＊TＨE ＧOD OF DＥATH＊

(‥見られて、る‥？)

―――視線を感じた

獲物を狙うような
そんな視線を感じる

しかし、あたしは

(気のせいだろう)

浮かれすぎていて
そんなこと気にも止めず
足を進めた

.

目標地点にたどり着き
あたしは扉を開いた

｢――――――ッ！！｣

一瞬にして息を呑む
大きく開かれた
瞳の先には

"あの人"が立っていた

.

突然の出来事に
心臓は速度を増し
あたしは固まる

今まで軽かった足は
地に縫い付けた様に
全く動かなくなった

瞳孔が開かれた瞳に
映るあの人の唇が
動き始める

｢‥随分と、
楽しそうね？なつ｣

.

―――――ゾクッ！

有り得ない、
この人があたしの名を
呼ぶなんて

有り得ない

(何を‥‥‥‥)

全身から吹き出る汗
小刻みに奮え出す身体

全てがこの人を拒絶する

.

焦るあたしとは裏腹に
彼女はくすくす、と
顎に手を添え笑う

｢‥なつ‥‥
あなたは、今、｣

区切られた言葉
緊張感が増し
肺が圧迫され苦しい

｢‥あなたは今、

幸せ？

｣

.

‐‐‐‐‐‐‐‐

>>388 ミス

‐‐‐‐‐‐‐‐

(――――――ッ！！)

そういうこと、か

" 見られていた "

優真といるあたしの姿を

―――嗚呼、今日も
ツイてない日だ

.

―――-----

その後は
今現在の状況を見れば
理解できるだろう

"あの人"をちらり､と
見上げると
その顔は鬼の様で

彼女が怒り狂っているのが
見て取れた

.

多少楽になった肺に
少しずつ酸素を送り込む

呼吸する度に
痛む身体を反転させ
仰向けになった

腹部に手を沿え
思い切り空気を吸う

――ドスン！

.

｢―---ッ、がはっ！｣

手の上から踏み付けられ
重なる痛みに
意識が飛びそうになった

｢‥苦しいの？なつ‥
大丈夫よね？
あなたには‥‥‥‥
心の支えがあるんだもの｣

先程までの形相からは
想像も出来ないくらい
優しい声で
あたしの上から囁く

.