○ビー玉ラバーズ○
最新 最初 全 
#289 [向日葵]
まだ怒ってるのか、棗は黙って俺の隣をすり抜けて行ってしまった。
頭にはてなを浮かべながら橘の方を見ると、橘がじっと俺の方を見ていた。
「な……なに……?」
「……。いや、早くドアを閉めてくれないかなと。教室の暖が逃げちゃうから。」
あ……なるほど。
後ろ手にドアを閉めて、橘の前の席に座りに行く。
橘は一連の動作をただ黙って見ていた。
「へへっ。寒いな。」
:07/11/04 02:22
:SO903i
:☆☆☆
#290 [向日葵]
すると橘は薄く笑った。
その笑顔に心臓が跳ねる。
ア……アレ……?
橘は無言でポケットからカイロを出すと、机の上に置いてる俺の手の甲にそれを置いた。
とても暖かい。
「あ、ありがとう。カイロあったんだ。」
「本当は昨日もあったの。でも帰る時にはひんやりしちゃっててね。」
昨日遅くまでいたもんなー……ってそうじゃない!
俺にはやる事があるんだ!
:07/11/04 02:26
:SO903i
:☆☆☆
#291 [向日葵]
「橘もさ、今度の親睦会行かねぇ?!」
橘は言わなきゃ来なさそう。だから俺は言った。
橘には是非来て欲しい。それで皆に橘の良さを知って欲しい!
沈黙が流れて、少し目を伏せてから橘が言った。
「誘ってくれてありがとう。……でも私、学校でする事あるから。ごめんなさい。」
「そうなの?!なら俺も手伝うよ!」
「中心の貴方がいなかったら友達が寂しがるわよ?それに……私にそんなに気を遣わなくて、いいから。」
:07/11/04 02:32
:SO903i
:☆☆☆
#292 [向日葵]
―――ズキン
何故だろう。
とても優しい顔をして、言葉も柔らかなのに……それはまるで「ほっとけ」と言われてるみたいで……。
「そ……っかぁ……。ウン。分かった。」
なんだか……悲しかった。
「じゃあさ、今から一緒に帰って?それならいいでしょ?」
「えぇ……まぁ。じゃあ。帰る?」
「うん!」
俺、橘の良さを知ってもらいたいなんて……嘘だ。
:07/11/04 02:36
:SO903i
:☆☆☆
#293 [向日葵]
本当は橘がどんな服着るかとか、どんな歌歌うのかとか楽しい橘と俺の時間を想像してたんだ。
「ハァー……さむ……。」
また昨日みたいに彼女は指先に息を吐き暖めようとする。
俺はそれを見て、何も言わずに手を握った。
橘は驚き、そして照れて、黙ってうつ向いた。
帰り道、俺達は何も言わずに帰った。
でもその無言の道のりは心地悪いものではなかった。
昨日の別れるトコに来て「じゃあ。」とだけ言葉を交した。
:07/11/04 02:41
:SO903i
:☆☆☆
#294 [向日葵]
橘の後ろ姿を見ながら俺は分かった。
俺は……橘が好きだ。
――――――――……
―土曜日―
「……。はい終わりー。後ろから集めてー。」
ダルい模試が終わり、俺は体一杯背伸びした。
あ゙――――終わったど―――!
「さって!燈立!行こうぜぇっ!」
「え、お、おう。」
ちらっと橘を見た。
橘ははしゃいでる皆をよそに、静かに机にカバンを置いたままどこかへ行ってしまった。
:07/11/04 02:44
:SO903i
:☆☆☆
#295 [向日葵]
橘にしたら、俺なんてどうでもいいのか……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
着替えて駅前に集合した俺達はカラオケへと行った。結構人数はいて、大部屋を借りなければならなかった。
「燈っ立!」
隣に棗がやって来た。
「おう。何?」
「何か元気なくない?」
「別に?」
誤魔化しながらメロンソーダーをグビッと飲み、うた本をペラペラめくる。
:07/11/04 02:48
:SO903i
:☆☆☆
#296 [向日葵]
するとマイクを持ってる奴が言った。
「そーいえば。やっぱり雪女来なかったな!」
クラスの皆がアハハハハと笑う。
果たして何がそんなにおかしいのやら……。
「来られても空気悪くなるってー!」
「怒らせて帰り道吹雪いたら嫌だしなぁ!」
「来たらマジKYだよなー!アハハハハ!」
バリンッ
皆の笑いが止まった。
俺は自分で知らない内に手に力を入れていてグラスを割ってしまっていた。
でもそんな事が大事なんじゃない。
:07/11/04 02:53
:SO903i
:☆☆☆
#297 [向日葵]
「お前ら……最低だな……。」
それだけ言って、俺は脱いでた上着を持って部屋を出た。
「ハァハァ……待って燈立!」
エレベーターに続く道で、後ろから棗が声をかけた。
「ゴメン!」
「別に、棗が謝る事じゃないだろ。」
「違うの!……私なの……橘さんに、カラオケ来るなって言ったの。」
俺は口パクで「え。」と言った。
だって橘は用があるから行けないって……。
:07/11/04 02:56
:SO903i
:☆☆☆
#298 [向日葵]
「私……燈立が好きっ。だから橘さん来たら、燈立絶対橘さんとずっと一緒にいると思って……。ゴメン!」
あの時……あの言葉……。
[私に気を遣わなくていいから。]
全部、棗の為に……。
俺はゆっくり棗に近寄って、頭を撫でた。
「ありがとう。ゴメン……。」
エレベーターに乗って、降りた後ひたすら走った。
学校まで。
:07/11/04 03:02
:SO903i
:☆☆☆
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194