○ビー玉ラバーズ○
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#630 [向日葵]
『あーハイハイ。ちょっと待っててね。』

ガチャリと切られて、私はおばさんが来るまで待った。
周りを意味なく見渡したり……端から見たら挙動不審に見えちゃうかも……。

するとドアが開いた。

「あ……。」

中から出てきた誠は小さな声でそう呟いた。
私もてっきりおばさんが出て来ると思ってたから、誠にびっくりした。

「や、やほ……。あ、これ、ママから。」

「ん。サンキュ……。」

⏰:07/12/26 23:13 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#631 [向日葵]
会話が止まってシーンと言う音が聞こえた。

内心顔に汗がダッラダラ出ている私は、仲直りのつもりで来たくせに沈黙に耐えれず今にも足が回れ右をしそうだった。

「……ゴメン。」

「え?」

また呟くように誠が言った。でも今回はなんとか私の耳に届く音量だった。

「いきなり怒鳴り散らして……。嫌な思いさせた。」

あまりに素直な誠に静かに微笑んで、私は頭を撫でた。

⏰:07/12/26 23:17 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#632 [向日葵]
「気にしてないからいいよ。私も、誠が待ってくれてるのに遅くなってゴメンね。」

「……それで怒ってたんしゃない。」

頭を撫でていた手を誠は掴んだ。
改めて感じる誠の掌の大きさに私は一瞬ビクッとしてしまった。

「分かってんでしょ?俺の気持ち。俺は……他のヤツと仲良くして欲しくなかっただけ。……嫉妬してたんだよ……。」

真っ直ぐな誠の目……。
私の思考を真っ白にしてしまいそうだった。
でもそれと共に安心した。
誠はまだ私を想ってくれてた。

⏰:07/12/26 23:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#633 [向日葵]
「あ……ありがとう……。」

そう言うのが精一杯だった。
この雰囲気で告白するべきかを一瞬悩んだけど、やっぱり止めた。

『誠!お話するなら加寿ちゃんに上がってもらいなさい!加寿ちゃんが冷えちゃうでしょっ。』

インターホンでそう告げるおばさんのおかげで、2人の間のちょっとした空気が元に戻った。

「あ、じゃあまた明日っ!おやすみ。」

「うんおやすみ。」

⏰:07/12/28 23:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#634 [向日葵]
家に入る前、もう1度誠を見ると、誠はまだ数メートル先から私を見つめたままだった。
そんな誠に手を振ると、誠はちゃんと振り返してくれた。
それに静かに微笑みながら私は家に入っていった。

「おかえりー。ご飯食べるー?」

「ウン。」

私はそのままリビングへと向かった。

今日は私が好きなグラタンだった。
ママのグラタンはルーから作るからとても美味しくて好き。

⏰:07/12/28 23:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#635 [向日葵]
「そーいえば……。」

お茶をいれながらママが台所から少し声をあげて私に話かける。

「誠君にチョコあげるの?」

「はいっ?!」

すっとんきょんな声を出してしまった。
普通、ママは相手が誰であろうとそんな事は聞かない人なのに。
よりによってなんで今回は……っ。

「だぁって。最近の加寿って誠君にぎこちないから。」

「だからって何で聞くの!」

「誠君がお婿さんになってくれたらママ嬉しいなぁぁって!」

⏰:07/12/28 23:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#636 [向日葵]
まったくママったら……。

ママは昔から誠大好き人間で、ずっとこんな事を言う。対する誠のママ(つまりおばさん)も私に「誠の嫁に来てね。」とよく言う。

昔はアハハと笑いとばして冗談半分に聞いていたけど、今はそんな笑いとばせる力はどこにも残っていなかった。

「もちろん渡すわよ。でもねママ。いくら身内で、しかもご近所付き合いの人にそれをあげるからって、娘のプライベートの中のプライベートまで根掘り葉掘り聞かないでちょうだいっ。」

⏰:07/12/28 23:31 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#637 [向日葵]
そんな無邪気で好奇心旺盛なところがママの良いところでもあるけれど……。
あんまり何もかもをベラベラ話して娘の嫁ぎ先が決まったと勘違いして小踊りされてはこちらが恥ずかしくて仕方ない。

「はぁい。分かりましたぁ。」

ママは降参のポーズをして、私の前にグラタンを置いた。
焦げめがついたチーズの匂いが食欲をそそる。
いつも通り、ママと楽しく美味しく食事を済ませた。
さっきの注意の効果か、ママがバレンタインについて聞いてくることはもうなかった。

⏰:07/12/28 23:36 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#638 [向日葵]
・・・・・・・・・・・・・・・・・

部屋に戻ってから、部屋にある小さなテーブルに乗っている小箱を見つめる。

これが正真正銘、誠へのチョコだ。

明日……明日で……私の気持ちを誠に伝える事が出来る……。

――――――……

「う……わぁぁぁ!」

遂に決戦(?)の日。
平静を保ちながら私はいつも通り誠と登校。

すると中等部から誠の叫び声。

⏰:07/12/28 23:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#639 [向日葵]
「せ、誠?!」

ただならぬ誠の様子にびっくりした私は、誠の元へと行った。

するとそこには、漫画のように、チョコが入っているだろう小包に誠が若干埋もれていた。

予想からして、下駄箱開けるといきなりチョコ。
まるで玄関あけたら2分でご飯。みたいな……。

「な……んだよこれ……。」

「チョ……チョコ……でしょうね。きっと……。」

そこで改めて、誠がモテていると言う現実に気付いた。

⏰:07/12/28 23:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#640 [向日葵]
――――――――――――――

ちょっと休憩します

>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/12/28 23:48 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#641 [向日葵]
「た……大量だね……。捨てるとか、そんな人の気持ちを踏みにじるような事しちゃ駄目だからね。」

それだけ言って、私は誠に背を向けた。

「ちょ、待って加寿姉!」

誠の声を、聞こえなかったフリして、私は教室へと向かった。

「あれ、いいの?」

階段を上ろうとした時、後ろから呼びかける声がした。

「あ……丹下君……。」

「あの子、君が好きなんでしょ?」

⏰:07/12/29 00:21 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#642 [向日葵]
丹下君の言葉に、赤面する反面、うつ向いて落ち込んだ。

あんなにモテる誠に、自分なんかがふさわしいんだろうか……。

丹下君と話ながら階段を上っている途中、ある物が目についた。

それは、昨日誠と知らない女の子が抱き合っていたあの用具室だった。

誠……昨日私にあぁは言ってくれたけど……本当は同年代の女の子に気持ちが傾いてるんじゃないだろうか……。

「はーしーだっ。朝から暗すぎ。テンション上げてこうぜー。なんてったって今日は魅惑のバレンタインなんだからさっ。」

⏰:07/12/29 00:26 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#643 [向日葵]
「うん……。」

「返事の割りに全然だな。…そうだ!テンション上げる方法教えてやるよ!」

「え?」

「ひたすらサムイダジャレ連発してみる!」

逆にテンションが下がりそうな丹下君の提案に、思わず吹き出してしまった。

「それ、逆効果だからっ!」

「お、笑ったな。その調子っ。」

丹下君の気遣いに、少しだけ胸のモヤモヤが晴れた気がした。
顔が自然とほころぶ。

⏰:07/12/29 00:29 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#644 [向日葵]
「ところで丹下君は――――。」

この時、私は知らなかった。

階段の下で、楽しそうに話している姿を、誠に見られてただなんて……。

――――――……

昼休み。

誠にあんな態度を取ってしまったので、正直会う事を避けたかった。
でもチョコを渡すには、それなりの雰囲気作りをしとかなきゃいけないと思っている私は、今回のチャンスを逃す訳にはいかなかった。

⏰:07/12/29 00:35 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#645 [向日葵]
だから自分から教室を出て、誠が来たらすぐに行ける様に準備していた。

でも、昨日に引き続き、誠が来るのが遅い。

もしかして……告白する人の列に追われてたりするのかな……。

と思ったら

「加寿姉。」

誠が向こうからやって来た。
でもなんだか様子がおかしい。暗くて、悲しいような怒っているようなそんな雰囲気をまとっていた。

「誠……どうかした?」

「……別に。早く行こう。次体育なんだ。」

⏰:07/12/29 00:40 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#646 [向日葵]
「う、うん……。」

やっぱり、変だ……。

今日は小さな空き教室に入って食べた。
でも、隔絶された部屋に、沈黙が重くのしかかる。

いつもならこんな空間で食べる時、まるで隠れ家を見つけたみたいに嬉しいのに……今回はそうもいかなかった。

黙々と、箸を進める誠。
それを垣間見る私。

何を話せばいいのか、話題がまったく見つからない。

と、そういえば、さっき誠が次体育だという事に気がつく。

⏰:07/12/29 00:44 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#647 [向日葵]
――――――――――――――

今日はここまでにします

>>283に感想板がありますんで、良ければ感想お願いします

⏰:07/12/29 00:45 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#648 [向日葵]
「次、体育なら早く食べなきゃね。」

「……。」

「今は何してるの?あ、この時期ならバレー?バレーと言えばね、昨日喋ってた丹下君」

ガンッ!!

喋っている最中、机を思いきり殴った誠は、私の話を中断さした。

その音に驚いた私は思わず持っていたお箸を手放し、床に落としてしまった。

虚しいほどに音を立てて、静けさをかき消す……。

「……結局……加寿姉は何も分かってない。」

⏰:08/01/06 00:12 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#649 [向日葵]
何……も……?

誠は私をギッと睨む。
それは嫉妬のようで、軽蔑のような思いをこめた目だった。

「俺の気持ち、分かったフリして振り回して、遊んでるんだろ?……だからあのアイツと楽しそうにしたり話題だしたりしてるんだろ?!」

――パンッ………

私はいつの間にか平手を誠にお見舞いしていた。
手が軽くジンジンする……。

「分かってないのはどっち……?誠だって、私を好きって言ったくせに女の子と抱き合ってたじゃないっ!!」

「?!……まさか、あれ見て……っ?」

「遊んでるのは誠じゃない!!せっかく私は……。」

⏰:08/01/06 00:18 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#650 [向日葵]
涙が出そうになって、急いでお弁当を片付けた私はそこを逃げ出した。

後ろで切羽詰まった誠の声が聞こえた気がしたけど、私は振り向く余裕すらなく、廊下を走って行った……。

―――――――……

昨日同様、また1人教室で座っていた私は、誠に渡す予定のチョコを眺めていた。

告白のつもりだったバレンタインデーはパー。
逆に喧嘩してしまった。

どうしてこうなっちゃうの……?

ガラガラガラ

⏰:08/01/06 00:22 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


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