*THE GOD OF DEATH*
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#362 [まーイ子]
――――――‥
「じゃあ、また‥‥」
あの後、二人で一緒に
屋上で過ごし
下校時間を向かえ
今に至る
正面にいる優真は
少し弱々しく微笑み
言葉を濁らせた
「‥まだ気にしてるの?」
.
:07/12/22 21:27 :SH903i :eLHisyTA
#363 [まーイ子]
優真が気にしていること
それは――――‥
「怒鳴ったことなんて
気にしてないよ」
あたしに対して
怒りを感じ、怒鳴ったこと
(‥優し過ぎるのも
問題かな)
小さく笑みを零すと
うん、という声が
聞こえて来た
.
:07/12/22 21:31 :SH903i :eLHisyTA
#364 [我輩は匿名である]
「気をつけて、帰れよ」
それだけ告げると
優真は反対方向に
歩いて行った
響く足音が今日は
何だか心地良くて
耳を澄ませて聴いてみる
ふと、音が止み
不思議に思ったあたしは
その主に眼を向けた
.
:07/12/23 00:10 :SH903i :OEEpCAWE
#365 [馨]
頑張ってくださいx続きを楽しみに待ってます
:07/12/27 00:02 :W51S :9C6u1luQ
#366 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>365 馨さま_
ありがとうございます!
すみません、体調を
崩してしまいました
回復してきたので、
更新がんばっていきたいと
思います(∵)‐‐‐‐‐‐‐‐
:07/12/30 09:57 :SH903i :n3rkYYwc
#367 [ま-イ子]
「‥‥‥‥ぇ‥」
この眼に、映ったものは
曲がり角の前で足を止め
こっちを向いて
あたしに手を振る優真
いつも この場所で別れ
同じ言葉を言い合い
優真の背中を見送る
付き合い始めてから
ずっと そうだった
.
:07/12/30 11:06 :SH903i :n3rkYYwc
#368 [ま-イ子]
今まで、一度たりとも
優真がこの道を
振り返ったことなんて、
在りはしないのに
(‥ど‥して‥‥?)
見えなくなる最後まで
優真の手は、
あたしを向いていた
.
:07/12/30 17:30 :SH903i :n3rkYYwc
#369 [サキ]
更新されてる∩ー`)
最後まで応援してます
:07/12/30 18:44 :P902i :oNhrgZ6I
#370 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>369 サキさま_
お待たせして
申し訳ありません
こんな亀更新な小説に
お付き合いいだだいて
感謝します(・ ̄`)ノ‐‐‐‐‐‐‐‐
:07/12/30 21:54 :SH903i :n3rkYYwc
#371 [ま-イ子]
本当は、毎日
怖 か っ た
この道を優真が通るのが
酷く恐ろしくて。
押し込んだ言葉は
" い か な い で "
.
:08/01/02 00:04 :SH903i :dab.kL1k
#372 [ま-イ子]
背筋に走る悪寒
高鳴る鼓動
優真を狙う死神
瞳に残る彼の残像
すべてが、光と化してゆく
.
:08/01/02 00:15 :SH903i :dab.kL1k
#373 [ま-イ子]
もう、あたしは
死神(あいつ)なんかに
怯えたりしない
優真が全部
あたしの不安を
取り除いてくれたから
も う 恐 れ な い
.
:08/01/02 01:15 :SH903i :dab.kL1k
#374 [我輩は匿名である]
面白いです……面白いッテ言っていいのか分かりませんが…(人が沢山死ぬので
)
さっき全て読み終えました。これからも頑張ってください
:08/01/02 01:21 :P902iS :cbFiBnQ.
#375 [ま-イ子]
瞳から溢れそうになる
何かを堪え拳を握る
(そうだ、今日は
あいつから何かを
聞き出そう)
今までのあたしなら
有り得ない程
軽い足取りで、
家へと身を翻した
.
:08/01/02 01:22 :SH903i :dab.kL1k
#376 [ま-イ子]
:08/01/02 01:28 :SH903i :dab.kL1k
#377 [ま-イ子]
―――――――‥
……ドカァ!
「ぅぐ、っ‥‥!‥」
腹部への衝撃に
堪えられず声が洩れた
痛みが押し寄せるそこを
両腕で抱えながら
床で悶え苦しむ
.
:08/01/02 01:37 :SH903i :dab.kL1k
#378 [ま-イ子]
そんなあたしを
冷ややかな目で
見下ろしているのは、
「ふふ‥‥滑稽ね‥」
"あ の 人" だ
.
:08/01/02 01:41 :SH903i :dab.kL1k
#379 [ま-イ子]
今現在、あたし達が
いるのは家の居間
日が沈みかけ
この空間を
真っ赤に染めている
照らされるあの人は
不本意ながら
綺麗に見えた
(だって、赤は‥‥)
.
:08/01/02 01:48 :SH903i :dab.kL1k
#380 [ま-イ子]
そんなあの人とは相対し
部屋の中は荒れていた
物は散らばり
椅子は倒れ
壁や床には大きい傷
それが
真っ赤なものだから
大量虐殺でも
行われたのではないかと
錯覚してしまう
.
:08/01/02 01:57 :SH903i :dab.kL1k
#381 [我輩は匿名である]
主サンの思うように書かれたらいいですよぉ
ハッピーエンドでも、悲しい終わりになっても…(笑)
私は読ませていただいているだけなので……
これからも読ませて頂くつもりなので…頑張って完結してくださいね
カゲながら応援してます
:08/01/02 02:09 :P902iS :cbFiBnQ.
#382 [ま-イ子]
:08/01/02 09:32 :SH903i :dab.kL1k
#383 [ま-イ子]
(‥‥なんで‥‥
こんな、ことに‥‥)
朦朧とする意識の中で
これまでの
経緯を思い出す
―――そうだ、あの後
優真と別れ家へと
向かう途中に、
あたしは異変に気付いた
.
:08/01/02 09:47 :SH903i :dab.kL1k
#384 [ま-イ子]
(‥見られて、る‥?)
―――視線を感じた
獲物を狙うような
そんな視線を感じる
しかし、あたしは
(気のせいだろう)
浮かれすぎていて
そんなこと気にも止めず
足を進めた
.
:08/01/02 09:53 :SH903i :dab.kL1k
#385 [ま-イ子]
目標地点にたどり着き
あたしは扉を開いた
「――――――ッ!!」
一瞬にして息を呑む
大きく開かれた
瞳の先には
"あの人"が立っていた
.
:08/01/02 10:02 :SH903i :dab.kL1k
#386 [ま-イ子]
突然の出来事に
心臓は速度を増し
あたしは固まる
今まで軽かった足は
地に縫い付けた様に
全く動かなくなった
瞳孔が開かれた瞳に
映るあの人の唇が
動き始める
「‥随分と、
楽しそうね? なつ 」
.
:08/01/02 10:08 :SH903i :dab.kL1k
#387 [ま-イ子]
―――――ゾクッ!
有り得ない、
この人があたしの名を
呼ぶなんて
有り得ない
(何を‥‥‥‥)
全身から吹き出る汗
小刻みに奮え出す身体
全てがこの人を拒絶する
.
:08/01/02 10:13 :SH903i :dab.kL1k
#388 [ま-イ子]
焦るあたしとは裏腹に
彼女はくすくす、と
顎に手を添え笑う
「‥なつ‥‥
あなたは、今、」
区切られた言葉
緊張感が増し
肺が圧迫され苦しい
「‥あなたは今、
幸 せ ?
」
.
:08/01/02 16:27 :SH903i :dab.kL1k
#389 [ま-イ子]
:08/01/02 16:29 :SH903i :dab.kL1k
#390 [ま-イ子]
(――――――ッ!!)
そういうこと、か
" 見 ら れ て い た "
優真といるあたしの姿を
―――嗚呼、今日も
ツイてない日だ
.
:08/01/02 16:34 :SH903i :dab.kL1k
#391 [ま-イ子]
―――-----
その後は
今現在の状況を見れば
理解できるだろう
"あの人"をちらり、と
見上げると
その顔は鬼の様で
彼女が怒り狂っているのが
見て取れた
.
:08/01/06 22:01 :SH903i :aJxCIWoE
#392 [ま-イ子]
多少楽になった肺に
少しずつ酸素を送り込む
呼吸する度に
痛む身体を反転させ
仰向けになった
腹部に手を沿え
思い切り空気を吸う
――ドスン!
.
:08/01/06 22:08 :SH903i :aJxCIWoE
#393 [ま-イ子]
「―---ッ、がはっ!」
手の上から踏み付けられ
重なる痛みに
意識が飛びそうになった
「‥苦しいの?なつ‥
大丈夫よね?
あなたには‥‥‥‥
心の支えがあるんだもの」
先程までの形相からは
想像も出来ないくらい
優しい声で
あたしの上から囁く
.
:08/01/06 22:14 :SH903i :aJxCIWoE
#394 [ま-イ子]
----"心の支え"とは
つまり、優真のこと
退く気配のない足は
更に重みを増していく
力強く押さえ付けられ
まともな声が出ない
声が続く
「‥あたしからは
全てを奪っておいて‥
あなたは、
幸せになるの‥?」
.
:08/01/06 22:20 :SH903i :aJxCIWoE
#395 [ま-イ子]
悲しげな、寂しげな
そんな声で
彼女はあたしに問う
(----そんなんじゃ、)
ない、とは
言い切れない
だって"この人"の
言っていることは
間違っていないのだから
.
:08/01/06 22:23 :SH903i :aJxCIWoE
#396 [ま-イ子]
見られたのだ
この人の瞳には
"幸せ"なあたしが映った
(何も、言い返せない)
もうこの行為が
早く終わる事を
静かに願った
.
:08/01/07 13:50 :SH903i :5Usbk9Mo
#397 [ま-イ子]
そんなあたしの
心とは裏腹に
止まない声が
耳を刺激する
「貴女のせいで、
あの人は死んだのよ‥
貴女が‥貴女が‥‥ 」
ぶつぶつ、と呟き声で
話す"あの人"の眼は
恐ろしい程濁っていた
.
:08/01/07 14:15 :SH903i :5Usbk9Mo
#398 [ま-イ子]
「貴女が
産まれたから!
あの人は死んだ!」
突然大きくなった声に
びくり、と身体が
反応する
それと同時に
心に何かが突き刺さった
ぐさり。
.
:08/01/07 14:19 :SH903i :5Usbk9Mo
#399 [ま-イ子]
それは、じわじわと
あたしの中を蝕む
―――ごめんなさい‥
.
:08/01/07 14:21 :SH903i :5Usbk9Mo
#400 [ま-イ子]
「それなのに、
貴女は幸せに‥?」
口元を引き攣らせ
拳を握り奮わせている
「そんなの
絶対許さない!」
―――ごめんなさい‥
.
:08/01/07 14:28 :SH903i :5Usbk9Mo
#401 [ま-イ子]
これは何に対する懺悔?
父に? それとも、
――――この人に?
悔いる過去は
変わることをせず
彼女を苦しめ
あたしを蝕んでゆく
.
:08/01/08 15:17 :SH903i :C8JPCuP2
#402 [ま-イ子]
ぽたり。
頬に落ちたそれは
滑り落ち
液体であることを示す
ゆっくりと、
彼女の顔を見ると
ぐしゃぐしゃになった
泣き顔が
悲哀で溢れた瞳が
あたしの視線の先に。
.
:08/01/08 15:22 :SH903i :C8JPCuP2
#403 [ま-イ子]
(そんな眼で見ないで)
悲しみ 哀しみ 憎しみ
それらが混ざり合い
罪悪感へと、変わる
自然とあたしの瞳からも
雫が流れ落ちた
.
:08/01/08 15:26 :SH903i :C8JPCuP2
#404 [ま-イ子]
あたしがこの人を
憎めない理由は
もう一つあるのだ
この人は、あたしを
殺そうとしない
.
:08/01/08 15:28 :SH903i :C8JPCuP2
#405 [ま-イ子]
いくら憎しみを
与えられようとも
いくら痛みを
与えられようとも
この人は今まで
あたしを
殺そうとしなかった
.
:08/01/08 15:31 :SH903i :C8JPCuP2
#406 [ま-イ子]
必要最低限な
お金は与えるし
食料だって買っておく
理由なんて、
わかるはずはない
けれど、
(錯覚する)
.
:08/01/08 15:34 :SH903i :C8JPCuP2
#407 [ま-イ子]
:08/01/08 15:35 :SH903i :C8JPCuP2
#408 [ま-イ子]
そんなことない、と
考えてみるものの
それ以外の理由が
見つからないのも
また事実で。
幼い頃から
それだけを希望に
―――生きてきた
.
:08/01/08 15:39 :SH903i :C8JPCuP2
#409 [ま-イ子]
「‥‥ッ‥うっ‥‥う‥」
上から鳴咽が聞こえる
もちろん、それは
彼女のもので。
両手で顔を覆いながら
泣いている
いつの間にか足は
退けられていて
新鮮な酸素が身体に入る
でも、もうそんなことは
どうでもよかった
.
:08/01/08 16:00 :SH903i :C8JPCuP2
#410 [ま-イ子]
今、目の前で
泣いているのは
いつもの"あの人"
なんかじゃ、ない
こんなにも弱々しい
こんなにも、
何かを求めるような
瞳をしている
.
:08/01/08 16:06 :SH903i :C8JPCuP2
#411 [ま-イ子]
:08/01/08 16:09 :SH903i :C8JPCuP2
#412 [ま-イ子]
ぴくり、と反応し
彼女の鳴咽が途絶えた
(-----戻って)
優しい頃の貴女に
(-----戻って)
夫を純粋に
愛していた貴女に
.
:08/01/08 16:23 :SH903i :C8JPCuP2
#413 [ま-イ子]
あたしの願いを
知ってか知らずか
顔を覆っていた手が
徐々に離れていく
そこに、あったのは
母の冷めた瞳と、
無表情な顔
.
:08/01/08 16:29 :SH903i :C8JPCuP2
#414 [ま-イ子]
「‥‥‥‥‥ぇ‥‥」
さっきまでの"母"は?
あたしの、お母さん…
―――――ガッ!
「っ痛…ッ!」
突然髪の毛を掴まれ
痛さに顔が歪む
.
:08/01/08 22:36 :SH903i :C8JPCuP2
#415 [ま-イ子]
ぐい、と持ち上げられ
母との距離が近くなった
「‥今、何て言った‥?」
未だ無表情のまま
あたしに問い掛ける
「…っ………ゃ、…」
緊張と恐怖で声が出ない
「今何て言ったって
聞いてんだよ!」
.
:08/01/08 23:11 :SH903i :C8JPCuP2
#416 [ま-イ子]
――――ガンッ!
鈍い音が室内に響く
頭を壁に打ち付けられ
痛みを通り越して
何も、感じない
(‥何が‥起こったの?)
思考回路を
閉ざされた脳は
現在を理解出来ずにいた
.
:08/01/08 23:21 :SH903i :C8JPCuP2
#417 [ま-イ子]
「…"お母さん"…だって?
……………ふ、………
…あははははははは!!」
突如大声で笑い始めた母
あたしはそれを
只、黙って見上げるしか
出来ない
「あはははは!、………」
ぴたり、と笑い声が止み
母の顔が歪んでゆく
.
:08/01/08 23:32 :SH903i :C8JPCuP2
#418 [ま-イ子]
「…また…………」
一気に声が低くなり
恐怖が増幅する
「また"お母さん"だなんて
言ったら、あんたなんか
殺してやる!」
(――---今、何て…?)
.
:08/01/08 23:36 :SH903i :C8JPCuP2
#419 [ま-イ子]
見開かれた目に映るのは
鬼の様な形相の母
―――――どうして、
只、呆然としている
あたしを睨みながら
母は言葉を続ける
その言葉で、
全ての謎が解けた
.
:08/01/08 23:40 :SH903i :C8JPCuP2
#420 [ま-イ子]
「もう二度と、
"あの人の顔で"
お母さんだなんて
言うんじゃないよ!」
(――--そういうことか)
.
:08/01/08 23:45 :SH903i :C8JPCuP2
#421 [ま-イ子]
以前探し物をしてた時に
偶然発見したアルバム
それには幸せそうな
父と母が写っていた
(本当に幸せそうだった)
その時初めて見た
父の顔に驚愕した
.
:08/01/08 23:58 :SH903i :C8JPCuP2
#422 [ま-イ子]
なぜなら、その顔は
あたしと
恐ろしく似ていたから
.
:08/01/09 00:01 :SH903i :JMqgoNq2
#423 [ま-イ子]
つまり、こういうこと
あたしは"この人"に
愛されていたわけじゃ
なかったんだ
.
:08/01/09 00:03 :SH903i :JMqgoNq2
#424 [ま-イ子]
只、父と似ている
あたしを
憎み、愛しく想い
傷付け、束縛し
その存在を
確かめていたんだ
.
:08/01/09 00:07 :SH903i :JMqgoNq2
#425 [ま-イ子]
殺さなかったのもあの悲しそうな瞳も
"母"と言った事に
憤怒したことも
全 て が 繋 が る
.
:08/01/09 00:11 :SH903i :JMqgoNq2
#426 [ま-イ子]
この人は、
あたしなんか
見ていなかった
ずっと今まで
父を重ね
父だけを見て
父だけを望んだのだ
.
:08/01/09 00:14 :SH903i :JMqgoNq2
#427 [ま-イ子]
殺さなかったんじゃない
――殺せなかったのだ
自分の自己満足の為に
それだけの為に
あたしは"生かされていた"
.
:08/01/09 00:16 :SH903i :JMqgoNq2
#428 [ま-イ子]
「…………ふふ、……」
(なんて、滑稽なの)
何事だ、というような眼で
あたしを見る母に微笑む
(なんて、愚かなの
貴女も……あたしも…)
.
:08/01/09 00:25 :SH903i :JMqgoNq2
#429 [ま-イ子]
愛されていなかった
所詮この人も、
自分の為に
あたしを――――--
あたしは、何の為に ?
何 の 為 、 に
産 ま れ た の
.
:08/01/09 00:28 :SH903i :JMqgoNq2
#430 [ま-イ子]
:08/01/09 00:30 :SH903i :JMqgoNq2
#431 [ま-イ子]
「…ふ、…あはははははははははは!!」
笑い出すあたしを見て
目を見開く彼女
先程とは逆の立場に
満足感を覚えた
溢れ出る、
笑いが止まらない
.
:08/01/09 00:36 :SH903i :JMqgoNq2
#432 [ま-イ子]
「…………ひっ…!」
母は初めて見る
あたしの豹変ぶりに
恐怖を覚えたのか
放る様にあたしを床へ
投げ付け、後退る
(……おもしろい、
おもしろいよ………)
.
:08/01/09 00:42 :SH903i :JMqgoNq2
#433 [ま-イ子]
這い蹲る体勢から
起き上がろうと
手を動かした
ぬるり。
顔を上げると
赤い液体が点々とある
不思議に思い
頭に手をやると
ズキッ、とした痛みと共に
手が赤く染まった
.
:08/01/09 00:50 :SH903i :JMqgoNq2
#434 [ま-イ子]
(…ああ、さっきの…)
壁に打った時に
切ったのだろう
今まで気付かなかった
じっ、と手を見つめる
これを染めてるのは
…赤、 朱、 紅 ……
.
:08/01/09 00:56 :SH903i :JMqgoNq2
#435 [ま-イ子]
にんまり、と
口角が上がる
上体を起こし彼女を
前髪の隙間から見ると
未だ目を見開き
怯えていた
「――…どうしたの‥?」
あたしが口を開くと
彼女の身体が
びくり、と跳ねた
.
:08/01/09 01:01 :SH903i :JMqgoNq2
#436 [ま-イ子]
「何を、そんなに
怯えているの……?」
微笑みながら
四つん這いで
彼女に近付く
「……こ、な…い で‥」
震える足で後退りながら
途切れ途切れに
言葉を紡ぎ出している
.
:08/01/09 01:05 :SH903i :JMqgoNq2
#437 [ま-イ子]
それでもあたしは
確実に近づいて行く
―--ずる、ずる、
顔を青白くした彼女は
腰を抜かしたのか
その場に尻餅をついた
「----や、……いや…」
首を横に振りながら
尚もあたしから
離れようとする
.
:08/01/09 01:11 :SH903i :JMqgoNq2
#438 [ま-イ子]
彼女まであと数歩
「…ねえ、見て……
……綺麗でしょう…?」
血がべっとりと着いた
左手を見せる
震える彼女の瞳には
映っていないけれど
「‥好き、よね‥赤‥」
.
:08/01/09 01:15 :SH903i :JMqgoNq2
#439 [ま-イ子]
伸ばした左手で
彼女の頬に触れた
あたしが指を滑らすと
そこには赤い曲線が
「あたしが、今……
染めてあげる」
.
:08/01/09 01:20 :SH903i :JMqgoNq2
#440 [ま-イ子]
この日から、
あたしの中で
何かが変わった
:08/01/09 01:22 :SH903i :JMqgoNq2
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