○ビー玉ラバーズ○
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#301 [向日葵]
息が整うのを急かすように何度も深呼吸した。
何回目かにやっと落ち着いてきた。

「大丈夫?座る?」

「ううん。いい。」

教室に静寂がやって来る。俺達はただ見つめ合ったままだ。
橘までの距離はあと3歩。

「俺橘が好きだ。」

橘はただ瞬きをしていた。俺の言葉に動じていないかのように。
でも俺はそんなの気にせず続ける。

「ついこの間喋っただけで何言ってんだって思うかもだけど……。……でも、いくら考えてもやっぱり橘が好きなんだ。」

⏰:07/11/04 03:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#302 [向日葵]
橘はまだ俺を見つめたままだ。
俺はもう一度深呼吸した。

「橘の……側にいていいですか……?」

あぁ……俺ばっかが喋ってる。反応がこれだけ無いって事はきっと答えはNOだ。

そう思っていた時だった。

ポロ……

橘の左目から一筋涙が流れた。

え……えぇ――――っ?!?!泣く程俺が嫌だって事?!

⏰:07/11/04 03:19 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#303 [向日葵]
――――――――――――――

今日はここまでにします(◎・ω・◎)

>>284に新しい感想板がありますんで良ければ感想お願いします

⏰:07/11/04 03:20 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#304 [向日葵]
すいません
>>283でした

⏰:07/11/04 03:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#305 [向日葵]
「え……橘?!もしかして死ぬほど俺が嫌い?」

涙を流したまま橘は首を横にゆっくり振った。

「嬉しくて……。」

小さくそう呟くと、橘の涙は更に溢れた。

「いつも普通に私と接してくれたのは……日下君だけだった……私……嬉しかったの……。」

「なら、ずっと一緒にいてくれる……?」

今度は縦に首を振った。
そして涙を細い指先で拭うと、フワッと微笑んだ。

俺の胸が、熱を持つ……。

⏰:07/11/06 00:42 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#306 [向日葵]
“雪女を怒らすな。吹雪になるぞ。”

一体誰がそんな事を言い出したのだろう。

彼女はこんなにも可愛らしくて……優しくて……温かい……。

彼女の心は、今日も太陽のようにほっこりとして、俺の体を癒してくれる……。

⏰:07/11/06 00:46 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#307 [向日葵]
ビー玉8*歌にのせて*












「こんのぉ……ボケがぁぁぁっ!!」

バキッ!!

「お前なんか大っ嫌いじゃ!さいっなら!」

私は西海 碧(にしうみ みどり)もうすぐ16。

⏰:07/11/06 00:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#308 [向日葵]
先程彼氏に別れの一発をくらわして別れました。

原因は浮気。まぁよくある話で。

男兄弟に囲まれて育った私は拳で語り合う方法を覚え、以来こうしてケリをつけることもしばしば……いや毎回……。

初めて出来たら彼氏だった。自分でも自覚してる通り私は乱暴者だ。
でもこんな私を、彼は好きだと言ってくれたのだ。

「帰ってサンドバック殴りまくろー……。あぁムシャクシャ――!!」

「クスクスクス……。」

⏰:07/11/06 00:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#309 [向日葵]
ん……?

後ろを向いてみると、ギターを肩にかけたお兄さんがいた。

もしかして、笑われているのは私かい?

「クスクス……あーゴメンネ?いや、元気な子だなって思って。」

「お兄さん……何?」

見た目爽やかで落ち着いた感じなお兄さんはギターを持つとジャーンと1回だけ弾いた。

「よくいるでしょ?こーゆー場所に。ストリートミュージシャンってやつさ。」

⏰:07/11/06 00:58 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#310 [向日葵]
「へー。今日が初めて?」

「いや?何回も来てるよ。」

私はこの駅を通学に使うからお兄さんを見てると思うんだけど……時間帯が違うのかな……?

「バンド名みたいなのあるの?」

「いや。1人だから本名だよ。」

「私は西海碧。お兄さんは?」

「田浦 颯太(たうら そうた)。碧ちゃん。1曲聞いていかない?」

⏰:07/11/06 01:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#311 [向日葵]
にこりと笑ってお兄さんはまたギターを鳴らした。
ギターの音から、まぁ私は楽器の上手い下手は分からないけど、上手い感じがした。

私が聞こうとしているのが分かったのか、お兄さんは歌が書いてある楽譜をペラペラとめくる。

「どんな曲がいい?」

「分かんない。お勧めでいいよ。」

「りょーぅかいっ。」

ギターがさっきとは違い、大きく駅前に鳴り響く。

胸がハッとした。

お兄さんの歌声は澄んでいるのにとても甘くて、歩いてる人が次々止まっていくのが分かった。

⏰:07/11/06 01:07 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#312 [向日葵]
お兄さんの歌が終わると、聞いていた人達から大きな拍手が……。
私もその1人だ。

「ありがとうございます。良ければこのまま聞いて行ってください!」

そう言うと、お兄さんのギターがまた鳴り始めた。

もう足が動かない。

私はお兄さんの歌の虜になってしまった……。

―――――――――……

気がつけば、空が藍色になりかけていた。

「どうだった?」

私はピクッとして、我に返った。
まだ耳に余韻が残ってる。

⏰:07/11/06 01:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#313 [向日葵]
「なんて……?」

「俺の歌、どうだった?」

歌っている時とはまた違うお兄さんの声。
一体どうやったらあんな声が出せるのかが不思議で、お兄さんの喉元をじっと見た。

「?どうかした?」

「いやーすっごいね!あんな声出せるんだもん。お兄さんミュージシャンになれちゃうよー。」

喉元の観察を止めずに、でも気持ちは込めてお兄さんに言った。

すると頭にお兄さんの手が乗ったと思うと、ワシャワシャ撫でまわされた。

⏰:07/11/06 01:16 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#314 [向日葵]
――――――――――――


今日はここまでにします

>>283に感想板があるんで良ければ感想をお願いします

⏰:07/11/06 01:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#315 [向日葵]
「ありがとね。碧ちゃんはいい子だわ。」

髪の毛を直しながら「どういたしまして」と呟いた。

「そーいえばお兄さん何歳?」

「19だよ。」

ウチの兄ちゃんと同い年だ。ウチの兄ちゃんでもこんなに輝いてないべな。

「頑張ってね。また聞かせてもらうよ。」

「うん。いつでもおいでっ。」

私はお兄さんと別れて家に帰った。

⏰:07/11/08 11:58 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#316 [向日葵]
――――――……

「ただいまー。」

靴を脱いでいるとキョトンとしたお母さんが玄関へやって来た。

「いつもより早いじゃない。どうかした?」

「別にー。」

階段を上がりながら適当に答えた。
部屋に入ろうとすると、隣のドアが開いた。

「おぅ碧!お帰り。」

さっきのお兄さんと同い年の武(たけ)兄ちゃん。武兄ちゃんは次男だ。

⏰:07/11/08 12:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#317 [向日葵]
私の兄弟は8つ上でシェフをやってる啓(けい)兄ちゃん。フリーターでバイトばかりしてる武兄ちゃん。4つ下で小学生の柴(しば)。見事に男に囲まれた私だ。

私は武兄ちゃんを見てため息をついた。

「武兄ちゃんはさぁ、夢とかないのー?」

「ん?夢?んー……。特に!」

……。聞いた私が馬鹿だったか。武兄ちゃんは私でもびっくりする様な楽天家だ。柴がこうならない事を祈る。

「なんで?」

「別に。聞いてみただけだよ。」

⏰:07/11/08 12:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#318 [向日葵]
それだけ言って部屋に入った。
「あ゙ー。」と言いながらベッドにダイブ。

あ、そういえば私今日彼氏と別れたんだっけ?
さっきまであんなに腹が立って虚しかったのに、もうすっきりしてる。

それは、お兄さんの歌声聞いたからかな?

今でも耳に残るお兄さんの声。低すぎず高すぎない心地よい声。
かき鳴らすギターの響き方……。

また、聞きたいと……会いたいと、心から思った。

⏰:07/11/08 12:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#319 [向日葵]
―――――――――……

「碧――っ!」

「あぁ。肇(はじめ)。おはよう。」

肇は私の友人。
男の子みたいな名前だけどれっきとした女の子。

「ん?なんかすっきりした顔してるね。どうかした?」

「んー。別に?」

「え――何その曖昧な返事ー!」

歩いてると、前から元カレがやって来た。
耳打ちで肇が「旦那さんの登場だよー。」と言ったけど、私はその言葉を無視して元カレの横を通り過ぎた。

⏰:07/11/08 12:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#320 [向日葵]
その行動に驚いた肇はパタパタ後ろから追いかけてきて

「え?!何?どーしたのっ?」

と何故かパニクっていた。

「別れたの。昨日たまたま浮気が発覚したから。」

さらりと告げて教室に入った。
私があまりにあっさりしているので、情報を根掘り葉掘り聞きたい肇は物足りなくて私に詰め寄った。

「どーして昨日連絡くれなかったのよー!言ってくれたら行ったのにぃっ!」

⏰:07/11/08 12:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#321 [向日葵]
「別に悲しくもなかったし。見なかった?アイツのほっぺ。腫れてたでしょ?あれですっきりしたの。」

まぁそれだけじゃないけど。

肇はなんとかして私を慰めたいのか、いきなり抱きついてきた。

「もー!心配するでしょ!」

「あーハイハイ。ゴメンネ。」

今日の帰り、あそこに行けば、またお兄さんの歌聞けるかな……?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「碧!かーえろっ!」

⏰:07/11/08 12:25 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#322 [向日葵]
「あ、ゴメン。私行きたいトコ……そうだ。肇も一緒に行かない?」

肇は何が何だか分からないようだったけど「ウン」と言って一緒についてきた。

「あ、碧っ。」

教室を出るとすぐに呼び止められた。
元カレ。もとい、浮気男の長田。

「あ、のさ!昨日は……ゴメン。」

「もういいから。昨日の彼女とお幸せに。」

今頃何言っても遅い。ってかアンタに未練なんかない。

⏰:07/11/08 12:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#323 [向日葵]
私は肇の手を引っ張って走って行った。
後ろで長田が何回も私を呼んだけど、私はもう長田なんて眼中になかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ん?駅前に来てなんかするの?」

人が行き交うのを避けながらキョロキョロしてる私に肇が聞いた。

「違うの?確かこの辺だったんだけどなぁ……。」

人混みがさっと切れた時、その人はいた。

「あ!」

私はまた肇の手を引いて、あのお兄さんがいる場所に行った。

⏰:07/11/08 12:32 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#324 [向日葵]
――――――――――――

キリます(。・ω・。)

>>283に感想板がありますんで良ければ感想お願いします

⏰:07/11/08 12:34 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#325 [向日葵]
お兄さんは丁度準備してる所で、ギターを肩にかけていた。

「お兄さん!」

私の声に気づいたお兄さんは準備する手を止めて私の方を向いた。

「こんにちはっ。私のこと覚えます?」

「……誰?」

……昨日の今日なのにもう忘れるだなんて、早いよお兄さん……。

シュンとうなだれていると、クククと声が聞こえた。

「嘘嘘っ。覚えるから。碧ちゃん。」

⏰:07/11/10 16:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#326 [向日葵]
私の顔が笑っていくのを自覚した。

良かった。覚えてもらって。

「今日はお友達と一緒?」

「うん!肇って言うの!」

お兄さんは肇に向かってにっこりと笑うと、ギターの調子を確かめ為か小さく音を鳴らした。

「ウン。今日もいい音。」

まるでギターが恋人かのようにお兄さんは優しく柔らかく笑った。

⏰:07/11/10 16:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#327 [向日葵]
お兄さんの恋人がうらやましい……。
こんな素敵な歌を毎日側で聞いていられるんだもん。

「では初めてのお客さんの肇ちゃん。なんかリクエストありますか?」

お兄さんはにっこり笑って肇に聞いた。
肇はリクエストが出来る嬉しさに目を輝かせていた。

「私、恋の歌がいいな!」

「かしこまりました。」

ギターを鳴らし始めるお兄さん。
恋の歌はバラードのようで、優しく、そしてどこか切ないメロディーだった。

⏰:07/11/10 16:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#328 [向日葵]
<恋を失ってしまった僕を切なげに空が包みこむ。>

そんな歌詞が、なんとなく耳に残った。

お兄さんが作っただろう歌詞は、どこか現実味に溢れていて、もしかしたら実体験をもとにしてるのかなと聞きながら思った。

最初は昨日の私みたいにお兄さんの声に驚いていた肇だったけど、やがてその声、その歌詞に感動してウルウルしていた。

また昨日みたいに、歩いていた人達の足が止まっていく……。

皆、お兄さんの声の引力に惹き付けられて……。

⏰:07/11/10 16:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#329 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「――……り。碧ったら!」

私はハッとした。
いつの間にかぼーっとつっ立っていた。
目の前には、様子がおかしい私を心配そうに見ている肇と、そんな私が面白いのかにこにこ笑いながらギターを片付けるお兄さん。

「あ……ゴメン……。」

「そんなに俺の歌良かった?」

「そ!そんなんじゃないっ!!」

図星だったので思わず否定してしまった。
本当はそうだった。
時間を忘れてしまうようなお兄さんの歌……。

⏰:07/11/10 16:53 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#330 [向日葵]
でもお兄さんはそんな失礼な態度をとった私ににこにこ笑うだけだった。

「またおいで。」

そう言って頭をグシャグシャ撫でてくれた。

それからと言うもの、「また」ではなく時間の許す限り私は毎日毎日お兄さんに会いに行った。

そんな私をウザがりもせず、お兄さんはやっぱり笑って「なんかリクエストある?」とギターを一鳴らしするのだ。

私はいつも「なんでも。」と言う。

だって聞いてみたいから。

⏰:07/11/10 16:58 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#331 [向日葵]
優しい曲のお兄さんの歌。
激しく、だけど楽しそうなお兄さんの歌。
寂しく切ないお兄さんの歌。

全て歌い終わった後で、私はやっぱりぼんやりしてしまう。

「クスクス。大丈夫?」

「だ、大丈夫だよっ!」

いつも乱暴に言ってしまう。カワイイ女の子ならここで一言感想を言うんだろうなぁ。

「ハハハ。じゃあ、また明日ね。」

いつからか、お兄さんとの別れの挨拶は「また」ではなく、「明日」になった。

⏰:07/11/10 17:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#332 [向日葵]
――――――――……

「っと言う訳で、碧はあのお兄さんに惚れちゃったって訳か。」

ブー!!

飲んでいたフルーツオーレを吹き出してしまった。

「あら何?違うかった?」

「違っ……。」

[碧ちゃん。]

お兄さんが私を呼ぶ声が頭の中で響く。

「ち、ち、……違わ……ない……。」

⏰:07/11/10 17:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#333 [向日葵]
私の答えに満足したのか、肇はにーっこり笑った。

「じゃあ早いとこ告白しなきゃね。」

「ムリムリムリムリ!!」

「あのねぇ。あれだけ素敵な声の持ち主だよ?早くしないと誰かに取られちゃうんだからっ!」

誰かに……。

それは……嫌かも。

「分かったら、今日にでもちゃんと言ってきな!これ使命ね!」

使命って……。そんなヒーローじゃないんだから。

⏰:07/11/10 17:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#334 [向日葵]
でも……。

「ウン。分かった……っ。」

―――――――――……

とは言ったものの。

いつもの様に私は駅前にいた。
このまま真っ直ぐいけば、多分お兄さんがいつもの場所にいるんだろうな。
って場所で私は立ち止まったままだった。

告白だなんて、人生初だ。
前は告白された側だったし。

少し人の波が切れた時、お兄さんはいた。

⏰:07/11/10 17:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#335 [向日葵]
……っ。よし!!

「お兄」

「碧!」

名前を呼ばれたと同時に私は後ろに腕を引かれた。

誰かと思って振り向くと、そこには長田がいた。

「何?」

自分の声が冷たいのが分かる。
目も絶対据わってる。

「ゴメン!気づかなくて!お前がそんなに俺の事思ってたなんて!」

え?どうやったら放しがそんな方向に行くの……?

訳が分からず私はポカンとしてしまった。

⏰:07/11/10 17:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#336 [向日葵]
「お前、俺の気を引く為にワザと冷たくしてたんだろ?今日だって、俺がいるの知ってて告白するとか言ってたんだよな?」

……。……はぁ?

何を勘違いしてんだこの馬鹿男。
浮気した分際でよくそんな思考が働くよな。

「そんな気一切ないから。離してくんない?」

「んな照れんなってーっ!」

長田は嬉しそうに私に抱きついた。
私は逆に殴りたくて仕方なかったけど、腕ごと抱き締められてるせいで自慢のパンチが打てない。

⏰:07/11/10 17:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#337 [向日葵]
「馬鹿っ……ちょ、離して!」

こんなトコ、お兄さんに見られたら……っ!

そう思い、お兄さんの方に向くと。

「……っ!!」

抱き合ってる私達を不謹慎だと見る人達に混じって、驚いた顔をしているお兄さんがいた。

違う!違うのお兄さん!!
私こんな奴、好きじゃないよ……っ!

「これからは大切にするからな。」

と強制的に長田の方に顔を向けられ、その瞬間長田の唇が重なった。

⏰:07/11/10 17:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#338 [向日葵]
「っ!!」

長田がキスに夢中になって、腕の力が少し緩るまった時、思いきり押し退けてグーをお見舞いした。

急な事にしりもちをつく長田。

反撃してやりたいのに、涙が先に出てしまった。

「最低……っ!!」

お兄さんの前で、よくも……よくも……っ!

ゴォォォン!!

「へ?」

えらい音にびっくりして、悔しさでギュッと閉じた目を開けると、お兄さんがギターで長田の頭を殴っていた。

⏰:07/11/10 17:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#339 [向日葵]
「いけないなぁ。女の子を泣かしちゃあ。しかも俺の常連さんじゃない。」

いつもみたいに、にこにこ笑ってるお兄さん。
でも目が笑ってない。どうやら怒ってるみたいだ。

「お兄さ……ギター……!」

お兄さんは私の方を向くと「へーき。」と言う風に頭をポンポンとしてくれた。

「お前……なんだよ!」

長田がキレて、お兄さんに掴みかかった。
私が止めに入ろうとすると、少し手を上げてお兄さんが私を止めた。

⏰:07/11/10 17:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#340 [向日葵]
――――――――――――

キリます

>>283に感想板がありますんで良ければお願いします

⏰:07/11/10 17:42 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#341 [向日葵]
お兄さんは相変わらず笑っている。
そして掴まれた長田の手を力強く掴んだ。

「ただのしがないストリートミュージシャンだよ。でもね、そんな俺でもこんな事は許せないんでね……っ。」

最後の言葉らへんで手をギュウッと握ると、長田は「痛い痛い痛い!」と騒いだ。

「さ、行こうか碧ちゃん。」

「え、あ、え、ハイ……。」

⏰:07/11/10 23:43 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#342 [向日葵]
片手にはギター。もう片方は長田の手を投げるように捨てて優しく私の手を包んだ。

「オイ碧!」

私は立ち止まって振り向いた。

「だから言ったでしょ?彼女と幸せにって。」

私はそれでまた歩き出した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ゴメンネ。早く止めてあげれば良かった。」

公園のベンチに座って、お兄さんがジュースを買ってくれたので、それを一緒に飲んでた。

⏰:07/11/10 23:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#343 [向日葵]
「別に大丈夫。あんなの回数にはいれてやらんから。……それより、私の方がゴメン……。」

私は傷ついたギターを見た。弾けない事はないだろうけど、もし変な音しか出なくなってたらどうしよう……。

そんな私を見て、お兄さんは頭を撫でる。

「大丈夫。ギターが壊れても俺には」

と言って喉を指差した。

「があるからね。」

優しい言葉をくれるお兄さんにホッとして、私は微笑んだ。

⏰:07/11/10 23:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#344 [向日葵]
「私、お兄さんの声好きだよ!歌も!」

お兄さんはパチパチ瞬きしてから何か残念そうにハァーとため息をついた。

「好きなのはそれだけ?」

「へ?」

言ってる意味が数秒後に分かって、首から赤くなっていく。

「ミュージシャン向いてるって言ってくれたのは碧ちゃんだけだよ。他は皆駄目の一言。だから俺、嬉しかったよ。」

と言ってお兄さんはギターを持った。
ジャーンと鳴らすと、なんとか綺麗な音を奏でていた。

⏰:07/11/10 23:57 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#345 [向日葵]
「今度新しい歌作りたいんだ。碧ちゃんのリクエストで。何がいい?」

お兄さんは相変わらずにこにこして私の答えを待っている。
私もつられて笑顔になった。

「じゃあね、私の為に作った歌がいいな。」

貴方の歌にのせた想いを受け止めた後、今度は私が貴方に想いを告げるよ。

声の限りに、大好きと……。

⏰:07/11/11 00:01 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#346 [向日葵]
ビー玉9*Sixteen〜相変わらずの日々〜*












あぁ……だから夏は嫌いなんだ。
暑いし……なんてったって暑いし……。それこそデブには最大の敵だ。

「ねぇ寒くない?」

「ウン。冷房少し消しちゃおっかぁ。」

⏰:07/11/11 00:08 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#347 [向日葵]
おのれ小娘どもー!!少しはデブの気持ちを知れ!ってか寒くなるの大体分かってんだから何か羽織る的なものを持ってこい!

と、冒頭からの暴言失礼。

私は五十嵐 千広。夏が大嫌いなご存知デブスです。

只今授業中。
はっきり言って冷房無しの授業と言うのは私にとって拷問に近いものなのですが……。
近頃の娘さん方は細いせいかやたら寒がりだ。

こちら側代表として言わせてもらおう。

デブの気持ちも分かれ!

⏰:07/11/11 00:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#348 [向日葵]
そして拷問のような時間が終わり、外の蒸し暑ーい空気を肌で感じながら私は帰るのだった。

さ……さらさらシート……。

この時期に、タオルとさらさらシートほどかかせないものはない。

人の目がないか周りを見ながらさっと出してさっと拭いて空き缶のゴミ箱に入れた。

はぁ。もうすぐ夏休みか……。
高校の友達と遊びたいなぁ。漫画も山ほど買いたいし。ちょっとワクワクしてきたかも……。

⏰:07/11/11 00:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#349 [向日葵]
さて、帰り支度をするか。

携帯にイヤホンのコード装着。右耳よーし。左耳よーし。携帯の音楽モードよー

「ちっひろーぃ!」

ガバッ!

「?!」

「今帰り?ぐっうぜーん!俺も!だから一緒に帰ろうよ!」

「さ、桜井君……っ。」

この人は桜井君。
なんだかんだあって出会ったのは丁度1ヶ月前くらい。

⏰:07/11/11 00:23 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#350 [向日葵]
そしてなんと……この今私に抱きついているかっこいい方は……あろう事か私が好きとかおっしゃいました!!

[覚悟しとけよ。]

と言われたのは2週間前ほどでしたか……。
私は桜井君の想いを素直に受け入れられず、拒否した所、私を惚れさすと言う宣言をしました。

そんな事をしなくても私は既に桜井君が好きなんですが……私は自分に自信がないせいで未だ彼に返事をしていません。

「あの……いい加減離れてくれませんか……。」

「まった他人行儀!同い年だっつってんのにぃ!」

⏰:07/11/11 00:27 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#351 [向日葵]
私は男の子と話すのが得意じゃない為、桜井君にはいつも敬語だった。

「はぁ……すいません……。」

「そんな事より千広。」

そんな事って貴方が言い出したんでしょうがよ。とツッコミをいれながら桜井君の話を聞いた。

「明後日の休み。水族館行かない?」

一瞬水族館と言う単語に反応した。
私は大の水族館好きだ。特にジンベエザメは最高にヤバイ……っ!
……でもそれって……つまり……。

⏰:07/11/11 00:32 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#352 [向日葵]
「2人じゃ……ないですよね?」

「2人に決まってんじゃん。デートしよっつってんのに。」

やっぱりか!
どうしよう私デートなんか19年生きてきて1度もしたことねぇよ!
妄想ではしてたけど……。

「他の方誘ったらどうですか……?1日私といても楽しくないですよ?」

こんな私が水族館に入ってはしゃいでたりしたら絶対桜井君は

引く。

⏰:07/11/11 00:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#353 [向日葵]
「やだね。俺は千広と行くって決めてんだから。割引チケットせっかく貰ったし、行こうよ。ね?!」

詰め寄られて、桜井君の顔が近くにある。
頼むから近づかないで欲しい。汗が……変な汗が出てくる。

「………………はい。」

あーぁ。言っちゃったよ。とうとう言っちゃったよ……。

後悔してる私とは裏腹に、桜井君はガッツポーズを作って「よっしゃぁ!」と言っていた。

そこまで喜ばれてしまうと……嫌な顔出来ないじゃないか……。

⏰:07/11/11 00:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#354 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「水族館ってどこのですか?」

電車に揺られながら私は桜井君に聞いた。
相変わらず目は見れないけどなんとかして顔をチラリと見る。

「逆方面だよ。西の方。」

「フーン。」

「ってかさ。」

と言って片方だけ付けてたイヤホンをコードを引っ張られて抜かれた。

「俺といんのに音楽聞くの止めてくんない?そんなに俺と話すの嫌?」

⏰:07/11/11 00:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#355 [向日葵]
桜井君の目が私を射抜く。
逃げられないかのように私は桜井君をじっと見つめたままになってしまった。

だけど身がもたない私は必死に目から逃れて少しうつ向いた。

「仕方ないじゃないですか……。桜井君と喋れる様になっても、恐いは恐いんですから……。」

桜井君と話す時は音楽は言わば精神安定剤。
気持ちを落ち着かせてくれる為に聞いてる。

イヤホンをまたつけようとしたら、その手を掴んで桜井君に止められた。

――ドキ……。

⏰:07/11/11 00:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#356 [向日葵]
私のまるっこい饅頭みたいな手に、骨張った桜井君の手が重なる。

「大丈夫だから……。」

うわ……どうしよ……憧れだった甘い雰囲気が信じられないくらい私の周りに漂ってる。
心臓も……すごいうるさい……っ。

「千広……。」

ビクッとした。
一際低い声に、ただただ私は下を見つめるしかなかった。

「この前の、返事」

「○○駅〜○○駅です。」

⏰:07/11/11 00:54 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#357 [向日葵]
2人の手が、アナウンスにびっくりしてパッと離れた。
桜井君を見ると、少し赤くなっていて、顔を背けた。

プシュー

ドアが開くと共に人が入れ替わる。
しばらくして、またドアは閉まった。

「……桜井……君?」

前から声がした。

見てみると、栗色のフワフワした髪の毛をした可愛らしい女の子が桜井君を見つめていた。

「…あ!神崎?」

⏰:07/11/11 00:58 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#358 [向日葵]
名前を呼ばれた女の子はパァッと笑うと、こちらに近寄ってきた。

「久しぶり!元気?」

「ウン。神崎もこれくらいの時間に帰ってるんだ。」

「ウン。そうなの。」

すると女の子は私の方を向いた。
パチッと音がしたかのようにバッチリ目が合った。
女の子はにっこり笑った。

「桜井君の彼女?」

どこをどう見てそういうかねお嬢さんよ……。

⏰:07/11/11 01:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#359 [向日葵]
「ウン。そうだ」

「違います。ただの友人Aです。」

アンタも何肯定しようてしてんだよ。

女の子はクスクス笑うと私に向き直った。

「私、神崎 嘉穂(かんざき なほ)。桜井君とは高校の時、同じクラスだったの。」

「あ、ども。五十嵐千広です。桜井君とは美術関係で仲良くさせてもらってます。」

何か不満でもあるのか桜井君は何か文句を言おうとしたけど、私が一睨みすると口を閉じた。

⏰:07/11/11 01:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#360 [向日葵]
「そっか。仲良くしてね千広ちゃん。」

なんと可愛らしい人なんだろうかね……。
そうかー桜井君とクラスメイトだったのかー。
この子モテただろうなぁ……うらやましい……。

「桜井君。同窓会の手紙来た?」

「あぁ。でも俺行かないから。」

なんか……私邪魔みたいだな……。

少し胸が痛むのを感じながら、私は両耳にイヤホンをはめた。
そしてなるべく2人の会話を聞けないように音量を上げる。

⏰:07/11/11 01:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#361 [向日葵]
音楽を聞き始めて少しした時、チロッと2人を見た。

旧友と会った2人は、思い出話に花を咲かせているのか、楽しそうに笑って話続けていた。

ホラね……。やっぱりそうだよ。
桜井君は、私と一緒にいて楽しい訳がない。
きっと「覚悟しろ」なんて言ってしまったせいで引っ込み出来ないようになったんだ。

本当は私の事なんて、とうに冷めてるだろうに……。

そう思うと、胸が痛くなった。

⏰:07/11/11 01:14 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#362 [向日葵]
やっと駅に着いた。
もう1度2人を見る。まだ楽しそうに話している。

じゃあさようならーっと……。

心の中で挨拶して、私は電車を出た。

「千広っ!」

イヤホンの隙間から、私を呼ぶ声が聞こえた。
でもその声に笑顔で対応出来る程大人ではない私は、聞こえないフリをしてその場を去った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今日はもちろん長風呂の日だ。
じゃなきゃ家族に八つ当たりしてしまいそうだ。

⏰:07/11/11 01:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#363 [向日葵]
あぁ……自分が嫌いだ……。

どうして私は、痩せてないんだろう……可愛くないんだろう……。
人生はせち辛い……。

「ダメだ……暑い……。」

おのれ夏……。私からリラックスタイムさえも奪う気かこの野郎。

お風呂を上がって部屋に行くと天国だ。
クーラー最高!

などと思ってると、携帯のバイブが鳴り出した。

「あ、暁子ちゃんだ。」

⏰:07/11/11 01:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#364 [向日葵]
暁子ちゃんは大学の友達で、一番仲の良い子だ。

<チロルこんばんわー(。・ω・。)ニュースだよー☆明日の絵画の時間王子様の学校また見に来るってー!>

いらんっ!
そんなニュースいらないから!
ってかあの大学いくら交流あるからって来すぎだから!

<へー……それはまた迷惑な話だ……。来なくていいのに(-”-)>

送信。

私帰り無視しちゃったしなぁ。絶対明日文句言われるんだ……。あぁ……嫌だ。言い訳考えとこう……。

⏰:07/11/11 01:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#365 [向日葵]
――――――……

「もーすぐ来るねっ。」

耳栓、もといイヤホンをつけようとすり私に暁子ちゃんがウフフと笑いながら言った。

「ねー。」

それだけ返すと暁子ちゃんは「もう!」と言った。

「なんでチロルはそうドライなのよー!好きなんでしょ?!」

好きでもなぁ。
昨日のあの子を見てしまったら、余計に返事なんて出来なくなっちゃったよ。
どの口が好きと囁くかっつーの……。

⏰:07/11/11 01:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#366 [向日葵]
――――――――――――

今日はここまでにします

>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/11/11 01:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#367 [向日葵]
今日はラッキーな事に油絵で何を描くかのデザインを考える為色々な場所に出歩くのがありだった。

良かったと言わんばかりに私は教室から離れた所に行った。

私は景色を描きたかったので携帯で写メを何枚か撮った後、それをイメージした奴を何枚かスケッチブックに描いていた。

しかし……暑い……。

さっきまでクーラーの効いてるとこにいたせいか余計暑い……。
汗が額に浮かぶ。

夏の間だけでも太陽なんか滅びてしまえー。

⏰:07/11/12 01:10 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#368 [向日葵]
ブーブーとバイブが鳴った。

「ん?」

<暁子ちゃん:チロルどこ?!王子様がチロル探してるよ!>

絶対に行くまい!
行きたくもないし。
メール気付かなかったことにしちゃえ……。

桜井君の学校が去ってくれるまで、ここで待機するしかないっかぁー……。

私がいるのは外にあるベンチ。
教室からは離れてるから見つかる事はないだろう。
桜井君の学校は多分裏門から帰るだろうし……。

⏰:07/11/12 01:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#369 [向日葵]
それにしても……昨日の人可愛かったなぁ……。神崎さんだっけ。

景色を眺めながらイヤホンから音楽に酔いしれる。

ずーっとこんな心穏やかだったらいいのに。

「しんどい……。」

スポッ

「?!」

「何がしんどいの?」

振り向けば抜いた片方のイヤホンを持って、桜井君がそこにはいた。

「返してっ。」

⏰:07/11/12 01:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#370 [向日葵]
イヤホンを奪い取ってから私は教室に向かう為立ち上がり教室に向かった。

階段を登ってる途中、服を引っ張られた。

「っ!何……っ?!」

片方のイヤホンを外して私は桜井君を睨んだ。

「何怒ってんの。」

「暑いからイライラしてるだけだよ。」

「じゃあ昨日無視したのもそのせい?」

私はぎくっとした。
前を向いて、顔から悟られないようにする。

⏰:07/11/12 01:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#371 [向日葵]
「無視?した覚えないけど?」

「帰りの電車。俺千広っ!って呼んだんだぞ?」

知ってる。
でも返事なんてしたくなかったんだもん。

「音楽聞いてるんだから聞こえないよ。」

私はまた足を進めた。
すると桜井君が駆け上がって来て私の前に立ち塞がった。

「俺ショックだったんだからな。いい加減少しは俺の事意識してよ。」

意識なんかしっぱなしに決まってるじゃない。
だけど、それとこれとは別なんだから……。

⏰:07/11/12 01:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#372 [向日葵]
大体意識しろって偉そうに言うけど、私なんかほったらかしで自分は楽しそうに可愛い神崎さんと喋ってたじゃない。
そんなの……矛盾してるよ。

「……水族館。やっぱり行かないから。」

「は?!なんで。」

「私じゃなく昨日の子誘えばいいよ。きっとお似合いだから。」

私は桜井君の隣を通り過ぎようとした。

「ちょっとお前こっちこい……っ。」

力一杯汗ばんでいるだろう私の太い手首を桜井君は掴んで私を引っ張っていく。

⏰:07/11/12 01:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#373 [向日葵]
どこかの空き教室だ。
いつの間にチェックしてたんだか。

入れられると戸をバタン!と閉めて私を睨む。

痴漢は全然恐くなかったのに、何故かこう言う状況に恐怖を抱く私。
我ながら謎だな自分。

「昨日千広をほったらかしにした事怒ってんの?」

なんで分かるかなぁ……。
でもそんな事言ったら気持ちモロバレじゃんね?

「ないないないない。私別に彼女じゃないのになんでそんなヤキモチみたいなのを。」

⏰:07/11/12 01:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#374 [向日葵]
私は窓際までさりげなーく移動して、戸付近にいる桜井君と距離をとった。

ヘルプミー!!と叫びたいとこだけど……。

「なんで……俺ばっかかよ……。」

ヘナヘナ……と弱々しくしゃがみこむ桜井君。

え?え?何事?

「頼むからさ……行こうよ水族館……。俺男として千広に早く見てもらいてぇーもん……。」

――ドキッ…

それは……反則ではなかろうか……。

⏰:07/11/12 01:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#375 [向日葵]
ダメだ……。思考が鈍る……。
そんな男前発言されてしまっては……弱いよ。

「ぅ……嘘だよ。ちょっと言ってみただけだから。明日、何時待ち合わせなの?」

「え?いいのっ?!」

桜井君は嬉しそうに笑った。その笑顔にまた心臓がうるさくなる。

「じゃ、明日10時に水族館がある駅に!」

「わ……分かった……。」

そんなにはしゃがれると、反応に困ってしまう……。

⏰:07/11/12 01:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#376 [向日葵]
―――――――……

OKしたのはいいものの……

「何着ようか……。」

可愛い服が無い訳じゃないけど……いかにもデートします!みたいにめかしこんでも馬鹿みたいじゃなかろうか……。

とりあえずTシャツにジーパン履いて、アクセサリーと髪型でそれらしくみせようかね……。

「メイク……どうしよう。」

学校でもすっぴんだ。
マスカラやアイシャドウをがっつり付けたりなんかしてない。

⏰:07/11/12 01:47 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#377 [向日葵]
むしろそんな事してしまったら化物になってしまう可能性大……だけど。

「ファンデーションとグロスくらいはつけるか……。」

どうせ汗で落ちるだろうけどその時はその時だ……。

「よし!財布OK!携帯充電OK!持っていくカバンOK!服OK!目覚ましOK!寝るべ!」

電気を消して、バフッ!と布団に倒れこむ。

実を言うと、明日ものすごく楽しみだったりしている。もしかしたら手つないじゃったりするのかな?

⏰:07/11/12 01:50 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#378 [向日葵]
もし……いい雰囲気になったら、思い切って言ってみよっかな……。

桜井君が好きって……。

――――――……

自分ながら浮足だってるのは分かってる。
ガラにもなく電車の窓で髪型チェックしたり服装正したり……。

でもドキドキして、ちょっとワクワクして……。
始め会った時どんな会話すればいいのかな……。

今日は音楽類は携帯以外持って来なかった。
行きはともかく、帰りはもしかしたら違う雰囲気が私達を包んでるかもしれないから……ってなんってなぁ―――!!

⏰:07/11/12 01:55 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#379 [向日葵]
アハハハハハ……ハァーァ……。
妄想癖治んないかなぁ……。

ちょっと自分が惨めになりつつ、駅に着いたので改札で待つ事にした。
桜井君はまだらしい。

ハァー……。桜井君今日はどんな格好してくるんだろうなー……。

「千広!」

ドキ―――ィ!!

「おっ、おはよっ……う……?」

「こんにちは。」

桜井君の横には、にっこり笑った神崎さんがいた。

⏰:07/11/12 01:59 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#380 [向日葵]
「神崎も一緒に行きたいって聞かなくて……千広……いい?」

はぁ……?
何な訳?あれだけ私と行きたいって言ってたくせに……。
もう……どうにでもなれ……。

「全然いいよ!2人なんか味気なかったの!神崎さんよろしくね!」

「良かったー。ありがとう千広ちゃんっ。」

我ながらなんて八方美人面……。
ここでヤキモチ妬いて、可愛らしく泣きでもすればいいんだろうけどなぁ……。

⏰:07/11/12 02:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#381 [向日葵]
違うか……私がしても、ウザイだけか……。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ねー!見て千広ちゃん!可愛いねー!」

貴方の方が可愛いですよー。って言いたくなるほど可愛い神崎さん。

「ペンギンだね。可愛い。……ごめんトイレ行くね。」

私はそこから逃げた。
休日のわりに、水族館は空いてたので、すんなりトイレまで行けた。

「あー……。痛い……胸、痛い……。」

⏰:07/11/12 02:05 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#382 [向日葵]
落ち着け……余計な波風立ててはいけない……。
今日私が我慢する事で、楽しかったね、って神崎さんと桜井君の2人にとって思い出になるんだから!

私はまたペンギンのところへ向かった。

「あのカップル可愛いねー。」

「あ、ホントだー。」

誰かの会話の視線を追った。そこには……桜井君達2人の姿。

「あ、千広ちゃん!おかえり!」

少し遠くにいる私を、神崎さんが見つけた。

⏰:07/11/12 02:09 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#383 [向日葵]
私は気まずいながら、そこへ足を運ぶ。

「お、お待たせ……。次行こうか……。」

「うん!」

「次は、アフリカゾーンだってよ。行こうぜ。」

楽しそうな2人を、どこか客観的に見てる自分がいた。

「え?あの子も?1対2?」

「ぷっ……超邪魔じゃんあの子。」

…………っ!!
大丈夫……いつもの事じゃない。こんな事……。

⏰:07/11/12 02:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#384 [向日葵]
アフリカゾーンまで、私は拳を握って進んで行った。

着いてから3人別々に水槽を見ていた。

はぁー……おっきな魚っすなぁー。
こんなのが泳いでるんだ。世界のどこかで。

「デカイな。」

「!!びっくりしたな!いきなり来ないで下さい……。」

「あれ?また敬語になってる。昨日は普通だったのに。」

どーだっていいよ。そんな事……。

⏰:07/11/12 02:15 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#385 [向日葵]
「楽しい?」

んな事ある筈ないでしょうがお兄さん……。

「楽しい。水族館好きですから。」

あ、最後のいらなかった。

桜井君を見ると「そっか」と微笑んでいた。
水族館好きと言ったのが良かったらしい。
その笑顔を見て、ちょっと胸の痛みがおさまった……。

だけど……。

「あ、あの、止めて下さいっ……。」

⏰:07/11/12 02:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#386 [向日葵]
桜井君と顔を見合わせて「ん?」と言ってから振り向いた。
すると神崎さんが絡まれていた。

「いいじゃん1人っしょ?遊ぼうよ。」

「連れがちゃんといますから……っ!」

ありゃりゃりゃ……!大変!助けなきゃ!

「ちょっと!」

桜井君が叫んだ。

神崎さんの方に近づいていくと、2人の間に入って、絡んでいた奴を睨みつける。

⏰:07/11/12 02:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#387 [向日葵]
「コイツ、俺のですから。触らないでくれます?」

―――――ギィィンッ!!

……あいったー……。そりゃないよ桜井君。すっごく痛い……。
いくら、助ける術だとしても……それは……キツイ……。

2人は何だかいい雰囲気になっていた。
それは私が望んでいたもの。

そりゃ守りたくなるよね……。
クリクリして潤んだ瞳。長くて細い手足。華奢な体。正に守られる為に作られたような……。
それに比べて……。

⏰:07/11/12 02:25 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#388 [向日葵]
私は水槽を見た。
憐れにも、可愛くない自分がそこにはいた。

黒いだけの髪。パンパンなほっぺ。逆に守ってあげれそうな太い体……。

完敗だ……。
もしかしたら桜井君。今日は私にさよならを言う為に呼んだのかな?
神崎さんと付き合うからって……だから私を無理矢理誘ったのかな……。

「……ろ。千広っ。」

「え……。」

いつの間にか2人は目の前にいた。

あ、どうしよ……涙……出そう……。

⏰:07/11/12 02:30 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#389 [向日葵]
「ご、……ごめんなさい!実は急用があったの忘れてて、今から……帰らなくちゃ……っ。2人は、仲良く回ってくれて構わないから!じゃ、また!」

私は出口の方まで早歩きで行った。

「千広!」

やだ……っ。追いかけないで……。

人の間をぬって、私は出口へ向かう。
早く……っ早く出口……。
「待って千広!」

肩を掴まれた。
私は止まるしかなくなった。

⏰:07/11/12 02:33 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#390 [向日葵]
「どうしたの?何か変じゃない?」

「……ごめん。本当、用事があるから……。」

私は手を振りほどいてまた歩いて行った。

あぁ……馬鹿だ私。
何期待してたんだろう。
いつも期待して、裏切られる事分かってるじゃない……。
それなのに……。

馬鹿みたい……。

こんな時に、音楽が聞けないだなんて……。

水族館をやって出れた。
太陽が真上だ。

太陽なんか……太陽なんか……。

⏰:07/11/12 02:37 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#391 [向日葵]
眩しい太陽なんか……

「大っ嫌いだ……。」

私はいつまでも闇の存在だ。
それを改めてしらされた。

所詮デブスには恋なんて出来っこなかったんだ。
恋なんて、でしゃばった事、しちゃいけなかったんだ……。

「う……っうぅぅ……っ。」

消えたい……こんな私なんか……っ!


大嫌いだ…………っ!!

⏰:07/11/12 02:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#392 [向日葵]
――――――……

「チーロール!」

「お!おっはよーぅ!」

数日後。
失恋した私は意外にも元気だった。
色々あったモヤモヤが消えたせいかな……?

電車の時間を、ちょっとずらしたり、帰る時間の調整で、桜井君に会う事は、ここ何日か無かった。

「今日の帰り買い物行かない?」

「いいよ。私も漫画買いたいし!」

漫画を読んで、また妄想を膨らませながら夢に浸っておこう。
その方が……何倍も現実より楽だもの……。

⏰:07/11/12 02:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#393 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「暁子ちゃん。帰ろ!」

「ごめんチロル!一回寮に戻らなきゃいけないから校門で待ってて!」

「ウン。分かった。」

私は校門へ向かった。

漫画何買おうかなぁー。
あんまーいラブストーリー読みたいなぁ。って言ってもいつも甘いの買っちゃうんだけどね……。

「音楽聞きながら待つか!」

イヤホンをつけて、携帯をいじる。
音楽で、私の耳は塞がれた。

⏰:07/11/12 02:49 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#394 [向日葵]
と思った。

スポッ

「?もー!暁子ちゃんったら」

「誰が暁子ちゃんだよ。」

――!!
桜井君がいた。
音楽で自分の世界にいた私は、彼に全く気付かなかった。

「やっと会えたし……。何避けちゃってくれてるの?」

「……避けてなんかない。たまたまでしょ?しょっちゅう会ってる方がおかしいんですよ。」

⏰:07/11/12 02:52 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#395 [向日葵]
「イヤホン取れよ!!」

ビッ!!

携帯から何から、音楽を聞いてた一式を取られてしまった。

「どーして何も言わせてくれないの?!俺千広に言いたい事一杯あるんだけど……っ!」

私には無い。
失恋は決定されたんだ。
大方諦めるとか言いたいんでしょ?

「悪いけど先約がありますから……失礼します……。」

ガシッ!

「!」

腕を掴まれた。
それも、今まで掴まれた中で、一番強く……。

⏰:07/11/12 02:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#396 [向日葵]
「今度は逃がさねぇから。」

「舐めないで!」

力に自信があった私は、振りほどいて暁子ちゃんの寮がある方まで走った。

「私は話す事なんてありませんから!」

「俺はあるんだよ!」

と言って後ろから凄いスピードで追いかけてきた。
すると前方に暁子ちゃん発見。

「あ、チロル。お待たせー。」

「暁子ちゃん!早く行こ!漫画早く買いたいしっ!」

⏰:07/11/12 02:59 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#397 [向日葵]
「あ、千広の友達だ。」

え……もう後ろにいるの……?

そろーっと振り返ると、そこには走った筈なのに、呼吸が全然乱れてない余裕そうな桜井君がいた。

ば……化物……?

「あー貴方、チロルと仲良しのー!」

「ゴメンネ。今日用事があったみたいだけど千広貸してもらえる?」

「ノープログレム!」

いやプログレムあるから!!私が!

⏰:07/11/12 03:02 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#398 [向日葵]
「ありがとう。千広、行こうか。」

爽やかな表向き笑顔とは裏腹に、有無を言わせぬオーラに私は成す術なく連れて行かれる。

暁子ちゃんは呑気に口パクで私に「頑張って!」と言っとる。

暁子ちゃんよ……私に何を頑張れと言うか……。

私は……頑張る事をとうに諦めた人間なんだよ……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「さぁー。まず何から話そうか。」

どこだここ……。

なんか河原みたいなとこに連れてこられた私、

⏰:07/11/12 03:06 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#399 [向日葵]
私は桜井君と少し距離を置いて座った。

失恋の痛みならもうとっくに乗り越えた。
もうこの際ヤケだ。何でも来やがれ!!

「お前神崎どう思う?」

「……っ。可愛くていい子だと思う。」

ホラね。やっぱりだよ。
やっぱり私が好きじゃなくなってたんだ。

「そっか……。じゃあ神崎と付き合ってみるか。」

何が言いたいんだろう……。私を痛めつけたいのかな。でも残念だったね。そっち系の痛みには結構免疫ついてんだよ。

⏰:07/11/12 03:11 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#400 [向日葵]
――――――――――――

今日はここまでにします

>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/11/12 03:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#401 [向日葵]
「そっか。あ、もしかして私に応援しろって言いたいの?もちろん応援するよ。だからさ、私にかまってないで、早く行かなきゃ。」

桜井君は黙ったまま流れている川を見つめていた。
私の頭にハテナが何個も浮かぶ。

一体どうしたんだろうか……?

「あぁぁ――――っ!!」

立ち上がったと思ったら、いきなり桜井君は叫びだした。
そこらを通っていた人は何事?と私達をじろじろ見ていく。

⏰:07/11/12 09:56 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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