*THE GOD OF DEATH*
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#601 [ま-イ子]
:08/01/20 11:55 :SH903i :WFKhFZ2I
#602 [ま-イ子]
―――――――…
数時間前:某警察署内
「……間違いない…」
独り言を呟いた男
‐柳田 信人‐は
目の前のデスクに広がる
膨大な資料に
あちらこちらと
目を配らせていた
.
:08/01/20 23:49 :SH903i :WFKhFZ2I
#603 [ま-イ子]
パラパラ、と紙をめくる
乾いた音が室内を
占領する中で
柳田は汗を額に
浮かべながら
ボールペンを走らせる
資料と手帳を
行き来していた筆先は
――ザッ、という
音と共に
一つの筆跡を丸で囲んだ
.
:08/01/20 23:59 :SH903i :WFKhFZ2I
#604 [ま-イ子]
「……ふぅ………」
一段落した後に
溜め息を吐き出し
音を立てて椅子に座った
――――この場合は
倒れ込んだ、と言った方が
しっくりくると思うが。
柳田は天井を仰ぐ様に
背もたれに寄り掛かる
.
:08/01/21 00:04 :SH903i :D6ybPsa6
#605 [ま-イ子]
その体勢のままで
ちらり、と時計を見る
(――---21時32分…)
眉を寄せ暫く針を睨んだ
それは、等間隔に
カチ‥カチと音を立てて
確実に 時を 刻む
.
:08/01/21 22:02 :SH903i :D6ybPsa6
#606 [ま-イ子]
(……………いくか…)
目を閉じ
小さく深呼吸した後
ギシ、と音を立てて
椅子から立ち上がった
デスクに広がる資料に
もう一度目を配る
―――――ガチャ、
.
:08/01/21 22:08 :SH903i :D6ybPsa6
#607 [ま-イ子]
突然開いた扉に驚き
後ろを振り返る
「…柳田警部……」
「…………お前か」
そこに居たのは
艶のある黒髪と
大きめの目が特徴的な
女刑事でもある
柳田の部下だった
.
:08/01/21 22:19 :SH903i :D6ybPsa6
#608 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
訂正
>>607
女刑事でもある
柳田の部下だった
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
柳田の部下でもある
女刑事だった
あんまり変わんないんですが、
なんかおかしいので
すいません‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/01/21 22:33 :SH903i :D6ybPsa6
#609 [ま-イ子]
一言呟くとデスクに戻る
柳田に女刑事は僅かに
顔を歪ませた
「………警部。
最近家にも帰ってない
じゃないですか。
一度お帰りになって
休まれた方が………」
「駄目だ。
そんな時間はない。」
女刑事の言葉を遮り
柳田はコートを羽織る
.
:08/01/21 22:51 :SH903i :D6ybPsa6
#610 [ま-イ子]
「…そんな事を言う為に
来たのか?」
眉を寄せながら言う
目の前の男に
女は溜め息を付いてから
持っていた資料を見せた
「―――これは?」
「以前、警部が
鑑識に頼んだモノの
結果ですよ。
それと……………」
.
:08/01/21 22:58 :SH903i :D6ybPsa6
#611 [yえりちぁンy]
あげますウ~
:08/01/22 21:00 :W53T :Fn.OWNh6
#612 [ま-イ子]
:08/01/22 22:58 :SH903i :FJWknSBs
#613 [ま-イ子]
語尾を濁す女に
更に皺を深くし
目線で先を促した
赤い唇が、
ゆっくりと動かされる
「峯刑事の、所持品です。」
ぴくり、と僅かに
柳田が反応したのを
女は見逃していなかった
.
:08/01/22 23:00 :SH903i :FJWknSBs
#614 [ま-イ子]
「…まず、鑑識の結果から
報告させて頂きます。
警部の発見した亀裂は
やはり鋭い物が
突き刺さった跡の様です」
気を使っているのか
女刑事は話を逸らす為に
持っている紙の束から
目を離さずに
坦々と述べていく
「しかし、その跡から
凶器を特定することは
出来ませんでした。」
.
:08/01/23 23:06 :SH903i :8t1gglI.
#615 [ま-イ子]
「………………。」
柳田は口を閉ざしたまま
動こうとしない
女が目線を紙から
少し上げると
瞳に映ったのは
柳田の、震える背中
拳を握り、堪えている
(――無理も、ない)
.
:08/01/23 23:22 :SH903i :8t1gglI.
#616 [ま-イ子]
大切な後輩の死
依然進まない捜査
それらが彼を
闇へと追い込んで行く
少し痩せて細くなった
柳田の背中を
見つめながら
女刑事も拳を握り絞めた
.
:08/01/23 23:27 :SH903i :8t1gglI.
#617 [我輩は匿名である]
とりあえず上に上げときます
主サンの書き方好きィです
これからも頑張ってくださいね
←何様ぁ?(笑)
:08/01/25 09:32 :P902iS :nHtjv25.
#618 [yえりちぁンy]
↑ですねhyx
アタシも
主さンの書き方_y
メチャすぅきですシ
頑張ッてさぁい咽~
:08/01/25 20:43 :W53T :csQpi3AA
#619 [ま-イ子]
:08/01/26 06:21 :SH903i :SSbLjEUc
#620 [ま-イ子]
暫く流れる沈黙
重たい空気が漂う中
最初に口を開いたのは
柳田だった
「…………峯の……」
ぼそり、と呟いた声に
女刑事は目を見開く
「峯の所持品を、
見せてくれ。」
そう言った背中が
大きく見えた
.
:08/01/26 06:32 :SH903i :SSbLjEUc
#621 [ま-イ子]
「――――はい。」
女刑事は手に下げていた
紙袋の中から
二つの透明な袋に
包まれた物を取り出した
一つは携帯電話
もう一つは
古びた手帳だ
「どちらも現場に
落ちていた物です。
携帯電話は電源が
入った状態でした。」
.
:08/01/26 06:42 :SH903i :SSbLjEUc
#622 [ま-イ子]
説明を耳に入れながら
柳田はガサガサ、と
袋から携帯を取り出した
かち、と音を立てて
それを開くと
きっと初めに設定されて
いたのだろうと思える
画面が映し出された
暫く操作してみたが
機械は苦手な物で、
電話しか出来ない俺は
仕方なくそれを閉じる
.
:08/01/27 00:19 :SH903i :ro4UssTE
#623 [ま-イ子]
携帯を机に置き
次は手帳を取り出した
女はそれを
只黙って見ている
パラパラ、と
流し目で中身を見るが
これといって
気になる部分はない
以前共に捜査した
事件のメモだとか、
犯人の似顔絵
(ちなみにこんな人は
きっと実在しないだろう)
が、殆どのページを
埋め尽くしていた
.
:08/01/27 00:26 :SH903i :ro4UssTE
#624 [ま-イ子]
ぴたり、と柳田の手が
止まった。
不思議に思った女刑事が
"警部?"と口を開くが
応答はなく、柳田は
ある1ページを見たまま
固まっている
(その手帳は、
もう調査済みなのに)
頭に"?"を浮かべながら
上司の動きを待つ
.
:08/01/27 00:34 :SH903i :ro4UssTE
#625 [ま-イ子]
「…………ま、さか…」
掠れた声が柳田の口から
発せられた。
それは僅かに震えていて
彼の瞳も先程より
大きく開かれている
「…警部?
どうかいたしまし…」
―――――バンッ!
.
:08/01/27 00:38 :SH903i :ro4UssTE
#626 [yえりちぁンy]
続き気になるホ
いつも 楽しませて
もらッてマスニシ
頑張ッてさぁいx|イ
:08/01/27 08:10 :W53T :g3RhV0Co
#627 [ま-イ子]
:08/01/27 09:33 :SH903i :ro4UssTE
#628 [我輩は匿名である]
えりちぁンて奴、骸なみにうざい
:08/01/27 10:53 :SH902iS :gXT3HA5s
#629 [ま-イ子]
言葉を遮った大きな音に
女は身を強張らせた
その音を出した張本人は
叩いた机に両手を置き
震わせている
「――――おい!」
音の次は声だ。
それにまた身を縮こませ
"はいっ!"と裏返った
声で返事をした
.
:08/01/27 11:09 :SH903i :ro4UssTE
#630 [ま-イ子]
「携帯電話には…
録音機能っつーのが
付いてんのか?」
「ろ…録音機能…?
付いている物も
あると思いますが…」
「この携帯に付いてるか
調べろ、今すぐだ!」
ぽい、と投げられたのは
峯刑事の携帯電話。
意味がわからない、と
顔をしかめながら
女刑事は調べ始める
.
:08/01/27 11:39 :SH903i :ro4UssTE
#631 [ま-イ子]
(私だって、機械は
得意じゃないのに…)
心の中で悪態を
付きながら、画面と戦う
暫くボタンを押し続け
ようやく目当ての画面に
行き着いた
「……………えっ…」
.
:08/01/28 17:04 :SH903i :Lf1zrpYA
#632 [ま-イ子]
"録音件数:1件"
画面に表示された文字は
柳田の期待を裏切らず
待ち構えていた
「…けっ、警部…、
ありました!
1件録音されてます!」
「流せ!」
急かす様に怒鳴る
柳田の言葉に女は慌てて
"再生"と表示された
部分を押す
.
:08/01/28 17:13 :SH903i :Lf1zrpYA
#633 [ロズ]
続き気になります
主サンのペースでいいので、頑張ってくださいね
:08/01/29 21:51 :P902iS :Ty.zBk.A
#634 [ま-イ子]
:08/01/30 00:22 :SH903i :SW9mzfzQ
#635 [ゆり]
みてますっ
楽しいですっ
がんばって下さいねっ
:08/01/30 00:26 :SH704i :wbF5eIe.
#636 [ま-イ子]
:08/01/30 00:52 :SH903i :SW9mzfzQ
#637 [ま-イ子]
“――――……ザザ―――――――――――――――……………ジジ、―――――――――――――、ザ――――――――――……”
携帯電話からは
機械独特のノイズ音が
発せられている
音の発信源を
睨み付けながら
柳田は耳を傾けた
.
:08/01/30 00:59 :SH903i :SW9mzfzQ
#638 [ロズ]
>>634主サン、自分のペースでいいんです
(笑)
あと、初めましてではないんですねぇ
2回ほど匿名で感想書かせていただきました
(笑)それでは、頑張ってください
応援してます
:08/01/30 06:31 :P902iS :oK3An6QQ
#639 [ま-イ子]
:08/01/30 22:06 :SH903i :SW9mzfzQ
#640 [ま-イ子]
“―――――……ザ――――――――………………………――――――……”
何か事件の手掛かりがと
期待した女刑事だったが
一向にノイズ以外の音が
流れる気配はない
少しずつ諦めの色が
伺える中で、柳田は
絶対に聞き逃すまいと
必死に注意を払っていた
.
:08/01/30 22:17 :SH903i :SW9mzfzQ
#641 [ま-イ子]
ちらり、と携帯画面を
見ると再生時間が
あと僅かな事に気付いた
(…駄目…かな………)
女は肩を落とし
心の中で溜息をついた
“――――ザ、……………………ジ――――――――――――ぉ…、ぇ……”
.
:08/01/30 22:24 :SH903i :SW9mzfzQ
#642 [ま-イ子]
「――――――!」
「! 警部っ!」
声だ!声が聞こえた!
柳田は更に身を乗り出し
携帯に耳を近付けた
“――――――………………な…………だ…ザザ―――………―――…や……る…ジジ、…だザ――――――…や、…ろ…――”
.
:08/01/30 22:32 :SH903i :SW9mzfzQ
#643 [ま-イ子]
(何を言っているの?)
ノイズが邪魔で
殆ど聞き取れない声に
女刑事は苛立ちを覚えた
あと、10秒―――…
“―――――……ぁ……―――……やめ…―――ぅ………うあああああああ!!!…ザ―――――……、”
.
:08/01/30 22:45 :SH903i :SW9mzfzQ
#644 [あーちぁ]
:08/01/31 01:19 :F903i :y.ER7WpE
#645 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>644 あ-ちぁさま_
アンカーと応援
感謝します!
これからも、
頑張りますので
よろしくお願い
致します(^ω^)‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/02/01 08:05 :SH903i :/sqjnrBk
#646 [ま-イ子]
しん、と急に
静まり返った室内で
女は驚愕を隠せない顔で
携帯電話を見つめている
(…い、今のは……?)
最後に聞こえた叫び声
あれは間違いなく
峯刑事のものだった
.
:08/02/01 09:45 :SH903i :/sqjnrBk
#647 [ま-イ子]
ドクドク、と心臓が
脈打つのが聞こえる
――つまり、これは…
事件時に録音された
ものだというの?
(まさか…そんな都合の
良いものが、)
実際此処にあるのだが
女刑事はそれを
信じられずにいた
.
:08/02/02 15:26 :SH903i :mP/vA1cg
#648 [ま-イ子]
「………やはり、な…」
ぼそり、と呟かれた
声の主を見やると
悔しげに顔を歪めている
状況を理解出来ない女は
その顔が意味するものを
諭すことが出来ずに
只、呆然と眺めた
.
:08/02/02 15:34 :SH903i :mP/vA1cg
#649 [ま-イ子]
――――――チッ、
投げ出された舌打ちは
静かな室内に木霊する
同時に女の横を
風が横切り
扉が荒々しく開かれた
「……今日は、戻らない」
それだけ告げた柳田は
振り向かずに
部屋を後にした
.
:08/02/02 15:40 :SH903i :mP/vA1cg
#650 [ま-イ子]
取り残された女は
扉の外に消えた
柳田の残像を見ていた
ふ、と机に目を移すと
そこには二つの手帳が
あるページを開いたまま
置かれている
(…峯刑事の、と……
……警部……の…?)
一歩ずつそれに近付き
書かれた筆跡を確認する
.
:08/02/02 15:45 :SH903i :mP/vA1cg
#651 [ま-イ子]
「―――これ、は…」
それを見た瞬間、
女は目を見開いた
それと同時に
抑え切れない感情が
溢れ出し
気が付くと
手帳を手に取り
走り出していた――…
.
:08/02/02 15:49 :SH903i :mP/vA1cg
#652 [ま-イ子]
―――――――…
署内から出て
少し歩いた場所にある
専用駐車場
そこに車に乗ろうとする
柳田の姿があった
「―――ッ、警部!」
見付けると同時に
女は彼を呼び止めた
.
:08/02/02 15:58 :SH903i :mP/vA1cg
#653 [ま-イ子]
車のドアを開けようと
していた手を止め
柳田は女に振り返る
「………なんだ…」
「…何処、へ……
行くつもりですか…?」
走って来たせいで
少し息切れしながら
女は問いた
.
:08/02/02 16:00 :SH903i :mP/vA1cg
#654 [ま-イ子]
「決まってんだろ、
………捜査だ。」
吐き捨てる様に答えた後
再度柳田は
ドアに手を掛けた
「…峯刑事と同様に…
捜査するおつもりですか」
凛とした声が
駐車場に響き渡る。
先程より開いた目で
女を見る柳田がいた
.
:08/02/02 16:07 :SH903i :mP/vA1cg
#655 [ま-イ子]
「なんのことだ。」
低くなった声は
突き放す様に冷たい。
女は握り締めていた
二つの手帳を前に出した
「峯刑事と、柳田警部の
ものですよね。
同じ文字が、
書かれています。」
.
:08/02/02 16:13 :SH903i :mP/vA1cg
#656 [ま-イ子]
:08/02/02 16:18 :SH903i :mP/vA1cg
#657 [ま-イ子]
「これは、事件が起こる
時間帯を表している。」
「…………………。」
黙り込み少しだけ
睨んでくる柳田を無視し
女は言葉を続けた
「峯刑事は警部より先に
これに気付き……
そして、一人で動いた
――囮捜査をする為に」
.
:08/02/02 16:26 :SH903i :mP/vA1cg
#658 [ま-イ子]
柳田の眉がぴくり、と動く
反論しないという事は
肯定している証拠
「そして、彼は
犯人らしき人に出会い
咄嗟に携帯で録音をした」
そう考えれば
都合の良い事にも
つじつまが合う
.
:08/02/02 16:31 :SH903i :mP/vA1cg
#659 [るい]
:08/02/02 16:38 :P902i :higjtWCw
#660 [ま-イ子]
「その後、彼は…殺され…」
――――ドンッ!
女の言葉を遮り
車のボンネットを叩いた
柳田は先程までとは違う
怒りに満ちた表情を
していた
「…いい加減にしろよ。
死んでるかなんて、
まだわかんねえだろ」
.
:08/02/02 16:39 :SH903i :mP/vA1cg
#661 [ま-イ子]
:08/02/02 16:41 :SH903i :mP/vA1cg
#662 [ま-イ子]
「………ですが、」
「いい加減にしろって
言ってんだ。
邪魔をするな、俺は行く」
怒りを露にした顔で
柳田は女を睨み付ける
誰もが怯む表情だが
女は一歩も引かずに
見つめていた
「……やめてください…」
.
:08/02/02 16:53 :SH903i :mP/vA1cg
#663 [ま-イ子]
「………うるせぇ…」
「やめてください……
違う方法が必ずあります
こんなのは、死にに行く
ようなものです!」
「
うるせえって
言ってんだ!」
柳田の怒声に
女は黙り下を向いた
両者の握られた拳は
震えている
.
:08/02/02 16:59 :SH903i :mP/vA1cg
#664 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>663
タグミスっ‐‐‐‐‐‐‐‐
:08/02/02 17:00 :SH903i :mP/vA1cg
#665 [ま-イ子]
「…俺は、犯人を
捕まえなきゃいけねえ」
先までとの怒声とは違い
唇を噛み締めながら
柳田は呟く
「誓ったんだ。
………あいつとな…」
未だ顔を上げずに
女は黙って聞いている
.
:08/02/02 17:06 :SH903i :mP/vA1cg
#666 [ま-イ子]
「…わかってくれ、とは
言わねえよ………
理解できねえだろうから」
ふ、と自嘲気味に笑った
彼は何処か切なげで
今にも消えて
しまいそうだった
ゆっくりと上げられた
女の顔は、目に涙を溜め
悔しそうに
唇を噛んでいた
.
:08/02/02 17:12 :SH903i :mP/vA1cg
#667 [ま-イ子]
「…本当に、馬鹿…」
掠れた声で
紡がれた言葉に
柳田は眉を下げて微笑む
「悪いな、馬鹿で。
……死ぬ気はねえよ。
心配すんな……」
「心配するに
決まってるでしょ…
…絶対に帰って来て」
.
:08/02/02 17:17 :SH903i :mP/vA1cg
#668 [ま-イ子]
涙目で自分を見つめる
彼女の元へ歩み寄り、
頭を自分の胸へ
押し付けた
「今日犯人に会えるとは
限らねーだろーが。
…終わったら家に帰る」
「絶対よ。約束だから」
女は柳田の皺になった
コートを力強く握り締め
自分の方へ引き寄せた
.
:08/02/02 17:24 :SH903i :mP/vA1cg
#669 [ま-イ子]
数秒だけ、互いを
確かめ合った後
ゆっくり体を離し
見つめ合ってから
触れるだけのキスをした
ぽん、と女の頭に
ゴツゴツした手が乗る
「…咲智(サチ)のこと、
頼んだぞ。」
女は黙って微笑み頷いた
.
:08/02/02 17:30 :SH903i :mP/vA1cg
#670 [ま-イ子]
名残惜し気に手を離し
柳田は車に乗り込んだ
エンジンが掛かり
動き出す
駐車場から出ていく
車の後ろ姿が
次第に小さくなり
やがて―――消えた
ぺたり。
黙って見ていた女は
その場に座り込み
静かに、涙を流し続けた
.
:08/02/02 17:40 :SH903i :mP/vA1cg
#671 [ま-イ子]
:08/02/02 17:43 :SH903i :mP/vA1cg
#672 [ま-イ子]
:08/02/02 17:54 :SH903i :mP/vA1cg
#673 [yえりちぁンy]
久しぶりに見たら
メチャ更新されてるx
すごいぉもしろいですシイ|
主サン 頑張ッてさい+゚。
:08/02/02 17:55 :W53T :SfQ5n63s
#674 [るい]
先程は執筆中にアンカーしてしまい
申し訳ありませんでした
あ、、
ここに収まらなかったら
次を作るのもいいと思います
それにま-イ子さんの伝えたいことは
ちゃんと
伝わってますよ★
無理せず自分のペースで
更新してください(^ー^)♪
長文すみません:08/02/02 18:27 :P902i :higjtWCw
#675 [ま-イ子]
:08/02/02 21:36 :SH903i :mP/vA1cg
#676 [ま-イ子]
:08/02/02 21:39 :SH903i :mP/vA1cg
#677 [ま-イ子]
:08/02/02 21:40 :SH903i :mP/vA1cg
#678 [ま-イ子]
:08/02/03 00:43 :SH903i :nrn85Xk2
#679 [我輩は匿名である]
更新してぇx
:08/02/03 00:43 :W51S :MxcF/sY6
#680 [ま-イ子]
:08/02/03 09:35 :SH903i :nrn85Xk2
#681 [ま-イ子]
――――――――
―――――
…ザッ…ザッ…
闇に紛れた足音は
規則的に響き渡る
周りにある、古い
コンクリート製のビルに
反響しながらそれは
尚も止まない
足音は一つ
しかし揺れる影は二つ
.
:08/02/03 09:45 :SH903i :nrn85Xk2
#682 [ま-イ子]
(………チッ、…)
心の中で舌打ちをし、
一つの影は肩まである
髪を揺らしながら
もう一つの影に
振り返った
「…ねえ、駄目だよ。
最近は警戒して
外に出てこない。」
あからさまに不機嫌な
顔を晒しながら
桜井なつは言った
.
:08/02/03 09:53 :SH903i :nrn85Xk2
#683 [ま-イ子]
「…クックッ…君は、
まだこの街に何人の
人がいると思ってる?
大丈夫、見付かるさ。」
言葉を返しながら
勝ち誇った顔で
笑う奴‐死神‐に
なつは溜息を吐いた
「…………あ、そう。
なんでもいい……
"獲物"が見付かるなら。」
.
:08/02/03 09:59 :SH903i :nrn85Xk2
#684 [ま-イ子]
言葉を吐き捨てた後
なつは構わず進み続ける
「…でも、便利よね。」
数分歩き続け
なつは唐突に一言呟いた
「何の事かな?」
「あんたよ。
正確にはその、チカラ」
.
:08/02/03 10:12 :SH903i :nrn85Xk2
#685 [ま-イ子]
なつは横にいる奴を
細めた目で見つめた
「そのチカラがあれば
絶対警察なんかに
捕まらない。」
口角を上げた彼女に
死神も笑い出す
「……クックックックッ、…
そう言ってもらえて
光栄、さ。」
.
:08/02/03 10:19 :SH903i :nrn85Xk2
#686 [yえりちぁンy]
あげます~
:08/02/05 21:58 :W53T :usGpQxf.
#687 [我輩は匿名である]
あーげー
:08/02/06 15:34 :SH704i :cJn9ZsrQ
#688 [yえりちぁンy]
主さンx応援してマス~
頑張ッてさいニ
:08/02/09 15:44 :W53T :iIWvFrhg
#689 [我輩は匿名である]
読みたいゆ〜
:08/02/11 02:47 :SH704i :/VZEFtNg
#690 [ま-イ子]
:08/02/11 23:47 :SH903i :hh9VTvjM
#691 [ま-イ子]
――――――そう、
あたし‐桜井なつ‐は
今世間で騒がれている
"連続誘拐事件"
別名:神隠し
の、犯 人 だ 。
.
:08/02/11 23:55 :SH903i :hh9VTvjM
#692 [ま-イ子]
犯人、と一概に
言ってもいいものか
まあ、あたしが
殺していることに
変わりはないのだけど
しかし、こんな事件は
日本の法律……否、
"人間の決まり"で
裁かれるものではない
何故なら、
この事件は――――…
.
:08/02/12 00:59 :SH903i :aSHgGwjY
#693 [ま-イ子]
「…クックッ…ほぅら、」
突然言葉を発した
奴に目を向けると
汚い骨だけの指で
前を示している
その先に視線をやると
死神の言わんとする事が
わかった
そこには、人の影。
.
:08/02/12 01:13 :SH903i :aSHgGwjY
#694 [ま-イ子]
ゆるいカーブに
なっているこの道は
所々にある青白い電灯が
光っているだけだ
その光りに
照らされた影は
こっちに近付いて来る
あたしも歩を進めた
二つの足音が交互に、
又は同時に、響き
近 く な る
.
:08/02/12 01:20 :SH903i :aSHgGwjY
#695 [ま-イ子]
見えた。男だ。
ポケットに手を突っ込み
コートに顔を埋めている
こんな時間に
一人で歩くなんて。
しかも、こんな時に。
(――――馬鹿、ね)
呆れ半分に男を見ながら
あたしは歩き続けた
.
:08/02/12 01:40 :SH903i :aSHgGwjY
#696 [ま-イ子]
コツ、コツ、と
音を立てながら
男の横を 擦り抜ける
一瞬、目が合ったような
気がしたが、何事も
なかったように
男の背中は遠退いて行く
あたしは歩を止めた
後ろから聞こえる足音に
耳を傾ける
.
:08/02/16 11:48 :SH903i :BHwyR6k.
#697 [ま-イ子]
手に固い感触。
あたしは"それ"を
力強く握り締めた
一歩、また一歩
遠くなる足音
口から冷たい空気を
吸い込み深呼吸をする
.
:08/02/16 11:54 :SH903i :BHwyR6k.
#698 [ま-イ子]
地を蹴り、
男の元へ走りだし
手に持っていたモノを
思い切り振り下ろした
.
:08/02/16 11:57 :SH903i :BHwyR6k.
#699 [yえりちぁンy]
あげます~ト
:08/02/18 22:52 :W53T :opmaMbFY
#700 [yえりちぁンy]
続き気になりますテ
:08/02/22 23:30 :W53T :g2CJCgLM
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