○ビー玉ラバーズ○
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#250 [向日葵]
ファァァァ……ン!!
猛スピードで車が突っ込んで来たんです……。
―――――
――――――……
私は目を見開いたまま、彼女を見つめた。
「もし勘違いなさっているならば、彼の元に手を合わせに行ってあげてください。本当に……すいませ」
「帰ってください。」
自分でもびっくりするぐらい静かな声だった。
「気が、済まないのなら、好きなだけ殴っても……っ。」
:07/11/01 19:14
:SO903i
:☆☆☆
#251 [向日葵]
「殴って伊月が帰って来るならしたたか貴方を殴ってる!!」
彼女はびくっとしていた。
私は玄関の床をずっと見ていた。
そうでもしないと本当に彼女を殴ってしまいそうだから。
「薫?どうしたの……?」
私の声で異変に気づいた実砂が上から降りて来た。
でも私はその声すら聞こえない。
「ど……うぞ。帰ってください……。」
間を開けて、田中さんは一礼すると走って帰って行った。
:07/11/01 19:20
:SO903i
:☆☆☆
#252 [向日葵]
なんでよ……どうして今更そんな真実告げてくるのよ……。
どうして……
どうして……っ。
「薫……。」
「ゴメン実砂……。1人に……させて……。」
フラフラしながら私は部屋に行った。
その後ろで実砂はついてきて、荷物を取ると「バイバイ」と小さな声で言った。
私はベッドに横たわった。ただ天井を見上げる。
伊月……。
何で一言も言ってくれなかったの?
:07/11/01 20:22
:SO903i
:☆☆☆
#253 [向日葵]
言ってくれたら、私助けたのに。助けれたかもしれないのに。
今……伊月と笑ってるかもしれないのに……。
[後悔してもしらないよ。]
実砂の言葉を思い出した。
呆気なく煙となってしまった伊月。最後に見た生身の伊月は一般的によく言われる、ただ眠ってるようにしか見えなかった。
触れれば良かった……。
冷たくなっていたとしても、その笑顔が見れなくても……最後に触れるのが、私なら……。
:07/11/01 20:26
:SO903i
:☆☆☆
#254 [向日葵]
今、思っても、伊月に触れれる事は、もう…………ない。
「……ひっ……ゴメ……。」
伊月、ごめんなさい。
いつも言ってくれてたのに。結局私は伊月を信じてなかったんだ。
信じて欲しかったよね……伊月。
伊月……伊月……。
名前を呼んでも、もう返事してくれないんだね……っ。
「伊月ぃ……っ!」
もう一度……声を聞かせて……っ!
:07/11/01 20:30
:SO903i
:☆☆☆
#255 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……ん……。」
目を開けると部屋は暗くなっていた。
いつの間にか晴れた空からは月明かりが差し込んでいる。
今何時だ……?
携帯を見ると、12時を差していた。
今日はもうこのまま寝てしまおう。
明日の朝にお風呂入ればいいや。
カタ……
「ん……?」
:07/11/01 20:33
:SO903i
:☆☆☆
#256 [向日葵]
携帯から目を離して顔を上げると、なんだか姿が見えた。
「――――!」
伊月だった。
私はまた夢を見ているんだろうか。
……いや、今は分かる。前も、前の前も、あれは夢じゃなかったんだ……。
伊月は私にスー……と近寄ると、いつものように頭を撫でた。
幽霊が出て怖い筈なのに、私は全然怖く無かった。
涙がまた出てくる。
「伊月……ゴメンネ……っ。」
:07/11/01 20:38
:SO903i
:☆☆☆
#257 [向日葵]
伊月はただ優しく柔らかく微笑んでいた。
「ゴメンネ……何も出来なくて……っ!」
伊月の透けている手が、頬に伸びる。
おそらく涙を拭こうとしてくれているんだろう。
でも、当たり前かの様に、涙を拭く事はおろか、頬に触れるなんて事は出来ないのだ。
その事実に、伊月は悲しそうに顔を歪めた。
私は包む様にしている伊月の手の上から手を置いた。
そして頑張って微笑んだ。
:07/11/01 20:42
:SO903i
:☆☆☆
#258 [向日葵]
「空で……見ててね……私の事……。」
伊月はまた微笑むと、私の唇に触れた。
目を閉じて、その感触を確かる。
次に目を開けた時には、伊月の姿はもうなかった……。
―――――――――……
数日後。
私は実砂と一緒に伊月の家にお線香をあげに行った。
遺影の伊月を見て、その笑顔に少し胸が軋んだけど、「空で元気でね。」と手を合わせて伊月宅を出た。
:07/11/01 20:47
:SO903i
:☆☆☆
#259 [向日葵]
―――――

―――――
今日はここまでにします
>>22に感想板がありますんで良ければ感想お願いします

:07/11/01 22:33
:SO903i
:☆☆☆
#260 [向日葵]
帰り道、偶然通りかかったのは伊月の事故現場だった。
事故があった近くのガードレールには花やジュースがお供えしてあった。
「伊月……。」
伊月……痛くなかった?苦しくなかった?つらくなかった?
寂しく……なかった?
その時、フワッと温かい風が私を包んだ。
伊月が「大丈夫だよ。」って言ってるみたいだった。
:07/11/02 15:03
:SO903i
:☆☆☆
#261 [向日葵]
その風がなんだか優しく感じて、突然胸がいっぱいになって、堪えきれずに涙が頬を流れていった。
「薫……。」
夏休み。
私は人を愛していました。
この先も愛する事を忘れず、伊月の分まで生きて行く事を誓います……。
ありがとう……。
伊月……。
:07/11/02 15:06
:SO903i
:☆☆☆
#262 [向日葵]
ビー玉7*温かい雪*
ウチの学校は雪がよく降る地域にあって、冬になればそれはそれは沢山の雪が辺りを覆い尽くしていた。
そんな俺の学校には、最近こんな事を皆で言い合う。
“雪女を怒らすな吹雪になるぞ”
:07/11/02 15:10
:SO903i
:☆☆☆
#263 [向日葵]
かと言って、本当に雪女がこの学校にいる訳じゃない。
雪女とはあだ名のようで本名。
呼ばれているのは、先日転校してきた橘 雪女(たちばなゆきめ)の事である。
――――――……
「うっす燈立!」
「おいーっす!今日もクソさみぃーなぁ!」
俺の名前は日下 燈立(くさかひりゅう)。ついこの間17歳になりました!イッエーイ!!
寒いながらも俺は雪が大好きだ。雪合戦とかかまくらとか作っててワクワクするしっ!
:07/11/02 15:20
:SO903i
:☆☆☆
#264 [向日葵]
「放課後雪合戦する奴手ぇあっげて――!」
と勢いよく手を上げた時だった。
バシッ!
何かに当たってしまった。「ん?」と思っていると、手を上げようとしていた奴らが一気に青ざめた。
「痛い……。」
静かに非難の声が聞こえたので、俺は右を見た。
そこに立っていたのは、紛れもなくあの橘雪女だった。
橘は当たったであろう自分の腕を、白くて細い指先でさすっていた。
:07/11/02 15:25
:SO903i
:☆☆☆
#265 [向日葵]
男友達は俺をささーっと連れ戻した。
「アハハハ!ゴメンネ橘さん!」
「コイツにはよーっく注意しとくから!」
橘は切長の目で俺達を見ると、興味が無くなったみたいに突然ふいって自分の席まで歩いていってしまった。
「ふー……アイツ気味わりぃよなぁ……。」
「また今日も吹雪になるとこだったぜぇ……。」
「……そっかなぁ……。」
俺は別に橘の事を気味悪いとか、怒らせたら吹雪になるとか、気にしていなかった。
:07/11/02 15:30
:SO903i
:☆☆☆
#266 [向日葵]
「燈立は呑気だからな……。でもマジヒヤヒヤするから少しは気をつけれぇ。」
「あーハイハイ。」
俺は橘を見た。
存在感があるようで無い彼女は、もともと髪の毛の色素が薄いらしく、茶色と言うよりも少しグレーが混ざっている。
そして腰ぐらいまである長い髪は綺麗なサラサラストレートだ。
小柄で儚げ。
だから余計に“雪女”扱いされるんだろうな……。
俺はそれに、哀れみさを感じた。
:07/11/02 15:33
:SO903i
:☆☆☆
#267 [向日葵]
―――――

―――――
キリます
>>22に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

:07/11/02 15:36
:SO903i
:☆☆☆
#268 [向日葵]
―――――……
「やっべー!カバンー!」
雪合戦をしていたのはいいものの、カバンを持って来るのを忘れていて3階の教室まで戻るハメになってしまった。
外も暗くなってきたし、早く帰んないと母ちゃんが恐い……。
この前も9時とかに帰ったらゲンコツくらったもんなぁ……。多分母ちゃんのゲンコツが世界一痛ぇよ……。
「ん……?」
教室近くまで来ると、まだ電気がついていた。
:07/11/03 14:59
:SO903i
:☆☆☆
#269 [向日葵]
誰かいるのか……?
戸を開けると、窓側に誰か寝ていた。
あの姿は……。
そろーっと近づくと、気づいた。
橘雪女だ。
これだけ近くで見るのは初めてだ。
見れば見るほど
「綺麗だなー……橘って……。」
まつ毛長いなぁー。
肌も透き通りそうなぐらい綺麗……。
ほっぺ柔らかそうだなぁ。
ぼんやり思いながら指先でそっと顔に触れた。
:07/11/03 15:08
:SO903i
:☆☆☆
#270 [向日葵]
パチッ
「おわぁっ!」
いきなり橘が目を開けたので、驚いた俺は思いっきり飛び退いた。
橘はまだ眠いのか目をショボショボさせながら手で擦っている。
「ゴメン!別に俺、何もしてないからね!」
「別に何とも思ってないわよ。」
そう言いながら橘は帰る支度をしている。
橘の雰囲気に似てる少し水色が入った白いマフラーを巻くと、カバンを持って席を立った。
:07/11/03 15:13
:SO903i
:☆☆☆
#271 [向日葵]
「あ、ねぇっちょっと待って!1人で帰るの?」
「そうだけど?」
そうだけどって……。
こんな暗い中、ずっと1人で帰ってたのか?
「なら一緒に帰ろう?送るから!」
俺は急いでカバンを取りに向かった。
「……余計な事しない方がいいと思うわよ。」
教室に彼女の澄んだ声が小さく響く。
橘を見ると、ドアの方を見たままだった。
:07/11/03 15:17
:SO903i
:☆☆☆
#272 [向日葵]
「貴方も知ってるんでしょ?私が怒ると吹雪になるって。もし帰りに貴方が私を怒らせて吹雪いてしまったら」
「吹雪になんかならないよ。」
橘は少しびっくりしたのか、目を見開いて俺を見た。
「俺知ってるよ?吹雪なった日って、その日の天気予報大抵天気悪い事伝えてるもん。だから俺、信じてないけど?」
橘は黙ったまま俺を見つめて、しばらくするとマフラーを口元まで上げて呟いた。
「貴方……変な人。」
:07/11/03 15:22
:SO903i
:☆☆☆
#273 [向日葵]
その白い頬が、うっすら赤くなっているのに俺は気づいた。
どうやら彼女は感情表現が苦手らしい。
それがなんだか可愛く感じた。
「さ、帰ろっかっ。」
俺も上着とマフラーを巻いて、帰る準備をした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「さっみぃーなぁー。」
橘と歩きながら、雪で濡れている道を歩いた。
「ねぇねぇ。雪女って事はやっぱり生まれはここら辺なの?」
:07/11/03 15:27
:SO903i
:☆☆☆
#274 [向日葵]
「もっと北の方。ここよりも寒いわ。」
「そっかー。綺麗な名前だよな。」
そう言うと橘は無言になった。
そしてまたマフラーで口元を隠す。
照れた時に口元を隠すのが彼女の癖らしい。
それに気づいた俺はうっすら微笑んだ。
すると橘がマフラー越しに呟いた。
「貴方だって綺麗な名前じゃない。」
「俺?どこが?」
「燈立。名前の中に火が入ってる。とっても……あったかそう。」
:07/11/03 15:33
:SO903i
:☆☆☆
#275 [向日葵]
目を細めて少し笑う彼女に、俺はドキッとした。
自分の名前を誉められた事は初めてだったし、何より橘の笑顔を見るのも初めてだった。
「じゃあ俺達の名前足して2で割ったら丁度いいかもね!」
「そうかもね。」
ハァーっと、白い指先に息をかけた。
今思えば橘はこの寒いのに手袋をしていない。
「寒い?」
「少しね。」
俺は口元にある彼女の手を握る。
:07/11/03 15:37
:SO903i
:☆☆☆
#276 [向日葵]
俺の行動に彼女は目が点になった。
じっと俺の顔を見る。
「俺手袋してるし。この方があったかいでしょ?」
今度は橘の行動よりも、顔が赤くなる方が早かった。
白い肌だから余計に赤いのが分かる。
「やっぱり貴方変だわ……。」
橘にとって、“変”って意味は照れ隠しの1つで、本当は“ありがとう”って言いたいのかもしれない。
そう思うと、また俺は微笑んだ。
:07/11/03 15:42
:SO903i
:☆☆☆
#277 [向日葵]
何分か歩くと
「ここまで来たらすぐだから。どうも。」
「そっか。手袋いる?」
橘は首を振った。
繋いでいた手を離してしまうのがなんだか寂しかった。繋いでいる手を俺はただじっと見つめる。
「……。離してもらってもいいかしら……?」
「ハッ!あ、ゴメン!!じゃあまた明日な!」
「ウン。じゃあ。」
そう言ってサラサラの紙をフワッとなびかせて彼女は帰って行ってしまった。
:07/11/03 16:15
:SO903i
:☆☆☆
#278 [向日葵]
やっぱり“雪女説”は嘘だったんだ。そりゃ本当だったら驚いてしまうけど、世界って広いからなぁ。
「橘かぁ……。」
意外と不器用でそんでもって優しい子みたいだな……。勘違いされてるのが可哀想なくらい……。
しばらく俺は橘と別れた場所で橘についてを考えてから家へ帰った。
帰ると7時半を回っていて、やっぱり母ちゃんにはゲンコツをくらったけど、痛かった反面、橘にこの話したら笑ってくれるかなとか考えていた。
:07/11/03 16:22
:SO903i
:☆☆☆
#279 [向日葵]
―次の日―
今日はいい天気だけど相変わらず寒くはあった。
この状態で上履きを履くのは少し辛い。足が冷えるからだ。
自分のクラスの所までいると、後ろから肩を叩かれた。
「おっはよ!燈立っ!」
「おはよ棗(なつめ)。」
棗は同じクラスの女の子。元気が良くて俺とは仲良くしてくれてる。
「ねねね。昨日あの雪女と帰ったって本当?」
「え?何で知ってんの?」
「見た子がいるみたいよ。来る時に何人か噂してた。」
:07/11/03 16:29
:SO903i
:☆☆☆
#280 [向日葵]
「ふーん。」
噂なんて気にしない。
今回の橘の件でよく分かった。
噂にもデタラメな噂があって、本人に関わってみなくちゃ分からない事もあるものだ。
「ふーんて。まさかアンタ橘さんが好きになったの?!」
「な!な、棗に、そんな事関係無いでしょ!」
橘を?!だって昨日の今日だぞ?!まっさかぁー!!
「雪女は男を虜にするからねー。燈立は馬鹿だからすぐ引っかかりそー……。」
:07/11/03 16:39
:SO903i
:☆☆☆
#281 [向日葵]
俺は少しムッとしながら棗に言った。
「ってかさっきから雪女雪女って!“ゆきおんな”じゃなくて“ゆきめ”だからっ!!」
すると棗はプクッとほっぺを膨らませた。
「ハイハイ!分かりましたーだっ!燈立なんか凍死しちゃえ―――っ!!」
と言って先に行ってしまった。
ったく棗の奴、なんなんだ?
階段を上がりながら俺は棗に言われた事をグルグル考えいた。
:07/11/03 16:44
:SO903i
:☆☆☆
#282 [向日葵]
――――――

――――――
キリます
>>22に感想板がありますんで良ければ感想お願いします


:07/11/03 16:45
:SO903i
:☆☆☆
#283 [向日葵]
:07/11/03 17:40
:SO903i
:☆☆☆
#284 [向日葵]
確かに昨日橘と初めてちゃんと話して、橘を知った事は大きい。
案外照れ屋だとか、笑ったら可愛いとか。
でもだからってさ――!!いきなりそんな好きとか……ねぇ?!
考えて頭がパニックのまま俺は教室のドアを開けた。
「燈立ちぃーっす!」
「ちぃーっす。」
いつものメンバーが俺に寄ってきた。
「なぁ燈立。今度クラス全員で遊ばねぇ?」
「クラス全員?」
:07/11/04 01:59
:SO903i
:☆☆☆
#285 [向日葵]
仲間の奴らが更に俺に詰め寄る。
「だって俺らもう17だぜ?なのにクラスの大半が彼女無し。それって悲しくね?実際このクラスの女子って結構可愛い子いるじゃん?だから親睦会ってのは上辺。裏は合コンて事。」
あー皆彼女が欲しい年頃なのね。なんとまぁ切実。
「いいんじゃない?カラオケとかボーリングとかさ。」
ガラガラガラ
あ。
「橘っ!」
:07/11/04 02:04
:SO903i
:☆☆☆
#286 [向日葵]
橘が来たので俺が橘の元へ行くと、クラスの皆が一斉に「え?!」って言った。
声をかけられた橘も少し驚いてるのか、数歩進んでから足を止めた。
「おはよっ!」
「……おはよう…。」
今日も手袋をしていない。指先が寒さのせいで赤くそして白くなっていた。
「昨日は大丈夫だった?」
「はぁ……。大丈夫だったわよ。」
「そっか。良かった!」
にこっと笑うと、橘はうつ向いた。知ってる。次に顔を上げた時は
:07/11/04 02:10
:SO903i
:☆☆☆
#287 [向日葵]
「心配なんて……いいのよ。」
ほら真っ赤。照れてる。
俺はなんだか嬉しくなってまたにこっと笑った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
親睦会もとい合コンは土曜日の模試の後でと決まった。
一旦皆着替えて駅前のカラオケに行くらしい。
「なぁ燈立!今日校庭でかまくら作らねぇ?!」
「かまくら?つく……っ。ご、ゴメン!今日は用事があるから無理だわ!」
:07/11/04 02:14
:SO903i
:☆☆☆
#288 [向日葵]
「なんだよー。んじゃ今日は帰るかー。」
俺はやる事があるんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
掃除を終えて、教室に戻った。
外から見ると電気がやっぱりついてる。
ニマァッとして、俺はドアを開けた。
「たっちば……なぁ……?」
そこには、昨日と同じ場所にいる橘と棗がいた。
棗は俺が入って来るとハッとして急いでカバンを持った。
:07/11/04 02:18
:SO903i
:☆☆☆
#289 [向日葵]
まだ怒ってるのか、棗は黙って俺の隣をすり抜けて行ってしまった。
頭にはてなを浮かべながら橘の方を見ると、橘がじっと俺の方を見ていた。
「な……なに……?」
「……。いや、早くドアを閉めてくれないかなと。教室の暖が逃げちゃうから。」
あ……なるほど。
後ろ手にドアを閉めて、橘の前の席に座りに行く。
橘は一連の動作をただ黙って見ていた。
「へへっ。寒いな。」
:07/11/04 02:22
:SO903i
:☆☆☆
#290 [向日葵]
すると橘は薄く笑った。
その笑顔に心臓が跳ねる。
ア……アレ……?
橘は無言でポケットからカイロを出すと、机の上に置いてる俺の手の甲にそれを置いた。
とても暖かい。
「あ、ありがとう。カイロあったんだ。」
「本当は昨日もあったの。でも帰る時にはひんやりしちゃっててね。」
昨日遅くまでいたもんなー……ってそうじゃない!
俺にはやる事があるんだ!
:07/11/04 02:26
:SO903i
:☆☆☆
#291 [向日葵]
「橘もさ、今度の親睦会行かねぇ?!」
橘は言わなきゃ来なさそう。だから俺は言った。
橘には是非来て欲しい。それで皆に橘の良さを知って欲しい!
沈黙が流れて、少し目を伏せてから橘が言った。
「誘ってくれてありがとう。……でも私、学校でする事あるから。ごめんなさい。」
「そうなの?!なら俺も手伝うよ!」
「中心の貴方がいなかったら友達が寂しがるわよ?それに……私にそんなに気を遣わなくて、いいから。」
:07/11/04 02:32
:SO903i
:☆☆☆
#292 [向日葵]
―――ズキン
何故だろう。
とても優しい顔をして、言葉も柔らかなのに……それはまるで「ほっとけ」と言われてるみたいで……。
「そ……っかぁ……。ウン。分かった。」
なんだか……悲しかった。
「じゃあさ、今から一緒に帰って?それならいいでしょ?」
「えぇ……まぁ。じゃあ。帰る?」
「うん!」
俺、橘の良さを知ってもらいたいなんて……嘘だ。
:07/11/04 02:36
:SO903i
:☆☆☆
#293 [向日葵]
本当は橘がどんな服着るかとか、どんな歌歌うのかとか楽しい橘と俺の時間を想像してたんだ。
「ハァー……さむ……。」
また昨日みたいに彼女は指先に息を吐き暖めようとする。
俺はそれを見て、何も言わずに手を握った。
橘は驚き、そして照れて、黙ってうつ向いた。
帰り道、俺達は何も言わずに帰った。
でもその無言の道のりは心地悪いものではなかった。
昨日の別れるトコに来て「じゃあ。」とだけ言葉を交した。
:07/11/04 02:41
:SO903i
:☆☆☆
#294 [向日葵]
橘の後ろ姿を見ながら俺は分かった。
俺は……橘が好きだ。
――――――――……
―土曜日―
「……。はい終わりー。後ろから集めてー。」
ダルい模試が終わり、俺は体一杯背伸びした。
あ゙――――終わったど―――!
「さって!燈立!行こうぜぇっ!」
「え、お、おう。」
ちらっと橘を見た。
橘ははしゃいでる皆をよそに、静かに机にカバンを置いたままどこかへ行ってしまった。
:07/11/04 02:44
:SO903i
:☆☆☆
#295 [向日葵]
橘にしたら、俺なんてどうでもいいのか……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
着替えて駅前に集合した俺達はカラオケへと行った。結構人数はいて、大部屋を借りなければならなかった。
「燈っ立!」
隣に棗がやって来た。
「おう。何?」
「何か元気なくない?」
「別に?」
誤魔化しながらメロンソーダーをグビッと飲み、うた本をペラペラめくる。
:07/11/04 02:48
:SO903i
:☆☆☆
#296 [向日葵]
するとマイクを持ってる奴が言った。
「そーいえば。やっぱり雪女来なかったな!」
クラスの皆がアハハハハと笑う。
果たして何がそんなにおかしいのやら……。
「来られても空気悪くなるってー!」
「怒らせて帰り道吹雪いたら嫌だしなぁ!」
「来たらマジKYだよなー!アハハハハ!」
バリンッ
皆の笑いが止まった。
俺は自分で知らない内に手に力を入れていてグラスを割ってしまっていた。
でもそんな事が大事なんじゃない。
:07/11/04 02:53
:SO903i
:☆☆☆
#297 [向日葵]
「お前ら……最低だな……。」
それだけ言って、俺は脱いでた上着を持って部屋を出た。
「ハァハァ……待って燈立!」
エレベーターに続く道で、後ろから棗が声をかけた。
「ゴメン!」
「別に、棗が謝る事じゃないだろ。」
「違うの!……私なの……橘さんに、カラオケ来るなって言ったの。」
俺は口パクで「え。」と言った。
だって橘は用があるから行けないって……。
:07/11/04 02:56
:SO903i
:☆☆☆
#298 [向日葵]
「私……燈立が好きっ。だから橘さん来たら、燈立絶対橘さんとずっと一緒にいると思って……。ゴメン!」
あの時……あの言葉……。
[私に気を遣わなくていいから。]
全部、棗の為に……。
俺はゆっくり棗に近寄って、頭を撫でた。
「ありがとう。ゴメン……。」
エレベーターに乗って、降りた後ひたすら走った。
学校まで。
:07/11/04 03:02
:SO903i
:☆☆☆
#299 [向日葵]
橘の1つ1つの仕草や言葉が、俺はすごく好きで、それはまだほんの一部分だろうけど、これからもっともっと見てみたい……。
「はぁ……着いた……。」
学校に着いたのはいいものの、これからまだ3階まで上がらなければならない。そう思うと、まだ道のりは長い……。
ふと顔を上げると……
「……あ。」
俺の教室の電気がついていた。
いる……橘はまだいる。
:07/11/04 03:06
:SO903i
:☆☆☆
#300 [向日葵]
急いで3階まで向かう。
「ハァハァ……ッハァッ!」
橘。
俺もっと橘に近付きたい。
近付いても……
ガラッ!
いいかな?
ドアを開けると、橘が帰ろうと立ち上がった所らしかった。
「ハァ……ハァ……。」
「え?日下君?」
不思議がってる橘をよそに、俺はドンドン橘に向かって行った。
:07/11/04 03:10
:SO903i
:☆☆☆
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