移す
(後輩に
喝を入れられるなんて
俺もまだまだだな…)
「ありがとう、峯」
不安を取り除いてくれた
後輩に素直に礼を言った
.
:08/01/11 02:05 :SH903i :eC0pJ16w
#540 [ま-イ子]
峯はというと
「え、何がっスか?」
と、言いながら
きょとんとした顔を
していた
(…………こいつ…)
あまりの阿呆さに
怒りを覚えたが
今日だけは見逃して
やることにした
(次はないと思え)
.
:08/01/11 02:12 :SH903i :eC0pJ16w
#541 [ま-イ子]
未だに?を浮かべてる
峯に溜息をつく。
目線を前に戻し
"馬鹿野郎"
と吐き捨てた後
「絶対、犯人捕まえるぞ」
決意を新たに
「ーーーー!……はいっ!」
俺は動き出す
.
:08/01/11 02:19 :SH903i :eC0pJ16w
#542 [ま-イ子]
しかし――――― ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
20XX年11月06日
峯 龍一 (24)
職業:警察官
行 方 不 明
(現在捜索中)
_______
.
:08/01/11 02:31 :SH903i :eC0pJ16w
#543 [ま-イ子]
峯が行方不明に
なったのは、
それから数日後の
出来事だった―――――
.
:08/01/11 02:33 :SH903i :eC0pJ16w
#544 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
今日はここまでに
します(*¨)b★
アンカー貼ります!‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/11 02:34 :SH903i :eC0pJ16w
#545 [ま-イ子]
:08/01/11 02:38 :SH903i :eC0pJ16w
#546 [我輩は匿名である]
:08/01/11 07:57 :D903i :GdZisuBA
#547 [ま-イ子]
:08/01/11 10:25 :SH903i :eC0pJ16w
#548 [我輩は匿名である]
:08/01/11 12:21 :D903i :GdZisuBA
#549 [黒猫]
え−、やばい面白いです。続きが物凄く気になります!!頑張って下さい!
:08/01/11 16:49 :SH902i :rl4OY.tg
#550 [ま-イ子]
:08/01/11 18:25 :SH903i :eC0pJ16w
#551 [ま-イ子]
:08/01/11 18:25 :SH903i :eC0pJ16w
#552 [骸]
頑張ってくださいx
:08/01/11 19:24 :W51S :XDGaV23s
#553 [yえりちぁンy]
頑張れy
:08/01/11 20:37 :W53T :MU/jg8Ds
#554 [ま-イ子]
:08/01/12 03:42 :SH903i :Y5LEaB0c
#555 [ま-イ子]
――――――――
―――――
冬を伝える冷たい風が
肌を刺激する
ピリピリと痛いくらいの
寒さに身を縮こませた
車が横を擦り抜けると
余計に風が強くなる
それでも足は止めず
一カ所に向けて
俺は歩き続けた
.
:08/01/12 03:58 :SH903i :Y5LEaB0c
#556 [ま-イ子]
少し入り組んだ道を
同じリズムで進んで行く
いつの間にか車の音は
聞こえなくなっており
風が擦り抜ける音だけが
脳に響いていた
歩き続けて数分経った後
見覚えのある物が
置かれているのに気付いた
.
:08/01/12 04:10 :SH903i :Y5LEaB0c
#557 [骸]
頑張って
:08/01/12 11:15 :W51S :/sP6c6k2
#558 [骸]
頑張ってソ
:08/01/12 13:03 :W51S :/sP6c6k2
#559 [ま-イ子]
:08/01/12 14:39 :SH903i :Y5LEaB0c
#560 [ま-イ子]
それは、そこで
何かがあったのだと
知らせる黄色い仕切り
近付いてみると
そこには 血痕 が。
先日見た風景と重なり
同じ場所に来てしまった
のではないかと錯覚する
.
:08/01/12 14:44 :SH903i :Y5LEaB0c
#561 [yえりちぁンy]
更新されてるスc頑張ッてメ~
:08/01/12 14:47 :W53T :zKIpEgvc
#562 [ま-イ子]
只、先日と決定的に
違う点は
その血痕の主が、
つい最近まで
俺の隣にいた奴だと
いうこと――――
.
:08/01/12 14:49 :SH903i :Y5LEaB0c
#563 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>561 えりちぁンさま_
ありがとうございます!
沢山更新できるように
頑張ります(∀d)!‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/12 14:51 :SH903i :Y5LEaB0c
#564 [ま-イ子]
「……………峯…」
主の名前を呟いてみるが
その小さな声は
風の音によって
掻き消されていった
いつも"はい?"と
おちゃらけて返事する
アイツが、いない―――
.
:08/01/12 14:57 :SH903i :Y5LEaB0c
#565 [ま-イ子]
目の前に広がる
赤い染みが
"彼の喪失"を突き付ける
―――――ガッ!!
.
:08/01/12 15:02 :SH903i :Y5LEaB0c
#566 [ま-イ子]
鈍い音と共に
壁に叩き付けた拳から
血が滲み出る
「…馬鹿野郎が…っ…」
押さえ切れない怒りが
ふつふつと湧き出る
それは、何に対する
怒りなのか――――
いなくなった彼になのか
不甲斐ない自分になのか
.
:08/01/12 15:16 :SH903i :Y5LEaB0c
#567 [ま-イ子]
(一緒に捕まえるって
言ったじゃねえか)
何、お前が
被害に遇ってんだよ
「……情けねえ…」
そう言った俺の声も
酷く情けなかった
.
:08/01/12 15:47 :SH903i :Y5LEaB0c
#568 [ま-イ子]
―――――ガサ、
ポケットから
未開封の煙草を取り出す
開きかけた途端、
過去の記憶が
蘇えってきた
.
:08/01/12 16:15 :SH903i :Y5LEaB0c
#569 [ま-イ子]
「………警部、
また煙草ですか?
身体壊しますよ?」
「余計なお世話だ。」
「お世話もしたく
なりますって!
"死んだら元も子も
ないんですから"」
―――――
―――――――――
:08/01/12 16:23 :SH903i :Y5LEaB0c
#570 [ま-イ子]
奴の言葉を思い出し
ふ、と自嘲気味に笑う
(確かに……死んだら
元も子もねーな……)
暫く箱を見つめた後
――――グシャッ、
それを力強く握り潰した
.
:08/01/12 16:32 :SH903i :Y5LEaB0c
#571 [ま-イ子]
生憎、ニコチンなんぞに
くれてやる命はなくなった
この命に換えても
(犯人は、必ず
俺が捕まえる―――)
.
:08/01/12 16:43 :SH903i :Y5LEaB0c
#572 [骸]
頑張ってテ
:08/01/12 17:07 :W51S :/sP6c6k2
#573 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>572 骸さま_
ありがとうございます+゚‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/12 18:45 :SH903i :Y5LEaB0c
#574 [我輩は匿名である]
主さん、無駄レス本当に失礼します。
>>572の骸さん、書き込みが多過ぎて邪魔です
元『馨』でしょ?
はっきり言って迷惑です
もう少し考えてレスしたらどうですか?
私のこのレスも無駄で邪魔ですが…余りにも頻繁に目にするので一言言いたかったんです。
小説の邪魔してしまってすいません。楽しく読ませてもらってるので頑張って下さいね。 :08/01/12 19:02 :SH902iS :FnEDpg26
#575 [ま-イ子]
―――――――――
――――――
薄暗い部屋の一角で
ブラウン管から
洩れる光が、
一つの影を照らしている
『行方不明になった
峯 龍一さんの血痕が
昨夜発見されました。
しかし遺体は見付からず
現在、
警察が捜索中でーーーーー』
映し出された女性が
淡々とニュースを話す
.
:08/01/12 19:08 :SH903i :Y5LEaB0c
#576 [ま-イ子]
:08/01/12 19:22 :SH903i :Y5LEaB0c
#577 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
皆様へ応援してもらえるのは
凄く励みになり、嬉しく思っているのですが
小説が見づらくなってしまうのは皆様にとって困ると思います
なので、区切りの良い所でアンカーを貼りますので
書き込みはそれからにしてもらいたいです…
勝手言ってすいません
なるべく更新頑張りますので
最近までお付き合い頂けたら嬉しいです
</font>
‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/12 19:28 :SH903i :Y5LEaB0c
#578 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>577 タグミス‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/12 19:30 :SH903i :Y5LEaB0c
#579 [ま-イ子]
:08/01/12 19:33 :SH903i :Y5LEaB0c
#580 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
更新します(*¨)b‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/12 20:23 :SH903i :Y5LEaB0c
#581 [ま-イ子]
―――――――――
――――――
薄暗い部屋の一角で
ブラウン管から
洩れる光が、
一つの影を照らしている
『行方不明になった
峯 龍一さんの血痕が
昨夜発見されました。
しかし遺体は見付からず
現在、
警察が捜索中でーーーーー』
映し出された女性が
淡々とニュースを話す
.
:08/01/12 20:24 :SH903i :Y5LEaB0c
#582 [ま-イ子]
それを見ていた
一つの影が
くすくす、と笑った
「…警察も、馬鹿ね。」
妖しい笑みを見せる女
‥‥‥桜井なつは、
頬杖をつきながら
光を眺めている
.
:08/01/12 20:29 :SH903i :Y5LEaB0c
#583 [ま-イ子]
「…死体なんて、
見つかるはずがないのに」
‥くすくす、くすくす‥
笑い続けるなつは
次に聞こえて来た言葉に
口を閉ざした
『やはり今回のものも
"神隠し"だと思われ、
警察は同一犯とみて
捜査しています。
私達は早く犯人が捕まり
平和が訪れることを
祈るばかりでーーーーーー』
.
:08/01/12 20:37 :SH903i :Y5LEaB0c
#584 [ま-イ子]
(…神隠し、ねえ…)
「大層な名だな。」
突然後から聞こえた声に
なつは振り向く事もせず
無表情のまま口を開いた
「…………いたの。」
.
:08/01/12 20:42 :SH903i :Y5LEaB0c
#585 [ま-イ子]
‥クックッ‥と笑う死神に
なつは鼻で笑い
「まあ、間違っては
いないんじゃない?
"死神"だしね。」
と、吐き捨てた
未だ喉で
笑っている死神に
苛立ちを感じながら
なつは立ち上がる
.
:08/01/12 20:46 :SH903i :Y5LEaB0c
#586 [ま-イ子]
「……行くんでしょう?」
「……………ああ。」
死神を軽く睨み付けると
身を翻し、
部屋から出て行ったーーーー
一人残った死神は
その残像を見ている
.
:08/01/12 20:52 :SH903i :Y5LEaB0c
#587 [骸]
>>574書き込み多くてすいませんュでも、『馨』[って人ゎ知りません。すいませんュ
書き込み最後にします。今まですいませんでしたュ
主サンにも多大なご迷惑をおかけしました。
:08/01/12 20:53 :W51S :/sP6c6k2
#588 [ま-イ子]
まあ、間違っては
いないんじゃない?
"死神"だしね―――‥
「…ああ…君が、な…」
呟いた言葉は
闇に溶けていった
.
:08/01/12 20:55 :SH903i :Y5LEaB0c
#589 [ま-イ子]
:08/01/12 21:01 :SH903i :Y5LEaB0c
#590 [我輩は匿名である]
>>586一人残った死神は
じゃなくて
一人残ったなつは
じゃないですか??
:08/01/12 21:16 :D903i :OzZil/QY
#591 [ま-イ子]
:08/01/12 21:39 :SH903i :Y5LEaB0c
#592 [ま-イ子]
:08/01/12 21:42 :SH903i :Y5LEaB0c
#593 [yえりちぁンy]
あげ゙
頑張ッてさぁいニシ~
:08/01/13 19:10 :W53T :icGrIhaA
#594 [yえりちぁンy]
更新待ッてマスホジ
:08/01/13 22:55 :W53T :icGrIhaA
#595 [ま-イ子]
:08/01/14 03:22 :SH903i :VUAwXpE6
#596 [yえりちぁンy]
↑そぉなンですかト
今まで勝手に【頑張れ】とかゆッててスイマセンホK
テスト頑張ッてさいネイ
:08/01/14 08:13 :W53T :L06fENp.
#597 [ま-イ子]
:08/01/15 01:41 :SH903i :HOXmUJ.M
#598 [ま-イ子]
:08/01/15 01:41 :SH903i :HOXmUJ.M
#599 [yえりちぁンy]
あげス
:08/01/18 22:15 :W53T :huQ4TJUw
#600 [yえりちぁンy]
あげ印~
:08/01/19 18:22 :W53T :9IZTYcPI
#601 [ま-イ子]
:08/01/20 11:55 :SH903i :WFKhFZ2I
#602 [ま-イ子]
―――――――…
数時間前:某警察署内
「……間違いない…」
独り言を呟いた男
‐柳田 信人‐は
目の前のデスクに広がる
膨大な資料に
あちらこちらと
目を配らせていた
.
:08/01/20 23:49 :SH903i :WFKhFZ2I
#603 [ま-イ子]
パラパラ、と紙をめくる
乾いた音が室内を
占領する中で
柳田は汗を額に
浮かべながら
ボールペンを走らせる
資料と手帳を
行き来していた筆先は
――ザッ、という
音と共に
一つの筆跡を丸で囲んだ
.
:08/01/20 23:59 :SH903i :WFKhFZ2I
#604 [ま-イ子]
「……ふぅ………」
一段落した後に
溜め息を吐き出し
音を立てて椅子に座った
――――この場合は
倒れ込んだ、と言った方が
しっくりくると思うが。
柳田は天井を仰ぐ様に
背もたれに寄り掛かる
.
:08/01/21 00:04 :SH903i :D6ybPsa6
#605 [ま-イ子]
その体勢のままで
ちらり、と時計を見る
(――---21時32分…)
眉を寄せ暫く針を睨んだ
それは、等間隔に
カチ‥カチと音を立てて
確実に 時を 刻む
.
:08/01/21 22:02 :SH903i :D6ybPsa6
#606 [ま-イ子]
(……………いくか…)
目を閉じ
小さく深呼吸した後
ギシ、と音を立てて
椅子から立ち上がった
デスクに広がる資料に
もう一度目を配る
―――――ガチャ、
.
:08/01/21 22:08 :SH903i :D6ybPsa6
#607 [ま-イ子]
突然開いた扉に驚き
後ろを振り返る
「…柳田警部……」
「…………お前か」
そこに居たのは
艶のある黒髪と
大きめの目が特徴的な
女刑事でもある
柳田の部下だった
.
:08/01/21 22:19 :SH903i :D6ybPsa6
#608 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
訂正
>>607
女刑事でもある
柳田の部下だった
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
柳田の部下でもある
女刑事だった
あんまり変わんないんですが、
なんかおかしいので
すいません‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/21 22:33 :SH903i :D6ybPsa6
#609 [ま-イ子]
一言呟くとデスクに戻る
柳田に女刑事は僅かに
顔を歪ませた
「………警部。
最近家にも帰ってない
じゃないですか。
一度お帰りになって
休まれた方が………」
「駄目だ。
そんな時間はない。」
女刑事の言葉を遮り
柳田はコートを羽織る
.
:08/01/21 22:51 :SH903i :D6ybPsa6
#610 [ま-イ子]
「…そんな事を言う為に
来たのか?」
眉を寄せながら言う
目の前の男に
女は溜め息を付いてから
持っていた資料を見せた
「―――これは?」
「以前、警部が
鑑識に頼んだモノの
結果ですよ。
それと……………」
.
:08/01/21 22:58 :SH903i :D6ybPsa6
#611 [yえりちぁンy]
あげますウ~
:08/01/22 21:00 :W53T :Fn.OWNh6
#612 [ま-イ子]
:08/01/22 22:58 :SH903i :FJWknSBs
#613 [ま-イ子]
語尾を濁す女に
更に皺を深くし
目線で先を促した
赤い唇が、
ゆっくりと動かされる
「峯刑事の、所持品です。」
ぴくり、と僅かに
柳田が反応したのを
女は見逃していなかった
.
:08/01/22 23:00 :SH903i :FJWknSBs
#614 [ま-イ子]
「…まず、鑑識の結果から
報告させて頂きます。
警部の発見した亀裂は
やはり鋭い物が
突き刺さった跡の様です」
気を使っているのか
女刑事は話を逸らす為に
持っている紙の束から
目を離さずに
坦々と述べていく
「しかし、その跡から
凶器を特定することは
出来ませんでした。」
.
:08/01/23 23:06 :SH903i :8t1gglI.
#615 [ま-イ子]
「………………。」
柳田は口を閉ざしたまま
動こうとしない
女が目線を紙から
少し上げると
瞳に映ったのは
柳田の、震える背中
拳を握り、堪えている
(――無理も、ない)
.
:08/01/23 23:22 :SH903i :8t1gglI.
#616 [ま-イ子]
大切な後輩の死
依然進まない捜査
それらが彼を
闇へと追い込んで行く
少し痩せて細くなった
柳田の背中を
見つめながら
女刑事も拳を握り絞めた
.
:08/01/23 23:27 :SH903i :8t1gglI.
#617 [我輩は匿名である]
とりあえず上に上げときます
主サンの書き方好きィです
これからも頑張ってくださいね
←何様ぁ?(笑)
:08/01/25 09:32 :P902iS :nHtjv25.
#618 [yえりちぁンy]
↑ですねhyx
アタシも
主さンの書き方_y
メチャすぅきですシ
頑張ッてさぁい咽~
:08/01/25 20:43 :W53T :csQpi3AA
#619 [ま-イ子]
:08/01/26 06:21 :SH903i :SSbLjEUc
#620 [ま-イ子]
暫く流れる沈黙
重たい空気が漂う中
最初に口を開いたのは
柳田だった
「…………峯の……」
ぼそり、と呟いた声に
女刑事は目を見開く
「峯の所持品を、
見せてくれ。」
そう言った背中が
大きく見えた
.
:08/01/26 06:32 :SH903i :SSbLjEUc
#621 [ま-イ子]
「――――はい。」
女刑事は手に下げていた
紙袋の中から
二つの透明な袋に
包まれた物を取り出した
一つは携帯電話
もう一つは
古びた手帳だ
「どちらも現場に
落ちていた物です。
携帯電話は電源が
入った状態でした。」
.
:08/01/26 06:42 :SH903i :SSbLjEUc
#622 [ま-イ子]
説明を耳に入れながら
柳田はガサガサ、と
袋から携帯を取り出した
かち、と音を立てて
それを開くと
きっと初めに設定されて
いたのだろうと思える
画面が映し出された
暫く操作してみたが
機械は苦手な物で、
電話しか出来ない俺は
仕方なくそれを閉じる
.
:08/01/27 00:19 :SH903i :ro4UssTE
#623 [ま-イ子]
携帯を机に置き
次は手帳を取り出した
女はそれを
只黙って見ている
パラパラ、と
流し目で中身を見るが
これといって
気になる部分はない
以前共に捜査した
事件のメモだとか、
犯人の似顔絵
(ちなみにこんな人は
きっと実在しないだろう)
が、殆どのページを
埋め尽くしていた
.
:08/01/27 00:26 :SH903i :ro4UssTE
#624 [ま-イ子]
ぴたり、と柳田の手が
止まった。
不思議に思った女刑事が
"警部?"と口を開くが
応答はなく、柳田は
ある1ページを見たまま
固まっている
(その手帳は、
もう調査済みなのに)
頭に"?"を浮かべながら
上司の動きを待つ
.
:08/01/27 00:34 :SH903i :ro4UssTE
#625 [ま-イ子]
「…………ま、さか…」
掠れた声が柳田の口から
発せられた。
それは僅かに震えていて
彼の瞳も先程より
大きく開かれている
「…警部?
どうかいたしまし…」
―――――バンッ!
.
:08/01/27 00:38 :SH903i :ro4UssTE
#626 [yえりちぁンy]
続き気になるホ
いつも 楽しませて
もらッてマスニシ
頑張ッてさぁいx|イ
:08/01/27 08:10 :W53T :g3RhV0Co
#627 [ま-イ子]
:08/01/27 09:33 :SH903i :ro4UssTE
#628 [我輩は匿名である]
えりちぁンて奴、骸なみにうざい
:08/01/27 10:53 :SH902iS :gXT3HA5s
#629 [ま-イ子]
言葉を遮った大きな音に
女は身を強張らせた
その音を出した張本人は
叩いた机に両手を置き
震わせている
「――――おい!」
音の次は声だ。
それにまた身を縮こませ
"はいっ!"と裏返った
声で返事をした
.
:08/01/27 11:09 :SH903i :ro4UssTE
#630 [ま-イ子]
「携帯電話には…
録音機能っつーのが
付いてんのか?」
「ろ…録音機能…?
付いている物も
あると思いますが…」
「この携帯に付いてるか
調べろ、今すぐだ!」
ぽい、と投げられたのは
峯刑事の携帯電話。
意味がわからない、と
顔をしかめながら
女刑事は調べ始める
.
:08/01/27 11:39 :SH903i :ro4UssTE
#631 [ま-イ子]
(私だって、機械は
得意じゃないのに…)
心の中で悪態を
付きながら、画面と戦う
暫くボタンを押し続け
ようやく目当ての画面に
行き着いた
「……………えっ…」
.
:08/01/28 17:04 :SH903i :Lf1zrpYA
#632 [ま-イ子]
"録音件数:1件"
画面に表示された文字は
柳田の期待を裏切らず
待ち構えていた
「…けっ、警部…、
ありました!
1件録音されてます!」
「流せ!」
急かす様に怒鳴る
柳田の言葉に女は慌てて
"再生"と表示された
部分を押す
.
:08/01/28 17:13 :SH903i :Lf1zrpYA
#633 [ロズ]
続き気になります
主サンのペースでいいので、頑張ってくださいね
:08/01/29 21:51 :P902iS :Ty.zBk.A
#634 [ま-イ子]
:08/01/30 00:22 :SH903i :SW9mzfzQ
#635 [ゆり]
みてますっ
楽しいですっ
がんばって下さいねっ
:08/01/30 00:26 :SH704i :wbF5eIe.
#636 [ま-イ子]
:08/01/30 00:52 :SH903i :SW9mzfzQ
#637 [ま-イ子]
“――――……ザザ―――――――――――――――……………ジジ、―――――――――――――、ザ――――――――――……”
携帯電話からは
機械独特のノイズ音が
発せられている
音の発信源を
睨み付けながら
柳田は耳を傾けた
.
:08/01/30 00:59 :SH903i :SW9mzfzQ
#638 [ロズ]
>>634主サン、自分のペースでいいんです
(笑)
あと、初めましてではないんですねぇ
2回ほど匿名で感想書かせていただきました
(笑)それでは、頑張ってください
応援してます
:08/01/30 06:31 :P902iS :oK3An6QQ
#639 [ま-イ子]
:08/01/30 22:06 :SH903i :SW9mzfzQ
#640 [ま-イ子]
“―――――……ザ――――――――………………………――――――……”
何か事件の手掛かりがと
期待した女刑事だったが
一向にノイズ以外の音が
流れる気配はない
少しずつ諦めの色が
伺える中で、柳田は
絶対に聞き逃すまいと
必死に注意を払っていた
.
:08/01/30 22:17 :SH903i :SW9mzfzQ
#641 [ま-イ子]
ちらり、と携帯画面を
見ると再生時間が
あと僅かな事に気付いた
(…駄目…かな………)
女は肩を落とし
心の中で溜息をついた
“――――ザ、……………………ジ――――――――――――ぉ…、ぇ……”
.
:08/01/30 22:24 :SH903i :SW9mzfzQ
#642 [ま-イ子]
「――――――!」
「! 警部っ!」
声だ!声が聞こえた!
柳田は更に身を乗り出し
携帯に耳を近付けた
“――――――………………な…………だ…ザザ―――………―――…や……る…ジジ、…だザ――――――…や、…ろ…――”
.
:08/01/30 22:32 :SH903i :SW9mzfzQ
#643 [ま-イ子]
(何を言っているの?)
ノイズが邪魔で
殆ど聞き取れない声に
女刑事は苛立ちを覚えた
あと、10秒―――…
“―――――……ぁ……―――……やめ…―――ぅ………うあああああああ!!!…ザ―――――……、”
.
:08/01/30 22:45 :SH903i :SW9mzfzQ
#644 [あーちぁ]
:08/01/31 01:19 :F903i :y.ER7WpE
#645 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>644 あ-ちぁさま_
アンカーと応援
感謝します!
これからも、
頑張りますので
よろしくお願い
致します(^ω^)‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/02/01 08:05 :SH903i :/sqjnrBk
#646 [ま-イ子]
しん、と急に
静まり返った室内で
女は驚愕を隠せない顔で
携帯電話を見つめている
(…い、今のは……?)
最後に聞こえた叫び声
あれは間違いなく
峯刑事のものだった
.
:08/02/01 09:45 :SH903i :/sqjnrBk
#647 [ま-イ子]
ドクドク、と心臓が
脈打つのが聞こえる
――つまり、これは…
事件時に録音された
ものだというの?
(まさか…そんな都合の
良いものが、)
実際此処にあるのだが
女刑事はそれを
信じられずにいた
.
:08/02/02 15:26 :SH903i :mP/vA1cg
#648 [ま-イ子]
「………やはり、な…」
ぼそり、と呟かれた
声の主を見やると
悔しげに顔を歪めている
状況を理解出来ない女は
その顔が意味するものを
諭すことが出来ずに
只、呆然と眺めた
.
:08/02/02 15:34 :SH903i :mP/vA1cg
#649 [ま-イ子]
――――――チッ、
投げ出された舌打ちは
静かな室内に木霊する
同時に女の横を
風が横切り
扉が荒々しく開かれた
「……今日は、戻らない」
それだけ告げた柳田は
振り向かずに
部屋を後にした
.
:08/02/02 15:40 :SH903i :mP/vA1cg
#650 [ま-イ子]
取り残された女は
扉の外に消えた
柳田の残像を見ていた
ふ、と机に目を移すと
そこには二つの手帳が
あるページを開いたまま
置かれている
(…峯刑事の、と……
……警部……の…?)
一歩ずつそれに近付き
書かれた筆跡を確認する
.
:08/02/02 15:45 :SH903i :mP/vA1cg
#651 [ま-イ子]
「―――これ、は…」
それを見た瞬間、
女は目を見開いた
それと同時に
抑え切れない感情が
溢れ出し
気が付くと
手帳を手に取り
走り出していた――…
.
:08/02/02 15:49 :SH903i :mP/vA1cg
#652 [ま-イ子]
―――――――…
署内から出て
少し歩いた場所にある
専用駐車場
そこに車に乗ろうとする
柳田の姿があった
「―――ッ、警部!」
見付けると同時に
女は彼を呼び止めた
.
:08/02/02 15:58 :SH903i :mP/vA1cg
#653 [ま-イ子]
車のドアを開けようと
していた手を止め
柳田は女に振り返る
「………なんだ…」
「…何処、へ……
行くつもりですか…?」
走って来たせいで
少し息切れしながら
女は問いた
.
:08/02/02 16:00 :SH903i :mP/vA1cg
#654 [ま-イ子]
「決まってんだろ、
………捜査だ。」
吐き捨てる様に答えた後
再度柳田は
ドアに手を掛けた
「…峯刑事と同様に…
捜査するおつもりですか」
凛とした声が
駐車場に響き渡る。
先程より開いた目で
女を見る柳田がいた
.
:08/02/02 16:07 :SH903i :mP/vA1cg
#655 [ま-イ子]
「なんのことだ。」
低くなった声は
突き放す様に冷たい。
女は握り締めていた
二つの手帳を前に出した
「峯刑事と、柳田警部の
ものですよね。
同じ文字が、
書かれています。」
.
:08/02/02 16:13 :SH903i :mP/vA1cg
#656 [ま-イ子]
:08/02/02 16:18 :SH903i :mP/vA1cg
#657 [ま-イ子]
「これは、事件が起こる
時間帯を表している。」
「…………………。」
黙り込み少しだけ
睨んでくる柳田を無視し
女は言葉を続けた
「峯刑事は警部より先に
これに気付き……
そして、一人で動いた
――囮捜査をする為に」
.
:08/02/02 16:26 :SH903i :mP/vA1cg
#658 [ま-イ子]
柳田の眉がぴくり、と動く
反論しないという事は
肯定している証拠
「そして、彼は
犯人らしき人に出会い
咄嗟に携帯で録音をした」
そう考えれば
都合の良い事にも
つじつまが合う
.
:08/02/02 16:31 :SH903i :mP/vA1cg
#659 [るい]
:08/02/02 16:38 :P902i :higjtWCw
#660 [ま-イ子]
「その後、彼は…殺され…」
――――ドンッ!
女の言葉を遮り
車のボンネットを叩いた
柳田は先程までとは違う
怒りに満ちた表情を
していた
「…いい加減にしろよ。
死んでるかなんて、
まだわかんねえだろ」
.
:08/02/02 16:39 :SH903i :mP/vA1cg
#661 [ま-イ子]
:08/02/02 16:41 :SH903i :mP/vA1cg
#662 [ま-イ子]
「………ですが、」
「いい加減にしろって
言ってんだ。
邪魔をするな、俺は行く」
怒りを露にした顔で
柳田は女を睨み付ける
誰もが怯む表情だが
女は一歩も引かずに
見つめていた
「……やめてください…」
.
:08/02/02 16:53 :SH903i :mP/vA1cg
#663 [ま-イ子]
「………うるせぇ…」
「やめてください……
違う方法が必ずあります
こんなのは、死にに行く
ようなものです!」
「
うるせえって
言ってんだ!」
柳田の怒声に
女は黙り下を向いた
両者の握られた拳は
震えている
.
:08/02/02 16:59 :SH903i :mP/vA1cg
#664 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>663
タグミスっ‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/02/02 17:00 :SH903i :mP/vA1cg
#665 [ま-イ子]
「…俺は、犯人を
捕まえなきゃいけねえ」
先までとの怒声とは違い
唇を噛み締めながら
柳田は呟く
「誓ったんだ。
………あいつとな…」
未だ顔を上げずに
女は黙って聞いている
.
:08/02/02 17:06 :SH903i :mP/vA1cg
#666 [ま-イ子]
「…わかってくれ、とは
言わねえよ………
理解できねえだろうから」
ふ、と自嘲気味に笑った
彼は何処か切なげで
今にも消えて
しまいそうだった
ゆっくりと上げられた
女の顔は、目に涙を溜め
悔しそうに
唇を噛んでいた
.
:08/02/02 17:12 :SH903i :mP/vA1cg
#667 [ま-イ子]
「…本当に、馬鹿…」
掠れた声で
紡がれた言葉に
柳田は眉を下げて微笑む
「悪いな、馬鹿で。
……死ぬ気はねえよ。
心配すんな……」
「心配するに
決まってるでしょ…
…絶対に帰って来て」
.
:08/02/02 17:17 :SH903i :mP/vA1cg
#668 [ま-イ子]
涙目で自分を見つめる
彼女の元へ歩み寄り、
頭を自分の胸へ
押し付けた
「今日犯人に会えるとは
限らねーだろーが。
…終わったら家に帰る」
「絶対よ。約束だから」
女は柳田の皺になった
コートを力強く握り締め
自分の方へ引き寄せた
.
:08/02/02 17:24 :SH903i :mP/vA1cg
#669 [ま-イ子]
数秒だけ、互いを
確かめ合った後
ゆっくり体を離し
見つめ合ってから
触れるだけのキスをした
ぽん、と女の頭に
ゴツゴツした手が乗る
「…咲智(サチ)のこと、
頼んだぞ。」
女は黙って微笑み頷いた
.
:08/02/02 17:30 :SH903i :mP/vA1cg
#670 [ま-イ子]
名残惜し気に手を離し
柳田は車に乗り込んだ
エンジンが掛かり
動き出す
駐車場から出ていく
車の後ろ姿が
次第に小さくなり
やがて―――消えた
ぺたり。
黙って見ていた女は
その場に座り込み
静かに、涙を流し続けた
.
:08/02/02 17:40 :SH903i :mP/vA1cg
#671 [ま-イ子]
:08/02/02 17:43 :SH903i :mP/vA1cg
#672 [ま-イ子]
:08/02/02 17:54 :SH903i :mP/vA1cg
#673 [yえりちぁンy]
久しぶりに見たら
メチャ更新されてるx
すごいぉもしろいですシイ|
主サン 頑張ッてさい+゚。
:08/02/02 17:55 :W53T :SfQ5n63s
#674 [るい]
先程は執筆中にアンカーしてしまい
申し訳ありませんでした
あ、、
ここに収まらなかったら
次を作るのもいいと思います
それにま-イ子さんの伝えたいことは
ちゃんと
伝わってますよ★
無理せず自分のペースで
更新してください(^ー^)♪
長文すみません:08/02/02 18:27 :P902i :higjtWCw
#675 [ま-イ子]
:08/02/02 21:36 :SH903i :mP/vA1cg
#676 [ま-イ子]
:08/02/02 21:39 :SH903i :mP/vA1cg
#677 [ま-イ子]
:08/02/02 21:40 :SH903i :mP/vA1cg
#678 [ま-イ子]
:08/02/03 00:43 :SH903i :nrn85Xk2
#679 [我輩は匿名である]
更新してぇx
:08/02/03 00:43 :W51S :MxcF/sY6
#680 [ま-イ子]
:08/02/03 09:35 :SH903i :nrn85Xk2
#681 [ま-イ子]
――――――――
―――――
…ザッ…ザッ…
闇に紛れた足音は
規則的に響き渡る
周りにある、古い
コンクリート製のビルに
反響しながらそれは
尚も止まない
足音は一つ
しかし揺れる影は二つ
.
:08/02/03 09:45 :SH903i :nrn85Xk2
#682 [ま-イ子]
(………チッ、…)
心の中で舌打ちをし、
一つの影は肩まである
髪を揺らしながら
もう一つの影に
振り返った
「…ねえ、駄目だよ。
最近は警戒して
外に出てこない。」
あからさまに不機嫌な
顔を晒しながら
桜井なつは言った
.
:08/02/03 09:53 :SH903i :nrn85Xk2
#683 [ま-イ子]
「…クックッ…君は、
まだこの街に何人の
人がいると思ってる?
大丈夫、見付かるさ。」
言葉を返しながら
勝ち誇った顔で
笑う奴‐死神‐に
なつは溜息を吐いた
「…………あ、そう。
なんでもいい……
"獲物"が見付かるなら。」
.
:08/02/03 09:59 :SH903i :nrn85Xk2
#684 [ま-イ子]
言葉を吐き捨てた後
なつは構わず進み続ける
「…でも、便利よね。」
数分歩き続け
なつは唐突に一言呟いた
「何の事かな?」
「あんたよ。
正確にはその、チカラ」
.
:08/02/03 10:12 :SH903i :nrn85Xk2
#685 [ま-イ子]
なつは横にいる奴を
細めた目で見つめた
「そのチカラがあれば
絶対警察なんかに
捕まらない。」
口角を上げた彼女に
死神も笑い出す
「……クックックックッ、…
そう言ってもらえて
光栄、さ。」
.
:08/02/03 10:19 :SH903i :nrn85Xk2
#686 [yえりちぁンy]
あげます~
:08/02/05 21:58 :W53T :usGpQxf.
#687 [我輩は匿名である]
あーげー
:08/02/06 15:34 :SH704i :cJn9ZsrQ
#688 [yえりちぁンy]
主さンx応援してマス~
頑張ッてさいニ
:08/02/09 15:44 :W53T :iIWvFrhg
#689 [我輩は匿名である]
読みたいゆ〜
:08/02/11 02:47 :SH704i :/VZEFtNg
#690 [ま-イ子]
:08/02/11 23:47 :SH903i :hh9VTvjM
#691 [ま-イ子]
――――――そう、
あたし‐桜井なつ‐は
今世間で騒がれている
"連続誘拐事件"
別名:神隠し
の、犯 人 だ 。
.
:08/02/11 23:55 :SH903i :hh9VTvjM
#692 [ま-イ子]
犯人、と一概に
言ってもいいものか
まあ、あたしが
殺していることに
変わりはないのだけど
しかし、こんな事件は
日本の法律……否、
"人間の決まり"で
裁かれるものではない
何故なら、
この事件は――――…
.
:08/02/12 00:59 :SH903i :aSHgGwjY
#693 [ま-イ子]
「…クックッ…ほぅら、」
突然言葉を発した
奴に目を向けると
汚い骨だけの指で
前を示している
その先に視線をやると
死神の言わんとする事が
わかった
そこには、人の影。
.
:08/02/12 01:13 :SH903i :aSHgGwjY
#694 [ま-イ子]
ゆるいカーブに
なっているこの道は
所々にある青白い電灯が
光っているだけだ
その光りに
照らされた影は
こっちに近付いて来る
あたしも歩を進めた
二つの足音が交互に、
又は同時に、響き
近 く な る
.
:08/02/12 01:20 :SH903i :aSHgGwjY
#695 [ま-イ子]
見えた。男だ。
ポケットに手を突っ込み
コートに顔を埋めている
こんな時間に
一人で歩くなんて。
しかも、こんな時に。
(――――馬鹿、ね)
呆れ半分に男を見ながら
あたしは歩き続けた
.
:08/02/12 01:40 :SH903i :aSHgGwjY
#696 [ま-イ子]
コツ、コツ、と
音を立てながら
男の横を 擦り抜ける
一瞬、目が合ったような
気がしたが、何事も
なかったように
男の背中は遠退いて行く
あたしは歩を止めた
後ろから聞こえる足音に
耳を傾ける
.
:08/02/16 11:48 :SH903i :BHwyR6k.
#697 [ま-イ子]
手に固い感触。
あたしは"それ"を
力強く握り締めた
一歩、また一歩
遠くなる足音
口から冷たい空気を
吸い込み深呼吸をする
.
:08/02/16 11:54 :SH903i :BHwyR6k.
#698 [ま-イ子]
地を蹴り、
男の元へ走りだし
手に持っていたモノを
思い切り振り下ろした
.
:08/02/16 11:57 :SH903i :BHwyR6k.
#699 [yえりちぁンy]
あげます~ト
:08/02/18 22:52 :W53T :opmaMbFY
#700 [yえりちぁンy]
続き気になりますテ
:08/02/22 23:30 :W53T :g2CJCgLM
#701 [ま-イ子]
:08/02/23 10:17 :SH903i :ieIjImxM
#702 [ま-イ子]
────────
─────
人気が全くない
夜中の住宅街で
一台の車が音を立てて
走っていた
その運転席にいるのは
短く刈られた髪と
無造作に生えた髭が
特徴的な男
眉間に皺を寄せた
彼の表情からは
"怒り"と"焦り"が
見て取れた
.
:08/02/23 10:23 :SH903i :ieIjImxM
#703 [ま-イ子]
「………くそっ、」
ギリ、と唇を噛み締め
悪態をつく
ハンドルを握る手は
血が行き渡らない程
固く握られていて
「……峯の野郎……」
口から出たのは、
怒りの矛先である
部下の名前だった
.
:08/02/24 00:10 :SH903i :CgmIreHo
#704 [ま-イ子]
(腹が立つ!)
被害に遭ったのは
勿論の事、
先程知った事実は
彼を憤怒させるには
十分だった
その事実とは
"囮捜査をした"という事
.
:08/02/24 00:25 :SH903i :CgmIreHo
#705 [ま-イ子]
今までに危険な囮捜査を
した事はもちろん、有る
刑事なら犯人逮捕の為
命を張るのは
当然の事なのだが
今回の事件に関しては
次元が違いすぎる
犯人の特徴も
誘拐方法も
所持してる凶器でさえ
全てが謎なのだ
.
:08/02/24 00:32 :SH903i :CgmIreHo
#706 [ま-イ子]
つまり、備えようがない
この件に関しては
"囮捜査をする"などと
言い出す者はいなかった
(それを、あの馬鹿…)
確かに手掛かりは
全くと言って良い程
見つかっていなかったが
囮捜査をするなんて
──それも、単独で
.
:08/02/24 00:37 :SH903i :CgmIreHo
#707 [ま-イ子]
(───なんで、だ…)
何故俺に、一言でも
言ってくれなかったのか
恐らく止められる、と
思ったのだろうが
奴の行動は
俺に対する侮辱だ
共に捜査をし、犯人を
捕まえようと誓った
俺に対する侮辱だ
.
:08/02/24 00:43 :SH903i :CgmIreHo
#708 [ま-イ子]
「──っなんでだ!」
少なくとも
お前が単独でやる必要は
なかった筈だろう?
そうなれば
何かが変わっていたの
かもしれない
(俺では頼りなかったのか)
(俺の決意が半端な物だと
そう感じたのか)
:08/02/24 01:29 :SH903i :CgmIreHo
#709 [ま-イ子]
何れにしろ
俺は奴の行為を
許さない
必ず見つけ出して
ぶん殴ってやる
(…だから………)
生きてろよ──--
.
:08/02/24 01:54 :SH903i :CgmIreHo
#710 [ま-イ子]
:08/02/24 01:56 :SH903i :CgmIreHo
#711 [我輩は匿名である]
:08/02/24 06:42 :F705i :bjbnFicM
#712 [ま-イ子]
:08/02/24 10:45 :SH903i :CgmIreHo
#713 [我輩は匿名である]
頑張ってねー
ちょくちょく見てます
:08/02/24 19:19 :SH704i :jhcZN5jw
#714 [ま-イ子]
:08/02/24 22:34 :SH903i :CgmIreHo
#715 [yえりちぁンy]
更新されてる―+。
いつも楽しく読ンでマスX
完結まで頑張ッてさいネメ
:08/02/24 23:50 :W53T :PPIBtDIY
#716 [ま-イ子]
:08/02/25 00:40 :SH903i :ar.72h6s
#717 [ま-イ子]
:08/02/25 00:41 :SH903i :ar.72h6s
#718 [我輩は匿名である]
感想ばっかに返事してないで途中を早く書いてくれますか?
後、感想も感想版とかに書いてくれないと読んでる人の邪魔になるからやめてほしいm(_ _)m
:08/02/28 21:08 :D903i :.zA3zJd6
#719 [我輩は匿名である]
↑の匿名だけど、楽しみにしてるから頑張って下さい!
さっきわきつく言ってしまってごめんなさいm(_ _)m
:08/02/28 21:11 :D903i :.zA3zJd6
#720 [我輩は匿名である]
:08/02/28 22:02 :SH902iS :o1EO3w56
#721 [我輩は匿名である]
:08/02/29 06:15 :SH904i :5KWf5Tq.
#722 [☆NACHI☆]
頑張って下さい~
この小説すごく好きですY
:08/03/05 07:42 :W51T :qrVCMDJc
#723 [優◆WBRXcNtpf.]
あげ~
:08/03/08 23:33 :W52SH :xBCCcsuw
#724 [我輩は匿名である]
あげっ
:08/03/10 23:56 :W52SH :EthxUBuI
#725 [我輩は匿名である]
あげI
:08/03/18 07:25 :W52SH :R5YVEFYU
#726 [みれい]
最後まで
書いてほしいです
:08/03/20 21:06 :P902i :EXxLe5Ls
#727 [我輩は匿名である]
あげ~
更新してくださいっIホ
:08/03/22 15:04 :W52SH :cXrno7CU
#728 [むつ]
主逃げちゃった?K
最後まで書いてほしかったのに…
主の小説のファンだったのに…m
:08/03/22 18:41 :W53CA :gYIidCiA
#729 [我輩は匿名である]
>>728本当にファンなら逃げたって表現しないでしょ
:08/03/22 21:45 :W51S :eyK0MPRM
#730 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
皆様、暫く放置していて
申し訳ありません。実は
>>718-721の方々に言われ
その通りだと思い、小説の
続きを一旦考えてから、
ここに書き込もうと考え
ております。
しかし忙しかったりして
中々先が進みません。
でも、必ずきちんと完結
させます。もう少しだけ
お待ち頂きたいです…。
こんな小説を待ってくだ
さる方々には本当に申し
訳ないのですが、また上
がったときに目を止めて
くださると嬉しいです。
‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/03/23 10:30 :SH903i :a/kyHWmw
#731 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>718-721
ご最もな指摘ありがとう
ございます。その通りで
すね。反省いたします。
しかし、言い訳をさせて
頂きますと、私は感情を
小説に移さないとうまく
書けません。つまりは、
気持ちがノらないと書く
気が起きないのです。
こんな気まぐれな主で、
本当にすみません。でも
小説は私の娯楽です。
人に急かされて半端な物
は書きたくありません。
こんな更新遅い小説読み
たくない、と思われたら
他の素敵な小説をお読み
になられた方がいいです。
また更新したときに、
暇つぶし程度に、覗いて
頂けたら嬉しいです。
‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/03/23 10:41 :SH903i :a/kyHWmw
#732 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>722-727
☆NACHI☆さま、優さま
匿名さま、みれいさま
こんな小説を上げて
頂けて本当に感謝と
申し訳なさで、胸が
一杯です。また暫く
来れないと思います
が、絶対に完結させ
ます。時間は多少、
かかってしまいます
が、最後まで書きま
す。その時に、また
見ていただけると、
感激です。‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/03/23 10:54 :SH903i :a/kyHWmw
#733 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>728 むつさま
書き込みありがとうござ
います。ふ、ファンだな
んて恐れ多いです……。
更新しなくてすいません。
しかし、逃げてはいませ
ん。逃げるつもりもあり
ません。これからも私は
小説を書きたいと思って
おります。この話も完結
させますので、その時に
見てほしいです。
‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/03/23 11:04 :SH903i :a/kyHWmw
#734 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>729 匿名さま
ありがとうございます。
私は思い込みが激しいの
で、庇ってもらったと思
っています。感謝します
この小説を目に止めて
頂いた全ての方に感謝と
謝罪を申し上げます。
‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/03/23 11:09 :SH903i :a/kyHWmw
#735 [我輩は匿名である]
主大袈裟w
:08/03/23 12:29 :SH902iS :hmW8DS22
#736 [ゅぅ]
これだけ事に騒ぎ立てたのも読者なのに、読者がそのこと悪く言ったらダメやろ
無責任。
主さん、早く完成させたいって前書いてましたよね?今度は書いて下さいよヽ(*´Д`)ノ
応援してますから
:08/03/23 19:50 :F703i :HyWzLVtk
#737 [るい]
最後まで
見守ります(´ω`)
:08/03/23 20:29 :P902i :j7KtNNME
#738 [ロズ]
主サン
頑張ってください
何かと忙しいとは思いますが………
小説が更新されるのを待ってます
:08/03/29 01:52 :P902iS :oo3Ds72s
#739 [我輩は匿名である]
主さん
一時の感情で何も考えずに書き込んだ人たちのことなんて気にしないでいいですよ。
主さんの気が向いた時に書いてくれれば嬉しいです~
:08/03/31 21:11 :W51S :RtUrcNMA
#740 [我輩は匿名である]
あげ
:08/04/06 14:50 :P902i :vOEJ1oQA
#741 [我輩は匿名である]
頑張って下さい
:08/04/12 19:47 :F705i :gVWd4Us.
#742 [るい]
みたいなぁ…
:08/05/01 07:34 :P902i :adNwFdLE
#743 [共]
主さんの作品好きです(*^-')b
更新頑張ってください(人´∀`ο)
:08/05/01 17:04 :W52SH :Q.xHz/ms
#744 [るい]
久あげ(´・ω・`)
:08/05/10 13:08 :P902i :sVrG8SQI
#745 [我輩は匿名である]
あげあげ
:08/06/10 17:31 :D705i :QPcbMbQs
#746 [我輩は匿名である]
主さんまだこないのかなあ(´・ω・`)
:08/06/18 22:57 :D705i :2Mb5s0Dw
#747 [我輩は匿名である]
あげーるよー
:08/07/20 05:31 :N905imyu :jN2NEPf.
#748 [ふづき]
:08/07/20 22:56 :SH700i :4Faw1Dks
#749 [ふづき]
:08/07/20 23:29 :SH700i :4Faw1Dks
#750 [ヨヒト]
:10/02/01 06:53 :SH902i :Xim3UBbU
#751 [ヨヒト]
主さん、気が向いたら戻ってきて下さい。楽しみにしてますんで。では
:10/02/01 06:55 :SH902i :Xim3UBbU
#752 [ん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑
:22/10/27 19:56 :Android :DE5DdzBs
#753 [ん◇◇]
:22/10/27 20:00 :Android :DE5DdzBs
#754 [ん◇◇]
:22/10/27 20:01 :Android :DE5DdzBs
#755 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑
:22/11/04 10:22 :Android :CHHo2.6k
#756 [わをん◇◇]
:22/12/16 22:04 :Android :8U4GCBMw
#757 [わをん◇◇]
:22/12/17 16:04 :Android :gTMgoNuA
#758 [わをん◇◇]
:22/12/17 16:05 :Android :gTMgoNuA
#759 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑ag
:22/12/27 23:52 :Android :5IKnmUnY
#760 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑(∩゚∀゚)∩age↑(*゚∀゚*)↑
:23/01/03 20:42 :Android :5SH1cbfQ
#761 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑
:23/01/06 19:19 :Android :pRdUKMH2
#762 [わをん◇◇]
↑(*゚∀゚*)↑
:23/01/06 19:44 :Android :pRdUKMH2
#763 [わをん◇◇]
(´∀`∩)↑age↑
:23/01/21 20:11 :Android :IhSnmgVI
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