○ビー玉ラバーズ○
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#181 [向日葵]
「ねぇ巽!あんなトコ初めてみたね!」「あれ何かなっ?ね、巽!」
「巽!ねぇ巽!」
灯は何度も僕の名前を呼んだ。
今の彼女は僕が中心の世界だ。それが僕は嬉しかった。
夕暮れになっても、僕らは疲れる事なく笑い、はしゃぎながら走って行った。
そしてもう日が大分落ちてしまった時、知らない公園に立ち寄った。
僕達はブランコに乗り、目一杯漕ぎ始めた。
「灯、どれくらい飛べるかやってみようぜ!」
「ウンいいよ!」
:07/10/28 01:44
:SO903i
:☆☆☆
#182 [向日葵]
「「せーのっ!」」
僕達は一緒に飛んだ。
「よっ!」
「えー!巽そんなトコまで飛んじゃったー!」
勝負は僕の勝ちだった。
悔しそうに口を尖らす灯がとても可愛いかった。
気付けば夜になっていた。外灯が少なかったその公園は、とても星が綺麗だった。
「あれが夏の大三角形かな?」
「はくちょう座と……なんだっけ?」
「私も忘れたっ。」
僕達はシシシ!と笑った。
:07/10/28 01:49
:SO903i
:☆☆☆
#183 [向日葵]
全てが輝いていて、隣には大好きな灯がいて、僕にはそれで十分だった。
「灯!」
「巽!」
笑い合ってた僕達は一気に表情を消した。
耳慣れたその声は、まさしく僕らの両親のものだった。
「危ないでしょ?!何してるのよ馬鹿!」
「灯!もうすぐ引越すのに何かあったらどうするの!」
「……っやだ……。おばさんやめて!」
:07/10/28 01:52
:SO903i
:☆☆☆
#184 [向日葵]
灯を掴んでいたおばさんの手から灯を奪って、僕は灯を抱き締めた。
そしておばさんを睨んだ。
「灯を連れていかないで!灯だってここにいたいって言ってる!灯の面倒なら俺が見るから!!」
必死だった。
僕は灯の世界から僕がいなくなるのが怖かった。
いつまでも灯の世界で僕は生き続けたかった。
おばさんは悲しそうにすると、細い手で僕の頭を撫でた。
そして呟いた。
「ゴメンネ……。」
:07/10/28 01:57
:SO903i
:☆☆☆
#185 [向日葵]
絶望と言う言葉の意味を知った気がした。
僕は灯を離して静かに自分の手を見た。
なんて小さなちっぽけな手……。
何一つ守れない幼い自分。この時ほど、早く大人になりたいと願った事はなかった。
「好き」と簡単に言えなくても、大切な人を守れるならば、早く大きくなりたかった。
そして遂に、灯が引越す日が来てしまった…………。
「じゃあね巽。手紙書くから。」
:07/10/28 02:01
:SO903i
:☆☆☆
#186 [向日葵]
車に乗る前に、灯が喋りかけてきた。
灯は変わらない笑顔で僕に話す。
知ってる。灯、お前も悲しいんだよな……。
「俺も……書く。」
「うん……っ!」
2人に沈黙が流れた時、車の中から申し訳なさそうにおばさんが「灯。乗りなさい。」と言った。
いよいよ……別れの時だ……。
灯は口元に笑みを残したまま車に乗ろうとした。
「……。――っ!!」
:07/10/28 02:04
:SO903i
:☆☆☆
#187 [向日葵]
そんな灯を、僕は引っ張って強く抱き締めた。
僕の目からは、大粒の滴が流れる。
「大好きでいるから……っ。灯も大好きでいろよ……っ?!」
あんまり泣いたら格好悪い。なのに涙は後から後からいくつも丸くなって流れていく。
灯は僕の背中のシャツをギュッと握った。
「……っウン……!!」
決してこれは子供の淡い恋心とか、そんな簡単な言葉で片付けないで欲しい。
:07/10/28 02:08
:SO903i
:☆☆☆
#188 [向日葵]
年齢なんて関係ない。
僕らは幼いながらも精一杯お互いを好きで、体一杯の気持ちを持っていたんだ。
――――――――……
「巽ー!朝だよーっ!」
母親の声で、2階の自室で寝ていた僕は、ダルそうに起きた。
「……あー。夢か。」
今年、僕は15歳になった。
遠くにいる灯とは、ちゃんと手紙を書いたり送ってきたりと続いてり。
正直携帯が欲しいが、いくら頼んでも親は「高校入ってから!」の一言。
:07/10/28 02:13
:SO903i
:☆☆☆
#189 [向日葵]
それを手紙で灯に告げると、灯もそう言われたと書いてあった。
ほっぺを膨らまして拗ねてる灯の姿が目に浮かんで僕は手紙を読みながらフッと笑った。
「いってきまーす。」
来年の春、僕は高校生。
灯も高校生。
やっと携帯が買えて、文面だけじゃなくて電話が出来て、声が聞ける。
そう思うと待ち遠しくて仕方ない。
灯は未だ変わらない明るい声のままだろうか。
:07/10/28 02:16
:SO903i
:☆☆☆
#190 [向日葵]
僕は高い声から、変声期を迎え、男らしい声になった。
この声を聞いたら、灯は驚くかなぁ。
「ん?」
靴を履き慣らして、門を出ようとすると、郵便受けに手紙が何通か入っていた。
いらないものばかりの中に、青色をした便箋が入っていた。
差出人は…………灯だ。
「……!!」
僕は待ちきれなくて、絡まってしまう指先で封を開けた。
:07/10/28 02:24
:SO903i
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