「純也」
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#407 [あぃみ]
「もしもし?りんだよ、あんた今どこにいるの?」


りんに居場所を伝えると 10分もしないうちに現れた。


目の前に立つりんは
化粧をしておらず、目の回りを赤く腫れさせていた。


「純也、大丈夫?」


なんで一緒に救急車に乗らなかったのか、なんであんな場所であいみが事故に合うのかなど、りんは聞いて来なかった。

⏰:09/05/12 20:23 📱:911SH 🆔:☆☆☆


#408 [あぃみ]
「純也、あいみが死んじゃったよ。」


腫れあがった目からは大粒の涙が流れ出した。


俺はあいみはもう駄目なんじゃないかってどこかでわかっていた。
わかっていたくせに、その事実を改めてつき付けられて 絶望した。


「俺のせいだ。なんでだよ、なんであいみなんだよ、俺が死ねばよかったのに 畜生!」


俺の目からも涙が溢れて止まらない。
床を何度も叩きつけて、引越しの荷物の段ボールを蹴り飛ばして、スリッパを外に投げ捨てた。

⏰:09/05/12 20:40 📱:911SH 🆔:☆☆☆


#409 [あぃみ]
りんはしくしくと泣いていたが、我慢していたのか、やがてしゃがみ込み、大声で子供のように泣きだした。


俺も泣き続けた。


新しい匂いがする広く虚しい部屋で、二人はただ泣く事しかできなかった。

⏰:09/05/12 20:48 📱:911SH 🆔:☆☆☆


#410 [あぃみ]
あいみの実家。
通夜。
葬式。


りんが俺を連れていこうとしたが、行く気になれない。しかもあいみの「彼氏」がいたらどんな顔をしたらいいのかわからない。

俺は三日間 ただ呆然と過ごした。
それでも、あいみから連絡が来る時間、あいみが仕事終わる時間などはつい携帯を手にとってしまう。それが嫌で悔しくて、力任せに二つに折った。

仕事も行かず、家から出れなかった。

⏰:09/05/13 08:52 📱:911SH 🆔:☆☆☆


#411 [あぃみ]
ふと ハローキティーの縫いぐるみが目にとまった。あいみが大好きだったキャラクター。


「ねぇ純也ー、これ二個とれたんだよ!可愛いから一個あげるよ」


「なんでそんなにカッコイイのー?」


「あいみの番号は〜」


「このイカリングおいしい!」


「あげるね!」


「楽しいねー」


「おいしかったね!」


「ねぇ純也?」


「…キレイ。」

⏰:09/05/13 09:03 📱:911SH 🆔:☆☆☆


#412 [あぃみ]
自分の欲望を押し付けて
やりたい放題だった俺。

すでに負けていたのに負けまいとあいみを傷つけた。

俺は何かしてやれたか?

これからと言う時だったのに…

なんでもっと早く素直になれなかった?


帰ってきてくれよ…



あいみ……



後悔しか残らない。

⏰:09/05/14 08:57 📱:911SH 🆔:☆☆☆


#413 [あぃみ]
突然家のドアがノックされた。喪服のりんが上がりこんできた。


気力のない俺は
「おう」
とただ振り向き目を背けた。


「あんた、本当に来なかったね。」


俺の目の前に来て腰を下ろしたりん。


「俺だって行こうかと思ったよ。ちゃんと死を受け入れなければいけないって。
でもあいつの彼氏が来てたらなんか悪いし、気まずいから…これでよかったんだよ。」


俺はいつも、りんには素直に話せる。

⏰:09/05/14 10:20 📱:911SH 🆔:☆☆☆


#414 [あぃみ]
「彼氏?あいみが言ったの?」


りんは、一瞬だけ驚いた表情を見せて すぐに切ないため息をはいた。


「とりあえず、純也に宛てたあいみからの手紙が部屋にあったから、渡しに来た。」


受け取った紙は、封筒には入っていなく、キティーのメモ用紙のような紙だった。

⏰:09/05/14 10:32 📱:911SH 🆔:☆☆☆


#415 [あぃみ]
『純也。
私は一目惚れなんて信じていなかった。
どんな純也も好き。
最初はそばに居られるだけていいって思ってた。
でも、今は純也が欲しい。もっとたくさん優しさに触れたい。特別でいたい。ねぇ私をみて?

私、実は彼氏がいるの。
病院にね。もう二年も目を開けていない。
彼氏以上に好きになれる人なんて現れないはずだった。私は彼氏が目を覚ますのを待ってた。
私は楽しい思いをしちゃいけないんだって思い込んでた。
だけど最近は純也であいみの頭いっぱいになっていてどうしようもない。
純也が好き。だから 』

⏰:09/05/14 10:41 📱:911SH 🆔:☆☆☆


#416 [あぃみ]
そこまでで止まっていた。
流れる涙をりんがそっと拭いてくれた。


「純也、あいみの気持ち伝わったよね?あいみは人を見る目があるの。幼なじみの私が言うんだから間違えないよ。
そんなあいみがあんたを好きになった。あんたの優しい所。思いやりを持てる所。あいみはわかっていたんだと思うよ。」

自分の涙を拭き、りんは続けた。


「あんた男でしょ?いつまでも後悔したことにうじうじしてないで前をみなさいよ!」

⏰:09/05/14 10:48 📱:911SH 🆔:☆☆☆


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