*THE GOD OF DEATH*
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#454 [ま-イ子]
-・-第5章 捜査-・-
:08/01/09 23:45 :SH903i :JMqgoNq2
#455 [ま-イ子]
「………ふぅー…」
溜め息混じりに
息を吐き出すと
白い煙が空中を舞った
短くなった煙草を
灰皿に押し付け
逆の手に持っていた
資料に目を通す
「………妙な事件だ…」
.
:08/01/09 23:52 :SH903i :JMqgoNq2
#456 [ま-イ子]
―――ガチャッ
「あ、警部。
此処にいらしたんですか」
声のした方に
視線を向けると
スーツに身を包んだ
後輩が扉から
顔を出していた
「………何か用か」
.
:08/01/09 23:57 :SH903i :JMqgoNq2
#457 [ま-イ子]
直ぐに視線を戻し
吐き捨てる様に言うと
「そんな言い方しなくても
良いじゃないっスか」
男は苦笑いしながら
扉を閉め、俺の元へと
近付いて来た
「馬鹿野郎。
俺はお前の暇潰しに
構ってやる程
優しくもないし
暇でもねーんだよ」
.
:08/01/10 00:05 :SH903i :zb3FNp4s
#458 [ま-イ子]
「暇潰しって…………
…あ、これって
"例の事件"ですか?」
言いかけた言葉を止め
俺の後ろから
資料を覗き見る
「………………ああ。
どうも、謎だらけでな」
短く刈った頭を
ガシガシ、と掻きながら
資料を見る目を細めた
.
:08/01/10 00:16 :SH903i :zb3FNp4s
#459 [ま-イ子]
「…まあ…そうでなければ
犯人なんて
直ぐ捕まってますよ」
「そりゃそーだ。」
後輩の言葉に
納得させられた
(なんか悔しいな)
ギシ、という音を立てて
椅子から立ち上がり
扉へと向かう
「あれ、何処行くんすか?」
.
:08/01/10 00:20 :SH903i :zb3FNp4s
#460 [ま-イ子]
「現場検証だよ。
………お前も行くか?」
のけ反る形で
後ろの奴に聞くと
「いいんスか?」なんて
顔を輝かせている
(半分冗談だったんだが)
「……着いて来い。」
上着を翻し
部屋を後にした
.
:08/01/10 00:27 :SH903i :zb3FNp4s
#461 [ま-イ子]
俺の名前は
柳田 信司(ヤナギダ シンジ)
職業は、刑事
34歳 既婚者
(ちなみに、もうすぐ
三歳になる娘がいる)
と、自己紹介は
この辺にしておこう
.
:08/01/10 00:39 :SH903i :zb3FNp4s
#462 [ま-イ子]
「…そういえば、警部」
ああ、こいつは
俺の後輩の峯(ミネ)だ
(覚えやすいだろう)
ハンドルを握り
シートベルトを
締めている
「現場検証って……
何処行くんですか?」
.
:08/01/10 00:45 :SH903i :zb3FNp4s
#463 [ま-イ子]
「……そうだな。
一番最近起きた所が
いいだろう」
パラ、と資料をめくり
丸印が多々付いている
地図を見る
「北川ですね?
わかりました。」
エンジンが掛かり
車は走り出す
.
:08/01/10 00:52 :SH903i :zb3FNp4s
#464 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐※
この物語はフィクションなので
人物・場所などは
私の勝手な創りものです
※‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/10 00:55 :SH903i :zb3FNp4s
#465 [ま-イ子]
「…それにしても、本当に謎だらけな
事件ですね。」
数分の沈黙の後
峯が口を開いた
「…………ああ。
"連続誘拐事件"
今までにも何度か
起こった事件だか…
今回のは異例だ。」
.
:08/01/10 01:03 :SH903i :zb3FNp4s
#466 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>465
×起こった事件だか
〇起こった事件だが
すいません‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/10 01:07 :SH903i :zb3FNp4s
#467 [ま-イ子]
"連続誘拐事件"
連続と言っているものの
その被害の多さは
今までの比ではない
ここ半年近くで
約90人の被害が
出ているのだ
これは尋常では、ない
.
:08/01/10 01:13 :SH903i :zb3FNp4s
#468 [ま-イ子]
それに――――…「数だけでなく
今までと決定的に
違う点は
"誘拐する手口"だ。」
書類に留められていた
数枚の写真を眺める
.
:08/01/10 01:18 :SH903i :zb3FNp4s
#469 [ま-イ子]
この数カ月、俺達が
動かないわけがない
誘拐が行われる度に
辺りを捜索し
聞き込みをした
しかし、毎度毎度
見つかるのは――――
.
:08/01/10 01:24 :SH903i :zb3FNp4s
#470 [ま-イ子]
「被害者の、血痕だけだ。」
一枚の写真を
運転している峯に見せる
そこに写っているのは
大量の血に染まっている
コンクリート
横目でちらっと見た峯は
僅かに眉を寄せた
.
:08/01/10 01:29 :SH903i :zb3FNp4s
#471 [ま-イ子]
「その量では…もう…」
語尾を濁らせる峯の
言いたい事は、分かる
「手遅れだろうな」
ポケットから出した
煙草に火をつけながら
続きを代弁する
峯の顔が
明らかに曇った
.
:08/01/10 01:38 :SH903i :zb3FNp4s
#472 [ま-イ子]
「…気にしてるのは
そこじゃねえ」
窓を開けて煙を吐き出す
少し肌寒い空気が
車内に入り込む
「分かっていますよ
………死体、ですね。」
「そうだ。
被害者はおろか、
死体さえ
見つかっていない。」
.
:08/01/10 01:43 :SH903i :zb3FNp4s
#473 [ま-イ子]
行方不明者が出ると
必ず新しい血痕が
見つかる
「この量だ。
死んでいておかしくない」
だが、死体は
何処にもないのだ
血痕が見付かった
場所から
死体を隠せる場所は
警察が殆ど探した
.
:08/01/10 01:48 :SH903i :zb3FNp4s
#474 [ま-イ子]
約90人もの死体なんて
隠し通せる訳がない
しかし、
見つからないのだ
こんなことは
絶対に有り得ないのに
「…故に、この事件には
別名があってな……」
.
:08/01/10 01:54 :SH903i :zb3FNp4s
#475 [ま-イ子]
この事件の、
もう一つの名は――ーー
" 神 隠 し "
.
:08/01/10 01:59 :SH903i :zb3FNp4s
#476 [ま-イ子]
:08/01/10 02:02 :SH903i :zb3FNp4s
#477 [ま-イ子]
:08/01/10 02:07 :SH903i :zb3FNp4s
#478 [☆anon☆]
:08/01/10 02:10 :SH903i :r.Ok5hC2
#479 [ま-イ子]
:08/01/10 11:46 :SH903i :zb3FNp4s
#480 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
更新しようかなっ(*¨)b
‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/10 12:09 :SH903i :zb3FNp4s
#481 [ま-イ子]
――――――‥
「着きました、警部。」
峯の言葉とほぼ同時に
車が止まり
俺はくわえていた煙草を
使われていないであろう
車内の灰皿に入れた
ドアを開け外に出ると
ひんやり、とした空気が
身体を包み込む
(もう、11月だな…)
.
:08/01/10 12:18 :SH903i :zb3FNp4s
#482 [ま-イ子]
車から降りると
そこは住宅街
しかし人通りは少なく
遠くから聞こえてくる
車の音だけが耳に入る
足を進めると
コツ‥コツ‥とした音が
周りに響き渡った
「…あそこだな…」
.
:08/01/10 12:23 :SH903i :zb3FNp4s
#483 [ま-イ子]
そう呟く俺の
目線の先は
黄色いテープで仕切られ
その中は、そこだけ
違う空間のように
真っ赤だった
一応手に持っている
資料と確認してみたが
間違いないようだ
.
:08/01/10 12:27 :SH903i :zb3FNp4s
#484 [ま-イ子]
ゆっくり近付くと
その光景に
吐き気を感じた
地面にはそれこそ
大量の血が付いているが
住宅を仕切る塀にまでも
飛び散った血痕が
生々しく残っている
「……酷いっスね…」
峯がその場所を
見つめながら呟いた
.
:08/01/10 12:34 :SH903i :zb3FNp4s
#485 [ま-イ子]
「…一昨日起こったものだ
もう血は乾いているな。」
黄色いテープを跨ぎ
現場へと入る
塀に付いてる血痕に触れ
指先を見てみたが
いつもの肌色だ
「被害者とされているのは
この近辺に住む男性だ。
一昨日から行方不明で
今だ発見されていない」
淡々と言う俺の説明を
峯は静かに聞いている
.
:08/01/10 12:41 :SH903i :zb3FNp4s
#486 [ま-イ子]
「捜索中だが…………
まあ、見つかる可能性は
低いだろうな。」
今までと同じ手口なのだ
見付けるのは困難だろう
――――ザリッ
地面の血痕にも
触れてみるが
塀に付いたものと
変わらなかった
.
:08/01/10 12:49 :SH903i :zb3FNp4s
#487 [ま-イ子]
「………………。」
しゃがみ込み、いきなり
無言になった俺の顔を
峯が覗き込む
「………警部?
どうかされまし…」
「妙だと思わないか」
峯の言葉を遮り
言葉を放つと
へ?と素っ頓狂な
声が聞こえた
.
:08/01/10 12:54 :SH903i :zb3FNp4s
#488 [ま-イ子]
「この血の量からして
死んでいておかしくない
なのに死体がない
ということは、
犯人が運んだと
言うことになる。」
「でもそんな痕跡
ないですよね。」
峯はキョロキョロと
辺りを見回しながら
言葉を返して来た
.
:08/01/10 12:58 :SH903i :zb3FNp4s
#489 [ま-イ子]
「その方法も謎だが、
1番の謎は……………
"何故そんな事をしたか"
ということだ。」
「見付かったら困るから
とかじゃないんですか?」
きょとん、とした顔で
首を傾げて聞いてきた
(やはりお前はまだ青いな)
.
:08/01/10 13:04 :SH903i :zb3FNp4s
#490 [ま-イ子]
「そう考えるのが
普通なんだが……
ならば何故、犯人は
"わざわざ殺してから"
運んでいるのか。」
未だ頭に?を浮かべてる
峯を横目に続ける
「死体を運ぶなんて、
そう簡単な事じゃない。
それに、見付かりたく
ないのであれば
こんな人目に付く場所で
殺したりなんかせずに
隠してる場所へ連れて行き
殺した方が楽だろう?」
.
:08/01/10 13:12 :SH903i :zb3FNp4s
#491 [ま-イ子]
ああ、と感心する峯
(おせーぞ)
「それをしない、
ということが
何を意味するのか……」
短く生えた顎髭に
触れながら考え込む
.
:08/01/10 13:48 :SH903i :zb3FNp4s
#492 [ま-イ子]
「血痕が見つかっている
場所は、バラバラだ。
死体を一カ所に
集めているとは
考えにくいんだが…」
地図を見ると
丸印はあちこちに
付いていた
「それなら、何人かは
見付かってもいいはず…
……………ですよね?」
.
:08/01/10 13:54 :SH903i :zb3FNp4s
#493 [ま-イ子]
自信なさ気に
聞いてきた峯に
ああ。と返事をすると
顔が明るくなった
(単純な奴)
そんなコイツに呆れる
「犯人は何を
考えているのか――…」
はぁ、と大きく溜息をつき
ガシガシ、と頭を掻いた
無意識にポケットへ
手を伸ばし煙草を取る
.
:08/01/10 14:02 :SH903i :zb3FNp4s
#494 [ま-イ子]
「一昨日の被害者と
今までの被害者との
関係は?」
「今のところ無しだ。
今までの被害者達で
共通する所もバラバラ。
全員に共通しているのは
"この街に住んでいる"と
いう所だろうな…」
それだけ一気に言うと
煙草に火をつける
.
:08/01/10 14:13 :SH903i :zb3FNp4s
#495 [ま-イ子]
「次の犯行の予測も
つかない…………
お手上げっスね…」
肩をすくめ峯は
溜息をついた
それにつられて俺も
息を吐き出す
「どうしたもんか…」
.
:08/01/10 14:38 :SH903i :zb3FNp4s
#496 [ま-イ子]
重たい沈黙が流れる
峯は顎に手を添え
考え込み
俺は灰になっていく
煙草を眺めていた
少しずつ
長さを増していく灰は
重力に耐え切れなくなり
地へと
落ちていった
.
:08/01/10 14:50 :SH903i :zb3FNp4s
#497 [ま-イ子]
「あーーーー!!」
突然の峯の大声が
住宅街に響き渡る
「な、なんだよ!
いきなり大声で!」
驚いた俺もすこし
声を張り上げた
当の本人は俺を指差し
口をパクパクさせている
.
:08/01/10 15:36 :SH903i :zb3FNp4s
#498 [ま-イ子]
「なんだよじゃ
ないですよ!
何、現場に灰なんか
落としてんスか!!」
「なんだそんな事かよ」
冷静を取り戻した俺は
再度煙草に口をつける
なにやってんスか〜、と
峯は慌てた様子で
血痕の上に落ちた灰を
手で掃いていた
.
:08/01/10 15:40 :SH903i :zb3FNp4s
#499 [ま-イ子]
俺はその様子を
見下ろしながら
再度煙草を口にくわえる
煙を肺に入れた瞬間
冷たい風が頬を掠めた
はらはら、と灰が舞う
流れ落ちてゆく粒子を
目で追い掛けた
.
:08/01/10 20:51 :SH903i :zb3FNp4s
#500 [ま-イ子]
(―――――――ん?)
目を細め
見ていた場所を確認し
そこに近付いた
しゃがみ込み、
"そこ"に触れる
―――やっぱり、だ
.
:08/01/10 21:26 :SH903i :zb3FNp4s
#501 [ま-イ子]
そこにあったのは
細い、割れ目
(まるで、何かが
刺さっていたかのような)
じ、と見ていると
後ろから話し掛けられた
「…………警部……
ちょっとコレ、
見て頂けますか?」
.
:08/01/10 21:30 :SH903i :zb3FNp4s
#502 [ま-イ子]
「…………あ?」
不思議に思いながら
峯に近づき
指を指している部分に
視線をやる
そこにあったのは
「‥‥‥これは‥」
不自然に途切れた血痕
.
:08/01/10 21:32 :SH903i :zb3FNp4s
#503 [yえりちぁンy]
:08/01/10 21:37 :W53T :K.XYEPw6
#504 [ま-イ子]
「………ね?不自然に
途切れていませんか?」
ほんの、小さな
目を凝らさないと
わからないような
そんな、途切れ
まるでそこに
何かがあったかのような
.
:08/01/10 21:37 :SH903i :zb3FNp4s
#505 [yえりちぁンy]
:08/01/10 21:38 :W53T :K.XYEPw6
#506 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>503 えりちぁン様_
アンカーありがとう
ございます(*¨)b‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/10 21:39 :SH903i :zb3FNp4s
#507 [yえりちぁンy]
:08/01/10 21:40 :W53T :K.XYEPw6
#508 [yえりちぁンy]
:08/01/10 21:42 :W53T :K.XYEPw6
#509 [ま-イ子]
「確かに…不自然だ」
まじまじとそれを
見ていると、
近くに他にも数箇所
途切れてる部分があった
「……ここに、
何かがあったのか…?」
調べてみる価値は
ありそうだ
.
:08/01/10 21:43 :SH903i :zb3FNp4s
#510 [yえりちぁンy]
アンカ連貼りスイマセンホO
この 小説まぢすぅきですニ~
これからも頑張ってさぁい
:08/01/10 21:44 :W53T :K.XYEPw6
#511 [ま-イ子]
:08/01/10 21:49 :SH903i :zb3FNp4s
#512 [ま-イ子]
車から白いチョーク
(以前、交通課の奴から
奪っ………頂いた。)
を持って来て、
途切れている部分を
繋いでみる
「なんですか?コレ…」
峯には、白い
曲線で描かれた"何か"
にしか見えてないようだ
だが、俺には――ーーー
.
:08/01/10 21:58 :SH903i :zb3FNp4s
#513 [ま-イ子]
:08/01/10 22:00 :SH903i :zb3FNp4s
#514 [ま-イ子]
そう、俺にはどう見ても
人の手の形にしか
見えなかった
「ひ、人の手…?
そんな馬鹿な………」
口元を引き攣らせながら
峯は身を乗り出して
もう一度曲線を見る
「………………あ。」
.
:08/01/10 22:04 :SH903i :zb3FNp4s
#515 [ま-イ子]
どうやら峯にも
見えたらしい。
阿呆面をしながら
固まっている
「………なんで
こんな所に手の跡が?」
困惑した表情で
俺に聞いてくる峯
(俺が知りてーよ)
.
:08/01/10 23:18 :SH903i :zb3FNp4s
#516 [ま-イ子]
人が殺されたのだから
当たり前と言えば
当たり前なのだが、
「この場所にあるなんて
明らかにおかしい。」
この通りは少しだけ
傾いており、血痕は
その坂のお陰で
流れる形となっている
.
:08/01/10 23:21 :SH903i :zb3FNp4s
#517 [ま-イ子]
手の跡があるのは
流れている血痕の
先の方にあるのだ
「もし、此処で
被害者がやられた
のであれば、
手があそこにあるのは
おかしいんだが…」
血痕の始まりである
場所に立ちながら
うーん、と唸る
.
:08/01/10 23:30 :SH903i :zb3FNp4s
#518 [ま-イ子]
ふ、と下を見てみると
先程見付けた亀裂が
足元にあった
(―――――そうか)
「なんでこんな場所に…
他に誰か居たんスかね?」
「いや、もっと単純な
問題だ。」
.
:08/01/10 23:35 :SH903i :zb3FNp4s
#519 [ま-イ子]
俺の方を向き
驚いた表情を見せる峯
「えー!
もう解ったんですか?」
「………此処見ろ」
足元を指差し
見るように促すと
峯は前屈みになり
そこをじぃ、と見た
.
:08/01/10 23:42 :SH903i :zb3FNp4s
#520 [ま-イ子]
「亀裂が入ってんだろ」
「え……ああ、
…………それが…?」
全く意味の通じない峯に
厭味を込めて大きく
溜息をつく
「…あれは被害者の
切断された手だ。」
.
:08/01/10 23:49 :SH903i :zb3FNp4s
#521 [ま-イ子]
「…え、……ええっ!?」
峯は目を丸くし
驚愕している
「この亀裂は、
凶器の刃物が
刺さった跡だな。」
「は、刃物…ですか…?」
.
:08/01/11 00:13 :SH903i :eC0pJ16w
#522 [ま-イ子]
「ああ。此処で
腕を切られたんだろう
勢いが良すぎて
地面に刺さったって
ところか?」
成る程、と感心する
峯に呆れるばかりだ
「…峯、鑑識に
連絡してくれないか」
唐突に名前を呼ばれ
素早く顔を上げた
.
:08/01/11 00:30 :SH903i :eC0pJ16w
#523 [ま-イ子]
「この亀裂から、
凶器を絞れないか
聞いてみてくれ」
それだけ言うと
黄色いテープを跨ぎ
車へと向かう
「わかりました。」
後ろから聞こえた声に
足を止める事なく
コツ‥コツ‥という
足音を響かせた
.
:08/01/11 00:36 :SH903i :eC0pJ16w
#524 [ま-イ子]
車の横に寄り掛かり
煙草を吹かす
携帯電話で話しを
している峯の声を
耳に入れながら
事件について
思考を巡らした
(わからねぇ………
犯人の、目的が。)
.
:08/01/11 00:45 :SH903i :eC0pJ16w
#525 [ま-イ子]
理由もなく
只、無差別に、誘拐を
繰り返しているのか
それとも―――
何 か が 必 要 な の か
どちらにしても
放ってはおけない
(せめて、被害者の
生死だけでも
確認したいものだ…)
.
:08/01/11 00:52 :SH903i :eC0pJ16w
#526 [ま-イ子]
行方不明になった
被害者の家族に
その生死だけでも
伝えてやりたい
今でも、生きている
と信じて帰りを待つ者や
もう、死んでしまったのか
と絶望を感じている者に
せめてそれだけ――…
.
:08/01/11 00:55 :SH903i :eC0pJ16w
#527 [ま-イ子]
「………警部!」
少し離れた場所から
呼ばれるのが聞こえた
声がした方へ顔を向ける
「早急に数名が
調べに来るそうですよ。
‥‥どうします?」
こちらに向かいながら
峯は俺に問い掛けた
.
:08/01/11 01:00 :SH903i :eC0pJ16w
#528 [ま-イ子]
「俺等が居ても
役に立たねーだろ。
行くぞ。」
「そうっスね。」
お互い同意しながら
車へと乗り込む
「…何か解りますかね」
シートベルトを
締めながら
峯が俺に尋ねる
.
:08/01/11 01:05 :SH903i :eC0pJ16w
#529 [ま-イ子]
「あまり期待は
出来ねーな。
見落としてた奴らが
調べんだから。」
「またそう言う事を…
仕方ないっスよ、
全部似たような
現場なんですから。
見落としの一つや二つ
ありますって。」
苦笑いしながら言う峯に
ふん、と鼻で笑う
.
:08/01/11 01:13 :SH903i :eC0pJ16w
#530 [ま-イ子]
「それが90箇所も
あっちゃ、たまんねーな」
皮肉を言った俺は
苛々を治める為に
煙草を取り出した
最後の一本だ
「警部……最近、
量増えてますよ?」
.
:08/01/11 01:21 :SH903i :eC0pJ16w
#531 [ま-イ子]
峯が横目で俺を見ながら
心配そうな顔をしている
「家で吸えねーんだから
仕方ねえだろ。」
「娘さんですか?」
「嫁もだ」
「それキツイっスね」
はは、と笑う奴を無視し
最後の一本に火を付ける
.
:08/01/11 01:27 :SH903i :eC0pJ16w
#532 [ま-イ子]
「……この事件、」
ぼそり、と俺が
口を開くと
峯は無言で先を待つ
「いつまで、
続くんだろうな」
ふ、と自嘲気味に
笑ってみる
.
:08/01/11 01:35 :SH903i :eC0pJ16w
#533 [ま-イ子]
この事件が
公表されてから、
人々を襲ったのは
次に誰が狙われるか
わからない、恐怖感
.
:08/01/11 01:41 :SH903i :eC0pJ16w
#534 [ま-イ子]
もしかしたら、
自分かもしれない
自分の、
大切な人かもしれない
そんな不安を胸に
今の人々は
生きているのだ
.
:08/01/11 01:43 :SH903i :eC0pJ16w
#535 [ま-イ子]
それは警察と言えど
関係なくて、
俺にも家族がいるのだ
不安に駆られるのは
当然の事。
早く、事件が解決し
この不安から逃れたい
という気持ちは
日々、増してゆく
.
:08/01/11 01:47 :SH903i :eC0pJ16w
#536 [ま-イ子]
俯いた俺は
両手をぐ、と握り締めた
どうしようもない不安に
胸が一杯になる
重い空気が流れる車内
沈黙を破ったのは
峯だった
「何言ってんスか。
俺達が、これを
止めるんでしょう」
.
:08/01/11 01:52 :SH903i :eC0pJ16w
#537 [ま-イ子]
その言葉に呆気に取られ
身体中の力が抜けた
「何他人事みたいに
言ってるんですか。
俺達が1日でも早く
犯人を見つけて、
皆を安心させるんですよ」
そうでしょう?と
笑いながら聞く峯に
つられて俺も
笑みを零した
.
:08/01/11 01:57 :SH903i :eC0pJ16w
#538 [ま-イ子]
「――――そうだな。」
(その通りだ。
俺が弱気になって
どうする)
肩の力を抜き
くわえてた煙草を見ると
半分ほど灰になっている
慌てて灰皿に詰め込み
落下を防いだ
.
:08/01/11 02:00 :SH903i :eC0pJ16w
#539 [ま-イ子]
ふぅ、と息を吐き
運転席に視線を移す
(後輩に
喝を入れられるなんて
俺もまだまだだな…)
「ありがとう、峯」
不安を取り除いてくれた
後輩に素直に礼を言った
.
:08/01/11 02:05 :SH903i :eC0pJ16w
#540 [ま-イ子]
峯はというと
「え、何がっスか?」
と、言いながら
きょとんとした顔を
していた
(…………こいつ…)
あまりの阿呆さに
怒りを覚えたが
今日だけは見逃して
やることにした
(次はないと思え)
.
:08/01/11 02:12 :SH903i :eC0pJ16w
#541 [ま-イ子]
未だに?を浮かべてる
峯に溜息をつく。
目線を前に戻し
"馬鹿野郎"
と吐き捨てた後
「絶対、犯人捕まえるぞ」
決意を新たに
「ーーーー!……はいっ!」
俺は動き出す
.
:08/01/11 02:19 :SH903i :eC0pJ16w
#542 [ま-イ子]
しかし――――― ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
20XX年11月06日
峯 龍一 (24)
職業:警察官
行 方 不 明
(現在捜索中)
_______
.
:08/01/11 02:31 :SH903i :eC0pJ16w
#543 [ま-イ子]
峯が行方不明に
なったのは、
それから数日後の
出来事だった―――――
.
:08/01/11 02:33 :SH903i :eC0pJ16w
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