○ビー玉ラバーズ○
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#200 [向日葵]
靴を履き変えて、一緒に階段を上がっていると、杏ちゃんが「ウーン」と唸った。
「どうかした?」
「ん?あ、イヤね、その……誠君……だっけ?中高と人気高くってね。」
「?ウン。」
それもそうだろうなぁ。
誠はなんと言ってもあの容姿。しかもすっごく優しいのを知ってる。
そうなると、女の子からは当たり前のように人気があるんだろうなぁ。
いつか彼女とか出来たら大切にするんだろうなぁ……。
:07/10/29 00:56
:SO903i
:☆☆☆
#201 [向日葵]
と微笑ましく思ってると……
チクン…………
「?」
何だろう。
急に胸のどこかで小さな痛みが走った。
小さすぎて気づかないくらいの、ほんの少しの痛み。
胸に手を当ててみても、別に何のヘンテツもなかった。
「加寿?どうかした?」
「へ?ううん何も。それで?」
「もし彼女が出来たりしたら、加寿行き帰り寂しいんじゃないかなって。」
:07/10/29 01:00
:SO903i
:☆☆☆
#202 [向日葵]
寂しい……かぁ。
寂しいかもなぁ。
でもそれなら、ちゃんと「弟をよろしく」みたいな挨拶をして、誠にそれなりに大切にするように言ってあげないと。
誠が彼女と登下校かぁ……。
その映像を脳内に浮かべると、また……
チクン…チクン……
「いたっ!」
思わず声を出してしまった。
「加寿?どこが痛いの?」
:07/10/29 01:03
:SO903i
:☆☆☆
#203 [向日葵]
杏ちゃんは心配そうに私に寄ってきた。
私は胸を擦りながらまた頭はハテナで一杯になっていた。
病気なのかな、私……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「1次関数のグラフっていうのは―――――……。」
私は窓の外をぼんやりと眺めていた。
今日はいいお天気だから外で食べようって誠に言おうかなー……。
私達はいつも一緒にお昼を食べる。
と言うのも、誠がお昼は一緒に食べようと言ってきたのだ。
:07/10/29 01:07
:SO903i
:☆☆☆
#204 [向日葵]
私は別に嫌じゃないので、いいよと答えた。
まったく……まだまだ姉離れ出来ないんだから……。
と思いながらも、誠が可愛いくて仕方ないのでとても嬉しいのだ。
「あ。」
グラウンドで、中学生がサッカーしてる。
元気だね若者。さすが14歳……。
何だか心は既に老人化してしまっている私なのだった。
するとその中に見慣れた影が。
:07/10/29 01:11
:SO903i
:☆☆☆
#205 [向日葵]
「誠……。」
長袖ジャージを腕も足も捲り上げてボールを奪いあっている。
と思っていたら、スイッとボールを奪い、一気にシュート。
わぁ……うまーい……。
運動神経良いのは知ってたけど、ここまでとは……。
感心していると、急に誠はこちらを見た。
何故かいけない事をした気分になった私はドキッとする。
誠は微笑んで手を振っている。
ん?!それは私に?
いやいやいやそんな訳ないよねっ?
:07/10/29 01:15
:SO903i
:☆☆☆
#206 [向日葵]
――――

――――
今日はここまでにします
>>22に感想板があるんで、良ければ感想などお願いします


:07/10/29 01:17
:SO903i
:☆☆☆
#207 [向日葵]
私の教室は3階にあってグラウンドからはまぁまぁ離れている。
私から誠を見つける事は出来ても誠から私を見つけるのはきっと無理だ。
私は一旦黒板を見て、またゆっくりとグラウンドを見た。
すると誠はまだ私を見ていて手を振っていた。
先生の目を盗んで手を振り返すと、誠の手の振りが一層早まったので私だと確信を持てた。
しばらくして誠はまたサッカーをしに戻っていった。そんな姿を私は微笑ましく見守る。
:07/10/31 00:47
:SO903i
:☆☆☆
#208 [向日葵]
元気だなぁ……。
お姉ちゃんは誠が立派になって嬉しいよ……っ。
と、その時。
誠に可愛いらしい女の子が近づいてきた。
どうやら誠と喋ってるみたい。
その時見せた誠の笑顔は、完璧に“弟”ではなく、“男の子”だった……。
「……いつの間に……。」
そんな笑顔を見せる様になったんだろう。
また胸のどこかでチクリと音が鳴った……。
:07/10/31 00:51
:SO903i
:☆☆☆
#209 [向日葵]
―――――――――……
「加寿姉。飯。」
「あ、待ってて。すぐ行く。」
迎えに来た誠を待たせて、私はお昼の用意をした。
「へーっ。迎えに来ちゃうのかぁっ!」
「今日はたまたまだよ。いつもなら外で待ってるんだけど……。」
どうしたんだろ?
お弁当のサンドイッチとミルクティーを持って私は誠の元へと行った。
「どこで食べる?」
「中庭の木陰で食べよう!天気もいいし!」
そう言って私達は中庭へと向かった。
:07/10/31 00:57
:SO903i
:☆☆☆
#210 [向日葵]
中庭で食べる人は意外に少なく、食べているのは私達と遠くに少しだけ見える人達だけだった。
「いっただっきまーす!」
サンドイッチを1つ持ち、口に頬張る。
お腹が空いていたのでとてもおいしく食べていた。
あぁ……青空の下でおいしい物食べるって幸せだなぁ〜っ。
そこで私はあることに気づく。
さっきから誠が全く喋らないのだ。
ただ黙々とご飯を食べている。
:07/10/31 01:00
:SO903i
:☆☆☆
#211 [向日葵]
「誠?どうかした?」
「え……?いや……。」
私は瞬きを何回かして「そう?」と言った。
でも明らかに誠がおかしい気がする。それは長年付き合ってきた私の勘の様なものだ。
しばらく誠を見ていると、誠はお弁当箱に静かにお箸を置いた。
「あの……さ。……告白されたんだ。俺。」
「え?!嘘っ!!」
私はサンドイッチを食べる手を止めた。
「で?!返事したのっ?!」
:07/10/31 01:05
:SO903i
:☆☆☆
#212 [向日葵]
誠は眉を寄せてハァ……と悩ましげにため息を吐いた。中学生と思えないその仕草に色気さえ感じた。
「もちろん断った。」
「え―――!!!!断っちゃったの?!誠彼女いらないの?!」
「欲しいよ。でも……好きな人が、いるから……。」
へー!誠好きな人いるんだぁ!と私は目を輝かしていた。
すると急に誠が真剣な顔をして、私を見た。
そのせいで、私達は沈黙した。
:07/10/31 01:09
:SO903i
:☆☆☆
#213 [向日葵]
「……分からない?俺加寿姉が好きなんだけど……。」
「……え……。」
ザァァァ……
風が一瞬激しく通り過ぎた。私の伸ばした少し茶色い髪の毛が顔にかかる。
「小さい頃からずっと……。加寿姉全然気づいてないから今が丁度いいと思」
「ちょちょちょっと待って。」
誠が私を?
そんな……私は誠はずっと弟みたいにしか思ってなくて……。
:07/10/31 01:12
:SO903i
:☆☆☆
#214 [向日葵]
「せ、誠。勘違いしてない?きっと私がお姉ちゃんずっとやって来たようなもんだから、その……兄弟愛みたいなのと勘違いしてるんじゃないっ?」
私がそう言うと、誠は目を見開いて驚いた。
そして瞬時に怒りが映し出されていった。
私はこんなに怒りを露にした誠を見て少しゾクッと怖くなった。
「勘違いってなんだよ……。」
ギリギリ聞こえるか聞こえないかの声で誠は呟くと、私の手首を掴んで木に私を押し付けた。
:07/10/31 01:16
:SO903i
:☆☆☆
#215 [向日葵]
「ヤッ!!誠……っ!!」
「なぁ加寿姉。俺はいつまで弟扱いな訳?兄弟でもないのにさ!」
手首を掴んでいる手に更に力が入った。
痛さで私は少し顔を歪める。
手を動かそうとしても全然ビクともしない。
いつの間にこんなに力が強くなったの……?
ついこの間までは私の方が強かったのに……っ。
「離して……誠っ!」
「ねぇ加寿姉……!俺は男として見れないの……っ?」
「離してよ誠!!」
「俺を見ろよ!!」
:07/10/31 01:21
:SO903i
:☆☆☆
#216 [向日葵]
誠が叫んだと思うと、誠の唇が荒々しく私の唇に重なった。
何が起こったか判断するまでに数秒かかった。
分かった時には、息が出来なくなっていた。
それと同時に誠は離れた。
近くで見つめられて、その眼光にドキッとした。
私を真っ直ぐ見ている。
それはまるで誠の想いと同じだ。
誠は黙ったままお弁当を片付けると、その場を静かに去って行った。
私はそのまま腰が抜けたのか立てない。
胸に手をやると、まだドキドキいってる。
:07/10/31 01:25
:SO903i
:☆☆☆
#217 [向日葵]
それは息切れのせいじゃない。
「……知ってたよ。」
誠がもう弟じゃない事ぐらい。
だってずっと近くで見てきたもの。
いつの間にか同じくらいにまで伸びた身長も、低くなってしまった声も、骨張ってきたその手すら……。
「全部……知ってたもん。」
誠が男の子に近づくにつれ、誠が誠じゃなくなるんじゃないかって私は思った。
だからワザと、弟扱いしてきたんだ……。
:07/10/31 01:29
:SO903i
:☆☆☆
#218 [向日葵]
胸に当てていた手を、今度は唇に当てた。
「唇が…………。」
熱い……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
委員会が終わって、仕事をしていたら6時になっていた。
外はほぼ真っ暗だ。
「ハァ……。」
誠きっと帰っちゃったよなぁー……。
私ヒドイ事言っちゃったし……って言うか気まずいし……。
窓にもたれながらあれこれ考えていると見回りの先生がやってきた。
:07/10/31 01:32
:SO903i
:☆☆☆
#219 [向日葵]
「ん?まだいたのか?暗いから早よ帰れー。」
「あ、ハイ。さようならー。」
下駄箱まで降りて、直ぐに私は家へと向かった。
早く誠に謝ろう。
それで今の気持ちちゃんと伝えなくちゃ。
きっと……誠なら分かってくれる筈だから……。
早歩きから駆け足に。
私は早く早くと気持ちを急がせながら足を進めた。
「あ!近道近道!」
私は少し細い道を通る事にした。
この道は家まで最短距離になる。
:07/10/31 01:39
:SO903i
:☆☆☆
#220 [向日葵]
コツ……
後ろでそんな音が聞こえた。
思わず立ち止まる。
……ん?
でも音が聞こえなくなった。
気のせいと思い、ゆっくりとまた歩き出した。
すると……
コツ……コツ……
え……。
早歩きになると後ろも早歩きに。
段々迫ってくる靴音。
コツコツコツコツ……。
:07/10/31 01:42
:SO903i
:☆☆☆
#221 [向日葵]
あ、もしかして誠?!
と後ろを向いた。
それが大きな間違いだった。
後ろには全く知らない男の人。深く帽子を被って暗くて目元は見えにくいが、口元が見える。
そしてその口元が、ニヤァ……と歪んだ。
「……ひっ!!」
背筋を駆け抜ける悪寒。
そして凍りついてしまった足。
男の人はニヤニヤしながら私に寄ってくる。
:07/10/31 01:45
:SO903i
:☆☆☆
#222 [向日葵]
「怖がらなくていいんだよ?これから楽しいことするんだからねぇ……?」
「ィ……イヤ……っ。」
痴漢らしきその人は動けない私を無理矢理引っ張ってどこかへ連れて行こうとした。
「ヤダ……ッ!!」
助けて……っ。
誠……っ!!
ガスッ
「グッ!!」
「!」
:07/10/31 18:50
:SO903i
:☆☆☆
#223 [向日葵]
急に痴漢は頭を押さえながらよたよたと走って行った。
何が起こったかいま一つ分からなかった私は呆然とへたっていた。
そして目の前の人物に気づく。
「加寿姉!大丈夫か?!」
「せ……っ。」
誠だ。
誠が助けてくれたんだ……。
「どーしてここ……に。」
「下駄箱にいるって言ったのに加寿姉が……ってか何で先に帰ってんだよ!俺痴漢出るっつったじゃんよ!!」
:07/10/31 18:53
:SO903i
:☆☆☆
#224 [向日葵]
私はビクッと体を震わした。
「ゴ……ゴメン……。」
「ハァ……いいよ。さ、帰ろ。」
誠が手を差し出してくれたので、私はその手を握り、立とうとしたら、その前に涙が出てしまった。
「怖かっ……。」
助かった安心感から涙がポロポロ流れる。
早く泣き止まないと誠が困ってしまうのに。
でも誠は予想と違って私の前に座ると、頭を撫でてくれた。
:07/10/31 18:57
:SO903i
:☆☆☆
#225 [向日葵]
「よしよし。怒鳴ってゴメンナ。怖かったな……。」
どちらが年上か分からない。でも今はその撫でてくれる手に、ただただ救われた。
ねぇ誠……。
私分かったよ。
私は……誠が……。
:07/10/31 18:59
:SO903i
:☆☆☆
#226 [向日葵]
――――

――――
中途半端な終わり方してしまいましたが「弟」終わりです


一旦キリますんで感想良ければこちらに下さい

>>22に感想板があります

:07/10/31 19:05
:SO903i
:☆☆☆
#227 [向日葵]
ビー玉6*ありがとう*
今朝……すごい事が分かった。
なのに私はこんなにも冷静。
まだまだ熱い夏休みのある日。私の彼氏が、18と言う若さで死んだ……。
私は今相馬家と彼の名字がかかれた看板の前にいた。
:07/10/31 21:53
:SO903i
:☆☆☆
#228 [向日葵]
「薫(かおる)?行かないの?」
友達の実砂(みさ)が私に話しかけた。
私は空を見上げた。
だって……死に方があまりにも過ぎるんだもの……。
私、彼は相馬伊月(そうまいつき)は、かなりの女好きだった。
同学年の女子といつも楽しそうにつるむのを見る度、いつ浮気するのかと気が気で無かった。
そんな彼だけど、意外に浮気はしなかった。
口癖は「薫以外はどうでもいいんだから。」だった。
:07/10/31 21:58
:SO903i
:☆☆☆
#229 [向日葵]
それを信用したのが馬鹿だったのか、彼は浮気の最中に死んだらしい。
噂によれば、デート中に車が浮気相手の女に突っ込むのを助けたと言う正に英雄のように死んでいった。
「実砂。私は行くべき……?」
「……うん。行こうよ。」
私は頷いて足を進めて行った。
葬式場にはたくさんの人がいた。
私は周りの人に頭を下げながら奥へと進んで行った。
そして奥へ入った途端……
「ごめんなさい……!!あたしのせいです!!」
:07/10/31 22:02
:SO903i
:☆☆☆
#230 [向日葵]
見ると伊月が寝ている……いや、横たわっている布団に女の子がうずくまって、泣いていた。
「貴方のせいじゃないですよ……大切な人を守れたんならあの子も本望よ……。」
女の子を慰めるように、伊月と思われるお母さんはそう言った。
本命がここにいるとも知らず……。
いや、本命はあちらかもしれない。
私はいつからか浮気相手になっていたのかもしれない……。
「実砂……。私帰るよ。」
「え……薫……っ。」
:07/10/31 22:13
:SO903i
:☆☆☆
#231 [向日葵]
スタスタ歩く私を実砂は追いかけてきて、慌てて私を止めた。
「薫!お線香あげるだけでもしよっ?言いたい事あるの分かるけど……。」
「なんで?裏切られたのに私が惜別する訳ないじゃない。」
結局はそう言う事だったのだ。
私だけが騙されて、真実を聞けないまま勝手にいなくなられた。
涙は出なかった。
ううん。出したくなかった。出る訳もなかった。
私が泣く意味なんて、どこにも無いのだから。
:07/11/01 00:52
:SO903i
:☆☆☆
#232 [向日葵]
「じゃあね薫。」
「ウン。またメールするよ。」
実砂と別れて、私は家へ向かった。
着いてから、まるでそこら辺に遊びに行ってたように「ただいま」と言い、部屋に戻った。
着ていた制服を次の始業式の為にハンガーに綺麗にかけた。
そしてお葬式だからと思い、置いていった携帯を持ってベッドに仰向けにダイブ。
開けば2人で撮った写メの待ち受け。
しばらく黙ってみていた私は、伊月に関係あるアドレス、番号、写真を全部消した。
:07/11/01 00:56
:SO903i
:☆☆☆
#233 [向日葵]
伊月なんて人は、いなかったかのように…………。
暑い夏が始まった。
蝉はうるさい。
でも空は綺麗。
何もこんな天気の良い日にお葬式なんて…………。
「バイバイ。」
私は伊月に別れを告げた。
青い空に、入道雲が見えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その夜。夢を見た。
いや、夢かどうかも分からない。
もしかしたら現実?
:07/11/01 00:59
:SO903i
:☆☆☆
#234 [向日葵]
そこは私の部屋。
時は夜。丁度寝ている時間だ。
ベッドでいつも通り寝ていた私は、なんとなく意識が起きた。
時計を見ればまだ1時。
「薫……。」
少し視線を横にすると、そこには伊月がいた。
私が病気に伏せっているみたいに、すぐそこに座って頭を撫でている。
でも撫でられている感触は全く無い。
「い……つき……。」
……。違う違う。そうじゃない。アンタはもういないし、ここに来るのも間違ってる。
:07/11/01 01:03
:SO903i
:☆☆☆
#235 [向日葵]
未練があるの?
それなら、大事に出来なかった、あのアンタの元で泣いてたあの彼女の元に行きなさいよ。
「出ていけ。」
それだけ言うと、私の意識は彼方へ行って、気づけば朝だった。
首元に手をやってコキコキ骨を鳴らす。
結構……リアルだったなぁ……。
でも所詮夢は夢だ。
もう出てこないだろう。
ぼーっとしていると携帯が鳴った。
実砂からだ。
:07/11/01 01:07
:SO903i
:☆☆☆
#236 [向日葵]
「薫。お葬式行こう?今日は通夜だけど一目相馬君に会ってたほうがいいと思うよ?」
「いいから。もう伊月の話なんかしないで。行きたいなら実砂1人で行きなよ。」
「……知らないよ。後悔しても……。」
後悔?
なんで私が後悔なんてしなくちゃいけないの。
後悔する事なんて無い。
私は裏切られたと思う事で頭が支配されていた。
伊月の“い”の字も見たくないし聞きたくない。
もう知らない。
:07/11/01 01:11
:SO903i
:☆☆☆
#237 [向日葵]
そして次の日。
生身の伊月に会う事は出来なくなった。
伊月が火葬場へ向かったねだ。
今頃煙になって、入道雲に紛れてるのかなって、ベッドに寝転びながら空を見上げて思った。
本当のバイバイだ。
でもやっぱり私は泣かなかった。
冷たいかな。
冷たいよね。
なら聞くよ。
もし貴方の恋人が、こんな死に方をしたら、貴方達はどう思うの?
:07/11/01 01:15
:SO903i
:☆☆☆
#238 [向日葵]
―――――――……
その晩の事だった。
やっぱり夢か現実かわからない場所に私はいた。
そしてまた同じくシチュエーション。
伊月は私の頭を撫でている。
悲しそうな顔をしながら。
哀れみでそんな顔をしてるの?だったらいらないから。いちいち私の夢の中まで来ないでよ。
目を瞑って、彼方へ行く瞬間、伊月が私のおでこに唇を触れた。
それは頭を撫でているのと同じ様に感触なんかなかったけど、でも何故か分かった。
:07/11/01 01:19
:SO903i
:☆☆☆
#239 [向日葵]
「ゴメンナ……。」
確かにあれは、伊月の声だった。
目が覚めるとなんだか体がダルかった。
体をあちこちに伸ばしてスッキリさせようとしても、体の芯が重い……。
そう感じながら、私はおでこに指先を当てる。
どうしてそんな事するんだろうか。
私なんてどうでもいいんじゃないの?
私に飽きたから浮気したんでしょ?
なら何故毎晩現れるのよ……っ。
訳が分からない……。
:07/11/01 01:23
:SO903i
:☆☆☆
#240 [向日葵]
その日は珍しく雨だった。体がダルいのはそのせいかもしれない。
今日は私んちで宿題をやる日。実砂が雨の中やって来た。
傘はさしてるものの風が強いせいか実砂はあちこち濡れていた。
「タオルいる?」
「あ、ゴメン。ありがとう。」
拭きながら私の部屋に入り座る。
音楽でもかけよっかと、コンポから音を流す。
この曲いいよねーと喋りながら勉強の用意。
:07/11/01 01:28
:SO903i
:☆☆☆
#241 [向日葵]
実は勉強する気なんかなかったりする。
実際に友達と勉強するのははかどらないし。
でも私達はこれでも一応受験生。
行きたい大学の合格圏内にはいるけど油断してはいけないと親からの叱咤。
こんな口実をつけない限り遊ぶなんて出来ないのだ。
「自由登校になったらバイトする?」
実砂が言った。
「私はやらないな。家でゴロゴロしときたい。」
「ハハ!薫らしい!きっと……。ハッ……。……。」
:07/11/01 01:32
:SO903i
:☆☆☆
#242 [向日葵]
その続きなら安易に想像出来る。
実砂は伊月の事を言いたいのだ。実砂はいい子だから、気を遣ってくれているらしい。
「いいよ。もう気にしてないから。私そう言うの苦手だし。」
「う……うん。」
沈んでしまった実砂に、私からワザと伊月の話題を出した。
「そういえばね、この頃毎晩夢に伊月が出てくんの。」
「現実とかじゃなくて?」
「私霊感なんかないもの。見える筈ないでしょ。」
:07/11/01 01:36
:SO903i
:☆☆☆
#243 [向日葵]
実砂は少し黙って、真剣な目で私を見つめた。
「ねぇ薫。私やっぱりおかしいと思う。相馬君はきっと薫を裏切るような人じゃないよ。薫達見てたら分かる。あの人、そんな人じゃない。」
私は見つめ返しながら何も言わなかった。
しばらくして息を吐いた。
「今更何弁護しても遅いよ。それは本当かもしれないじゃない。私や実砂が見てる伊月が伊月じゃないんだし。」
実砂は少しうつ向いて悲しそうな顔をして黙ってしまった。
その顔には「どうしてそんな事言うの?」と書いてある。
:07/11/01 01:42
:SO903i
:☆☆☆
#244 [向日葵]
私は苦笑いして実砂の頭を撫でやった。
「私はこんなだけど、実砂は私みたいになったら彼氏を信じてあげな……。」
すると
キンコーン
今は母さんはいない。
私が出なきゃならないんだった。
少しダルめに階段を降りて、玄関に辿り着いた。
「ハーイ?」
ガチャっとドアを開けると、何だか見覚えのある人が立っていた。
:07/11/01 01:45
:SO903i
:☆☆☆
#245 [向日葵]
女の子は丁度私くらいの歳だった。
私の顔を見るなりなんだか脅えたような、悲しそうな顔をして私を見た。
「あ……あの……。」
「……?……―――!!」
この声……っ!!
あの人だ……。泣き叫んでうずくまっていた人……。
「こんにちわ……。田中知(たなかさと)と言います。」
「はぁ……。何のご用で。」
人間が出来てない私は、彼女に気づくなり対応を雑にした。
:07/11/01 01:49
:SO903i
:☆☆☆
#246 [向日葵]
――――

――――
今日はここまでにします
>>22に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします


:07/11/01 01:51
:SO903i
:☆☆☆
#247 [向日葵]
「相馬伊月君の事で、お話があります。」
ああやっぱり。
予想通りと言うかなんと言うか……。
「知ってますから。貴方とデート中にかばって死んだんですよね。なんで話す事はありません。どうぞお帰り下さい。」
ドアを閉めようと、ドアノブを握った。
「違うんですっ。」
その言葉に私の動作は停止した。
違う?一体何が違うと言うんだろうか。
:07/11/01 18:58
:SO903i
:☆☆☆
#248 [向日葵]
田中さんを見ると、彼女は目に涙を溜め始めていた。
でも流れないように必死に我慢してる様子だった。
「ごめんなさい……。全部私が悪いんです……。」
「……?」
―――――――
――――――――……
・・・・・・・・事故当日
「伊月お願い待って!」
「しつこいって。もういいだろ?」
私は、伊月の元カノでした。どうしても彼が忘れられなくて、あの日、思いきって彼に会いに行ったんです。
:07/11/01 19:02
:SO903i
:☆☆☆
#249 [向日葵]
でも彼は何度も言いした。
「彼女以外はどうでもいいから。」
私は悔しくなってムキになり、車が結構多い道路へと飛びだしました。
「話すらしてくれないなら、私車にひかれて死ぬから。」
ただの脅しでした。
彼が話をしてくれると言うのならすぐに戻ろうと思って。
「分かったから……。話ならするから。早く戻れ。」
やっと許可を得た私は彼の元へ戻ろうと1歩踏み出した時でした。
:07/11/01 19:10
:SO903i
:☆☆☆
#250 [向日葵]
ファァァァ……ン!!
猛スピードで車が突っ込んで来たんです……。
―――――
――――――……
私は目を見開いたまま、彼女を見つめた。
「もし勘違いなさっているならば、彼の元に手を合わせに行ってあげてください。本当に……すいませ」
「帰ってください。」
自分でもびっくりするぐらい静かな声だった。
「気が、済まないのなら、好きなだけ殴っても……っ。」
:07/11/01 19:14
:SO903i
:☆☆☆
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