○ビー玉ラバーズ○
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#140 [向日葵]
ガラガラガラ
「こんにちわー。」
!!!!
来た……。
先生達の挨拶を微かに聞きながら私はキャンバスに集中しようとしていた。
しかしチロリと視線を来た人達に向けると私は絶句した。
なんと女の子だけじゃなく男の子もいたのだ。
あぁー最悪……。
一切私はそちらに気にならない様に音楽の音量をさっきより上げた。
これでいいだろう。
筆をまた動かせた。
:07/10/25 12:03
:SO903i
:☆☆☆
#141 [向日葵]
するとトントンと肩を叩かれた。
暁子ちゃんかな?
何かあったのかも。
私はイヤホンを外しながら振り向いた。
「よ。」
「え?!」
私は目を剥いた。
そこにいたのはあの「お兄さん」だったのだ。
「アンタここだったんだ。」
「え……な……えぇっ?!」
明らかに動揺。まさかこんなトコで会うなんて思ってもみなかった。
:07/10/25 12:06
:SO903i
:☆☆☆
#142 [向日葵]
「俺らの大学とアンタの短大ってなんか交友あるらしいんだわ。」
んな事あるの……?
だって短大と大学よ?
そういう面に関しては私は全く知識がないので知らなかった。
「これがアンタの絵?」
「――っ。」
見られた。
しばらく黙って私の絵を見るお兄さん。筆を動かしたくても手が上がらなかった。
「綺麗な色遣いすんだな。」
「え……。」
私が視線を向けると、絵じゃなくなんだか上を見ていた。
:07/10/25 12:11
:SO903i
:☆☆☆
#143 [向日葵]
「千広っつーの?名前。」
「あ……ハイ。」
どうやらイーゼルに貼ってある名前の紙を見ていたらしい。
「敬語いらないから。多分同い年だし。俺は桜井惇樹(さくらいあつき)な。」
私はポケッとしていた。
さっき暁子ちゃんから質問された事を一気に言われた。
「もうしばらく千広の絵見てていい?」
桜井君はニコッと笑った。
:07/10/25 12:15
:SO903i
:☆☆☆
#144 [向日葵]
ヤバイ……暁子ちゃん……。
[その人の事好きになったら?!]
[千広。]
私……ズキュン!ときてしまったかもしれない……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「「チロル!!!!」」」
桜井君の学校が帰った後の休憩時間。
絵画コースの子達が一気に私の所へ集まってきた。
「は……はい……。」
思わずタジタジになる私。
:07/10/25 12:19
:SO903i
:☆☆☆
#145 [向日葵]
「いつの間に彼氏出来たの?!」
「や、違うんですけ」
「ってか相手めちゃめちゃ格好いいじゃん!」
「そうですね。けどあの人は」
「そうならそうと言ってよー!!水くさいなぁ!!」
もう好きなように言っててくれ……。
言い返す元気もなくなった。
質問責めしてきた子達はまだやんややんやと私の恋路について盛り上がっている。
そんな中、暁子ちゃんが言った。
:07/10/25 12:24
:SO903i
:☆☆☆
#146 [向日葵]
「あの人が王子様なんだ?」
「大当たり。桜井君だって。」
名前を口にした途端、桜井君が頭の中にポンッと出てきた。
顔が赤くなるのを自覚しながら脳内で桜井君像をパタパタパタと消した。
「「千広」って呼ばれてたじゃーん。」
「暁子ちゃんの聞き間違いだよ!」
これ以上混乱させないでくれー!
久々のズキュン!に私は少し戸惑っていた。
このまま気持ちに身を委ねていいものだろうか。
:07/10/25 12:29
:SO903i
:☆☆☆
#147 [向日葵]
――――

――――
ここまでにします
>>22に感想板がありますんで、良かったら感想お願いします

:07/10/25 12:30
:SO903i
:☆☆☆
#148 [向日葵]
いい訳ないか……そんなの桜井君に迷惑だもの。
―――――……
帰りの電車に揺られながら私はうとうとしていた。
あぁ眠い……。
今日は一段と眠い……。
電車は帰宅ラッシュで多い為当然立ちっぱ。なので立ったまま寝る訳にはいかない。
どうにかして目を覚まさなければっ。
しかし電車の揺れが意外にま心地よく、目はやっぱり閉じていく。
駄目だってば私……。
:07/10/25 23:49
:SO903i
:☆☆☆
#149 [向日葵]
スポッ
イヤホンが外れた。
目を瞑ったままイヤホンを付けようとすると、勝手にイヤホンが耳へ入ってきた。
え?
頑張って眠気と闘い、目を開けた。
「……あ…っ。」
「寝てていいよ。アンタの降りる駅知ってるし。」
横にはいつの間にか桜井君がいた。
この人すっごい神出鬼没だなぁとか思いながら、せっかく付けてくれたイヤホンを片方外した。
:07/10/25 23:55
:SO903i
:☆☆☆
#150 [向日葵]
「いつそこに……。」
「さっきの駅。千広は熟睡しかけてたから気づいてなかったんだな。」
ドキ……
また“千広”って呼ばれた……。
私はそんな事に慣れてないせいですぐにときめく。
もしかしたらこんなの今時の人達にしたら普通なのかもしれない。
「千広の絵ってさ、優しいな。」
「え……や、そんな、大した……。」
すると桜井君は私をじっと見た。
男の子の目を見るのは怖い。私は口元らへんを見た。
:07/10/26 00:03
:SO903i
:☆☆☆
#151 [向日葵]
「なんでそんなよそよそしいの?」
「……や。ウン。性分なもんで。」
ってか会って今日名前知ったのによそよそしいも親しいもないだろうて。
「もっと喋れるっしょ?本当は。」
「怖いんだから仕方ないじゃないですかっ。」
あ。しまった。
つい本音がポロリ。
桜井君は目をパチクリしている。
ホラみなさい。
引いたも同然。
どうせデカイ体したお前が何びびってんの?とか嘲笑ってるに違いない。
:07/10/26 00:07
:SO903i
:☆☆☆
#152 [向日葵]
私はもういいだろうとイヤホンに手をかけた。
その時だった。
ポンポン
彼の手が、私の頭を数回優しく叩いた。
「怖くなんかないって。大体俺なんて怖くないっしょ。怖くない。大丈夫。」
優しい優しい言葉。
そんなの言われた事なかった。
[大丈夫。]
何が大丈夫かなんて分からなかったけど、私の心の中はその言葉に満たされていった……。
:07/10/26 00:11
:SO903i
:☆☆☆
#153 [向日葵]
次の日。
いつもの電車に乗り遅れた。
別に間に合わない訳ではないけれど、いつも10分前集合(まぁそれより早く着くけど)を心がけている私はギリギリがそんなに好きじゃなかった。
しばらく待って来た電車は、ラッシュ時よりもかなり空いていた。
おかげで背もたれにもたれる事が出来たので、私は本でも読む事にした。
あ、っと。その前に……。
耳栓代わりの音楽を聞こうと、カバンからイヤホンを出そうとしていた。
「……しょ?」
:07/10/26 00:15
:SO903i
:☆☆☆
#154 [向日葵]
何か近くで話し声が聞こえた。
この時間学生も多いから多分友達同士で喋ってるんだと思い、私は携帯とイヤホンを繋げた。
「……でしょ?桜井君と喋ってた子。」
桜井……?
その名前に作業をしていた私の手は止まってしまった。
「えー…。彼女なの?あり得ないよね?だってデブじゃん。」
え……。これってもしかして……。
「しかもブサイクじゃん。何仲良くなってんのかしらね。」
―――――――っ私だ。
:07/10/26 00:19
:SO903i
:☆☆☆
#155 [向日葵]
私は頭がガンガンした。
「ってか桜井も趣味わりーよな。なんであんなの?」
「しーっ!あんまり声デカかったら聞こえるから……っ。」
とか言いつつ、クスクス笑う男子。
馬鹿にし続ける女子。
桜井君がいつもの降りる駅に着いた時、話していたと思う人達が私の前を通った。
一人一人、私の顔をじろじろ見て……。
ドアが閉まる前に聞こえてしまった。
私を馬鹿にした大きな笑い声。
:07/10/26 00:23
:SO903i
:☆☆☆
#156 [向日葵]
……泣きたくなった。
何故自分の体はこんなに太いんだろう。
何故私は美人ではないんだろう。
太ってる人は生きてる価値すらないのかな。
美人じゃなければ恋をするのもいけないの?
誰がいつ……そんなの決めたんだろう。
桜井君の評判が、私のせいで悪くなる。
もう……関わってはいけない……。
私は自分がちっぽけに思えながら、電車に揺られて行った……。
:07/10/26 00:26
:SO903i
:☆☆☆
#157 [向日葵]
「おはよーチロル!」
いつものように暁子ちゃんが挨拶してきた。
「おはよー……。」
私は力無く笑って暁子ちゃんに挨拶した。
そんな私を暁子ちゃんは「どうしたの?」と言う風に首を傾げた。
「元気ないね……。」
「寝不足なだけだよ。大丈夫……。」
[大丈夫。]
頭に触れられた感触をまだ覚えてる。
優しい温かな掌。
でも忘れなきゃ。
気持ちに身を委ねる前で良かった……。
:07/10/26 00:30
:SO903i
:☆☆☆
#158 [向日葵]
背中に何かが重くのしかかる気がした。
絶望とか、自信の無さとか、卑屈さとか……。
もう私は、自分を好きになれない決定打を打たれてしまった。
醜い自分が、こんなにも嫌い……。
いらないなら消えてしまえばいいのにとさえ思った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「まだ残るの?」
キャンバスに向かう私に暁子ちゃんは聞いた。
時計の針はもう7時を過ぎている。
:07/10/26 00:35
:SO903i
:☆☆☆
#159 [向日葵]
「ちゃんと届け出したし、少しでも進めないと間に合いそうにないから。」
「そう?じゃあ気をつけて帰るんだよ?お疲れ!」
「お疲れ。」
教室は静かになった。
動物の標本。何かの骨。マネキン。そして私だけが教室にいる。
いささか気持ち悪くて仕方ないけど……。
私は筆を動かす。
油の匂いが少しだけした。
[千広の絵ってさ、優しいな。]
筆が、キャンバスの上で停止した。
:07/10/26 00:42
:SO903i
:☆☆☆
#160 [向日葵]
――――

――――
今日はここまでにします
>>22に感想板がありますんで良ければ感想お願いします

:07/10/26 00:43
:SO903i
:☆☆☆
#161 [向日葵]
「……っ。」
泣くな……。
泣いたって何も変わらないでしょ?
私知ってるもの。
中学生の時も、高校生の時も、大好きな人がいた。
いくら待っても告白される気配なんて全くなかった。でも思い続けてたら振り向いてくれるって思いながら、たまにそれに疲れて泣いてしまう時があった。
もしかしたらこんな私に神様は何かご褒美をくれるんじゃないかと期待して……。
結局は何事もなく卒業し、未練もなさそうに学校からいなくなる好きな人の背中を見るばかりだった。
:07/10/27 00:15
:SO903i
:☆☆☆
#162 [向日葵]
もういい……。
思い続ける自分が馬鹿らしく思えてきた。
こんな自分を好きになる奴が一体どこにいるんだろうかと、私は卑屈になっていった。
でも桜井君だけは違った。
こんな私の頭を撫でて、名前を呼んで……。
そんな桜井君が悪く言われる原因の私は、側にいてはいけない……。
私は誰も好きになってはいけない。
まるで神様から言われてるみたいだった……。
:07/10/27 00:20
:SO903i
:☆☆☆
#163 [向日葵]
窓を見ると、辛そうな私が映っていた。
まるで自分は悲劇のヒロインかもしれない……。
でもそれにしてはあまりにも
「ブサイクすぎ……。」
私は油絵の道具全てを片付けて、教室から出ていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰ったらお風呂に入ろう。それも長風呂。
学校の門に向かいながら私は考えていた。
お風呂は私のストレス発散場所。
うだうだ考えてるのを汗と共に洗い流してくれる。
:07/10/27 00:24
:SO903i
:☆☆☆
#164 [向日葵]
そして寝ながら暗めの失恋ソングチックな歌でも聞こうかね。
と苦笑いしながらイヤホンに手をかけた。
「千広!」
「……?」
暗くて姿が見えない。
僅かにある外灯の下に名前を呼んだ人が一歩踏み出すと、その姿は明らかになった。
「さ……くら、い君……。」
桜井君は私を見るとニコッて笑って寄って来た。
駄目……私に近づいちゃいけない。
:07/10/27 00:28
:SO903i
:☆☆☆
#165 [向日葵]
「たまたまこっち方面に用事あってさ、千広の友達?らしき人が千広はまだ残ってるっつーから。待ってたんだ。」
「そんな事しないで!」
私が急に叫んだので桜井君は驚いていた。
「私は……こんなのだから……桜井君みたいな人は近づいちゃいけない。……帰るなら1人で帰った方がいいと思うよ。」
そう言って、私は桜井君の隣を過ぎた。
「え?ちょ、何。どーゆー事っ?」
私の横につきながら桜井君は私に話しかける。
ひたすら無視して、坂道を下って行った。
:07/10/27 00:33
:SO903i
:☆☆☆
#166 [向日葵]
駅に続く階段に差し掛かった時、行く手を桜井君に遮られた。
「ね、待ってってばっ。どうかしたの?!俺なんかした?!」
「……何で私に構うの?良いことなんかないよ?」
私に構ったら、それだけ桜井君の株が下がってしまうのだから。
「桜井君のお友達っぽい人達も心配してたよ。私に近づいちゃうから、桜井君はどんどん人気なくなっちゃうんだよ?」
「ねぇ何の話それ?」
「とにかく。桜井君だって初めて喋った時言ったじゃない。「助けるんじゃなかった。」つまり私がデブでブスだから損したって思ったんでしょ?ならもう構ってくれなくていいから……。」
:07/10/27 00:38
:SO903i
:☆☆☆
#167 [向日葵]
私は桜井君を避けて階段を降りようとした。
グイッ!
私の太い腕を桜井君は掴んだ。
「違う!……っあぁもう!こんなつもりじゃなかったのに!」
私は眉を寄せて桜井君を見ながら腕を離させた。
そして桜井君が言葉を出すのを待った。
「あれは…っその、シナリオと違うからつい漏れちゃった言葉であって……っ。」
「シナリオ?」
:07/10/27 00:42
:SO903i
:☆☆☆
#168 [向日葵]
桜井君の顔が苦しんでるように見えた。
一体何が言いたいんだろうと私は黙って静かに見つめた。
あ、夜だと暗いからよく顔が見れるや。
ぼんやり考えてると、桜井君が口を開いた。
「単刀直入に言うよ。俺は千広が好きだ。」
「……?!」
私は小さい目を目一杯開いた。
好き?私を…………っ?!
「電車で何回も見かける度に少しずつ気になっていったんだ。痴漢の時は、やっと話せるってめちゃくちゃ嬉しかったんだ!」
:07/10/27 00:46
:SO903i
:☆☆☆
#169 [向日葵]
私は人生初告白に頭が真っ白になって何度も瞬きをした。
初めて絶句と言う意味をしる。
「傷ついた千広を慰めようと思ったのに、千広は全然大丈夫そうだったから俺の予定は全部狂った訳!だからつい出た言葉がそれなの!分かった?!」
私は漫画で言う口から可愛いらしい魂が抜けていく状態で固まっていた。
こんな簡単に事が進んでいいのかと頭がぐるぐるし始めた。
「嘘だ……。」
やっと言葉が出せた。
「私みたいなの好きになるなんて……絶対信じないよ……っ。」
:07/10/27 00:51
:SO903i
:☆☆☆
#170 [向日葵]
私は180゚回転して階段を早めに降り始めた。
「だったら!」
何段か下りた時、桜井君が叫んだ。
周りが静かなので声がよく通り、大きなその声に立ち止まった私はゆっくりと振り返った。
「信じるまで追いかけてやるよ。」
階段をゆっくり下りながら桜井君はそう言った。
私のいる段まで来ると立ち止まって、ニヤッと笑った。
「覚悟してろよ。」
:07/10/27 00:55
:SO903i
:☆☆☆
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