ぎんいろのおおかみ〈}イラスト付きBL}〉
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#151 [☆Cocomo☆MILK☆]
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匿名さんあげありがとです(o・v・o)P
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:07/08/20 19:56 :W51S :☆☆☆
#152 [☆Cocomo☆MILK☆]
「……………」
何か思い出しているかのように目を伏せた老人
輝夜はごくりと唾をのみ、言葉を待った
「13年前…確か…あやめ、と言ったかな?」
「!」
口を開き、聞き覚えのある名に輝夜は椅子から立ち上がった
「そう…!あやめです!」
それは間違うはずもない
今は亡き父から聞かされていた母の名だった
:07/08/20 23:27 :W51S :☆☆☆
#153 [☆Cocomo☆MILK☆]
椅子から立ち上がり興奮気味の輝夜に、老人はふと笑みをこぼした
「そうか…お前さん、あやめのせがれかい…どうりで似ていると思ったよ」
「それでっ…あの、母は今どこに…!」
「まあまあ、そんなに気を立てるな。
…あやめは夫がいると言っていたが…」
興奮気味の輝夜を落ち着かせようと、老人は輝夜の問いには答えず、ゆっくり話出した
:07/08/20 23:34 :W51S :☆☆☆
#154 [☆Cocomo☆MILK☆]
そんな老人に輝夜はハッとし、おとなしく椅子に腰を下ろした
「…父は亡くなりました。
兄弟もいません。身内は俺一人で…だから俺がここに来ました」
輝夜は落ち着こうと一呼吸起き、差し出されたお茶を一気にあおり、すっと頭を下げた
「母に会わせてください」
神に祈る気持ち
膝に置いた拳が震えた
「…この村には、女はいない」
:07/08/20 23:40 :W51S :☆☆☆
#155 [☆Cocomo☆MILK☆]
「え……」
顔をあげると老人は外の遠くへと視線を向け、話出した
「この村は元々大きな村だった。
しかし数十年前から他所から生け贄となった者が流れてくるようになった。
逃げてくるものはどれも若い女ばかりで男たちは喜んで彼女たちを迎えたが…ある日、そう13年前に、あやめという一人の女が村にやってきた」
:07/08/20 23:45 :W51S :☆☆☆
#156 [☆Cocomo☆MILK☆]
「…………」
「あやめはどんな男も虜になるほど美しい女だった。
村は彼女を招き入れ、ここで暮らしていいと言った。
…彼女は気さくで誰にでも優しく、そして美しい。
村の男たちは次第にあやめにひかれていった。
…しかしある時妻を持つ男があやめと駆け落ちしようと目論んだ。あやめは反対したが、男は頑としてきかなかった。
遂には刃物を押し付け―――どうなったと思う?」
:07/08/20 23:51 :W51S :☆☆☆
#157 [☆Cocomo☆MILK☆]
「わ…わかりません…」
急に話をふられ、嫌な予感が頭を駆け巡る
力なく首を降った輝夜に、老人はふと瞳を細めた
「男を殺したんじゃ。
村人が男の悲鳴を聞いて駆けつけたときにはもう事切れていた。
その場に座り込んだままのあやめが振りかえると、その瞳は真っ赤で、白い肌にはウロコが生えていた。
――――わかったろう?
あやめは妖魔だった」
:07/08/20 23:57 :W51S :☆☆☆
#158 [☆Cocomo☆MILK☆]
「そ…そんな…」
サッと身体中の血液が下がる感覚
指先が冷たくなり、カタカタと震え出した
「…嘘じゃあない。
あやめは蛇の化身だった。
―それからじゃよ。
村は女を妖魔として狩り、今では女は一人もいない…」
「…母、さんは…」
:07/08/21 00:05 :W51S :☆☆☆
#159 [☆Cocomo☆MILK☆]
「もう殺されたよ」
――――――…!
ぐらり、と目眩がした
うまく息ができない
今自分が立っているのか座っているのかさえわからない
母さんが妖魔?
殺された?
嘘だ
嘘だ嘘だ
「…お前さんは男だが…あやめの息子だ。
何が起こるか分からん」
ゆらりと立ち上がった老人が、パンと手のひらを叩く
同時に、ギイと音をたて家の戸が開いた
:07/08/21 00:11 :W51S :☆☆☆
#160 [☆Cocomo☆MILK☆]
「お呼びですか長老」
声と共に現れた二人の男
長老、と呼ばれた目の前の老人は青ざめた輝夜を一瞥したあと、低く言い放った
「妖魔の子供だ。
地下牢に閉じ込めておけ」
「はい」
足早に近づき、腕を伸ばされる
「…―っや!」
捕まれそうになる腕を振り払おうと立ち上がると、ぐらりと視界が揺れた
:07/08/21 08:31 :W51S :☆☆☆
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