*THE GOD OF DEATH*
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#401 [ま-イ子]
これは何に対する懺悔?
父に? それとも、
――――この人に?
悔いる過去は
変わることをせず
彼女を苦しめ
あたしを蝕んでゆく
.
:08/01/08 15:17 :SH903i :C8JPCuP2
#402 [ま-イ子]
ぽたり。
頬に落ちたそれは
滑り落ち
液体であることを示す
ゆっくりと、
彼女の顔を見ると
ぐしゃぐしゃになった
泣き顔が
悲哀で溢れた瞳が
あたしの視線の先に。
.
:08/01/08 15:22 :SH903i :C8JPCuP2
#403 [ま-イ子]
(そんな眼で見ないで)
悲しみ 哀しみ 憎しみ
それらが混ざり合い
罪悪感へと、変わる
自然とあたしの瞳からも
雫が流れ落ちた
.
:08/01/08 15:26 :SH903i :C8JPCuP2
#404 [ま-イ子]
あたしがこの人を
憎めない理由は
もう一つあるのだ
この人は、あたしを
殺そうとしない
.
:08/01/08 15:28 :SH903i :C8JPCuP2
#405 [ま-イ子]
いくら憎しみを
与えられようとも
いくら痛みを
与えられようとも
この人は今まで
あたしを
殺そうとしなかった
.
:08/01/08 15:31 :SH903i :C8JPCuP2
#406 [ま-イ子]
必要最低限な
お金は与えるし
食料だって買っておく
理由なんて、
わかるはずはない
けれど、
(錯覚する)
.
:08/01/08 15:34 :SH903i :C8JPCuP2
#407 [ま-イ子]
:08/01/08 15:35 :SH903i :C8JPCuP2
#408 [ま-イ子]
そんなことない、と
考えてみるものの
それ以外の理由が
見つからないのも
また事実で。
幼い頃から
それだけを希望に
―――生きてきた
.
:08/01/08 15:39 :SH903i :C8JPCuP2
#409 [ま-イ子]
「‥‥ッ‥うっ‥‥う‥」
上から鳴咽が聞こえる
もちろん、それは
彼女のもので。
両手で顔を覆いながら
泣いている
いつの間にか足は
退けられていて
新鮮な酸素が身体に入る
でも、もうそんなことは
どうでもよかった
.
:08/01/08 16:00 :SH903i :C8JPCuP2
#410 [ま-イ子]
今、目の前で
泣いているのは
いつもの"あの人"
なんかじゃ、ない
こんなにも弱々しい
こんなにも、
何かを求めるような
瞳をしている
.
:08/01/08 16:06 :SH903i :C8JPCuP2
#411 [ま-イ子]
:08/01/08 16:09 :SH903i :C8JPCuP2
#412 [ま-イ子]
ぴくり、と反応し
彼女の鳴咽が途絶えた
(-----戻って)
優しい頃の貴女に
(-----戻って)
夫を純粋に
愛していた貴女に
.
:08/01/08 16:23 :SH903i :C8JPCuP2
#413 [ま-イ子]
あたしの願いを
知ってか知らずか
顔を覆っていた手が
徐々に離れていく
そこに、あったのは
母の冷めた瞳と、
無表情な顔
.
:08/01/08 16:29 :SH903i :C8JPCuP2
#414 [ま-イ子]
「‥‥‥‥‥ぇ‥‥」
さっきまでの"母"は?
あたしの、お母さん…
―――――ガッ!
「っ痛…ッ!」
突然髪の毛を掴まれ
痛さに顔が歪む
.
:08/01/08 22:36 :SH903i :C8JPCuP2
#415 [ま-イ子]
ぐい、と持ち上げられ
母との距離が近くなった
「‥今、何て言った‥?」
未だ無表情のまま
あたしに問い掛ける
「…っ………ゃ、…」
緊張と恐怖で声が出ない
「今何て言ったって
聞いてんだよ!」
.
:08/01/08 23:11 :SH903i :C8JPCuP2
#416 [ま-イ子]
――――ガンッ!
鈍い音が室内に響く
頭を壁に打ち付けられ
痛みを通り越して
何も、感じない
(‥何が‥起こったの?)
思考回路を
閉ざされた脳は
現在を理解出来ずにいた
.
:08/01/08 23:21 :SH903i :C8JPCuP2
#417 [ま-イ子]
「…"お母さん"…だって?
……………ふ、………
…あははははははは!!」
突如大声で笑い始めた母
あたしはそれを
只、黙って見上げるしか
出来ない
「あはははは!、………」
ぴたり、と笑い声が止み
母の顔が歪んでゆく
.
:08/01/08 23:32 :SH903i :C8JPCuP2
#418 [ま-イ子]
「…また…………」
一気に声が低くなり
恐怖が増幅する
「また"お母さん"だなんて
言ったら、あんたなんか
殺してやる!」
(――---今、何て…?)
.
:08/01/08 23:36 :SH903i :C8JPCuP2
#419 [ま-イ子]
見開かれた目に映るのは
鬼の様な形相の母
―――――どうして、
只、呆然としている
あたしを睨みながら
母は言葉を続ける
その言葉で、
全ての謎が解けた
.
:08/01/08 23:40 :SH903i :C8JPCuP2
#420 [ま-イ子]
「もう二度と、
"あの人の顔で"
お母さんだなんて
言うんじゃないよ!」
(――--そういうことか)
.
:08/01/08 23:45 :SH903i :C8JPCuP2
#421 [ま-イ子]
以前探し物をしてた時に
偶然発見したアルバム
それには幸せそうな
父と母が写っていた
(本当に幸せそうだった)
その時初めて見た
父の顔に驚愕した
.
:08/01/08 23:58 :SH903i :C8JPCuP2
#422 [ま-イ子]
なぜなら、その顔は
あたしと
恐ろしく似ていたから
.
:08/01/09 00:01 :SH903i :JMqgoNq2
#423 [ま-イ子]
つまり、こういうこと
あたしは"この人"に
愛されていたわけじゃ
なかったんだ
.
:08/01/09 00:03 :SH903i :JMqgoNq2
#424 [ま-イ子]
只、父と似ている
あたしを
憎み、愛しく想い
傷付け、束縛し
その存在を
確かめていたんだ
.
:08/01/09 00:07 :SH903i :JMqgoNq2
#425 [ま-イ子]
殺さなかったのもあの悲しそうな瞳も
"母"と言った事に
憤怒したことも
全 て が 繋 が る
.
:08/01/09 00:11 :SH903i :JMqgoNq2
#426 [ま-イ子]
この人は、
あたしなんか
見ていなかった
ずっと今まで
父を重ね
父だけを見て
父だけを望んだのだ
.
:08/01/09 00:14 :SH903i :JMqgoNq2
#427 [ま-イ子]
殺さなかったんじゃない
――殺せなかったのだ
自分の自己満足の為に
それだけの為に
あたしは"生かされていた"
.
:08/01/09 00:16 :SH903i :JMqgoNq2
#428 [ま-イ子]
「…………ふふ、……」
(なんて、滑稽なの)
何事だ、というような眼で
あたしを見る母に微笑む
(なんて、愚かなの
貴女も……あたしも…)
.
:08/01/09 00:25 :SH903i :JMqgoNq2
#429 [ま-イ子]
愛されていなかった
所詮この人も、
自分の為に
あたしを――――--
あたしは、何の為に ?
何 の 為 、 に
産 ま れ た の
.
:08/01/09 00:28 :SH903i :JMqgoNq2
#430 [ま-イ子]
:08/01/09 00:30 :SH903i :JMqgoNq2
#431 [ま-イ子]
「…ふ、…あはははははははははは!!」
笑い出すあたしを見て
目を見開く彼女
先程とは逆の立場に
満足感を覚えた
溢れ出る、
笑いが止まらない
.
:08/01/09 00:36 :SH903i :JMqgoNq2
#432 [ま-イ子]
「…………ひっ…!」
母は初めて見る
あたしの豹変ぶりに
恐怖を覚えたのか
放る様にあたしを床へ
投げ付け、後退る
(……おもしろい、
おもしろいよ………)
.
:08/01/09 00:42 :SH903i :JMqgoNq2
#433 [ま-イ子]
這い蹲る体勢から
起き上がろうと
手を動かした
ぬるり。
顔を上げると
赤い液体が点々とある
不思議に思い
頭に手をやると
ズキッ、とした痛みと共に
手が赤く染まった
.
:08/01/09 00:50 :SH903i :JMqgoNq2
#434 [ま-イ子]
(…ああ、さっきの…)
壁に打った時に
切ったのだろう
今まで気付かなかった
じっ、と手を見つめる
これを染めてるのは
…赤、 朱、 紅 ……
.
:08/01/09 00:56 :SH903i :JMqgoNq2
#435 [ま-イ子]
にんまり、と
口角が上がる
上体を起こし彼女を
前髪の隙間から見ると
未だ目を見開き
怯えていた
「――…どうしたの‥?」
あたしが口を開くと
彼女の身体が
びくり、と跳ねた
.
:08/01/09 01:01 :SH903i :JMqgoNq2
#436 [ま-イ子]
「何を、そんなに
怯えているの……?」
微笑みながら
四つん這いで
彼女に近付く
「……こ、な…い で‥」
震える足で後退りながら
途切れ途切れに
言葉を紡ぎ出している
.
:08/01/09 01:05 :SH903i :JMqgoNq2
#437 [ま-イ子]
それでもあたしは
確実に近づいて行く
―--ずる、ずる、
顔を青白くした彼女は
腰を抜かしたのか
その場に尻餅をついた
「----や、……いや…」
首を横に振りながら
尚もあたしから
離れようとする
.
:08/01/09 01:11 :SH903i :JMqgoNq2
#438 [ま-イ子]
彼女まであと数歩
「…ねえ、見て……
……綺麗でしょう…?」
血がべっとりと着いた
左手を見せる
震える彼女の瞳には
映っていないけれど
「‥好き、よね‥赤‥」
.
:08/01/09 01:15 :SH903i :JMqgoNq2
#439 [ま-イ子]
伸ばした左手で
彼女の頬に触れた
あたしが指を滑らすと
そこには赤い曲線が
「あたしが、今……
染めてあげる」
.
:08/01/09 01:20 :SH903i :JMqgoNq2
#440 [ま-イ子]
この日から、
あたしの中で
何かが変わった
:08/01/09 01:22 :SH903i :JMqgoNq2
#441 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
第4章 狂変
終わりました!
長かった… ←
久しぶりにたくさん
更新いたしました
今からアンカー貼ります‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/09 01:25 :SH903i :JMqgoNq2
#442 [ま-イ子]
:08/01/09 01:30 :SH903i :JMqgoNq2
#443 [極◆UVERtV6RnU]
更新たくさん遅くまでお疲れさまでしたI
読んでてめっちゃ楽しかったですP
また次もがんばってくださいツ
おやすみなさいM
:08/01/09 01:33 :W51S :8FMcJ2HA
#444 [ま-イ子]
:08/01/09 01:34 :SH903i :JMqgoNq2
#445 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
4章長すぎた
勝手ながら、
区切らせていただきました‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/09 01:35 :SH903i :JMqgoNq2
#446 [ま-イ子]
:08/01/09 01:40 :SH903i :JMqgoNq2
#447 [ま-イ子]
:08/01/09 02:10 :SH903i :JMqgoNq2
#448 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
見づらい、などの意見
受け付け中です!‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/09 19:54 :SH903i :JMqgoNq2
#449 [我輩は匿名である]
いえいえッット
とッても見やすいです
:08/01/09 20:35 :W51S :8FMcJ2HA
#450 [骸]
4章終わったンですね~面白かったです続きも頑張ってくださいx
:08/01/09 20:49 :W51S :ah2CTXtU
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