○ビー玉ラバーズ○
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#149 [向日葵]
スポッ

イヤホンが外れた。

目を瞑ったままイヤホンを付けようとすると、勝手にイヤホンが耳へ入ってきた。

え?

頑張って眠気と闘い、目を開けた。

「……あ…っ。」

「寝てていいよ。アンタの降りる駅知ってるし。」

横にはいつの間にか桜井君がいた。

この人すっごい神出鬼没だなぁとか思いながら、せっかく付けてくれたイヤホンを片方外した。

⏰:07/10/25 23:55 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#150 [向日葵]
「いつそこに……。」

「さっきの駅。千広は熟睡しかけてたから気づいてなかったんだな。」

ドキ……

また“千広”って呼ばれた……。

私はそんな事に慣れてないせいですぐにときめく。
もしかしたらこんなの今時の人達にしたら普通なのかもしれない。

「千広の絵ってさ、優しいな。」

「え……や、そんな、大した……。」

すると桜井君は私をじっと見た。
男の子の目を見るのは怖い。私は口元らへんを見た。

⏰:07/10/26 00:03 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#151 [向日葵]
「なんでそんなよそよそしいの?」

「……や。ウン。性分なもんで。」

ってか会って今日名前知ったのによそよそしいも親しいもないだろうて。

「もっと喋れるっしょ?本当は。」

「怖いんだから仕方ないじゃないですかっ。」

あ。しまった。
つい本音がポロリ。

桜井君は目をパチクリしている。

ホラみなさい。
引いたも同然。
どうせデカイ体したお前が何びびってんの?とか嘲笑ってるに違いない。

⏰:07/10/26 00:07 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#152 [向日葵]
私はもういいだろうとイヤホンに手をかけた。

その時だった。

ポンポン

彼の手が、私の頭を数回優しく叩いた。

「怖くなんかないって。大体俺なんて怖くないっしょ。怖くない。大丈夫。」

優しい優しい言葉。
そんなの言われた事なかった。

[大丈夫。]

何が大丈夫かなんて分からなかったけど、私の心の中はその言葉に満たされていった……。

⏰:07/10/26 00:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#153 [向日葵]
次の日。

いつもの電車に乗り遅れた。
別に間に合わない訳ではないけれど、いつも10分前集合(まぁそれより早く着くけど)を心がけている私はギリギリがそんなに好きじゃなかった。

しばらく待って来た電車は、ラッシュ時よりもかなり空いていた。

おかげで背もたれにもたれる事が出来たので、私は本でも読む事にした。

あ、っと。その前に……。

耳栓代わりの音楽を聞こうと、カバンからイヤホンを出そうとしていた。

「……しょ?」

⏰:07/10/26 00:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#154 [向日葵]
何か近くで話し声が聞こえた。

この時間学生も多いから多分友達同士で喋ってるんだと思い、私は携帯とイヤホンを繋げた。

「……でしょ?桜井君と喋ってた子。」

桜井……?

その名前に作業をしていた私の手は止まってしまった。

「えー…。彼女なの?あり得ないよね?だってデブじゃん。」

え……。これってもしかして……。

「しかもブサイクじゃん。何仲良くなってんのかしらね。」

―――――――っ私だ。

⏰:07/10/26 00:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#155 [向日葵]
私は頭がガンガンした。

「ってか桜井も趣味わりーよな。なんであんなの?」

「しーっ!あんまり声デカかったら聞こえるから……っ。」

とか言いつつ、クスクス笑う男子。
馬鹿にし続ける女子。

桜井君がいつもの降りる駅に着いた時、話していたと思う人達が私の前を通った。

一人一人、私の顔をじろじろ見て……。

ドアが閉まる前に聞こえてしまった。
私を馬鹿にした大きな笑い声。

⏰:07/10/26 00:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#156 [向日葵]
……泣きたくなった。

何故自分の体はこんなに太いんだろう。
何故私は美人ではないんだろう。

太ってる人は生きてる価値すらないのかな。
美人じゃなければ恋をするのもいけないの?

誰がいつ……そんなの決めたんだろう。

桜井君の評判が、私のせいで悪くなる。
もう……関わってはいけない……。

私は自分がちっぽけに思えながら、電車に揺られて行った……。

⏰:07/10/26 00:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#157 [向日葵]
「おはよーチロル!」

いつものように暁子ちゃんが挨拶してきた。

「おはよー……。」

私は力無く笑って暁子ちゃんに挨拶した。
そんな私を暁子ちゃんは「どうしたの?」と言う風に首を傾げた。

「元気ないね……。」

「寝不足なだけだよ。大丈夫……。」

[大丈夫。]

頭に触れられた感触をまだ覚えてる。
優しい温かな掌。

でも忘れなきゃ。
気持ちに身を委ねる前で良かった……。

⏰:07/10/26 00:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#158 [向日葵]
背中に何かが重くのしかかる気がした。

絶望とか、自信の無さとか、卑屈さとか……。

もう私は、自分を好きになれない決定打を打たれてしまった。
醜い自分が、こんなにも嫌い……。
いらないなら消えてしまえばいいのにとさえ思った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「まだ残るの?」

キャンバスに向かう私に暁子ちゃんは聞いた。

時計の針はもう7時を過ぎている。

⏰:07/10/26 00:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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