ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#101 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴|椎鑼さんへ|
ありがとうございます滾Pお見苦しいですが最後まで頑張りますのでよろしくです滾P
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
:07/08/16 15:48 :W51S :☆☆☆
#102 [☆Cocomo☆MILK☆]
―――――――――――――――
「そんなにウロウロするな」
背中に投げ掛けた声に、俺は振り向き睨みあげた
「っだって…!」
「雨が降っては仕方ないだろう。
お前がうろついたところで、雨は止まない」
「だけど…」
俺はがくりと肩を落とした
待ちわびた次の日。
セツが言うように、洞窟の外は大豪雨
いくら隣村とはいえ、こんな天気の中では連れて行けないとセツが引き留めた
:07/08/16 15:58 :W51S :☆☆☆
#103 [☆Cocomo☆MILK☆]
「せっかく…楽しみにしてたのに…」
とぼとぼと近づき、輝夜はセツの隣に腰を下ろした
「…じき止むさ」
なだめるようにセツの大きな手のひらが頭を撫でる
輝夜はため息を吐き、ふと顔をあげた
―そういえば。
「…あの…昨日…」
「ん?」
:07/08/16 16:02 :W51S :☆☆☆
#104 [☆Cocomo☆MILK☆]
見上げた先に、整った顔
ガラスのような瞳に見つめられ、輝夜はぱっと視線を下げた
「や、やっぱりなんでもない…」
眠りに落ちる間際に触れた唇の感触
夢にしてはやけにリアルで
現実にしてはぼんやりとした感覚
思いだし、カッと頬に熱がこもった
「…すまない。腹が減っていた」
「………え…?」
:07/08/16 16:06 :W51S :☆☆☆
#105 [☆Cocomo☆MILK☆]
なんのことかと視線をあげる
セツは少しバツが悪そうに息を吐いた
「…妖魔はヒトの精気を吸い妖力を高める。昨夜は寝ているお前の口から少し気をもらった。
…断りもせず済まなかった」
困ったように笑い、どきんと胸が鳴った
輝夜は悟られないようにうつむき、唇を尖らせた
「べ、別に…。
……寝ている間にしなくても、言ってくれればよかったのに」
:07/08/16 16:13 :W51S :☆☆☆
#106 [☆Cocomo☆MILK☆]
「いや、嫌がるかと思ったから」
「嫌がるも何も俺は…っ」
――もともと、生け贄として此処にいるのだから――
続けようとした言葉が喉に張り付いた
セツはとても優しくて、自分が生け贄の立場を忘れてしまうくらい穏やかな人だった
本当に妖魔なのだろうかと考えてしまうほど、彼は自分によくしてくれた
雨が止み、明日母親に会えたら、輝夜はもうここに来ることはない
:07/08/16 16:18 :W51S :☆☆☆
#107 [☆Cocomo☆MILK☆]
しかし、セツは独りだ
きっと来年も、生け贄を逃がしてやるのだろう
――こんなによくしてくれてるのに、彼はずっと一人きりなんだ――
輝夜はきゅっと唇を噛み締めた
「……セツ、」
自分が彼にできること。
ささやかなお礼のつもりでも、精一杯返したい
「俺を、抱いて…」
:07/08/16 16:23 :W51S :☆☆☆
#108 [未弥]
どぉなるの-
続きめっちゃ気になりますッ
これからも頑張って下さい
:07/08/16 20:04 :SH903i :7aV.zztQ
#109 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
|未弥さんへ|
こんばんは|コメントありがとうございますUPまだまだ続きますが、今日はこのへんでPホまた明日更新します|次回はちょっとエロの…予定ホ|
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
:07/08/16 23:06 :W51S :☆☆☆
#110 [我輩は匿名である]
エロ楽しみフ
主さん頑張ってねえケ
:07/08/17 01:15 :W44K :zlvGzg.6
#111 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
|トクメイサンへ|
ありがとです遇P
落書きが仕上がった(?)ので更新します(o^v^o)
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
:07/08/17 11:53 :W51S :☆☆☆
#112 [☆Cocomo☆MILK☆]
:07/08/17 11:55 :W51S :☆☆☆
#113 [☆Cocomo☆MILK☆]
真っ直ぐ見上げた輝夜に、セツは目を見開いた
その表情にぐっと唾を飲み逸る鼓動を押さえようとした
答えを待つ輝夜は真剣な顔つきで、セツは大袈裟に息を吐いた
「…何を言っている」
あきれたような顔
輝夜はそれでも尚、セツに詰め寄った
:07/08/17 11:59 :W51S :☆☆☆
#114 [☆Cocomo☆MILK☆]
「言ってる意味なんてわかってる…俺は何か貴方に…力になりたいだけだ」
ヒトの精気を吸い妖力を高めるとセツは言った
ならばせめて自分にそれができるのなら
彼の役にたてるのなら
意を決し、引き下がらない輝夜にセツは口を開いた
「…確かに人間と交われば、妖力は回復する…が」
:07/08/17 12:03 :W51S :☆☆☆
#115 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…っあ…!」
ぐらり、と視界が傾き、固い地面の感触が背中に伝わった
押し倒されたと気付いたのは覆い被さるセツの瞳を見上げた時だった
「妖魔と交わった人間は寿命が縮まり……最悪、死んでしまう場合もある」
「……え…」
「それでもオマエは俺に抱かれるか」
挑むような言葉
輝夜はその言葉に少し躊躇い、セツを見つめた
● [jpg/31KB]
:07/08/17 12:11 :W51S :☆☆☆
#116 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…死ぬのは…嫌だ…でも」
―少しでも、貴方の力に―――
「でも、俺はそれでもいい」
こんなに他人のために思ったことがあっただろうか
初めて感じた人の優しさ
暖かさ
一瞬にして、輝夜の心を満たしてくれた
「…後悔するなよ」
ふと笑んだセツの唇が輝夜の唇に優しく触れた
● [jpg/30KB]
:07/08/17 12:20 :W51S :☆☆☆
#117 [☆Cocomo☆MILK☆]
―――――――――――――――…
薄暗い洞窟内では時間の感覚がおかしくなる
外から響く断続的な雨の音と、熱くなる身体が意識を曖昧にさせていた
「ン、…なん、か……待って」
「どうした…?」
輝夜の首筋をゆっくり舐め上げていたセツが止めるような声に顔をあげた
「ん…と、ちょっと…こわい…」
● [jpg/22KB]
:07/08/17 15:53 :W51S :☆☆☆
#118 [☆Cocomo☆MILK☆]
素直に延べたセリフ
セツは身を離し、輝夜を見下ろした
「…やめておくか?」
無理強いはさせたくない、と髪を透かれて輝夜はあわてて首を振った
「違う…っそうじゃなくて…あの、こういうの…はじめてだから…」
顔を赤く染め、言いにくそうに呟いた言葉に、セツは一瞬呆気に取られ小さく笑った
「…心配するな。何も最後まではしないさ」
「……え…?」
:07/08/17 16:00 :W51S :☆☆☆
#119 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…初めからお前を危険なカケに晒すつもりはない。
…母親に会うんだろう?もし今ここでオレと交わり死んでしまったら、オマエは悔やみながらオレを怨み続けるだろうしな」
それだけは勘弁だ、と苦笑いしセツは輝夜の頬に口付けた
「でっでも…!それじゃぁ…」
言いかけた言葉を吐くよりも早く、セツの唇に飲み込まれた
低い体温とは裏腹に、熱い口内
:07/08/17 16:07 :W51S :☆☆☆
#120 [☆Cocomo☆MILK☆]
ぬるりと侵入してきた舌先に、びくりと身体が跳ねた
「……ん、…ぁ」
歯列をなぞられ、舌を絡め取られる
二度目にされた口づけは最初の時と比べられないほど濃厚だった
「…っ…は…、……」
ようやく唇を離され、どちらともない溢れた唾液が互いの唇を結んだ
「…最後まではしなくても、オマエの高まった気をもらえば…十分だ」
:07/08/17 16:12 :W51S :☆☆☆
#121 [☆Cocomo☆MILK☆]
妖しく細めた瞳
その瞳に見つめられるとなぜか身動きがとれなくなってしまう
「………セツ」
両手を伸ばし、その首へぎゅっとしがみついた
「…ありがとう」
耳元で小さく囁かれた声に、セツは一瞬驚き、小さく笑った
人とこうして触れ合ったのは生まれて初めてだった
冷たいと感じていた体温は徐々に暖かさを感じ
輝夜は柔らかい温もりに涙が滲んだ
:07/08/17 16:29 :W51S :☆☆☆
#122 [☆Cocomo☆MILK☆]
さらけだした肌を長く綺麗な指が這う
身体の隅々をなぞるようにされて、輝夜は恥ずかしさに目をつぶるばかりだった
求め合うように交わされる深い口づけ
浅く荒くなる呼吸
少しづつ身体を支配する快楽
やがて反応を示し、勃ち上がったものを口に含まれ輝夜はあっけなく果てた
涙に濡れた輝夜の頬に、セツの唇が落ち、涙の跡をなぞるように舐められる
:07/08/17 16:35 :W51S :☆☆☆
#123 [☆Cocomo☆MILK☆]
ぼやけた視界に見上げたセツの顔は、どこか切なそうに微笑んでいた
――――――――――――――…
「ん……う、」
「起きたか」
目を覚ますとセツの腕に抱かれたままだった
セツの後ろでぱちぱちと焚き火の音が聞こえる
「…俺……」
:07/08/17 16:40 :W51S :☆☆☆
#124 [☆Cocomo☆MILK☆]
視線をさ迷わせ身体を起こそうとした瞬間、身体に掛けられた着物がはらりと落ちた
「…!」
晒された素肌に慌てて羽織を引き寄せる
ちらりと横を見れば、横になりながら自分を見つめ面白そうに笑うセツがいた
「おはよう」
「お…はよ…」
:07/08/17 18:19 :W51S :☆☆☆
#125 [☆Cocomo☆MILK☆]
ぎこちなく返事を返し、ふと彼の身体見る
同じ性であっても自分とは似付きもしない逞しい身体
察するに、セツも輝夜と同様上に掛けられた羽織の下は何も身につけていないようだった
昨夜の情事を思いだし、サッと頬に朱が走る
いくら最後まで身体を繋がなかったとしても、はじめての経験だった輝夜にとってはどちらも同じことだった
(…なんか…恥ずかしい…)
:07/08/17 18:21 :W51S :☆☆☆
#126 [☆Cocomo☆MILK☆]
セツの顔が直視できない
精気を与えたとはいえ、輝夜が感じたのは痛みでも恐怖でもない
じわじわと身体を侵食されていく熱い熱に、甘い快楽
相手が相手なだけに身体の異変も気になったが別状変化はなさそうだ
気まずそうに顔を背けたままの輝夜に、セツの腕がそっと伸ばされる
「輝夜…」
:07/08/17 19:37 :W51S :☆☆☆
#127 [☆Cocomo☆MILK☆]
しなやかな指先が細い輝夜の腕を捕らえる
そのままぎゅっと後ろから抱き締められ、輝夜は息を詰めた
「…ありがとう。感謝している」
首筋に顔を埋めたセツが呟く
綺麗な長い銀糸がさらりと肩を撫で、どきりと胸が鳴った
「…そんな…俺の方こそ………ごめん」
:07/08/17 19:41 :W51S :☆☆☆
#128 [☆Cocomo☆MILK☆]
ぽつりと小さく言った輝夜に、セツは顔をあげ眉を寄せた
「…なぜオマエが謝るんだ」
「だって…なんか…気使わせちゃったみたいだから…」
妖魔と交わった人間は寿命が縮まり、最悪死んでしまうかもしれない――――…
そう言われて、少なからず恐怖した自分
妖魔であるセツなら自分を無理矢理犯し、殺すことも他愛もないことだろう
しかし彼は輝夜の気持ちを汲み取ってくれた
:07/08/17 19:49 :W51S :☆☆☆
#129 [☆Cocomo☆MILK☆]
うつむいた輝夜の身体を抱き締める腕に、力がこもる
「お前が気にすることじゃない。
……オレが…お前を死なせたくないと思ったんだ」
初めて自分以外のものに興味を持った
輝夜は妖魔である自分を特別視せず、恐れずに向き合ってくれている
死なせたくない――
ふつふつと沸き上がった言いようのない感情に、セツは苦笑いをこぼした
:07/08/17 19:54 :W51S :☆☆☆
#130 [☆Cocomo☆MILK☆]
「セツ……あの…ちゃんと…妖力は…」
「ああ、だいぶ身体が楽になった。
…すまないな、はじめての相手がオレみたいな奴で」
「そんな…っ」
思わず振り向き、緑の瞳と視線がかち合う
綺麗な顔立ちに、真っ直ぐ見つめられ、輝夜は再びうつむいてしまった
「そんなことない…後悔してないよ」
うつむいたままの顔はうかがえなかったが、耳が赤いのを見る限り輝夜は照れているようだった
:07/08/17 20:19 :W51S :☆☆☆
#131 [☆Cocomo☆MILK☆]
「俺…セツで良かったよ」
顔をあげた輝夜は、はにかんだように笑った
照れたような、嬉しそうな笑顔
それは暖かく心に焼き付いて――――
瞬間、ずきりとセツの胸に痛みが走った
痛みの理由は分かる
これはきっと
恋、だと
セツは抱き締めていた腕をするりと離した
これ以上、輝夜をそばに置いてはいけない―――…
「セツ…?」
:07/08/17 20:27 :W51S :☆☆☆
#132 [☆Cocomo☆MILK☆]
急に身体を離され、輝夜は不安げにセツの顔を覗き込んだ
「俺…何か…」
「すまないが時間がない」
輝夜の言葉をさえぎり、セツは地面に投げられた着物を羽織った
黙ったまま服を着る後ろ姿に、輝夜は困惑した
―――俺、何か気にさわるようなこと言ったかな…
「あの、セツ…」
:07/08/17 22:10 :W51S :☆☆☆
#133 [☆Cocomo☆MILK☆]
しゅるりと帯を巻き終え、セツは長い前髪をかきあげた
その様子を見ていた輝夜はいたたまれなくなり、自らも掛けられた羽織を身につけた
(……急に…どうしたんだろう)
もやもやと不安が押し寄せて、焚き火に木をくべ始めた背中を見つめた
「…用意が出来たら此処を発つ。道は長い。ちゃんと準備しておけ」
「…うん」
それから一度も、セツは振り返らなかった
:07/08/18 03:18 :W51S :☆☆☆
#134 [☆Cocomo☆MILK☆]
:07/08/18 03:20 :W51S :☆☆☆
#135 [ケ]
あげイ
:07/08/18 11:30 :W44K :sE8J4sMU
#136 [我輩は匿名である]
⊂ニ(^ω^)ニ⊃
/ age \
.
:07/08/18 21:35 :D903i :5/RBzCZk
#137 [我輩は匿名である]
あげァ
:07/08/19 16:15 :W44K :KYOoG3Us
#138 [☆Cocomo☆MILK☆]
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
皆様アゲありがとうございます(>д<)ホ
感激です(/_;)
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
:07/08/19 21:22 :W51S :☆☆☆
#139 [☆Cocomo☆MILK☆]
:07/08/19 21:44 :W51S :☆☆☆
#140 [☆Cocomo☆MILK☆]
――――――――――――――――――…
洞窟を発ってから二時間後
細い獣道を進みながら、ようやく目的の村の側まで着いた
その間、二人は終始無言だった
聞きたいことも言いたいことも山ほどある
しかし輝夜は黙々と歩くセツの姿を黙って見つめ、歩を進めた
おぼつかない足取り
山道に慣れていない輝夜は何度も草根や岩に足を取られそうになる
:07/08/19 21:55 :W51S :☆☆☆
#141 [☆Cocomo☆MILK☆]
それを察したセツは何も言わずに歩を緩め、輝夜が歩きやすいよう生い茂る木の枝や雑草を掻き分けながら先導した
「…この先が村だ」
先を歩いていたセツがぴたりと足を止めた
言葉通り、すぐ先の林から民家や煙が立ち上っているのが見えた
「オレはこの先には行けない。もう大丈夫だろう」
「あの…!」
反射的に、引き返そうとしたセツの袖を引く
眉を寄せ見つめたセツに、輝夜はパッとそれを離した
:07/08/19 22:01 :W51S :☆☆☆
#142 [☆Cocomo☆MILK☆]
「ごめんなさい…あの、…なんて…言ったらいいのか」
生け贄として捧げられ、その機会にと復讐すら企てていた自分
それをこんな予想もしない転機に導いてくれたセツ
このまま村へ行き、母親と共に過ごせるかもしれないという期待が輝夜にはある
しかし、セツには希望も何もない
きっとこのまま彼はあの洞窟へ戻るのだろう
彼を待っているのは孤独と暗闇―――
:07/08/19 22:07 :W51S :☆☆☆
#143 [☆Cocomo☆MILK☆]
泣きそうに顔を歪め、うつむいた拍子にぽろりと小さな滴が落ちた
「俺…何もできなくて、ごめん…」
耐えるように唇を噛み締めた輝夜
その色素の薄い栗色の髪に、セツはポンと手のひらを乗せた
「なぜお前が泣く。
…お前が幸せになれば、俺も救われるんだ」
輝夜はのろのろと顔をあげた
セツは小さく笑い、赤くなった目尻をそっとなぞった
「ほら。母親に会うのに。泣いている奴がいるか」
:07/08/19 22:14 :W51S :☆☆☆
#144 [☆Cocomo☆MILK☆]
これからお前が母親を守っていくんだぞ、
と柔らかく微笑んだセツに、緩んだ涙腺から再び涙がこぼれそうになる
しかしそれをぐっと押さえ、輝夜はゴシゴシと目元を擦った
「…うん。ごめん。
……セツ、本当にありがとう」
ようやく笑みを見せた輝夜にセツは微笑み、きびすを返した
森の奥へと戻っていくセツの姿
その銀の色が見えなくなるまで、輝夜はずっと見つめていた
:07/08/19 22:26 :W51S :☆☆☆
#145 [☆Cocomo☆MILK☆]
――――――――――――――…
その村は小さく、どこか閉鎖的だった
まだ日も真上だというのに、人の姿は極わずか
ぽつぽつと並ぶ平屋には自給自足であろうそれぞれの畑が耕されていた
(どうしよう…とにかく話を聞かないと)
きょろきょろと辺りを見回しながら歩いていると、
「おや珍しい。今時女が流れ者かね」
後ろ背に声を掛けられ振り向くと、桑を持った初老の男が近づいてきた
:07/08/19 22:52 :W51S :☆☆☆
#146 [☆Cocomo☆MILK☆]
薄汚れた衣服に、伸びきった白髭
腰を下りながらよろよろと歩く老人に、輝夜はあわてて駆け寄った
「あのっ…!すいません、人を探しているんですが…」
口を開いた輝夜に老人は驚いたように目を開いた
「女かと思えば男だったか!いやすまない、お前さんの格好がそう見えてしまってね」
声をあげて笑った老人に、輝夜は思わず自分の羽織に目を落とした
(あ…生け贄の服は女物だからか…)
:07/08/19 23:00 :W51S :☆☆☆
#147 [☆Cocomo☆MILK☆]
山道を歩いたせいで元のように着崩れていたものの、輝夜の身なりは華奢な体つきも手伝って女と間違えられてもおかしくはなかった
「…生け贄は女だけかと思っておったが…」
「…え?」
ぽつりと呟いた声に顔をあげると、老人は目を細め、にっこり笑った
「疲れただろう。
来なさい、うちでよければ休んでいくといい」
:07/08/19 23:07 :W51S :☆☆☆
#148 [☆Cocomo☆MILK☆]
いいながら、老人は小さな平屋へと入っていった
(俺が生け贄って知ってる…もしかしたら母さんのこと、何か知ってるかもしれない)
輝夜はぐっと手のひらを握りしめ、老人に続いた
「ほう。母親を探しにこの村へ?」
「…はい」
:07/08/19 23:09 :W51S :☆☆☆
#149 [☆Cocomo☆MILK☆]
「よくもまあ、こんなさびれた村に来たもんだ」
苦く笑いながら、老人は手にしていた湯飲みに口をつけた
軽く笑い返した輝夜
「…母がこの村にいると聞いて…それで」
「お前さんの母親も生け贄だったのかい」
「はい。ちょうど…13年前に。何かご存じですか?」
身を乗り出した輝夜に、老人は腕を組み天井を仰いだ
「13年前………」
:07/08/19 23:45 :W51S :☆☆☆
#150 [我輩は匿名である]
あげるイ
:07/08/20 11:14 :W44K :Z6ajszfw
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