＊TＨE ＧOD OF DＥATH＊

だからあたしは
優真を愛してる

この先何があろうとも
優真と生きてゆく
ことを決めた

あたしの幸せ

・・・・・・・・・

闇が迫る

ゆっくり確実に

ほらもう目の前

.

そんな事を考えながら
あたしは家の扉に
手を掛ける

――――――‥ｮ

(----‥!!)

なんだ今の
誰かの声が‥‥‥

(気のせいだよね‥)

無理矢理納得させ
家の中に
足を踏み入れる

.

.

――ハﾔｸｵイデ

｢‥ッ!!!!｣

気のせいなんかじゃない

――ﾊヤｸオｲデﾖ

耳を塞いでも
頭に響き渡る
暗く低音な声

ドクン‥ドクン

他に聞こえるのは
静まる気配がない
あたしの鼓動

.

――ｺナｲﾅラ

どくん‥ドクン

(嘘だ嘘だ‥
何も聞こえないッ‥)

恐怖を覚えたあたしは
必死に自分に
言い聞かせたが

無駄だと思い知らされる

――コｲﾂｺロスﾖ

どくんッ

あたしは
家を飛び出し
走り出す

目指すは優真の元へ

いつの間にか
聞こえなくなっている声

｢ハァ‥ハッ‥｣

慣れない全力疾走と
焦り‥そして恐怖心から
息遣いは荒くなる

.

(早く‥はやくハヤク‥
もっとッ‥‥!!)

―――早くしないと
優真がッ‥‥‥!!

気のせいで
あってほしいと
願う反面

確信している
それはきっと

優真の死

.

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

優真が死んだら
あたしは

どう生きてゆけばいい？

駄目そんなの

優真のいない世界なんて
考えられない

そんな世界いらない

――死なせるものか

.

三本目の角まで
あと数十メートル

｢ハッ‥は‥‥‥?｣

気が付くと霧が

否黒い靄が
辺りを覆っていた

―――――ｿﾞｸｯ‥

今までに感じたことの
ない感覚が
身体を包み込む

.

※霧→きり

靄→もや

(なんか‥いる‥)

嫌でも身体に
伝わる

"何か"がいると---‥

手足が震える

あたしは走るのを止め
ゆっくり歩き出す

一歩また一歩

闇へ近付く

.