*THE GOD OF DEATH*
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#201 [ま-イ子]
もうすぐ――--
「あんたは死ぬんだよ、
神崎理奈。」
貴女に現実と絶望を。
.
:07/09/08 16:57 :SH903i :eQrdq6Ts
#202 [ま-イ子]
その瞳は
大きく見開かれ
止まることを知らない
涙が頬を伝う
「どう?
今まで見下していた奴に
殺される気分は。」
呻きながら何かを
言おうとしている神崎
しかしその口に
更に奴の手を押し込む
「---ゥウッ!!」
.
:07/09/08 17:06 :SH903i :eQrdq6Ts
#203 [ま-イ子]
「駄目だよ。
叫ばれたら厄介でしょ。
もう、あたしは
あんたと話す事なんて
何もないよ」
ニコリ、と
笑顔を作って見せる
神崎の目には
どんな風に
映っているかな。
(―――--あと1分)
.
:07/09/08 17:09 :SH903i :eQrdq6Ts
#204 [ま-イ子]
「ねえ、神崎‥‥‥
あんた‥優真のこと
凄く好きだったよね?」
少し躊躇った後
小さく頷いた
「そっか、じゃあさ‥
優真の為に死んでよ。」
.
:07/09/08 17:16 :SH903i :eQrdq6Ts
#205 [ま-イ子]
握っていた鎌を
思い切り振り上げる
「ッゥ――――---!!」
―――――
――――――---‥
.
:07/09/08 17:21 :SH903i :eQrdq6Ts
#206 [ま-イ子]
「‥クックッ‥これは、
また酷い有様だ」
喉を鳴らし笑いながら
死神が音もなく近付く
足元にあるのは
切り裂かれた
神崎の、死体
‥原型など
留めていないのだが。
「頭は残して
おいたでしょ」
素っ気なく返すあたしに
再度馬鹿にした様に笑い
神崎の頭に手を翳す
.
:07/09/08 21:05 :SH903i :eQrdq6Ts
#207 [ま-イ子]
口から出てきた
神崎の"魂"を喰らう
こいつの姿は
何時見ても悍ましい
「ご馳走様。」
ニヤリと口角を
上げながら
律義に手を合わす
---死神のくせに
魂を抜かれた
神崎を一瞥し
家へと足を向かわせる
.
:07/09/08 21:17 :SH903i :eQrdq6Ts
#208 [ま-イ子]
「スッキリしたかい?
"いじめ"られた
仕返しが出来たんだろう」
後ろから聞こえる
言葉にあたしは
足を止めた
「---‥何度も
言わせないでくれる」
「わかっているさ
"優真の為"なんだろう?」
「‥‥‥‥‥」
.
:07/09/08 21:22 :SH903i :eQrdq6Ts
#209 [ま-イ子]
「そうよ」
鋭い目つきで
真っ直ぐ見つめ答える
それを聞いた死神は
何も言わず歩き出す
「‥でも‥‥」
と、付け足すあたしに
死神は足を止めた
「‥結果的には
あたしの為に
なっているのかもね」
.
:07/09/09 11:43 :SH903i :2a1MXMvg
#210 [ま-イ子]
吊り上げた口元は
更に死神を
不気味にさせた
「それでいいのさ
君は、自分の為に
生きているのだから」
---――なんだって?
.
:07/09/09 11:46 :SH903i :2a1MXMvg
#211 [ま-イ子]
(自分の為――‥?)
「"ヒト"は誰でも
自分の為にしか
生きない。
他人の為に、なんて
"偽善" さ。」
「偽善‥‥?
あたしが偽善者
だとでも言うの?」
なんて腹の立つ奴だ
.
:07/09/09 11:51 :SH903i :2a1MXMvg
#212 [ま-イ子]
「クックッ‥どうだろうね」
それだけ言うと
死神は暗闇に消えた
「‥‥‥チッ‥」
小さく舌打ちした音は
誰に聞こえるわけでも
なく、溶けていった
振り返ると、
"神崎がいた場所"には
大量の血の痕が。
.
:07/09/09 12:00 :SH903i :2a1MXMvg
#213 [ま-イ子]
悲惨な惨劇を
物語らせるソレ。
何も感じないのは、
あたしが
偽善者だから?
―――くだらない
.
:07/09/09 21:50 :SH903i :2a1MXMvg
#214 [ま-イ子]
あたしは神崎の為に
生きていた
わけではないし
あいつも
あんなに好きだった
優真の為に死んだんだ
同情など、
する筈がない
.
:07/09/09 21:52 :SH903i :2a1MXMvg
#215 [ま-イ子]
あたしは、
優真の為に
生きるんだ。
.
:07/09/09 21:54 :SH903i :2a1MXMvg
#216 [ま-イ子]
くるり、と向きを変え
家へと歩き出す
(早く、魂を
集めなければ)
あたしの心が
壊れる前に
.
:07/09/09 21:57 :SH903i :2a1MXMvg
#217 [ぼぼ]
書いてくださぃ(^^)
:07/09/14 12:34 :SH903i :GCHRJV6k
#218 [ま-イ子]
>>217さま
更新遅れてて
すみませんッ
今日テスト終わりました
できれば今日の夜
更新します!
カキ
ありがとうございましたー(∀)
:07/09/14 17:09 :SH903i :Ka01jnAY
#219 [ま-イ子]
..見てくださっている皆様へ更新できなくて
すいません(..)
昨日更新しようと思ったのですが、
テスト期間に小説から
離れていたため
少しブランク入ってます
これから亀更新になります。
それでも、私なんかの小説に付き合って下さる方に
深くお詫びと感謝を
申し上げます。
これからも、お願いします(∵`)
:07/09/15 22:49 :SH903i :WL71sBzA
#220 [ま-イ子]
「‥‥クックッ‥‥」
暗闇の中では
奇妙な笑い声が
響き渡る
家へと足を運ぶ少女を
ビルの屋上から
見下ろしながら
"死神"は 嘲笑う
「それでいい‥
それで、いいんだ」
.
:07/09/16 22:17 :SH903i :sQPTMLR6
#221 [ま-イ子]
"ヒトは皆、
自分の為に──---"
「全ては、
私の為に‥‥な」
ぽつりと呟くと
言葉と共に
闇に消えた
.
:07/09/18 08:11 :SH903i :VutIS6XE
#222 [ま-イ子]
‥‥‥‥・・・
あたしはこの時
死神の"計画"も
"正体"も
何かもかも
わからなくて
ただ 死神の手の上で
踊っていた
.
:07/09/21 11:07 :SH903i :hGEB0dpw
#223 [ま-イ子]
何かに気付いていれば
あたしの"運命"は
変わっていたの
だろうか──--
‥‥‥‥‥・・・
:07/09/21 11:08 :SH903i :hGEB0dpw
#224 [I`む~]
初めまして
私この小説
すごっく好きなんです
どんなに
遅くなっても
いいんで
続けてくださいフ
お願いしますK
:07/09/28 19:56 :W53CA :GYdQKtB6
#225 [でら]
更新待ち(*'。'*)
:07/10/01 00:02 :SH903i :EFw158ao
#226 [ま-イ子]
>>224さま
>>225さま
全く更新できなくて
本当にすみません‥‥
こんな小説を好きと言って頂いて、すごく嬉しいです!
遅い更新になってしまいますが、完結させたいので、どうかお付き合いお願いします!
本当にありがとうございます
+゚
:07/10/02 22:56 :SH903i :wS/ugN4o
#227 [ま-イ子]
---───翌日
いつも通り
登校時間より遅れて
学校に行ったあたしだが
いつも迎えに出て来る
教師は誰もいない
不思議に思いながら
教室に入り
ようやく理解できた
.
:07/10/03 13:11 :SH903i :e7JKCPx2
#228 [ま-イ子]
そこには、大人しく
席に座る生徒達
神妙な空気の中
あたしは席に着いた
未だ来ていない教師
空いている 神崎の席
それだけで
この事態を把握できた
.
:07/10/03 13:13 :SH903i :e7JKCPx2
#229 [ま-イ子]
数十分後、(新)担任が
静かに教室に入って来た
その顔からは
悲しみと、動揺の色が
伺える
教壇に手を掛けると
重たそうな口を開いた
「‥遅れて、すまない‥
実は、皆に‥
聞いてほしいことが‥
‥あるんだ‥」
.
:07/10/03 13:20 :SH903i :e7JKCPx2
#230 [でら]
上げますっ
:07/10/10 03:55 :SH903i :x0AW8GOY
#231 [ま-イ子]
>>230さま
あげありがとう
ございます
(._・)ノ
少し更新
します
...
:07/10/12 12:06 :SH903i :O6MkXvtg
#232 [ま-イ子]
途切れ途切れに
話す言葉には
深刻さがひしひしと
伝わってくる
"良い知らせ"では
ないことも、
「‥神崎が、
行方不明に‥なった」
重たい口から
放たれた一言に
教室内が一気にどよめく
.
:07/10/12 12:08 :SH903i :O6MkXvtg
#233 [ま-イ子]
驚きを隠せない者‥
悲しむ者‥
自分は関係ないと
思っている者‥
それぞれがいる中で
当然の如く
あたしは無表情だった
「このことに、ついて‥
何か知っていることが
あれば‥少しでも良い!
俺に、言ってくれ‥」
再度下を向く教師
周りも又静寂に包まれる
.
:07/10/13 09:33 :SH903i :tnYjbeGQ
#234 [ま-イ子]
他のクラスからも
ざわめきが聞こえる
全校に知れ渡る
"神崎失踪事件"
それは、"村中"の時よりも
生徒達に衝撃を与えた
「理奈死んだのかな‥?」
「縁起でもないこと、
言わないでよ!」
「どうしよう‥私、
理奈と仲良かったし‥
狙われたら─--!!」
「ッ‥‥ 怖 い ‥」
.
:07/10/13 09:54 :SH903i :tnYjbeGQ
#235 [ま-イ子]
聞こえる声に
心の中でにやりと笑う
神崎を心配
しているのではなく、
自分が狙われる危険を
心配しているのか
──----所詮そんなモノ
「人は皆、自分の為に---」
‥‥その通りだ。
.
:07/10/13 10:00 :SH903i :tnYjbeGQ
#236 [ま-イ子]
死神の言葉に
嫌々ながら
納得させられた
それでもあたしは
違うのだと、
自分に言い聞かせながら。
こいつらは、偽善者
偽善者は、こいつら
.
:07/10/23 16:21 :SH903i :mgRvsdWg
#237 [ま-イ子]
──────‥‥
時刻は下校時。
優真と一緒に
家へと向かう途中、
「気をつけろよ」
唐突に放たれた一言に
あたしは目を見開き
優真の方を向いた
.
:07/10/23 16:26 :SH903i :mgRvsdWg
#238 [ま-イ子]
何の事だか
わからない顔をすると
優真は一旦足を止め、
真剣な目を向けると
話し出した
「神崎の事だよ。
最近起きてる"この事件"
俺らの学校の回りで
起きてるだろ?
次は誰が狙われるのか
見当もつかないし。
とにかく、気をつけて」
真っ直ぐあたしから
目を離さない貴方。
あたしは素直に頷いた
.
:07/10/23 16:35 :SH903i :mgRvsdWg
#239 [ま-イ子]
少し高い位置にある
優真の綺麗な瞳を
顔を上げて見つめる
数秒間見つめ合った後
あたしは沈黙を破った
「心配してくれて
ありがとう」
笑顔で告げると、優真も
照れたように笑う
.
:07/10/23 16:43 :SH903i :mgRvsdWg
#240 [ま-イ子]
「大丈夫だよ」
(あたしも────---
そして、優真もね)
.
:07/10/23 16:50 :SH903i :mgRvsdWg
#241 [ま-イ子]
小さくなる優真の背中
見えなくなるまで
あたしは手を振る
角を曲がる。
――ーー‥ゾクッ‥
"あいつ"と出会ってから
優真と別れる時は
悪寒が走る
背中に
死神が見えてしまうから
.
:07/10/26 17:33 :SH903i :bb5hYAbA
#242 [ま-イ子]
(‥死なせない
ーーーーーーーーー絶対に)
とはいうものの、
あたしは焦っていた
死神に関する情報が
ここ最近、
全く増えていないからだ
このままでは
先に魂を
集め終わってしまう
どうすべきか。
.
:07/10/26 17:42 :SH903i :bb5hYAbA
#243 [ま-イ子]
歩きながら
あたしは考え込んだ
死神に勝つ方法を。
(‥‥ー-----ッ!)
身体がビクリ、と
反応する
その目線の先には
あたしの家の前に止まる
真っ赤な車
そう、
―――----"あの人"の
.
:07/10/28 21:37 :SH903i :BoSk1wrg
#244 [ま-イ子]
一気に頭の中が
真っ白になる
"クソッ"と、
心の中で舌打ちし
なるべく静かに
家へ近付いた
人の気配等しないが
車があるという事は
(-ーーーいる。あの人が)
落ち着く為に
一息を吐く
‥慣れてしまった
行動の一つだ
.
:07/10/28 21:42 :SH903i :BoSk1wrg
#245 [ま-イ子]
長い深呼吸で
落ち着きを取り戻した
あたしは扉に手を掛けた
――ーーカチャッ‥
静寂には大きすぎる
音が家の中に響いた
(嗚呼‥何故、扉と
云うものは音が鳴るの)
普段気にしないこの音を
今だけは、酷く怨む。
‥‥意味がないと
解っていても
.
:07/10/28 22:45 :SH903i :BoSk1wrg
#246 [ま-イ子]
出来るだけ
足音を立てずに
あたしは敷居を跨いだ
――ーーもう無駄なのに
こうしなければ、と
動く 身体が 憎い
あたしの前に
ぽつん、と置かれる
真っ赤なヒール
見るだけで
背筋が凍り動けなくなる
(赤は、あの人の色)
.
:07/10/28 22:54 :SH903i :BoSk1wrg
#247 [ま-イ子]
視界を閉ざす様に
あたしは目を閉じた
聞こえてくるのは、
通常より
倍は速くなっている
自分の鼓動
ドッ‥ドッ‥ドッ‥
脳に響き渡るのは
その音だけで
他には全く気配もない
.
:07/10/28 23:15 :SH903i :BoSk1wrg
#248 [ま-イ子]
(寝て、いるんだ)
いつもなら
玄関に入ると
同時に現れ、あたしを
引っ張っていくが
今日はそんな様子がない
きっと、
珍しくこの時間
寝ているのだろう
安堵したあたしの心臓は
徐々に静まってゆく
.
:07/10/28 23:29 :SH903i :BoSk1wrg
#249 [ま-イ子]
それなら尚更
起こさぬようにと、
あたしは家を
出ようとした
扉の取っ手を掴む
開けようとしたが
力を入れる前に
扉 が 開 い た
.
:07/10/30 11:58 :SH903i :9a6QsEw.
#250 [ま-イ子]
隙間から
蒸し暑い空気が
家の中に流れ込む
その空気に対する
汗とは別に
嫌な汗が頬を伝う
外との隙間が広がり
目の前には、
「何処に行くつもり?」
口に孤を浮かべた、
あたしの、母親
.
:07/10/30 12:09 :SH903i :9a6QsEw.
#251 [ま-イ子]
硬直して身体は
全く動かず
あたしは目だけ
泳がせた
獲物を狙うような、
そんな眼球とは
決して交わらさず
目の前の女が履いている
スリッパを 見つめた
(だから、靴があったのか)
.
:07/10/31 15:14 :SH903i :K63YY.hQ
#252 [ま-イ子]
身体とは逆に
冷静な頭は
今の状況を
素早く判断した
(今日は運が悪い)
それは、
"慣れ"なのか
"諦め"なのか――ーーー
どちらでも
変わらないのだけれど
.
:07/10/31 20:19 :SH903i :K63YY.hQ
#253 [ま-イ子]
一向に視線を
絡ませようとしない
あたしに苛立ったのか
"母"は一歩前に出て
敷居内に入ると
音を立てて扉を閉めた
――ーキィ‥バタン!
より一層近くに
なってしまった距離
あたしは自然と後退る
.
:07/10/31 20:24 :SH903i :K63YY.hQ
#254 [ま-イ子]
それすらも
まずかったのか
母は又一歩あたしに
近付いた
逃げても無駄
静かに、目を閉じた
――ーーーバチンッ!
.
:07/10/31 20:26 :SH903i :K63YY.hQ
#255 [ま-イ子]
左から受けた
衝撃に僅かによろめいた
―――ーー痛い
手が開かれているだけ
いつもよりマシなのだが
容赦ない平手打ちに
頭痛と目眩が起こる
母を見上げると、
その顔には先程の
卑らしい笑みはなく
只、憎しみだけが
伝わる
.
:07/11/01 22:28 :SH903i :vICgvZoc
#256 [ま-イ子]
「‥なんで‥‥?」
か細い声で
今にも泣き出しそうな
そんな、声で
「なんで、あんたなんか
生んでしまったの?」
あたしにではなくて
自分自身に、問う
彼女の後悔の念が
"暴力"として
あたしに降り注ぐ
.
:07/11/01 22:36 :SH903i :vICgvZoc
#257 [ま-イ子]
――――ーーー‥‥
「おや、今日は随分
顔色が悪いようで」
わざとらしく、
カンに障る言い方をする
死神を睨み付けた
あの後
殴られ蹴られ続けた
あたしの顔は
所々が、内出血で
濁った紫色をしていた
――身体は顔の比では
ないけれど。
.
:07/11/01 22:58 :SH903i :vICgvZoc
#258 [ま-イ子]
「‥心配してくれて
どうも。」
目を逸らしながら
厭味を言い返す
少しだけ驚いた死神は
直ぐに又、笑みを浮かべ、
「クックッ‥当然の事さ。
君くらいしか心配する
相手は、いないからね」
(‥言うんじゃなかった)
鳥肌が立つ言葉を吐いた
.
:07/11/04 22:35 :SH903i :6ZKGnHdM
#259 [ま-イ子]
死神に友達なんて
いるわけがないから
当然と言えば、当然だ。
(あたしは断じて、
友達なんかでは
ないけれど‥)
心の中で
目の前にいるヤツを
拒絶しながら
共に暗闇の街へ
繰り出した
.
:07/11/04 22:40 :SH903i :6ZKGnHdM
#260 [ま-イ子]
(――--いや、
ちょっと待って)
先程の会話と、
あたしの言動等を
振り返る
("死神に、友達はいない"
‥‥‥‥?‥)
そ ん な こ と 、
誰 が 決 め た ?
.
:07/11/04 22:47 :SH903i :6ZKGnHdM
#261 [ま-イ子]
"他の死神がいない"
なんて、あたしは知らない
もしかしたら
死神はコイツだけでは
ないのかもしれない
―--そいつらが、
優真を狙わない
可能性は‥‥??
背中に嫌な汗が滲む
.
:07/11/04 22:53 :SH903i :6ZKGnHdM
#262 [ま-イ子]
(‥これくらいなら、
聞いても大丈夫‥か?)
横を歩いているヤツを
一瞥し考えた。
死神の情報が入らない
理由の一つが、コレだ
むやみやたらに
本人に聞いてしまうと
もしかしたら、
逆上してしまうかも
しれない。
それを恐れて
情報を聞き出せなかった
.
:07/11/04 23:57 :SH903i :6ZKGnHdM
#263 [ま-イ子]
‥‥しかし。
もうそんな事を
言っていられる程
時間はない
意を決して
聞いてみるしかない
ゴクリ、と唾を呑み
あたしは口を開いた
「‥‥‥そういえば、」
死神の方は見ずに
言葉を発し、
一旦区切る
.
:07/11/05 00:05 :SH903i :yv7D.T76
#264 [ま-イ子]
死神は無言で
次の言葉を待つ
あくまで無表情を
保ちながら、
あたしは続けた
「‥死神って、
あんただけなの?」
何の反応も
動揺も見せない死神を
横目で見ながら
返答を待つ
.
:07/11/05 13:28 :SH903i :yv7D.T76
#265 [ま-イ子]
「クックッ‥そうさ
今は、私一人だ」
何の躊躇もなく
話すコイツに驚いた
それ以上に
他の死神がいない
ということに安堵する
しかし、
気になる事が一つ‥
「‥‥‥"今は"‥?」
.
:07/11/05 13:47 :SH903i :yv7D.T76
#266 [ま-イ子]
疑問を口に出すと
死神は喉を鳴らし笑う
「クックックッ‥‥
ああ。今は、な」
それだけ言うと
あたしの前を歩き出す
(どういう意味‥?)
今は、と云う事は
昔、死神がいたと
いうことになる
―---死んだ?死神が?
.
:07/11/06 11:02 :SH903i :2ljGEOdA
#267 []
あげ
:07/11/08 17:07 :D904i :d/Zn1IVg
#268 [ま-イ子]
‐‐‐‐‐‐‐‐
>>267さま
..
あげありがとう
ございます
今日の夜に更新
予定です!
‐‐‐‐‐‐‐‐
:07/11/09 12:17 :SH903i :vax8H2NU
#269 [Ayumi]
いつも見てます^^
更新頑張って下さい
(・⌒・)
ちなみに、感想板と
かありますか?
見落としてたらゴメ
ンなさい!!:07/11/09 14:33 :P702iD :Rr9lW8Zw
#270 [我輩は匿名である]
:07/11/09 19:50 :D903i :/uJ7tZy.
#271 [我輩は匿名である]
今まとめて読んじゃいましたx
めっちゃおもろいですね
ゆっくりでいいので更新待ってます。
:07/11/09 22:34 :W51S :LiWEB8hI
#272 [ま-イ子]
:07/11/10 00:00 :SH903i :YyPamZAM
#273 [ま-イ子]
「どういうこと‥?」
頭で考えるのも限界が
あるので直接聞いてみる
すると、死神は
僅かに肩を揺らし
反応を示した
――--聞くべきでは
なかったのだろうか
緊張しながら
待っていると
意外にも早く返答が来た
.
:07/11/10 16:26 :SH903i :YyPamZAM
#274 [ま-イ子]
「‥もしかしたら‥
死んでいるのかも
しれないな」
ぽつり、と
独り言のように呟く
コイツが酷く、脆く見えた
「わからないの‥?」
「‥‥‥ああ‥」
それだけ言うと
死神は先を急ぐように
足を早めた
.
:07/11/10 16:38 :SH903i :YyPamZAM
#275 [ま-イ子]
あたしはそれ以上
何も聞かなかった
否‥‥聞けなかった
(やっぱり、悲しい‥
‥のかな)
死神もあたし達と
同じ感情を
持ち合わせているのか
――-仲間や‥家族‥
.
:07/11/11 00:31 :SH903i :rcc6MJ0g
#276 [ま-イ子]
今、あたしは
どんな顔なのだろうか
憎むべき死神に
同情なんかしてしまって
きっと、酷く
情けないだろう
( で も ‥ )
仲間や家族といられない
そんな気持ちは
痛いほど分かるから。
自 分 と 重 な る
.
:07/11/11 00:36 :SH903i :rcc6MJ0g
#277 [ま-イ子]
―――--ボスッ
俯きながら
歩いていたあたしは
目の前にある
黒いモノにぶつかった
打った鼻先を摩りながら
黒物を睨みつけるが
「‥獲物だ」
ソレは詫びを
入れることもなく、
普段通り言い放った
.
:07/11/12 18:47 :SH903i :Mc5nTYR6
#278 [ま-イ子]
あたしが無言で
手を差し出すと
何処から出したのか、
その上に大鎌を乗せる
その柄をギュッと
握り締め、
前を歩く人影に忍び寄る
―――--ザシュッ!
.
:07/11/12 18:51 :SH903i :Mc5nTYR6
#279 [ま-イ子]
慣れてしまった鎌さばき
―――--ビチャッ‥
慣れてしまった
鼻につく血の臭い
何も感じない、
こ の ア タ シ は
「まだ‥"人間の仲間"‥
‥‥だよね‥‥」
.
:07/11/12 18:58 :SH903i :Mc5nTYR6
#280 [ま-イ子]
ヒトを殺して
おきながら
こんなことを言うなんて
可笑しいだなんて
わかっているのに。
言い聞かせないと
迫りくる何かに
押し潰されそうな、
そんな、
自分がいた――--‥
.
:07/11/13 21:13 :SH903i :gYSmP.MY
#281 [ま-イ子]
―――――――
―――‥‥
幼い頃の
あたしがいる
目に溜まる涙を
必死で抑えながら
母の暴力に耐えていた
嗚呼、
何と言うことだ
何と酷く、滑稽な様だ
.
:07/11/14 15:10 :SH903i :MJ9XnUzE
#282 [ま-イ子]
殴られ蹴られるのは
当たり前の事で、
壁に打ち付けられ、
逃げようとすると
紙を引っ張られ
いくら悲鳴を
上げようとも
いくら嘔吐して
苦しんでも
母はその手を
休めることを知らない
.
:07/11/14 15:18 :SH903i :MJ9XnUzE
#283 [ま-イ子]
(こんなに
酷かっただろうか)
----この、行為は。
そんな事を思いながら
目の前で行われている
無情な光景を
只、黙って見つめる
鈍い音を響かせて
腹を蹴られた
幼いあたしは、
その場にうずくまった
.
:07/11/14 16:19 :SH903i :MJ9XnUzE
#284 [ま-イ子]
母が、拳を振り上げ
小さくなっている
あたしに、振り下ろした
―――ピンポーン‥‥
するはずの
鈍い音はせず
代わりに訪問者を
知らせる、
軽快な音が鳴り響いた
.
:07/11/15 13:50 :SH903i :9ziQIBqA
#285 [ま-イ子]
母はハッとして
自分の子供を
一瞥してから、
パタパタと足音を立てて
玄関に消えて行った
"子供"は震えながら
ゆっくりと顔を上げる
玄関から聞こえる
陽気な声に安堵して
一気に肩の力が
抜けたようだ
震えが小さくなった
.
:07/11/15 20:20 :SH903i :9ziQIBqA
#286 [ま-イ子]
「‥‥会いたかった‥」
「‥‥俺もさ。
今から、大丈夫か?」
「‥もちろんよ‥‥」
しかし、
耳に入ってくる声に
"子供"の顔は暗くなり
扉の閉まる音によって
その瞳からは涙が零れた
.
:07/11/15 20:30 :SH903i :9ziQIBqA
#287 [ま-イ子]
独りぼっちの家で
少女の啜り泣く音だけが
静かに、響く
ぽた、ぽた、と
フローリングに
落ちる雫に気付くと
少女はそれを腕で拭った
.
:07/11/15 21:06 :SH903i :9ziQIBqA
#288 [ま-イ子]
ゴシゴシと力強く、
服の袖で何度も。
暫く続けた後、
腕を止めた少女は
勢いよく立ち上がった
その顔には、
清々しい笑顔が。
.
:07/11/15 23:24 :SH903i :9ziQIBqA
#289 [ま-イ子]
―――‥‥
―――――――
目を開くと、
そこには
見慣れた天井があった
ゆっくり体を起こし
辺りを見回すと
やはり、自分の部屋だ
カーテンの隙間から
陽射しがもれている
(‥‥‥夢、か)
.
:07/11/16 12:08 :SH903i :s6v3.oe.
#290 [ま-イ子]
"夢"は、的確な
表現ではない
あれは、あたしの
"幼い頃の記憶"だ
(‥‥胸糞悪い‥‥‥)
心の中で
悪態をつきながら
布団から抜け出す
カーテンを全開にすると
眩しい朝日が
目の奥を刺激した
.
:07/11/17 10:52 :SH903i :PKBBNluc
#291 [ま-イ子]
――――何故、今更。
あんなモノを、
見たのだろうか。
(‥昨日の‥せいかな)
久しぶりに受けた
あの、行為のせいだ
窓から見える
澄んだ青空とは反対に
どんよりとした、心
.
:07/11/17 11:00 :SH903i :PKBBNluc
#292 [ま-イ子]
‥‥ピピピピ‥‥
「―――――!」
突然の音に
心臓がびくり、と跳ねた
鳴り響く音の
正体が分かり、あたしは
ソレに手を掛け止めた
ふう、と短く息を吐き
部屋を出て
キッチンへと足を運ぶ
.
:07/11/17 11:10 :SH903i :PKBBNluc
#293 [ま-イ子]
綺麗にされた
(と、云うか使ってない)
キッチンで、あたしは
朝食を作り始める
(いつから、だっただろう)
あたしが、あの人に
朝食を作るように
なったのは―――‥‥
ごみ箱を見ると、そこには
コンビニで買ってきた
弁当や、おにぎりの空が
詰め込まれていた
.
:07/11/17 11:21 :SH903i :PKBBNluc
#294 [ま-イ子]
その横に並ぶのは
お酒やビールの空き瓶
明らかに体を
蝕むモノばかりで。
だから、
せめて朝食だけは。と
作るようになったのだ
材料を買って
冷蔵庫に入れておく
あの人の行動から
きちんと、食べている
ことが分かった
.
:07/11/17 11:30 :SH903i :PKBBNluc
#295 [ま-イ子]
"どうして"と言われれば
それまでなのだが。
あたしは、あの人を
憎めないのかもしれない
.
:07/11/17 20:57 :SH903i :PKBBNluc
#296 [ま-イ子]
恐怖は何度も感じた
逃げ出したい気持ちで
一杯だった
でも‥‥‥あたしは、
あの人に
"憎しみ"を感じない
あの人はあたしを
憎んでいるけれど
.
:07/11/17 20:59 :SH903i :PKBBNluc
#297 [ま-イ子]
その理由は――‥1つ
父が、"あたしを助けて"
死んだからだ。
.
:07/11/17 21:02 :SH903i :PKBBNluc
#298 [ま-イ子]
- - - - - - - -
昔々、ある所に
平凡な若夫婦が
住んでいました
お互い愛し合い
二人の間には、
愛娘が生まれ‥
幸せな日々を、
送っていました
- - - - - - - -
:07/11/17 21:08 :SH903i :PKBBNluc
#299 [ま-イ子]
- - - - - - - -
しかし、ある日
愛娘が生まれて
間もないころに
一つの事件が、
起きました‥‥
殺人鬼に三人の
家は、襲われて
しまったのです
- - - - - - - -
:07/11/18 10:58 :SH903i :6yw63oM.
#300 [ま-イ子]
- - - - - - - -
殺人鬼は娘を、
殺そうと包丁を
振り上げました
しかし、夫が、
娘を庇い刺され
最期残った力を
振り絞り‥‥‥
殺人鬼と共に、
窓から飛び降り
てしまいました
- - - - - - - -
:07/11/18 11:02 :SH903i :6yw63oM.
#301 [ま-イ子]
- - - - - - - -
妻は愛する夫の
死に、泣き叫び
その後はヒトが
変わったように
娘に暴力を与え
続けました‥‥
失ったモノへの
憎しみを、誰に
向ければいいか
わからなかった
かのように――
- - - - - - - -
:07/11/18 11:08 :SH903i :6yw63oM.
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