＊TＨE ＧOD OF DＥATH＊

これは何に対する懺悔？

父に？それとも、

――――この人に？

悔いる過去は
変わることをせず

彼女を苦しめ
あたしを蝕んでゆく

.

ぽたり。

頬に落ちたそれは
滑り落ち
液体であることを示す

ゆっくりと、
彼女の顔を見ると

ぐしゃぐしゃになった
泣き顔が

悲哀で溢れた瞳が

あたしの視線の先に。

.

(そんな眼で見ないで)

悲しみ哀しみ憎しみ

それらが混ざり合い

罪悪感へと、変わる

自然とあたしの瞳からも
雫が流れ落ちた

.

あたしがこの人を
憎めない理由は

もう一つあるのだ

この人は、あたしを

殺そうとしない

.

いくら憎しみを
与えられようとも

いくら痛みを
与えられようとも

この人は今まで

あたしを

殺そうとしなかった

.

必要最低限な
お金は与えるし

食料だって買っておく

理由なんて、

わかるはずはない

けれど、

(錯覚する)

.

愛されてるんじゃ

ないかって。

そんなことない、と
考えてみるものの

それ以外の理由が
見つからないのも
また事実で。

幼い頃から

それだけを希望に

―――生きてきた

.

｢‥‥ッ‥うっ‥‥う‥｣

上から鳴咽が聞こえる
もちろん、それは
彼女のもので。

両手で顔を覆いながら
泣いている

いつの間にか足は
退けられていて
新鮮な酸素が身体に入る

でも、もうそんなことは
どうでもよかった

.

今、目の前で
泣いているのは

いつもの"あの人"
なんかじゃ、ない

こんなにも弱々しい

こんなにも、

何かを求めるような
瞳をしている

.

―――貴女は‥

｢お母さん … ？｣

ぴくり、と反応し
彼女の鳴咽が途絶えた

(-----戻って)

優しい頃の貴女に

(-----戻って)

夫を純粋に
愛していた貴女に

.

あたしの願いを
知ってか知らずか

顔を覆っていた手が
徐々に離れていく

そこに、あったのは

母の冷めた瞳と、
無表情な顔

.

｢‥‥‥‥‥ぇ‥‥｣

さっきまでの"母"は？

あたしの、お母さん…

―――――ガッ！

｢っ痛…ッ！｣

突然髪の毛を掴まれ
痛さに顔が歪む

.

ぐい、と持ち上げられ
母との距離が近くなった

｢‥今、何て言った‥？｣

未だ無表情のまま
あたしに問い掛ける

｢…っ………ゃ、…｣

緊張と恐怖で声が出ない

｢今何て言ったって
聞いてんだよ！｣

.

――――ガンッ！

鈍い音が室内に響く

頭を壁に打ち付けられ
痛みを通り越して
何も、感じない

(‥何が‥起こったの？)

思考回路を
閉ざされた脳は
現在を理解出来ずにいた

.

｢…"お母さん"…だって？
……………ふ、………
…あははははははは！！｣

突如大声で笑い始めた母
あたしはそれを
只、黙って見上げるしか
出来ない

｢あはははは！、………｣

ぴたり、と笑い声が止み
母の顔が歪んでゆく

.

｢…また…………｣

一気に声が低くなり
恐怖が増幅する

｢また"お母さん"だなんて
言ったら、あんたなんか
殺してやる！｣

(――---今、何て…？)

.

見開かれた目に映るのは
鬼の様な形相の母

―――――どうして、

只、呆然としている
あたしを睨みながら
母は言葉を続ける

その言葉で、
全ての謎が解けた

.

「もう二度と、
"あの人の顔で"
お母さんだなんて
言うんじゃないよ！｣

(――--そういうことか)

.

以前探し物をしてた時に
偶然発見したアルバム

それには幸せそうな
父と母が写っていた

(本当に幸せそうだった)

その時初めて見た
父の顔に驚愕した

.

なぜなら、その顔は

あたしと

恐ろしく似ていたから

.

つまり、こういうこと

あたしは"この人"に

愛されていたわけじゃ

なかったんだ

.

只、父と似ている
あたしを

憎み、愛しく想い

傷付け、束縛し

その存在を

確かめていたんだ

.

殺さなかったのも

あの悲しそうな瞳も

"母"と言った事に
憤怒したことも

全てが繋がる

この人は、

あたしなんか
見ていなかった

ずっと今まで

父を重ね

父だけを見て

父だけを望んだのだ

.

殺さなかったんじゃない

――殺せなかったのだ

自分の自己満足の為に

それだけの為に

あたしは"生かされていた"

.

｢…………ふふ、……｣

(なんて、滑稽なの)

何事だ､というような眼で
あたしを見る母に微笑む

(なんて、愚かなの
貴女も……あたしも…)

.

愛されていなかった

所詮この人も、

自分の為に
あたしを――――--

あたしは、何の為に？

何の為、に

産まれたの

.

あたしの中で

何かが壊れた

「…ふ、…あはははははははははは！！｣

笑い出すあたしを見て
目を見開く彼女

先程とは逆の立場に
満足感を覚えた

溢れ出る、

笑いが止まらない

.

｢…………ひっ…！｣

母は初めて見る
あたしの豹変ぶりに
恐怖を覚えたのか

放る様にあたしを床へ
投げ付け、後退る

(……おもしろい、
おもしろいよ………)

.

這い蹲る体勢から
起き上がろうと
手を動かした

ぬるり。

顔を上げると
赤い液体が点々とある

不思議に思い
頭に手をやると
ズキッ､とした痛みと共に
手が赤く染まった

.

(…ああ、さっきの…)

壁に打った時に
切ったのだろう

今まで気付かなかった

じっ、と手を見つめる

これを染めてるのは

…赤、朱、紅 ……

.

にんまり、と
口角が上がる

上体を起こし彼女を
前髪の隙間から見ると
未だ目を見開き
怯えていた

｢――…どうしたの‥？｣

あたしが口を開くと
彼女の身体が
びくり、と跳ねた

.

｢何を、そんなに
怯えているの……？｣

微笑みながら
四つん這いで
彼女に近付く

｢……こ、な…いで‥｣

震える足で後退りながら
途切れ途切れに
言葉を紡ぎ出している

.

それでもあたしは
確実に近づいて行く

―--ずる、ずる、

顔を青白くした彼女は
腰を抜かしたのか
その場に尻餅をついた

｢----や、……いや…｣

首を横に振りながら
尚もあたしから
離れようとする

.

彼女まであと数歩

｢…ねえ、見て……
……綺麗でしょう…？｣

血がべっとりと着いた
左手を見せる

震える彼女の瞳には
映っていないけれど

｢‥好き、よね‥赤‥｣

.

伸ばした左手で
彼女の頬に触れた

あたしが指を滑らすと
そこには赤い曲線が

｢あたしが、今……

染めてあげる｣

この日から、

あたしの中で

何かが変わった

‐‐‐‐‐‐‐‐
第４章狂変

終わりました！

長かった… ←
久しぶりにたくさん
更新いたしました

今からアンカー貼ります

‐‐‐‐‐‐‐‐

THE GOD OF DEATH

>>1-2

第１章
>>3-76

第２章
>>81-138

第３章
>>143-191

第４章
>>197-349
>>362-440

更新たくさん遅くまでお疲れさまでした
読んでてめっちゃ楽しかったです
また次もがんばってください

おやすみなさい

THE GOD OF DEATH

>>1-2

第１章
>>3-76

第２章
>>81-138

第３章
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第４章
>>197-280
>>281-349
>>362-440

‐‐‐‐‐‐‐‐
４章長すぎた

勝手ながら、
区切らせていただきました

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐
>>443 極さま＿

ありがとうございます！
頑張っちゃいました

←
応援の言葉
すごくうれしいですッ

次も頑張ろうと思います

遅くまで読んで頂き
ありがとうございます(*''*)
おやすみなさい★

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐
次から次へと続きが
頭に浮かんでくる！(д)←
はやく完結
させたいなあ…

今日は寝ます(ﾟ3!)
明日(今日)また更新します～

おやすみなさいっ

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐

見づらい、などの意見

受け付け中です

！

‐‐‐‐‐‐‐‐

いえいえｯｯ
とｯても見やすいです

４章終わったンですね面白かったです続きも頑張ってください

‐‐‐‐‐‐‐‐
>>449 匿名さま＿

見やすいですか

∑

うう…泣きそうです ←
ありがとうございます！

>>450 骸さま＿

お待たせして
申し訳ありません

応援ありがとう
ございます！(､∀`)

これからどんどん
更新いたします

‐‐‐‐‐‐‐‐

THE GOD OF DEATH

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>>362-440

‐‐‐‐‐‐‐‐

よし、更新
しようかな(･ω･)

‐‐‐‐‐‐‐‐

-･-第５章捜査-･-

｢………ふぅー…｣

溜め息混じりに
息を吐き出すと
白い煙が空中を舞った

短くなった煙草を
灰皿に押し付け

逆の手に持っていた
資料に目を通す

｢………妙な事件だ…｣

.

―――ガチャッ

｢あ、警部。
此処にいらしたんですか｣

声のした方に
視線を向けると

スーツに身を包んだ
後輩が扉から
顔を出していた

｢………何か用か｣

.

直ぐに視線を戻し
吐き捨てる様に言うと

｢そんな言い方しなくても
良いじゃないっスか｣

男は苦笑いしながら
扉を閉め、俺の元へと
近付いて来た

｢馬鹿野郎。
俺はお前の暇潰しに
構ってやる程
優しくもないし
暇でもねーんだよ｣

.

｢暇潰しって…………
…あ、これって
"例の事件"ですか？｣

言いかけた言葉を止め
俺の後ろから
資料を覗き見る

｢………………ああ。
どうも、謎だらけでな｣

短く刈った頭を
ガシガシ、と掻きながら
資料を見る目を細めた

.

｢…まあ…そうでなければ
犯人なんて
直ぐ捕まってますよ｣

｢そりゃそーだ。｣

後輩の言葉に
納得させられた

(なんか悔しいな)

ギシ、という音を立てて
椅子から立ち上がり
扉へと向かう

｢あれ､何処行くんすか？｣

.

｢現場検証だよ。
………お前も行くか？｣

のけ反る形で
後ろの奴に聞くと
｢いいんスか？｣なんて
顔を輝かせている

(半分冗談だったんだが)

｢……着いて来い。｣

上着を翻し
部屋を後にした

.

俺の名前は
柳田信司(ﾔﾅｷﾞﾀﾞｼﾝｼﾞ)

職業は、刑事

34歳既婚者

(ちなみに、もうすぐ
三歳になる娘がいる)

と、自己紹介は
この辺にしておこう

.

｢…そういえば、警部｣

ああ、こいつは
俺の後輩の峯(ﾐﾈ)だ

(覚えやすいだろう)

ハンドルを握り
シートベルトを
締めている

｢現場検証って……
何処行くんですか？｣

.

｢……そうだな。
一番最近起きた所が
いいだろう｣

パラ、と資料をめくり
丸印が多々付いている
地図を見る

｢北川ですね？
わかりました。｣

エンジンが掛かり
車は走り出す

.

‐‐‐‐‐‐‐‐※

この物語はフィクションなので
人物・場所などは
私の勝手な創りものです

※‐‐‐‐‐‐‐‐

｢…それにしても､
本当に謎だらけな
事件ですね。｣

数分の沈黙の後
峯が口を開いた

｢…………ああ。

"連続誘拐事件"

今までにも何度か
起こった事件だか…
今回のは異例だ。｣

.

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>465

×起こった事件だか

〇起こった事件だが

すいません

‐‐‐‐‐‐‐‐

"連続誘拐事件"

連続と言っているものの
その被害の多さは
今までの比ではない

ここ半年近くで
約90人の被害が
出ているのだ

これは尋常では、ない

.

それに――――…

｢数だけでなく
今までと決定的に
違う点は

"誘拐する手口"だ。｣

書類に留められていた
数枚の写真を眺める

.

この数カ月、俺達が
動かないわけがない

誘拐が行われる度に

辺りを捜索し
聞き込みをした

しかし、毎度毎度
見つかるのは――――

.

｢被害者の､血痕だけだ。｣

一枚の写真を
運転している峯に見せる

そこに写っているのは

大量の血に染まっている
コンクリート

横目でちらっと見た峯は
僅かに眉を寄せた

.

｢その量では…もう…｣

語尾を濁らせる峯の
言いたい事は、分かる

｢手遅れだろうな｣

ポケットから出した
煙草に火をつけながら
続きを代弁する

峯の顔が
明らかに曇った

.

｢…気にしてるのは
そこじゃねえ｣

窓を開けて煙を吐き出す
少し肌寒い空気が
車内に入り込む

｢分かっていますよ
………死体、ですね。｣

｢そうだ。
被害者はおろか、
死体さえ
見つかっていない。｣

.

行方不明者が出ると
必ず新しい血痕が
見つかる

｢この量だ。
死んでいておかしくない｣

だが、死体は
何処にもないのだ

血痕が見付かった
場所から
死体を隠せる場所は
警察が殆ど探した

.

約90人もの死体なんて
隠し通せる訳がない

しかし、
見つからないのだ

こんなことは
絶対に有り得ないのに

｢…故に、この事件には
別名があってな……｣

.

この事件の、
もう一つの名は――ｰｰ

" 神隠し "

‐‐‐‐‐‐‐‐

区切りがいいので
今日はここまでにします

キャラ作りが難しい

笑
柳田さんがお気に入り
だったりします(･･)←

ではでは、また明日

おやすみなさい

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐

第１章～第４章
>>452

第５章(執筆中

)
>>454-475

‐‐‐‐‐‐‐‐

めちゃめちゃおもしろぃﾃﾞｽ

また楽しみにしてます

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>478 ☆anon☆さま＿

おもしろいだなんて、
最高の褒め言葉です(;_;)
皆様の応援に
本当に励まされて
おります

ありがとうございます

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐

更新しようかなっ(＊¨)b★

‐‐‐‐‐‐‐‐

――――――‥

｢着きました、警部。｣

峯の言葉とほぼ同時に
車が止まり

俺はくわえていた煙草を
使われていないであろう
車内の灰皿に入れた

ドアを開け外に出ると
ひんやり、とした空気が
身体を包み込む

(もう、11月だな…)

.

車から降りると
そこは住宅街

しかし人通りは少なく
遠くから聞こえてくる
車の音だけが耳に入る

足を進めると
コツ‥コツ‥とした音が
周りに響き渡った

｢…あそこだな…｣

.

そう呟く俺の
目線の先は

黄色いテープで仕切られ
その中は、そこだけ
違う空間のように
真っ赤だった

一応手に持っている
資料と確認してみたが

間違いないようだ

.

ゆっくり近付くと
その光景に
吐き気を感じた

地面にはそれこそ
大量の血が付いているが
住宅を仕切る塀にまでも
飛び散った血痕が
生々しく残っている

｢……酷いっスね…｣

峯がその場所を
見つめながら呟いた

.

｢…一昨日起こったものだ
もう血は乾いているな。｣

黄色いテープを跨ぎ
現場へと入る
塀に付いてる血痕に触れ
指先を見てみたが
いつもの肌色だ

｢被害者とされているのは
この近辺に住む男性だ。
一昨日から行方不明で
今だ発見されていない」

淡々と言う俺の説明を
峯は静かに聞いている

.

｢捜索中だが…………
まあ、見つかる可能性は
低いだろうな。」

今までと同じ手口なのだ
見付けるのは困難だろう

――――ザリッ

地面の血痕にも
触れてみるが
塀に付いたものと
変わらなかった

.

｢………………。｣

しゃがみ込み、いきなり
無言になった俺の顔を
峯が覗き込む

｢………警部？
どうかされまし…｣

｢妙だと思わないか｣

峯の言葉を遮り
言葉を放つと
へ？と素っ頓狂な
声が聞こえた

.

｢この血の量からして
死んでいておかしくない
なのに死体がない
ということは、

犯人が運んだと
言うことになる。｣

｢でもそんな痕跡
ないですよね。｣

峯はキョロキョロと
辺りを見回しながら
言葉を返して来た

.

｢その方法も謎だが、
１番の謎は……………

"何故そんな事をしたか"

ということだ。｣

｢見付かったら困るから
とかじゃないんですか？｣

きょとん、とした顔で
首を傾げて聞いてきた

(やはりお前はまだ青いな)

.

｢そう考えるのが
普通なんだが……
ならば何故、犯人は
"わざわざ殺してから"
運んでいるのか。｣

未だ頭に？を浮かべてる
峯を横目に続ける

｢死体を運ぶなんて、
そう簡単な事じゃない。
それに、見付かりたく
ないのであれば
こんな人目に付く場所で
殺したりなんかせずに
隠してる場所へ連れて行き
殺した方が楽だろう？｣

.

ああ、と感心する峯

(おせーぞ)

｢それをしない、
ということが
何を意味するのか……」

短く生えた顎髭に
触れながら考え込む

.

｢血痕が見つかっている
場所は、バラバラだ。
死体を一カ所に
集めているとは
考えにくいんだが…｣

地図を見ると
丸印はあちこちに
付いていた

｢それなら、何人かは
見付かってもいいはず…
……………ですよね？」

.

自信なさ気に
聞いてきた峯に
ああ。と返事をすると
顔が明るくなった

(単純な奴)

そんなコイツに呆れる

｢犯人は何を
考えているのか――…｣

はぁ､と大きく溜息をつき
ガシガシ、と頭を掻いた

無意識にポケットへ
手を伸ばし煙草を取る

.

｢一昨日の被害者と
今までの被害者との
関係は？｣

｢今のところ無しだ。
今までの被害者達で
共通する所もバラバラ。
全員に共通しているのは
"この街に住んでいる"と
いう所だろうな…」

それだけ一気に言うと
煙草に火をつける

.

｢次の犯行の予測も
つかない…………
お手上げっスね…」

肩をすくめ峯は
溜息をついた

それにつられて俺も
息を吐き出す

｢どうしたもんか…｣

.

重たい沈黙が流れる

峯は顎に手を添え
考え込み

俺は灰になっていく
煙草を眺めていた

少しずつ
長さを増していく灰は
重力に耐え切れなくなり

地へと
落ちていった

.

｢あーーーー！！｣

突然の峯の大声が
住宅街に響き渡る

｢な、なんだよ！
いきなり大声で！｣

驚いた俺もすこし
声を張り上げた

当の本人は俺を指差し
口をパクパクさせている

.

｢なんだよじゃ
ないですよ！
何、現場に灰なんか
落としてんスか！！｣

｢なんだそんな事かよ｣

冷静を取り戻した俺は
再度煙草に口をつける

なにやってんスか～､と
峯は慌てた様子で
血痕の上に落ちた灰を
手で掃いていた

.

俺はその様子を
見下ろしながら

再度煙草を口にくわえる

煙を肺に入れた瞬間
冷たい風が頬を掠めた

はらはら、と灰が舞う

流れ落ちてゆく粒子を
目で追い掛けた

.

(―――――――ん？)

目を細め
見ていた場所を確認し
そこに近付いた

しゃがみ込み、
"そこ"に触れる

―――やっぱり、だ

.

そこにあったのは

細い、割れ目

(まるで、何かが
刺さっていたかのような)

じ、と見ていると
後ろから話し掛けられた

｢…………警部……
ちょっとコレ、
見て頂けますか？」

.

｢…………あ？｣

不思議に思いながら
峯に近づき
指を指している部分に
視線をやる

そこにあったのは

｢‥‥‥これは‥｣

不自然に途切れた血痕

.

｢………ね？不自然に
途切れていませんか？」

ほんの、小さな
目を凝らさないと
わからないような
そんな、途切れ

まるでそこに

何かがあったかのような

.

‐‐‐‐‐‐‐‐
>>503 えりちぁﾝ様＿

アンカーありがとう
ございます(＊¨)b

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>201-250
>>251-300
>>301-350
>>351-400

>>401-450
>>451-500
>>501-550
>>551-600

｢確かに…不自然だ」

まじまじとそれを
見ていると､
近くに他にも数箇所
途切れてる部分があった

｢……ここに、
何かがあったのか…？」

調べてみる価値は
ありそうだ

.

ｱﾝｶ連貼りｽｲﾏｾﾝ
この小説まぢすぅきです
これからも頑張って㊦さぁい

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>505
>>507-508
>>510 えりちぁﾝ様＿

いえいえ！
アンカー助かります

やっぱりあった方が
見やすいですよね

自分でも努力します！

好きと言ってくださって
凄くやる気でます(^ω^)
ありがとうございました

‐‐‐‐‐‐‐‐

車から白いチョーク
(以前、交通課の奴から
奪っ………頂いた。)

を持って来て、
途切れている部分を
繋いでみる

｢なんですか？コレ…」

峯には、白い
曲線で描かれた"何か"
にしか見えてないようだ

だが、俺には――ｰｰｰ

.

｢こ、これは―――…

人の、手？｣

そう、俺にはどう見ても
人の手の形にしか
見えなかった

｢ひ、人の手…？
そんな馬鹿な………」

口元を引き攣らせながら
峯は身を乗り出して
もう一度曲線を見る

｢………………あ。」

.

どうやら峯にも
見えたらしい。
阿呆面をしながら
固まっている

｢………なんで
こんな所に手の跡が？」

困惑した表情で
俺に聞いてくる峯

(俺が知りてーよ)

.

人が殺されたのだから
当たり前と言えば
当たり前なのだが、

｢この場所にあるなんて
明らかにおかしい。｣

この通りは少しだけ
傾いており、血痕は
その坂のお陰で
流れる形となっている

.

手の跡があるのは
流れている血痕の
先の方にあるのだ

｢もし、此処で
被害者がやられた
のであれば、
手があそこにあるのは
おかしいんだが…｣

血痕の始まりである
場所に立ちながら
うーん、と唸る

.

ふ、と下を見てみると
先程見付けた亀裂が
足元にあった

(―――――そうか)

｢なんでこんな場所に…
他に誰か居たんスかね？｣

｢いや、もっと単純な
問題だ。｣

.

俺の方を向き
驚いた表情を見せる峯

｢えー！
もう解ったんですか？｣

｢………此処見ろ」

足元を指差し
見るように促すと
峯は前屈みになり
そこをじぃ、と見た

.

｢亀裂が入ってんだろ｣

｢え……ああ、
…………それが…？｣

全く意味の通じない峯に
厭味を込めて大きく
溜息をつく

｢…あれは被害者の
切断された手だ。」

.

｢…え、……ええっ！？｣

峯は目を丸くし
驚愕している

｢この亀裂は、
凶器の刃物が
刺さった跡だな。｣

｢は、刃物…ですか…？｣

.

｢ああ。此処で
腕を切られたんだろう
勢いが良すぎて
地面に刺さったって
ところか？｣

成る程、と感心する
峯に呆れるばかりだ

｢…峯、鑑識に
連絡してくれないか｣

唐突に名前を呼ばれ
素早く顔を上げた

.

｢この亀裂から、
凶器を絞れないか
聞いてみてくれ」

それだけ言うと
黄色いテープを跨ぎ
車へと向かう

｢わかりました。｣

後ろから聞こえた声に
足を止める事なく

コツ‥コツ‥という
足音を響かせた

.

車の横に寄り掛かり
煙草を吹かす

携帯電話で話しを
している峯の声を
耳に入れながら

事件について
思考を巡らした

(わからねぇ………

犯人の、目的が。)

.

理由もなく
只、無差別に、誘拐を
繰り返しているのか

それとも―――

何かが必要なのか

どちらにしても
放ってはおけない

(せめて、被害者の
生死だけでも
確認したいものだ…)

.

行方不明になった
被害者の家族に
その生死だけでも
伝えてやりたい

今でも、生きている
と信じて帰りを待つ者や

もう､死んでしまったのか
と絶望を感じている者に

せめてそれだけ――…

.

｢………警部！」

少し離れた場所から
呼ばれるのが聞こえた

声がした方へ顔を向ける

｢早急に数名が
調べに来るそうですよ。
‥‥どうします？」

こちらに向かいながら
峯は俺に問い掛けた

.

｢俺等が居ても
役に立たねーだろ。
行くぞ。｣

｢そうっスね。｣

お互い同意しながら
車へと乗り込む

｢…何か解りますかね｣

シートベルトを
締めながら
峯が俺に尋ねる

.

｢あまり期待は
出来ねーな。
見落としてた奴らが
調べんだから。｣

｢またそう言う事を…
仕方ないっスよ、
全部似たような
現場なんですから。
見落としの一つや二つ
ありますって。」

苦笑いしながら言う峯に
ふん、と鼻で笑う

.

｢それが90箇所も
あっちゃ、たまんねーな｣

皮肉を言った俺は
苛々を治める為に
煙草を取り出した

最後の一本だ

｢警部……最近、
量増えてますよ？」

.

峯が横目で俺を見ながら
心配そうな顔をしている

｢家で吸えねーんだから
仕方ねえだろ。｣

｢娘さんですか？｣

｢嫁もだ」

｢それキツイっスね｣

はは、と笑う奴を無視し
最後の一本に火を付ける

.

｢……この事件、」

ぼそり、と俺が
口を開くと
峯は無言で先を待つ

｢いつまで、

続くんだろうな」

ふ、と自嘲気味に
笑ってみる

.

この事件が
公表されてから、
人々を襲ったのは

次に誰が狙われるか
わからない､恐怖感

.

もしかしたら、
自分かもしれない

自分の、
大切な人かもしれない

そんな不安を胸に

今の人々は
生きているのだ

.

それは警察と言えど
関係なくて、

俺にも家族がいるのだ

不安に駆られるのは
当然の事。

早く、事件が解決し
この不安から逃れたい
という気持ちは
日々、増してゆく

.

俯いた俺は
両手をぐ、と握り締めた

どうしようもない不安に
胸が一杯になる

重い空気が流れる車内

沈黙を破ったのは
峯だった

｢何言ってんスか。
俺達が、これを
止めるんでしょう」

.

その言葉に呆気に取られ
身体中の力が抜けた

｢何他人事みたいに
言ってるんですか。
俺達が１日でも早く
犯人を見つけて、
皆を安心させるんですよ｣

そうでしょう？と
笑いながら聞く峯に
つられて俺も
笑みを零した

.

｢――――そうだな。」

(その通りだ。
俺が弱気になって
どうする)

肩の力を抜き
くわえてた煙草を見ると
半分ほど灰になっている

慌てて灰皿に詰め込み
落下を防いだ

.

ふぅ、と息を吐き
運転席に視線を移す

(後輩に
喝を入れられるなんて
俺もまだまだだな…)

｢ありがとう、峯｣

不安を取り除いてくれた
後輩に素直に礼を言った

.

峯はというと

｢え、何がっスか？｣

と、言いながら
きょとんとした顔を
していた

(…………こいつ…)

あまりの阿呆さに
怒りを覚えたが
今日だけは見逃して
やることにした

(次はないと思え)

.

未だに？を浮かべてる
峯に溜息をつく。
目線を前に戻し
"馬鹿野郎"
と吐き捨てた後

｢絶対、犯人捕まえるぞ｣

決意を新たに

｢ｰｰｰｰ！……はいっ！｣

俺は動き出す

.

しかし―――――

￣￣￣￣￣￣￣
20XX年11月06日
峯龍一 (２４)
職業：警察官

行方不明
（現在捜索中）
＿＿＿＿＿＿＿

峯が行方不明に

なったのは、

それから数日後の

出来事だった―――――

.

‐‐‐‐‐‐‐‐

今日はここまでに
します(＊¨)b★

アンカー貼ります

！

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐

第１章～第４章
>>452

第５章(執筆中

)
>>454-475
>>481-543

‐‐‐‐‐‐‐‐

この小説面白過ぎます

これからも頑張って下さい

‐‐‐‐‐‐‐‐
>>546 匿名さま＿

おもしろい…………
そう言っていただけて
凄く嬉しいです

書いてて良かったな

と、思います(､∀`)

私の文章力では
理解しづらい部分が
あると思うのですが、
大丈夫ですか？?

意味不明なとこがあれば
言ってください(｀･･)

‐‐‐‐‐‐‐‐

全然理解できます

更新楽しみに待ってます

え－､やばい面白いです｡続きが物凄く気になります!!頑張って下さい!

‐‐‐‐‐‐‐‐
>>548 匿名さま＿

本当ですか！?

もしわからない事があれば
気軽に質問してください

>>549 黒猫さま＿

ありがとうございます！

期待に応えられるような
ものになるかわかりませんが…
更新頑張りますね

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐

第１章～第４章
>>452

第５章(執筆中

)
>>454-475
>>481-543

‐‐‐‐‐‐‐‐

頑張ってください

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>552 骸さま＿

>>553 えりちぁﾝさま＿

いつも励ましの言葉
ありがとうございます

心の支えです(＊P_;`)

更新します！

‐‐‐‐‐‐‐‐

――――――――
―――――

冬を伝える冷たい風が
肌を刺激する

ピリピリと痛いくらいの
寒さに身を縮こませた

車が横を擦り抜けると
余計に風が強くなる

それでも足は止めず
一カ所に向けて
俺は歩き続けた

.

少し入り組んだ道を
同じリズムで進んで行く

いつの間にか車の音は
聞こえなくなっており
風が擦り抜ける音だけが
脳に響いていた

歩き続けて数分経った後
見覚えのある物が
置かれているのに気付いた

.

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>557-558 骸さま＿

すみません、
寝てしまいました

応援感謝です

(.＿･)ﾉ

更新します

‐‐‐‐‐‐‐‐

それは、そこで
何かがあったのだと
知らせる黄色い仕切り

近付いてみると
そこには血痕が。

先日見た風景と重なり
同じ場所に来てしまった
のではないかと錯覚する

.

更新されてる頑張ｯて

只、先日と決定的に

違う点は

その血痕の主が、

つい最近まで

俺の隣にいた奴だと

いうこと――――

.

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>561 えりちぁﾝさま＿

ありがとうございます！
沢山更新できるように
頑張ります(∀d)

!

‐‐‐‐‐‐‐‐

｢……………峯…｣

主の名前を呟いてみるが
その小さな声は
風の音によって
掻き消されていった

いつも"はい？"と
おちゃらけて返事する
アイツが、いない―――

.

目の前に広がる
赤い染みが

"彼の喪失"を突き付ける

―――――ガッ！！

.

鈍い音と共に
壁に叩き付けた拳から
血が滲み出る

｢…馬鹿野郎が…っ…｣

押さえ切れない怒りが
ふつふつと湧き出る

それは、何に対する
怒りなのか――――

いなくなった彼になのか

不甲斐ない自分になのか

.

(一緒に捕まえるって
言ったじゃねえか)

何、お前が
被害に遇ってんだよ

｢……情けねえ…｣

そう言った俺の声も
酷く情けなかった

.

―――――ガサ、

ポケットから
未開封の煙草を取り出す

開きかけた途端、

過去の記憶が
蘇えってきた

.

｢………警部、
また煙草ですか？
身体壊しますよ？」

｢余計なお世話だ。｣

｢お世話もしたく
なりますって！

"死んだら元も子も
ないんですから"」

―――――
―――――――――

奴の言葉を思い出し
ふ、と自嘲気味に笑う

(確かに……死んだら
元も子もねーな……)

暫く箱を見つめた後

――――グシャッ、

それを力強く握り潰した

.

生憎、ニコチンなんぞに
くれてやる命はなくなった

この命に換えても

(犯人は、必ず
俺が捕まえる―――)

.

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>572 骸さま＿

ありがとうございます

+ﾟ

‐‐‐‐‐‐‐‐

主さん、無駄レス本当に失礼します。

>>572の骸さん、書き込みが多過ぎて邪魔です
元『馨』でしょ？
はっきり言って迷惑です
もう少し考えてレスしたらどうですか？

私のこのレスも無駄で邪魔ですが…余りにも頻繁に目にするので一言言いたかったんです。

小説の邪魔してしまってすいません。楽しく読ませてもらってるので頑張って下さいね。

―――――――――
――――――

薄暗い部屋の一角で
ブラウン管から
洩れる光が、
一つの影を照らしている

『行方不明になった
峯龍一さんの血痕が
昨夜発見されました。
しかし遺体は見付からず
現在、
警察が捜索中でｰｰｰｰｰ』

映し出された女性が
淡々とニュースを話す

.

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>574 匿名さま＿

御意見ありがとうございます！

応援もしてもらい、
嬉しいです

a･T･｡)
更新頑張りますね

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐
皆様へ

応援してもらえるのは
凄く励みになり、嬉しく思っているのですが
小説が見づらくなってしまうのは皆様にとって困ると思います

なので、区切りの良い所でアンカーを貼りますので
書き込みはそれからにしてもらいたいです…
勝手言ってすいません

なるべく更新頑張りますので
最近までお付き合い頂けたら嬉しいです

</font>
‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>577 タグミス

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐

第１章～第４章
>>452

第５章(執筆中

)
>>454-543
>>555-571

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐

更新します(＊¨)b

‐‐‐‐‐‐‐‐

それを見ていた
一つの影が
くすくす、と笑った

｢…警察も、馬鹿ね。｣

妖しい笑みを見せる女
‥‥‥桜井なつは、
頬杖をつきながら
光を眺めている

.

｢…死体なんて、
見つかるはずがないのに｣

‥くすくす、くすくす‥

笑い続けるなつは
次に聞こえて来た言葉に
口を閉ざした

『やはり今回のものも
"神隠し"だと思われ、
警察は同一犯とみて
捜査しています。
私達は早く犯人が捕まり
平和が訪れることを
祈るばかりでｰｰｰｰｰｰ』

.

(…神隠し、ねえ…)

｢大層な名だな。｣

突然後から聞こえた声に
なつは振り向く事もせず
無表情のまま口を開いた

｢…………いたの。」

.

‥ｸｯｸｯ‥と笑う死神に
なつは鼻で笑い

｢まあ、間違っては
いないんじゃない？
"死神"だしね。｣

と、吐き捨てた

未だ喉で
笑っている死神に
苛立ちを感じながら
なつは立ち上がる

.

｢……行くんでしょう？｣

｢……………ああ。」

死神を軽く睨み付けると
身を翻し、
部屋から出て行ったｰｰｰｰ

一人残った死神は
その残像を見ている

.

>>574
書き込み多くてすいませんでも、『馨』って人ゎ知りません。すいません
書き込み最後にします。今まですいませんでした
主ｻﾝにも多大なご迷惑をおかけしました。

まあ、間違っては
いないんじゃない？

"死神"だしね―――‥

｢…ああ…君が、な…」

呟いた言葉は
闇に溶けていった

.

‐‐‐‐‐‐‐‐
>>587 骸さま＿

今までの応援の言葉は
本当に励みになりました

動源力でしたよ

書き込み

のときなら
全然してもらって
構いません(´･ω･`)

最後だなんて言わないで
くださいっ

これからも頑張りますので
最後まで見て頂けると
嬉しいです

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>586

一人残った死神は
じゃなくて
一人残ったなつは
じゃないですか？？

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>590 匿名さま＿

いえ、出て行ったのは
なつの方なので、
残っているのは
死神なんです

わかりにくくて
すみません(´･･)

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐

第１章～第４章
>>452

第５章(執筆中

)
>>454-543
>>555-571
>>581-588

‐‐‐‐‐‐‐‐

あげ
頑張ｯて㊦さぁい

更新待ｯてﾏｽ

‐‐‐‐‐‐‐‐
>>593-594 えりちぁﾝさま＿

あげと応援感謝します

いつもありがとうございます

みなさまへ＿

19日までテストの為に
勉強モードに入ります

なので本格的な更新は
19日の夜からになるので
ご理解頂けると嬉しいです

‐‐‐‐‐‐‐‐

↑そぉなﾝですか
今まで勝手に【頑張れ】とかゆｯててｽｲﾏｾﾝ
ﾃｽﾄ頑張ｯて㊦さいネ

‐‐‐‐‐‐‐‐
>>596 えりちぁﾝさま＿

いえいえ！
全然気にしてないですよ

私の方こそ、私用で
更新できなくてすみません…
勉強頑張りますね

ありがとうございます(･⌒･)b

`
テスト終わったら
更新しまくります！

‐‐‐‐‐‐‐‐

‐‐‐‐‐‐‐‐

第１章～第４章
>>452

第５章(執筆中

)
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