「純也」
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#397 [あぃみ]
自分の感情をコントロールできなかった。
「てかお前めんどくせーよ」
いつものあいみは、そんな俺の冷たい一言にも へこむのは一瞬で、そのあとはまた笑ってくれる。
でも今日は違った。
:09/05/12 08:54 :911SH :☆☆☆
#398 [あぃみ]
ひきつった顔をしている。涙で化粧も落ちてしまい、綺麗な顔が台なし。
怒っている顔だった。
こんなに乱れたあいみを初めて見た。
泣いているから口が上手く動かない、そんな状況で俺をしっかり目でとらえて、叫びに近い声でわめいた。
:09/05/12 09:00 :911SH :☆☆☆
#399 [あぃみ]
「あんた誕生日だってわかってて来たんでしょ?
ぶざけんなよ!誕生日に自分がご馳走するなんて初めてだよ!
しかもあんたに対しての涙じゃない!あたし彼氏いるんだよ……
あんたなんかよりずっと思いやりがあって優しい人だった!」
彼氏がいる。
あいみは俺を騙してたのか?「彼氏がいる」って聞き取れてから頭がボーってしとしまい、
あいみの喚きは ノイズの混じったラジオのように遠くで聞こえた。
結局、あいみも他の女どもと一緒だったんだ。
いつの間にかあいみを信じていて 忘れていた。
:09/05/12 09:14 :911SH :☆☆☆
#400 [あぃみ]
「なんだよ、お前彼氏いたのか、知らなかった」
小さく笑った。
だけど、最後まで負けたくなかった。
ゲームオーバーは俺が勝つ。
「まぁ所詮俺はお前のこと金としてしか見てねぇし、これで終わりでいいんじゃねぇ?」
久しぶりに使ったこのセリフ。あいみに使うなんて考えもしなかった。
俺は、純粋にただあいみが好きになった。あいみを守りたいと思った。
一緒にいたいと思った。
:09/05/12 09:23 :911SH :☆☆☆
#401 [あぃみ]
「金…」
そうつぶやいたあいみは
更に目を赤くして
俺を睨みつけた。
「降りる!」
あいみは叫んだ。
まさか本気ではないだろう、こんな道路の真ん中で降りたら危ない事くらいはわかるだろう。
:09/05/12 19:46 :911SH :☆☆☆
#402 [あぃみ]
しかし次の瞬間、あいみは本当に車のドアを開けた。
「おま…まじ危ねーから」
俺が止めたのと、あいみが飛び降りたのはほぼ同時だった。
:09/05/12 19:49 :911SH :☆☆☆
#403 [あぃみ]
着地は転がって、立ち上がったあいみ。
一度こちらに振りむいた。
なぜだろう。
穏やかな目をしていた。
俺はそこに向かい無意識に叫んでいた。
「あいみーーー!」
そのあとすぐに大きなクラクションが聞こえて、
大きなトラックが爆音とともにあいみを吸い込んだ。
あいみが消えた。
:09/05/12 19:54 :911SH :☆☆☆
#404 [あぃみ]
かすかに聞こえた救急車の音。
ざわめきの声。
叫び声。
俺の知らない世界の映像を遠くから眺めているような感覚を失った俺がいた。
身体中がガタガタと奮え、
心臓が早過ぎて痛い。
:09/05/12 20:03 :911SH :☆☆☆
#405 [あぃみ]
.
いきなり携帯がなって、
俺は飛び跳ねた。
音のない空間に
携帯のメロディーだけが響いている。
白い壁。
白いソファー、
白い棚。
そして 玄関に用意された二つのスリッパ
:09/05/12 20:14 :911SH :☆☆☆
#406 [あぃみ]
俺は 何も考えることができないまま 新居でただひたすら、 流れ出てくる涙が終わるのを待っていた。
携帯はなり続けた。
「はい、」
俺は携帯を耳に当てた。
:09/05/12 20:17 :911SH :☆☆☆
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