ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#25 [☆Cocomo☆MILK☆]
狭い納屋のなか、輝夜は天を仰いだ
そこには無数の星明かり
そっと手を伸ばすが、指はむなしく空をつかむばかり
自分になせる、最初で最後のこと
妖魔に身を食われ、命つきようとも構わなかった
ただ一傷でもいい
両親を奪った憎い敵に痛みを与えられれば―…
○ [jpg/4KB]
:07/08/08 19:16 :W51S :☆☆☆
#26 [☆Cocomo☆MILK☆]
まちがいなく自分は殺されるであろうことは覚悟の上
なにもせず退屈な生を過ごすこと
それが輝夜にとって何よりの苦痛なのかもしれない
夜明けは間もなく
自分の命も、あとわずかなのだろうと輝夜は夜空を仰ぎながら思っていた
そのときまでは―――
:07/08/08 19:18 :W51S :☆☆☆
#27 [☆Cocomo☆MILK☆]
夜が明けた
人々にとっては希望の夜明けであっても、輝夜にとってこの目で見れる最後の朝日
だが輝夜はなんの迷いもなく命じられたまま納屋を出、泉へと連れられ身を清めた
幼い頃から太陽の光に弱く、あまり長い時間外で過ごすことができなかった
:07/08/08 20:31 :W51S :☆☆☆
#28 [☆Cocomo☆MILK☆]
それ伴い、輝夜の肌は雪のように白かった
思わず見張りの村人が息をのむほどの妖艶さ
それは死を前にしてもたじろかず、潤いを帯びた瞳を宿しているのも手伝っていた
身を清めてから、鮮やかな刺繍がほどこされた織物を纏わされる
:07/08/08 20:34 :W51S :☆☆☆
#29 [☆Cocomo☆MILK☆]
生け贄のものが着るもので、本来女性用として作られた藍色のそれは、細身で色白の輝夜の肌によく映えた
「準備はいいか」
「はい」
朝から村人たちは妖魔の出現を恐れ、家に隠っている
生け贄の義を執り行う村長と、見張り役二名だけで輝夜を森の奥地へ連れて行くことになった
:07/08/08 20:37 :W51S :☆☆☆
#30 [☆Cocomo☆MILK☆]
生け贄となるものは、例年ここで逃げ出したりあまりの恐怖に発狂してしまうものもいたが、輝夜はなんの抵抗もなく道を歩んでいく
そして森の奥地へたどり着き―――
輝夜はそっと顔をあげ洞窟を見やった
:07/08/08 20:40 :W51S :☆☆☆
#31 [☆Cocomo☆MILK☆]
木々が茂る森の奥地に、そっと開かれた洞窟
ここで何人の村人が犠牲になったのだろう
輝夜はしばらくそこを見つめ、振り返った
「もうあとは、独りで十分です」
「何か…言い残すことは…」
父代わりであった村長の言葉に、輝夜は目を閉じ首を振る
:07/08/08 20:43 :W51S :☆☆☆
#32 [☆Cocomo☆MILK☆]
「……ありがとうございます」
「…そうか…」
他の者たちも、昨晩からの輝夜の行動を見てここで逃げ出すだろうとは思わずにいた
これは只の儀式
こうしてまた来年も、誰かが犠牲になるのだろう
村人たちを見送った後、輝夜はそっと洞窟の中に足を踏み入れた
:07/08/08 20:45 :W51S :☆☆☆
#33 [T]
おもしろ〜いイ
絵とか超うまいしフフ
がんばって下さいト!
:07/08/08 21:44 :W51S :6SequbnM
#34 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
Tさん|
ありがとうございます|
何よりの言葉ですl|まだまだ力不足ですが頑張らせていただきますっd|
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
:07/08/08 21:52 :W51S :☆☆☆
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