この上なく…

～一の扉～
ｶﾁｬ…ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ…むっ、ふぬっ…えぃ、ﾊﾞﾘﾘﾘﾘﾝ…ﾋﾟﾀｯ…ｷﾞｰ…今ここに乾いた扉のような得体の知れない大いなる野望のような塊が音を立て開く…

ドーン！！

おれの名前は斗喪守（ともす）。

私の父はエジプトの王乃解射羅（のげいら）…

つまり次期エジプト王ということになる

ﾀｯﾀｯﾀｯ…今日は隣街に行く日だ。
やぁ幼なじみの亜背琉じゃないか！髪切ったのか？そう…亜背琉だ。

斗喪守；よっ、亜背琉！お前いつからエジプトへ渡米してきたんだ？

亜背琉；渡米してきたのは３０年前だよ…
斗喪守；おっ、お前… ３０年も連絡をよこさなかったのか？
（こっ、コイツ粋…）

３０年という長い年月を越えてきたはずの亜背琉の瞳は一点の曇りもなく、まるで秋の澄んだ晴天のようで斗喪守はもう少しで吸い込まれそうだった。
しかし…それは同時に斗喪守の心をこれでもかと掻き乱すのだった…。

斗喪守が亜背琉に心を掻き乱されているとき… 斗喪守の自宅では事件がおこった…
そう、乃解射羅が何者かに射殺されたのだ…
斗喪守はそれを知り悲しみに満ちた…

しかし悲しんではいられない… そう…。自動的に斗喪守がエジプトの王へなるということが決定したからだ…

斗喪守は自動的に国家権力のトップになった。
つまり必然的に王になったのだ。　　　　
その責務の重大さに堪えられるのか？

すると突然…斗喪守…斗喪守…何か小さな声が響き合っている。斗喪守が顔をあげると、そこには…彼がいた…

いや…よく見ると彼ではなく彼女のようだ。
斗喪守：あなたはアフガンの猛獣スミス婦人じゃないか！どうしてこんなところに…？

スミス婦人：乃解射羅の奴とうとう逝っちまったねぇ…
そう呟くスミス婦人の瞳には熱く狂おしい程の雫が貯まっているように斗喪守には感じられた…。