「純也」
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#100 [あぃみ]
するとまた携帯が光った。ワンコール。
まさるがいつも「ついたよ」で送るサイン。
私は半信半疑で外に出てみた。
いつもの愛車のバイクにまたがる姿。
懐かしい制服を着たまさるがそこにいた。
まさるーー!
叫ぼうとしても声が出ない。
走ってまさるに近づいた。
:07/11/06 11:05 :911SH :☆☆☆
#101 [あぃみ]
いつもそうだった。
まさるは私の気持ちをすぐに理解する
なんでもお見通しで、
なにかあるとすぐに謝りにやってくる。
「ごめんな」って。
「嫌いにならないで」って。
事故にあった夜も喧嘩していた。
たしか…
まさるが、どこに行くか言わなかったから、私がすねて……
:07/11/06 11:09 :911SH :☆☆☆
#102 [あぃみ]
まさるの元に着くと
息を切らした私に優しい笑顔で言った
「走らなくてもいーのに、ごめんな。」
私をギュッと抱き寄せてくれて頭をポンと叩く。
まさるの香り。
安心できる温もり。
私は嬉しくて涙が溢れる。心の中で何度もまさるの名前を呼んだ。
:07/11/06 11:14 :911SH :☆☆☆
#103 [あぃみ]
なんか遠くから音楽が聞こえる。
だんだん音が近くなり、
私はハッと目を覚ました。
たしかに感じたはずなのに、まさるはいない。
まさるの優しさ…
夢…だったのか?
すごく切ない気持ちになった。
私がボーっとしているのをさっきから邪魔するのはこの着信音。
着信音? …電話だ!!
:07/11/06 22:21 :911SH :☆☆☆
#104 [あぃみ]
着信元は…
「純也」
時間は…あれから、
大分たっていた。
:07/11/06 22:23 :911SH :☆☆☆
#105 [あぃみ]
私は頭がこんがらがっていて、平常心をたもってなんていられなかった
「純也!誰とどこ行ってたのよー!」
三秒後に、後悔した。
「はー?なんでそんな事俺がお前に言わなくちゃいけないわけ?うざいんですけどー!」
私はガーーっと一気に落ちた。
「……ごめん。」
:07/11/06 22:29 :911SH :☆☆☆
#106 [あぃみ]
謝る他は考えつかなかった。
「あんま調子のんなよ」
すっごい悔しいけど、
たしかに…調子に乗っていた私もいた。
純也も自分が好きだって。どこかで信じてた。
「…ごめん。」
また謝る私。
:07/11/06 23:41 :911SH :☆☆☆
#107 [あぃみ]
電話をきると、涙が一気に溢れた。
悔しいよ…
純也に優しくされたい。
まさるみたいに、あいにきて ごめんねって抱き寄せて欲しい。
女なんていないよ。
お前だけだよって…
純也を私の妄想で作りあげていたみたい。現実の純也はとても冷たい。
:07/11/06 23:45 :911SH :☆☆☆
#108 [あぃみ]
純也……
純也……
まさる、
まさる?
まさる……
まさる……
:07/11/06 23:47 :911SH :☆☆☆
#109 [あぃみ]
気付いたら朝だった。
もちろん、純也からは着信ない。
ついでに昨日のまさるの着信もない。
あるわけがないか。
いつものように支度を始めた。最近の習慣になっている純也への報告、
「行ってきます」
ってメール作ってはみたけど勇気がなくて送信できなかった。なんか気まずい…
:07/11/06 23:51 :911SH :☆☆☆
#110 [あぃみ]
お昼休みも、何度も文章作ったけど結局送れなくて、でもその日は運よく仕事が忙しく、あっというまに上がる時間になった。
私は忙しい。
2時間後には夜の顔になる。
純也の事をできるだけ考えないように、ひたすら話した。いつもよりお客とベタベタした。
私の求めているのとは違う温もり、優しさ。
こんなにもてる私。
ねぇ純也、私、こんなに優しくされるんだよ?
:07/11/07 00:57 :911SH :☆☆☆
#111 [あぃみ]
23時。
気持ちが入りきらなくて
お客からクレームを受けてしまった私は、「今日は上がっていいよ」と言われ、トボトボ歩いていた。もう、目がつねにボーっとしてしまう。
純也に電話したいけど
どう接したらいいのかわからないし、
もうすぐ家だ。
最後の角を曲がろうとしたとき、見覚えのある車が停まっていることに気がついた。
同時に携帯が鳴った。
:07/11/07 01:17 :911SH :☆☆☆
#112 [*]
あツ!更新されてる
応援してるから
頑張ツてネ(´∀`)
:07/11/07 08:45 :D902iS :☆☆☆
#113 [るる]
おも∪ろLI
:07/11/07 17:26 :N900iS :☆☆☆
#114 [あぃみ]
112さん
るるさん
ありがとぅ
一人の時しか更新できないからちょぃちょぃでごめんなさい
頑張って書くので応援これからもお願いします
:07/11/08 08:50 :911SH :☆☆☆
#115 [あぃみ]
重いまぶたは一気に開いた。
純也だ!
車も純也の車。
私はとっさに車から見えないところに隠れてしまった。
私の心臓と携帯は同じリズムで鳴り続ける。
通話ボタンに指を当てて
どうしたらいいか考えた。
:07/11/08 08:57 :911SH :☆☆☆
#116 [あぃみ]
謝りに来てくれたのかな?でも、ごめんって言われても彼女じゃないしおかしいかな…
でも でも
純也のそばに行きたい。
電話にでる決意をした時、純也からの呼び出しは止まってしまった。
また私は どうしよう と考えていると今度はメールが届いた。
青いランプだから純也に間違えない。
:07/11/08 09:04 :911SH :☆☆☆
#117 [あぃみ]
「お疲れ!
仕事?何時に終わる?
俺今友達と飲んでんだけど終わったら行こうかと思って!終わったら連絡して!」
…嘘をつく意味がわかんない。強がりなのか。
車のところにむかって行って驚かせてやろうかと思ったけどそんな勇気はない。
メールに返事を打った。
「仕事だよ、もうすぐ上がる、来てくれるの…」
いや…
なんかな…
:07/11/08 09:40 :911SH :☆☆☆
#118 [あぃみ]
「今終わって帰ってるよ、まだ友達でしょ?何時くらい……」
違う。
「この前はごめんね。なんか連絡しずらくなっちゃって…」
んー。
何度も何度も打ち直した。
:07/11/08 09:43 :911SH :☆☆☆
#119 [あぃみ]
するとボタンの反応がにぶくなり、また青いランプが光った。
「やっぱやめた!
ねみぃしダルイからめんどくせー。」
私は焦った。
会えなくなっちゃう。
行かないで…
:07/11/08 09:47 :911SH :☆☆☆
#120 [るる]
あげ♪♪
:07/11/08 18:00 :N900iS :☆☆☆
#121 [あぃみ]
:07/11/08 21:26 :911SH :☆☆☆
#122 [あぃみ]
そんな願いも虚しく、
純也の車はランプが付き、中で純也は座り直し、
ハザードを出して、
いつの間にか見えないところまで走っていってしまった。
ほんとは逢いたかったのに…
せっかくのチャンスだったのに…
すぐそばにいたのに…
:07/11/08 21:30 :911SH :☆☆☆
#123 [あぃみ]
私は家に帰ってからも
勇気が出なくて連絡すらできないでいた。
純也は何を思っているのかな。私からの連絡待っていたりするのかな。
それともあのまままた女の所へ遊びに行ったのかな。ねぇ、純也…
気付いたら朝になっていた。
:07/11/08 21:35 :911SH :☆☆☆
#124 [あぃみ]
支度を始めようとした時、携帯が光った。
…純也?
私は慌てて電話をとった。
「………」
まただ。声が出ない。
「あ、俺だけど、昨日ごめんな。お前が仕事終わる頃に電話して迎えいこうかと思ってたのに寝ちゃったよー。起きてもお前から連絡ないから心配して電話してみた!無事ならいいんだ。よかったよー。」
:07/11/08 21:41 :911SH :☆☆☆
#125 [あぃみ]
まさるからだった。
なんか妙に安心して私はまた泣いていた。
自分の泣き声で目が覚めた。また夢をみていたんだ。
まさるは私のツボをつく。まさるが私の思いを叶えてくれる。
…たぶん、私は純也にこれを望んでるんだ。
純也に優しくされたい。
:07/11/08 21:45 :911SH :☆☆☆
#126 [あぃみ]
純也から次に連絡が来たのは夜だった。
珍しく夜のほうは休みだったのでりんちゃんと飲んでいた。
「あい、電話だよ?」
りんちゃんはトイレから戻った私に慌てて電話を渡して来た。
それにつられて私は慌てて電話に出た。
「もしー?」
「…久しぶりぃ!」
電話の向こうからは純也の甘い声。でも元気な声
:07/11/08 21:50 :911SH :☆☆☆
#127 [あぃみ]
「純也?」
一言だけ言うとりんちゃんは心配そうに私を覗き込んだ。
たった今まで純也の話しをしていたから。
純也は気まずさを感じさせないテンポで話してきた
「仕事?何時まで?俺今日そっちの方に用があるから迎え行くよ!!」
:07/11/09 10:25 :911SH :☆☆☆
#128 [*]
あげ(・∀・)
:07/11/09 22:37 :D902iS :☆☆☆
#129 [るリ]
あげ
:07/11/10 06:41 :N900iS :☆☆☆
#130 [あぃみ]
:07/11/10 09:49 :911SH :☆☆☆
#131 [あぃみ]
:07/11/10 09:50 :911SH :☆☆☆
#132 [あぃみ]
続き〜
純也は自分が私に言った事など忘れているようだった。
聞きたい事は沢山あるはずで、少しムカついてて、気まずいはずなのに、純也のペースにまた流される私。
「今日は休みでー、今りんちゃんと飲んでるよー!」
「まぢー、じゃ俺も今から行くよ?」
「えっ無理だよ。」
りんちゃんといるんだから… なんて自分勝手なんだろぅ。
「なんで無理なの?男?」
「…男はいないけどりんちゃんといるんだってば!」
:07/11/10 09:58 :911SH :☆☆☆
#133 [あぃみ]
「無理」と「なんで」のキャッチボールを繰り返していると、りんちゃんが「なんだって?」の顔で私を見た。
私はマイクに指を当てて小声で言った
「純也が来るとか言い出した」
少し驚いた表情のりんちゃん。
:07/11/10 10:01 :911SH :☆☆☆
#134 [あぃみ]
「まぢ変な奴だね、来るのは全然いいよ?あぃが大丈夫なら!」
優しいりんちゃん。
私は受話器に耳を戻した。
「おーーーい!聞いてんのかよー!電波わりぃのかぁー?」
純也は一人で大きい声を出していた。元気がありあまってる様子。
私は答えた。
「純也?りんちゃん来ていいって言ってくれたよ?」
「おう!当たり前じゃん!」
:07/11/10 10:12 :911SH :☆☆☆
#135 [あぃみ]
始めの頃はすぐに
「当たり前じやん」と言う純也に腹をたてたり、期待したりしていたけど
純也のこれは単なる口癖だった。時と場合を選ばない。
電話を切るとりんちゃんが身を乗り出して聞いてきた。
「あい?大丈夫なの?私だったら調子のんなとか言われたらまじ潰すけどね!まぁそこがあぃの優しいいいところなんだけどさ。優しすぎるのもよくないよ、使われて終わる。あぃが聞けないならあたしが純也に聞いてあげるよ!」
:07/11/10 20:32 :911SH :☆☆☆
#136 [あぃみ]
りんちゃんは私よりも興奮している様子だった。
私は、好きな人の前だと強くいられない。たくさん我慢する。
純也は特に謎だらけで、すごく知りたいのに踏み込めない。怖い。
だから…りんちゃんに頼ってもいいよね。
何を聞くかを二人でまとめた。だいたい二人とも同じ事を知りたかった。
りんちゃんには何も隠さず純也への気持ちや今まであった出来事などを話していたからよくわかってくれていた。
:07/11/10 20:37 :911SH :☆☆☆
#137 [あぃみ]
しばらくすると純也が現れた。
テーブル席で
私の隣に座り、向かいの 席にりんちゃんが座っている状態で、とりあえず一杯乾杯した。
私もりんちゃんもやっぱプロだから純也を酔わすのはあっという間
ほろ酔いで少し頬がピンク色になった純也を見て、私とりんちゃんは目を合わせた。
スタートの合図。
:07/11/10 20:43 :911SH :☆☆☆
#138 [あぃみ]
りんちゃんがグラスを置きながら話した。
「てかさー、純也とあぃみってお似合いだよねー!美男美女って感じ!
てかさ、付き合ってんだっけ?」
口は笑っていても鋭い目で純也を見てる。
見てる。見てる。
私はチラリとも純也の方を向けないでいる。
:07/11/10 20:49 :911SH :☆☆☆
#139 [るリ]
どき(^ω^)どき
:07/11/10 21:13 :N900iS :☆☆☆
#140 [あぃみ]
るりちゃん
総合板のほぅにコメントしときました
ありがとう
:07/11/11 11:18 :911SH :☆☆☆
#141 [あぃみ]
純也がどんな反応を、表情をするのか 怖くて見れないでいる。
しかし純也は少しのためらいもないようすで即答した。
「は?付き合ってねーし」
チーーン。。
私の心の中で金がなる。
そしてじわじわと目が熱くなる。胸が痛くなる。
りんちゃんは私を見て慌てて 続けた。
:07/11/11 11:23 :911SH :☆☆☆
#142 [あぃみ]
「なんで?彼女いるの?」
ストレートすぎるりんちゃん。もっと遠回しに聞いて欲しかった。
そんなりんちゃんに、純也は少し溜めて答えた。
「…彼女?いねぇよ。
てか、彼女とかいらねーし」
私はとどめを刺されたかのように動けなくなる。
:07/11/11 22:19 :911SH :☆☆☆
#143 [あぃみ]
私が純也を好きな事、純也は気付いているはず。
それなのに、私がいるなんてわすれているのか、純也はのうのうと答えた。と、いうことは、
「諦めてくれ」
そうゆうことなのか?
でもきっと、私といるとき、純也は楽しいはず。
わざわざ嘘をついてまであいに来てくれる。プライドなのか?
純也は私の休みを記憶してくれる。迎えにも来てくれる。さっきだって、ここから30分以上離れた私の夜の職場の近くにいるみたいなこと言った癖に 純也はすぐに現れた。
:07/11/11 22:26 :911SH :☆☆☆
#144 [あぃみ]
なんで純也はここにいるんだ?なんで私に電話したんだ?
今、純也の一言を聞いた瞬間から私の頭はフル回転した。
今、おかれている状況を理解しようと一生懸命考えた。
でも、
すべてが謎。
わかないよ、純也。
:07/11/11 22:30 :911SH :☆☆☆
#145 [あぃみ]
訂正
わかないよ×
わからないよ〇
:07/11/11 22:32 :911SH :☆☆☆
#146 [あぃみ]
私は飲むしかなかった。
ぐいぐい飲んで
ぐいぐい飲んで。
目がまわりだした。
気がつくと
隣の肩にもたれ掛かり、うでにシッカリしがみついていた。
顔をあげて純也の顔を覗き込んだ。
「酔っちったぁ!」
:07/11/11 22:36 :911SH :☆☆☆
#147 [あぃみ]
純也はこちらを向かない。
純也の名前を呼ぼうとした。そのときだった。
「……」
声が出ない
まさる…?
振り向いたその顔を見て胸の奥が熱くなる。
そしてまた涙が流れた。この涙はなんなのだろう。
私がしがみついている腕は彼氏のまさるの腕だった。
そしてまさるはいつもの優しい笑顔で私に微笑みかけている。
:07/11/11 22:42 :911SH :☆☆☆
#148 [あぃみ]
私を安心させるぬくもり、表情、優しさ…
まさる…
「……まさるぅ。」
「うぇーん!まさるー」
私は声を出して泣き出した。
まさるが頭を「よしよし」って撫でて慰めてくれるから…
ん?
声が出た?
あれ?
:07/11/11 22:46 :911SH :☆☆☆
#149 [あぃみ]
私は誰かに肩を叩かれている。
バッと身体をおこすと目の前にはりんちゃんがいた。
横を確認すると純也がいた。
「…夢、かぁー。」
でも涙で頬は濡れている。
…声、出してた。あれは聞こえていたのだろうか。急に恥ずかしくなる私。
:07/11/11 22:55 :911SH :☆☆☆
#150 [あぃみ]
りんちゃんは笑った。
「もぉー飲みすぎー!あい、30分は寝てたよ笑」
「まじ?ごめん!笑」
純也が続いた
「てかお前化粧落ちすぎ笑」
「まじ?ごめん。」
鏡を出して顔を確認する。
すると…
二年前に見た事がある自分がいた。
まさるが事故にあった日。私は同じ顔をしていた。
私…
まさるに逢いたい。
:07/11/12 00:04 :911SH :☆☆☆
#151 [あぃみ]
居酒屋を出ると
足がない私は困った。
純也の車に乗るか、りんちゃんの車に乗るか。
自然な流れに身を任せるとりんちゃんが明るく言った。
「じゃーあい、また明日ねー!」
そして意味深な笑顔を見せて一瞬真剣な目をして頷いた。
…いや、ごめん。
そんな風に合図されても
何の意味か全然わからないよ。
そして足早に去っていった。
:07/11/12 00:13 :911SH :☆☆☆
#152 [るリ]
おも∪ろあげ♪♪
:07/11/12 00:56 :N900iS :☆☆☆
#153 [*]
楽しみ〜(´∀`)
:07/11/12 07:26 :D902iS :☆☆☆
#154 [あぃみ]
153さん
感想板にもよかったら来てくださぃ
るりちやん
ども
:07/11/12 11:41 :911SH :☆☆☆
#155 [あぃみ]
続き〜
「彼女なんていらねーし」
酒でぐるぐる回る頭の中を純也のこの言葉がさらに掻き回す。
まいったなぁ〜
ため息と一緒に肩を落とした。
「いくぞ?」
純也は私の腕を引っ張り車に向かおうとした。
「お前本当細いな」
……あれ?……
:07/11/12 11:55 :911SH :☆☆☆
#156 [あぃみ]
…手。
手が…。
あったかい。
あれ?
純也?
なんで?
手をつないでる。
そういえば、
私が腕を掴んで歩く事はあっても手を繋いだのは初めてだ。
私は一気に酔いがさめた。気がした。
:07/11/12 11:59 :911SH :☆☆☆
#157 [あぃみ]
純也のほうに目をやると
ただ前を向いていた。
嬉しい。
嬉しいよ。
やっぱり純也が好きだよ。だから苦しいよ。
純也、ずるいよ。
:07/11/12 12:06 :911SH :☆☆☆
#158 [あぃみ]
車につくと、あの純也がレディーファースト。
助手席のドアを開けて私を乗せてくれた。
調子、くるっちゃうな。
無言のまま発進した車の中は音楽だけが流れていた。
かける言葉が見つからない。
私は寝たふりという逃げ道に入った。
純也は何も言わない。
車は信号なのか
ゆっくり停車した。
:07/11/12 12:20 :911SH :☆☆☆
#159 [あぃみ]
純也が咳ばらいをする。
「んっんー!」
私は起きない。
すると純也の手が私の頭に触れる。
優しく叩く。
ポンポンと…まさるのように。
私はまた目の奥が熱くなり涙がじわじわ染みてくる。
やばい。
:07/11/12 12:25 :911SH :☆☆☆
#160 [あぃみ]
純也なのか…
まさるなのか…
目をあけないとわからない。確認したい。
私はそっと目をあける。
同時に涙が頬を伝う。
するとすぐ近くに純也のどあっぷの顔があった。
:07/11/12 12:28 :911SH :☆☆☆
#161 [あぃみ]
「っへ?」
びっくりする間もなく
純也は私の涙を手ですくい、唇を…
そっと重ねた。
意味がわからない。
混乱しすぎて、苦しくて
さらに涙が流れた。
純也はまたそっと唇をはなすとくすっと笑って言った。
「お前、子供みたいだだな。」
そしてまた頭をポンポンと撫でられて、純也は運転し始めた。
:07/11/12 13:33 :911SH :☆☆☆
#162 [あぃみ]
愛を感じるのは
気のせいだろうか…
胸が締め付けられる。
:07/11/12 16:30 :911SH :☆☆☆
#163 [あぃみ]
しばらくボーってしてしまい身動きが取れないでいた。
すると純也の携帯が光る。ジューススタンドで
カタカタ…カタカタ。
いつも純也は出ない。
私は聞いた。
「なんでいつも出ないの?」
:07/11/12 17:46 :911SH :☆☆☆
#164 [あぃみ]
さっきから純也が優しいから、勇気を振り絞ることなく、すんなりと聞いた
…まだ
優しい純也でありますよーに。そんな願いもあった。
純也はビクっと動いてガバっとこちらを見た。
変な顔。
「なんだよ、お前起きてるの?もぅ酔いは平気?びびったぁー」
そして少し笑顔になって運転に戻った。
カッコイイな。
やっぱり見とれてしまう私。
:07/11/12 17:53 :911SH :☆☆☆
#165 [るリ]
あげ
:07/11/13 07:12 :N900iS :☆☆☆
#166 [あぃみ]
:07/11/13 09:47 :911SH :☆☆☆
#167 [あぃみ]
「って、じゃなくて、
電話出なよ?」
こちらをみることもなく、携帯に手をのばした。
…怒っているのか?
表情が見えない。
「はい」
不機嫌に出た
「あー、まぢ?おぅ、
ハハハ、お前馬鹿ぢゃん!」
次第に純也の表情は柔らかくなる
:07/11/13 09:54 :911SH :☆☆☆
#168 [あぃみ]
長い…長いよ。
出ればなんていわなきゃよかった。
声が漏れてる。
女の子のキンキン声。笑い事。甘い声。
「お前」って純也が私を呼ぶ為の言葉。
その娘にも使うんだね。
純也は私に向けてくれる笑顔を見せて話し続けた。
痛い。
逃げたい。聞きたくない。
私はなぜか鳴るはずのない携帯へ発信していた。
:07/11/13 09:59 :911SH :☆☆☆
#169 [あぃみ]
「まさる」
しかし、奇跡的に繋がった。呼び出し音をただひたすら聞いていた。なんか、それだけでも純也の声が耳に入りにくいし、安心できた。
20回くらいコールがなったのでそろそろ切ろうと思った瞬間、
プチッ
出た音がした。
:07/11/13 10:06 :911SH :☆☆☆
#170 [あぃみ]
慌てて耳に戻した。
「あいみちゃん?」
「ママ?」
それはまさるのママだった。ご無沙汰すぎて言葉が出てこない。
ママが一瞬の沈黙を破った。
:07/11/13 22:02 :911SH :☆☆☆
#171 [あぃみ]
「久しぶりだねー。」
「はい。でもなんで携帯繋がるんですか?まさるのでしょう?」
私は挨拶も忘れ、勢いよく聞いた。
ママはかすれた、か細い声でゆっくりと答えてくれた。
:07/11/13 22:06 :911SH :☆☆☆
#172 [あぃみ]
「うん。解約しようと思ったんだけど、きっとあいみちゃん、何かあったらかけてくる気がして…無理はしないでほしいの。あいみちゃんのこと、おばさん大好きだから。
自分の子供のように思えるの。
辛い想いをさせて、ごめんなさい…
まさるもいい方向に向かっているの。
だからもぅ大丈夫。
あいみちゃんから頂いたお金は、ちゃんと貯めてあるからまさるが元気になったら返しに行くね。今まで重荷になってしまってホントに申し訳なく思ってる。あいみちゃんの人生なんだから、
縛られることないのよ。
自由に生きていって。
おばさん、ずっと伝えたくて、ずっと電話待ってた。こっちからかける勇気がなくてごめんね。」
:07/11/13 22:29 :911SH :☆☆☆
#173 [あぃみ]
私は頭の中がごちゃごちゃで何も話せないでいた。結局、何も伝えられないまま電話を切った。
…重荷なんて思ったことないのに、ママは私がそう感じてるって思ってるんだ…
しばらく一点を見つめたまま考えていた。
この空間は静かだ…
:07/11/14 08:52 :911SH :☆☆☆
#174 [あぃみ]
純也が電話終わっていることを意味していた。
私は今の気持ちをひきずらないように明るく笑いかけた。
「あっ。電話終わってたんだ?」
…純也は答えない。
:07/11/14 08:55 :911SH :☆☆☆
#175 [るリ]
がんばれ
:07/11/14 16:06 :N900iS :☆☆☆
#176 [*]
あげ
:07/11/14 21:54 :D902iS :☆☆☆
#177 [あぃみ]
「お前さぁ、俺が女と電話するだけでそんな落ちるわけ?」
…やばい。
また痛い事言われそう。
「えっ違うよ」
私のか弱い否定は純也に聞こえていないかのように純也は続けた。
:07/11/17 00:41 :911SH :☆☆☆
#178 [あぃみ]
「てかさぁ、俺にだって女の一人や二人いるわけ。お前にどうこう言われる筋合いないわけ。
でも、ただの友達だよ?
今も、教習行ってたときの奴で、笑える教官の話しだっただけだし…
だから…
まぁいいや。
てか腹減った!ラーメンごちって」
坦々と話す純也。
:07/11/17 00:46 :911SH :☆☆☆
#179 [あぃみ]
だから…
その続きが聞きたかった
心配するなって言うつもりだった?
笑ってそんなふうに言えたら楽なのにね。
私は純也には弱いから
何も言えずに
今くれた言葉を噛み締めて
「いーよ。」
そう答える。
:07/11/17 00:51 :911SH :☆☆☆
#180 [るり]
:07/11/18 03:09 :N900iS :☆☆☆
#181 [しまじろー]
あげ(∵)
:07/11/20 08:54 :D902iS :☆☆☆
#182 [るり]
:07/11/20 20:54 :N900iS :☆☆☆
#183 [あぃみ]
:07/11/20 21:34 :911SH :☆☆☆
#184 [あぃみ]
でもね、
今日は少しだけ
二人の間に生ぬるい風がふいた。
これがいつか暖かい風に変わる気がした。
:07/11/20 21:38 :911SH :☆☆☆
#185 [あぃみ]
いつもよりちょっとだけ優しい純也と
いつものようにご飯を食べて、
いつものように私が会計して
いつもより長いキスをして
いつものように別れた。
家に帰るなりりんちゃんに電話をした。
夜中で、少し眠たそうなりんちゃんは私の言葉に目が覚めたようだ。
:07/11/20 21:53 :911SH :☆☆☆
#186 [あぃみ]
「まじで?純也が優しくなったー?ふふふ」
なぜか意味深に笑うりんちゃん。
「なんで笑う?なんか逆に怖くて…」
少し落ち込みぎみの私にりんちゃんは嬉しそうに
声をはずませて答えた。
「そっかそっかぁー!」
:07/11/20 21:57 :911SH :☆☆☆
#187 [あぃみ]
「どーゆー意味?!」
一人で納得するりんちやんに少しムっとなる私。
「今日あいが飲み屋で寝てる間、純也にいろいろ言ってみたのだよ!」
「え!何言ったの?」
「ふふふ。知りたい?」
:07/11/20 22:01 :911SH :☆☆☆
#188 [あぃみ]
「んもーじれったい!いーよもう。」
りんちゃんにはいつもすぐへそまがりになる。
でもりんちゃんは
そんな私を扱い慣れている。1番の理解者。
ちょっとだけお姉ちゃんのように優しく笑って話してくれた。
:07/11/20 22:24 :911SH :☆☆☆
#189 [あぃみ]
「だってさ、純也あいに対して意味わかんないじゃん?だから言ったの。
あいのことどう思ってるか知らないけど、あいは俺の事好きとか思ってない?もっと優しい男あいのまわりにはたくさん居るんだから、あんたもたもたしてると取られるよ?って。」
「それで、純也はなんて言ったの?」
「『うるせーよ』って」
「そっかぁ。」
嬉しくてそのさきを期待した私は少しガッカリした。
:07/11/20 23:06 :911SH :☆☆☆
#190 [あぃみ]
「ちょっとあい、ガッカリするとこ?
それで優しい態度に変わったなんてかなりの脈ありだよ?」
…あっそっか。
え?純也が私を?
「そうかなぁ。なんか微妙だけどなぁ」
「ばか!あい、絶対そうだって!あいつなんだかんだであいのこと気になってしょうがないんだよ」
:07/11/20 23:12 :911SH :☆☆☆
#191 [あぃみ]
そうかな。
そうだといいな。
りんちゃんとは笑って電話を切った。
純也が振り向いてくれたらどれだけ嬉しいか。
冷たい純也もなれたけど、優しくなったらどれほど嬉しいか。
…純也の彼女。
ゆっくりと目を閉じて、いつもより暖かい気持ちをだしきめて眠りについた。
:07/11/21 08:53 :911SH :☆☆☆
#192 [あぃみ]
「おい!起きろって」
すぐ近くで声がした。
重たい目を頑張って開くとまさるが優しい笑顔で私を覗き込んでいる。
「……!」
…声が出ない。
いつものだ。
これはまた夢だってすぐにわかった。
まさるを見つめるとまさるはクスっと笑って話し出した。
:07/11/21 08:58 :911SH :☆☆☆
#193 [あぃみ]
「あいみ、もうすぐ誕生日だな。何が欲しい?
俺バイト代貯めておいたから好きなもん買ってやるよ!」
腰に手を当てて得意げなまさる。
私は…
指輪が欲しかった。
まさるが元気な頃はよくそう言っていた。
まさるは決まって
「指輪は結婚の時なっ」
って言っていたね。
:07/11/21 09:03 :911SH :☆☆☆
#194 [あぃみ]
まさるが元気だったら
今頃は結婚していたのかな?私はこんな人生歩まなかったのかな。
欲しいもの?
今私は…
『愛』が欲しいよ。
安心出来る場所が…
:07/11/21 09:06 :911SH :☆☆☆
#195 [しまじろー]
あげ(
、∀`)
:07/11/24 08:42 :D902iS :☆☆☆
#196 [しまじろー]
もう01回あげ(・∀・)
:07/11/26 22:51 :D902iS :☆☆☆
#197 [極]
上げる
:07/11/27 19:54 :W51S :☆☆☆
#198 [あぃみ]
:07/11/29 10:38 :911SH :☆☆☆
#199 [あぃみ]
純也には一度誕生日の事を話したことがある。
純也はいつも私の休みなど把握している。だからきっと覚えていると思う。「覚えてないだろ」なんて保険をかけながらひそかに期待している私がいた。
誕生日前日。
純也に電話をかける。
:07/11/29 10:45 :911SH :☆☆☆
#200 [あぃみ]
「もし?なに?」
不機嫌な純也。
「あ、ごめん。
明日空いてるかなって」
「明日?んーわかんね」
「そっか。じゃあもし暇だったら電話して?」
「おう。」
あれ?覚えてない?
:07/11/29 10:48 :911SH :☆☆☆
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