[ストリート×チルドレン]
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#601 [トイロ]
「まったくおまえはまだガキなんだから
それは"親友"という感情を、"恋"だと勘違いしてるだけだって」


アキコが目を丸くしている。


それでも‥−俺は続ける。

「だからおまえ、いーかげん成長し」

⏰:09/02/05 09:53 📱:PC 🆔:☆☆☆


#602 [トイロ]
−バシッ


左頬に突然の痛みがはしった。

すぐに把握できた。


アキコがうっすら涙を浮かべた目でにらみ、その手が赤みをおびていたから。

⏰:09/02/05 09:53 📱:PC 🆔:☆☆☆


#603 [トイロ]
「‥ぃて」

俺はアキコの真摯な瞳をみれなくて、視線をはずした。


走り去っていくアキコの足音だけがきこえていた。


静まり返った路地で独りつぶやいた。

⏰:09/02/05 09:54 📱:PC 🆔:☆☆☆


#604 [トイロ]
「ごめん、アキコ‥‥‥」


++++++++++

それからどう歩き回ったのかは覚えていない。


アキコの声がして無意識に走りだしていた。

⏰:09/02/05 09:54 📱:PC 🆔:☆☆☆


#605 [トイロ]
俺の視界に入ってきたのは、アキコと、フードをふかく被った長髪の男、腹長墨夫がいた。

そして−古傷のある左手が握る銃は、アキコの背に向けられていた。


「なっ、やめろっ!!!」

俺の手は無意識にあの部分へのびていた。

⏰:09/02/05 09:56 📱:PC 🆔:☆☆☆


#606 [トイロ]
警視庁さんから貰ったモノに。


俺は握ったそれを、奴の背中に向け、

「「ドン!!!」」

撃った。

⏰:09/02/05 09:56 📱:PC 🆔:☆☆☆


#607 [トイロ]
発砲音は打ち上げられた花火に掻き消され、アキコは気にとめる様子もなく、表通りへ走っていった。

俺の視界は真っ赤な世界へと塗りかえられた。

それは脳裏に表れた映像と、とても似ていた。

奥の深いところで眠っていた記憶が目醒める。

⏰:09/02/05 09:57 📱:PC 🆔:☆☆☆


#608 [トイロ]
時間が止まってしまったように俺は佇んだ。


そして、雲ひとつない夜空に咲き乱れる花火に向かって、呟いた。


「ずっと淡い夢のなかにいたんだな‥−」

⏰:09/02/05 09:58 📱:PC 🆔:☆☆☆


#609 [トイロ]
++++++++++

#11.1話#

幸×ZERO:{儚


-END-

++++++++++

⏰:09/02/05 09:58 📱:PC 🆔:☆☆☆


#610 [トイロ]
#12話#

あたしが気づいていたのに、なにも聞かなかったのは、香介さんに言われたからっていうのもあるけど、それだけじゃない。


怖かったから。


幸があたしのトナリから、いなくなりそうで怖かったから。

⏰:09/02/05 10:01 📱:PC 🆔:☆☆☆


#611 [トイロ]
だから、ずっと言えなかったの。


"幸はどんなものを背負ってきたの?"って−‥



++++++++++

⏰:09/02/05 10:02 📱:PC 🆔:☆☆☆


#612 [トイロ]
昨夜の花火は、『冬の花』という銀河街のイベントで打ち上げられたものだったらしい。

今朝から地方ニュースは、その話題で持ち切りだった。


「よーやるよ」

あたしはだれもいない教室で窓を全開にし、白い息をはく。

⏰:09/02/05 10:02 📱:PC 🆔:☆☆☆


#613 [トイロ]
−ガラッ


「おはよー!って、誰もいないよなぁ」

教室に入ってきたのは、あの男まさりの桜。


「もうこんな早朝から‥」

⏰:09/02/05 10:03 📱:PC 🆔:☆☆☆


#614 [トイロ]
続いて入ってきた上品なお嬢さまは、もちろん、あのさゆりちゃん。


「って‥アキコがいる!!」

桜がやっとあたしの存在に気づいた。


「おはよ、桜、さゆりちゃん」

⏰:09/02/05 10:03 📱:PC 🆔:☆☆☆


#615 [トイロ]
「アキコちゃん、どうなさったんですの?」


「明日は絶対、初雪だな〜
雪合戦できるぞー♪」


まったく、二人とも失礼な発言だ。


「あのね〜あたしだって、早く来る日ぐらいあ・り・ま・す!」

⏰:09/02/05 10:04 📱:PC 🆔:☆☆☆


#616 [トイロ]
「もしかして‥五十嵐くんがらみですの?」


−ギックン


あのわずかな間に違和感を感じとったのだろうか。

さゆりちゃんの鋭い指摘が見事に的をつく。

⏰:09/02/05 10:05 📱:PC 🆔:☆☆☆


#617 [トイロ]
それに対して、桜が興奮ぎみに言う。

「まぢでー!?
なになに、告ったとか?
もち、OKだったんだろ☆」




−やば、あたし泣きそうだ

⏰:09/02/05 10:05 📱:PC 🆔:☆☆☆


#618 [トイロ]
「あー‥‥ダメだった」



「「え?」」

二人の笑顔が硬直する。


廊下が騒がしくなってきた。

⏰:09/02/05 10:06 📱:PC 🆔:☆☆☆


#619 [トイロ]
予鈴まであと10分。

みんなが登校し始める時間だ。


「おはよ〜
あ!アキコ、今日早いじゃん
ねー数学の宿題やった?」


「うん、それなりにはやったよー」

⏰:09/02/05 10:06 📱:PC 🆔:☆☆☆


#620 [トイロ]
あたしは話題を避けるように、二人から離れた。


「さすが!みしてー」


ノートを渡しているときも、自分の背中に向けられている二人の視線を感じていた。

⏰:09/02/05 10:07 📱:PC 🆔:☆☆☆


#621 [トイロ]
朝のホームルーム。

甲高い担任の声が響く。

「今日の欠席者は、高橋さんと、‥五十嵐くんですね
他には、いませんか」


クラスのざわめきがすこし大きくなった。

⏰:09/02/05 10:07 📱:PC 🆔:☆☆☆


#622 [トイロ]
居ないことを確認してから、担任は連絡事項などを淡々と述べる。


「五十嵐が休み!?まじかよ!」

「ちょ→めずらし〜」

「なんかぁ風邪らしいよぉ」

「バカでもひくんだな」

⏰:09/02/05 10:08 📱:PC 🆔:☆☆☆


#623 [トイロ]
ひそかなおしゃべりが飛び交う。


あたしもびっくりした。

だって幸は小2からずっと休んだことなんてなかったから。


++++++++++

⏰:09/02/05 10:08 📱:PC 🆔:☆☆☆


#624 [トイロ]
「アキコちゃんは遊ばれたのですわ!」


ほのぼのとした肌寒い昼休み。

そんななか、秋子のクラスから机を叩く音が響き渡った。

なんだなんだと周囲の人々が注意を向ける。

⏰:09/02/05 10:09 📱:PC 🆔:☆☆☆


#625 [トイロ]
「しーっ!しーっ!
とにかく座って;」

桜が小声で、立ち上がった小百合をたしなめる。


「でも、幸のほうもアキコを好きだと思ったんだけどな〜」


「ですから、思わせぶりだったのですわ
所詮あの五十嵐くんも、顔だけですのね」

⏰:09/02/05 10:11 📱:PC 🆔:☆☆☆


#626 [トイロ]
「ん〜でも、あいつ、アキコをみているときが、1番優しい目をしていたぞ?」


「こうしてはいられませんわ!
直ちに仔細をお伺いしなければ!
‥て、アキコちゃんはどちらに?」


小百合がキョロキョロと教室を見回す。

⏰:09/02/05 10:12 📱:PC 🆔:☆☆☆


#627 [トイロ]
「ああ、アキコなら幸の見舞いに行くって帰ったぞ♪
やっぱり仲いいよな〜」


花を飛ばす笑顔で桜が言うと、小百合はわなわなと震え出した。

「なにを悠長に見送ってるんですの!!!」


++++++++++

⏰:09/02/05 10:13 📱:PC 🆔:☆☆☆


#628 [トイロ]
(きっと何かあったんだ)

あたしは幸の家へ、急いで向かう。

校門をくぐったとき、いきなり後ろから引っ張られた。


とっさに条件反射で、後方を蹴りあげる。

⏰:09/02/13 12:58 📱:PC 🆔:☆☆☆


#629 [トイロ]
「おっと」


「えっ、‥もしかして香介さん!?」


あたしの蹴りを左手でとめている、サングラスの男が立っていた。


あたしは慌てて足を下ろして謝った。

⏰:09/02/13 12:59 📱:PC 🆔:☆☆☆


#630 [トイロ]
「いやいや、いいんだよ
にしても、さすが柔道部だね
反応が速い♪」

「ほんとにごめんなさい‥///
あ!香介さん、幸は大丈夫なんですか?」

「おう、そのことなんだけどな
実は、めまいで倒れてしまってな
いやーまいった」

⏰:09/02/13 13:00 📱:PC 🆔:☆☆☆


#631 [トイロ]
「倒れた!?幸が!?」


香介さんは煙草をくわえて言った。

「大丈夫、今は何ともないから♪
でも念のため、しばらく入院するかもしれないけどね」


あたしは安堵の息をはいた。

⏰:09/02/13 13:01 📱:PC 🆔:☆☆☆


#632 [トイロ]
「‥にしても変なんだよね」

香介さんはけむりをはきながら、意味深につぶやく。


「いくら疲れていたからって、あの幸が倒れるはずがないんだけど
俺は精神的なものだと思うんだ」

−ビクッ

⏰:09/02/13 13:02 📱:PC 🆔:☆☆☆


#633 [トイロ]
「アキコちゃん、何か知らない?」


「‥‥‥‥」


あたしは顔を背け、うなだれた。

++++++++++

⏰:09/02/13 13:03 📱:PC 🆔:☆☆☆


#634 [トイロ]
白い壁に囲まれた病棟の一室。


そこに五十嵐 幸はベットで仰向けになっていた。


そして、両手で顔を覆い、天井に向かって呟いた。


「どうして俺なんかを好きになったんだ‥‥アキコ」

⏰:09/02/13 13:04 📱:PC 🆔:☆☆☆


#635 [トイロ]
++++++++++

#12話#

秋子×幸:{Jr.


-END-

++++++++++

⏰:09/02/13 13:05 📱:PC 🆔:☆☆☆


#636 [トイロ]
#13話#

俺には昔の記憶がない。

けれど、全く知らないわけではない。

なぜなら、警視庁さんが教えてくれたから。

香介さんと血縁関係がない事実ともうひとつの事実を。

⏰:09/02/13 13:06 📱:PC 🆔:☆☆☆


#637 [トイロ]
もうひとつの事実を知った俺は、警視庁さんにあることを尋ねた。

警視庁さんは答えてくれた。

本当のことを。

俺はその答えをきいて理解した。

"自分には人を愛する資格はない"ということを。

⏰:09/02/13 13:08 📱:PC 🆔:☆☆☆


#638 [トイロ]
++++++++++

「香介さん‥」

秋子が押し殺したような声で言う。

「あたし‥ダメでした」

ずっと下を向いたままだ。

「幸は‥、幸は‥結局言ってくれませんでした」

⏰:09/02/16 17:07 📱:PC 🆔:☆☆☆


#639 [トイロ]
香介は煙草のけむりを吐き、横目で様子を見守る。


「ごめんなさい、香介さん」

うつむいた顔から涙がこぼれた。

「あたし、香介さんとの約束守れませんでした‥」

アスファルトに広がる染み、一点一点が大きくなる。

⏰:09/02/16 17:08 📱:PC 🆔:☆☆☆


#640 [トイロ]
「幸は‥あたしじゃダメだったのかな‥‥‥」

秋子が顔をあげ、傍らにいる香介に涙目で訴えた。

「香介さん、あたしじゃ‥ダメなの?」


小さい子どもをあやすように、そっと優しく秋子を抱きしめた。

「アキコちゃんのせいじゃない」

⏰:09/02/16 17:09 📱:PC 🆔:☆☆☆


#641 [トイロ]
二人の視線が合う。


そしてどこか寂しげに呟いた。


「‥幸のせいなんだ」


++++++++++

⏰:09/02/16 17:10 📱:PC 🆔:☆☆☆


#642 [トイロ]
香介は部下の太郎に、秋子を家まで送りとどけさせ、自分は幸が入院している病院へ向かっていた。


ハンドルをにぎりながら、先ほど医者に言われたことを思い返す。


『精神的なショックによるものでしょうね』


『精神的なショックですか』

⏰:09/02/16 17:12 📱:PC 🆔:☆☆☆


#643 [トイロ]
『ええ、しかも彼の場合、相当なダメージを受けてますから‥おそらく不快なことが立て続けに発生したのではないかと考えられます』


『立て続けに‥』



香介はため息をついた。

「ひとつは、思った通り、アキコちゃんだな」

⏰:09/02/16 17:14 📱:PC 🆔:☆☆☆


#644 [トイロ]
秋子の瞳から溢れる大粒の涙が、脳裏に焼きついている。

「あんないいこ、滅多にいねぇぞ‥バカなオトコ」

ハンドルを右にきる。

「もうひとつは‥」


さっき秋子をあずけたときに、太郎がこっそり耳打ちしてきた。

⏰:09/02/16 17:16 📱:PC 🆔:☆☆☆


#645 [トイロ]
『キング、幸くんは警視庁と会ったみたいです』

『なに』

『警視庁は幸くんに誤報し、拳銃を渡してます』


「‥クソッ!」

サイドガラスを叩く。

⏰:09/02/16 17:18 📱:PC 🆔:☆☆☆


#646 [トイロ]
「拳銃は何があっても、触らせねぇようにしてきたのに‥すべて水の泡だ」

前方をにらむ。

「幸の内に眠っていた記憶が本当に甦ったというなら、最悪なパターンだ」

++++++++++

⏰:09/02/16 17:20 📱:PC 🆔:☆☆☆


#647 [トイロ]
香介が戸を開けると、そこは白い部屋ではなく、傾いた陽射しが入り込み、幸の髪色と同じオレンジに染まっていた。

窓のすき間から凪がれてくる、ゆるやかな風に幸のオレンジ髪がなびく。

ベットの上に座っている幸は、窓から見える町並みから、戸のほうへ目を移した。

「お帰り、香介さん」

⏰:09/02/16 17:23 📱:PC 🆔:☆☆☆


#648 [トイロ]
「ああ」


「遅かったね、何処に行ってたの?」


部屋の隅にある魔法瓶を持ちあげ、コップに水を注ぎながら、香介は答えた。

「ちょっとタローにな
調子はどうだ?」

⏰:09/02/16 17:23 📱:PC 🆔:☆☆☆


#649 [トイロ]
「うん、だいぶ楽になったよ」


水が注がれる音だけが響く。


「俺、全部思い出したよ」


香介の手がとまる。

⏰:09/02/16 17:25 📱:PC 🆔:☆☆☆


#650 [トイロ]
「それで、俺‥決めたことがあるんだ
だから‥−」


−バシャ


「つめてぇッ!!!なにしやがんだ!この俺様野郎!!」


「うっせぇ!!!」

⏰:09/02/16 17:26 📱:PC 🆔:☆☆☆


#651 [トイロ]
意外な怒鳴り声に、さすがの幸も怯む。


香介は空になったコップを投げ捨てた。

「ガキが背伸びしてる姿なんてなぁ゛ーただ気色わりィだけなんだよ!」

魔法瓶をつかみ、幸の頭上でくるっとひっくり返した。

中に入ってた大量の水が、幸に降りかかる。

⏰:09/02/16 17:27 📱:PC 🆔:☆☆☆


#652 [トイロ]
「ガキはガキらしく振る舞ってろ」

軽くなった魔法瓶をベットの上に放り投げ、戸口へ戻る。


部屋を出る間際に香介は呟いた。

「誰がなんと言おうと、おめぇは゛幸゛なんだよ
そのこと、一生忘れんじゃねーぞ」

⏰:09/02/16 17:28 📱:PC 🆔:☆☆☆


#653 [トイロ]
−ピシャ


足音が遠ざかる。


一人に残された幸は、オレンジ髪から滴れる水を見ながら、目からこぼれる酸っぱい水を感じていた。


「まったくもう‥‥‥‥いじっぱり」

⏰:09/02/16 17:29 📱:PC 🆔:☆☆☆


#654 [トイロ]
ベットの上で体操座りになり、腕のなかに顔をうずめた。


部屋の外に出た香介は、廊下の壁に拳をぶっつけていた。

「あんのタヌキジジイ‥‥」


(あいつは俺が守るって決めたんだ
やさしい心をもつ幸‥ZEROを‥‥)

⏰:09/02/16 17:30 📱:PC 🆔:☆☆☆


#655 [トイロ]
++++++++++

#13話#

香介×幸:{memory


-END-

++++++++++

⏰:09/02/25 16:01 📱:PC 🆔:☆☆☆


#656 [トイロ]
※状況報告(?)

完結できるように、フルスピードで話を展開させていくので、表現とか変なとこ、多く出現してくると思いますが‥‥皆さまの想像力頼りにしてます♪←おい!煤R(゜ε゜;

非力な奴ですが、頑張らせていただきます-ヾ(´∀`)ノ゛{AHAHA

⏰:09/02/25 16:02 📱:PC 🆔:☆☆☆


#657 [トイロ]
#14話#

「やべ、まじ遅刻する」

退院してからの初日に遅刻はやばいだろう。

俺はシャツのボタンもとめずに、学ランをはおった。

眠っていた記憶が戻って、一週間になる。

制服を着終わると、鏡に映っている自分をみた。

⏰:09/02/25 16:03 📱:PC 🆔:☆☆☆


#658 [トイロ]
「‥あいかわらず、この髪はオレンジ色なんだな」

寝癖でハネてる毛先をつまむ。

「あいかわらず、変な色」


『なんで?』

幼い少女の声。

⏰:09/02/25 16:03 📱:PC 🆔:☆☆☆


#659 [トイロ]
「あーそうだ、例外がいたんだっけ‥」


『なんで?転校してきた子の髪、すんごくキレイぢゃん』

あれはアキコと会って、間もない頃の放課後。

『まるで夕焼けの空みたいだし』

俺の噂話で盛り上がってた女子たちに、喜々話しかけるアキコ。

⏰:09/02/25 16:05 📱:PC 🆔:☆☆☆


#660 [トイロ]
『あたしはすきだよ
さちくんのオレンジ髪』


この時、初めて知る、感情が自分の内から沸きたってきた。

今思えば‥‥永遠に知らなければよかったのに。

鏡に腕をついて目を伏せた。

⏰:09/02/25 16:06 📱:PC 🆔:☆☆☆


#661 [トイロ]
「アキコ‥‥」


ゆっくり顔をあげ、鏡に映るもうひとりの自分と向き合った。


「もう‥ながい夢物語は終わってしまったんだよ、五十嵐 幸」


見つめる瞳は悲しみをおびている。

⏰:09/02/25 16:07 📱:PC 🆔:☆☆☆


#662 [トイロ]
息を吐き、表へ出た。

「さあ、いこうか」


++++++++++

陽が昇りはじめる早朝。

教室の窓から、空を見上げる女子生徒がひとり。

「夕焼けとは、またちがうオレンジ色なんだなぁ」

⏰:09/02/25 16:09 📱:PC 🆔:☆☆☆


#663 [トイロ]
−ガラッ

「幸!?」

秋子はドアのほうへ振り返った。


「あー、っと‥ごめん;
えと、おはよ‥デス」

⏰:09/02/25 16:10 📱:PC 🆔:☆☆☆


#664 [トイロ]
そこに立っていたのは気まずそうに頭を掻いている桜と、後ろには小百合がいた。


「あ、桜か、ごめん
おはよー」


「幸を待ってんのか?」


「うん、でも桜、幸に似てるから間違えちゃった」

⏰:09/02/25 16:10 📱:PC 🆔:☆☆☆


#665 [トイロ]
仏頂面で聞いていた小百合が口を開いた。

「アキコちゃん、五十嵐くんと何かあったのですか?」


「えっ」


「だって、最近のアキコちゃん、ご様子が変ですわ!」


じっと秋子の顔をみて、続ける。

⏰:09/02/25 16:11 📱:PC 🆔:☆☆☆


#666 [トイロ]
「私はアキコちゃんの為でしたら、どんなことでもしてみせますわ
ですから、全て話して下さいな」


秋子も小百合の目をみる。

「‥ありがとう、さゆりちゃん」


小百合の顔に、ぱあっと笑顔がひらいた。


「でも、何も言えないの‥‥‥ごめんね」

⏰:09/02/25 16:13 📱:PC 🆔:☆☆☆


#667 [トイロ]
秋子がそう言った途端、小百合は凍りついたように固まった。


++++++++++

「なにあれ〜泣いてんの?」

「痴話ゲンカ?」

「カップルかな?」

⏰:09/02/25 16:14 📱:PC 🆔:☆☆☆


#668 [トイロ]
「馬鹿、よくみろよ」

「どっちも女の子じゃあん」

「みえねー」


泣き声が、廊下を歩く足音に混じって聞こえてくる。


「さゆり、‥そろそろ離れてくれない?」

⏰:09/02/25 16:15 📱:PC 🆔:☆☆☆


#669 [トイロ]
「いやですわ!」

小百合はさらに、桜の背中からぎゅっと抱きつく。

「レディが泣いているというのに、なんですの!その態度は!?」


「いや、あの、人目がね;」


「ねえ、桜ちゃん
私って自己中だと思います?」

⏰:09/02/25 16:16 📱:PC 🆔:☆☆☆


#670 [トイロ]
桜の言い分を無視して、小百合は尋ねる。


「そーだね、何言ってんの?
‥てか今がまさにそうだろ!
超イマサラじゃんか☆」


桜の直球すぎる言葉に、大きなダメージを受けた小百合は絶句。

⏰:09/02/25 16:17 📱:PC 🆔:☆☆☆


#671 [トイロ]
桜は気付いてないのか、笑ってそのまま続ける。

「でも、あたしはスキだよ
さゆりの自己中には優しさがこもっているからなー♪」


小百合の顔がみるみる赤くなった。

桜は立ち上がって、小百合に手を差しのべる。

「ほら、教室もどるぞ?」

⏰:09/02/25 16:18 📱:PC 🆔:☆☆☆


#672 [トイロ]
ゆでだこみたいな顔を桜に気付かせまいとうつむき、小声で呟いた。

「‥‥‥ムカつきますわ‥‥‥‥‥」


「は!?」

しかし、桜にははっきりと聞かれていた。


++++++++++

⏰:09/02/25 16:19 📱:PC 🆔:☆☆☆


#673 [トイロ]
一方、教室では

「うーん、やっぱりさゆりちゃんに、あんな言い方したのは、まずかったかな〜;」

だらだらと冷汗をかいている秋子の姿があった。


「でも、あの日のこと話すなら、幸の裏仕事も話さなきゃいけないし‥でも、香介さんに厳密!!!て念押しされてるし‥‥はあー」

⏰:09/02/25 16:20 📱:PC 🆔:☆☆☆


#674 [トイロ]
−ガラッ

「あ、桜来てたんだぁ
おはよー」


「おう♪おはよ」

桜がクラスメートと挨拶を交わしているあいだ、秋子と小百合の目が合った。

⏰:09/02/25 16:21 📱:PC 🆔:☆☆☆


#675 [トイロ]
秋子はドキドキしながら目を合わせたままだったが、小百合はぷいと顔を背けてしまった。


そんな小百合の対応にショックを受けていると、桜が秋子に口パクで伝えてきた。

「さゆりのことは任せとけ☆」


秋子は、はにかんで「ありがと」と、桜と同じように、口パクで返した。

⏰:09/02/25 16:22 📱:PC 🆔:☆☆☆


#676 [トイロ]
−ガラッ

「五十嵐!」

ドアの近くにいたクラスの男子が叫んだ。


(‥‥‥えっ)

秋子が戸の方へ身体を向けると、そこには幸が立っていた。

⏰:09/02/25 16:23 📱:PC 🆔:☆☆☆


#677 [トイロ]
「幸!」

パタパタと幸に駆け寄る。


「おはよッ、幸
もー心配したんだよ
みんなもねー幸って休んだことないから、びっくりしちゃってさあ‥」


「おはよう、林さん」

⏰:09/02/25 16:24 📱:PC 🆔:☆☆☆


#678 [トイロ]
秋子の話を遮って、幸はそう言った。


教室がざわめく。

「今『林さん』て呼んだ?」

「めずらしー」

「ケンカでもしたとか?」

⏰:09/02/25 16:25 📱:PC 🆔:☆☆☆


#679 [トイロ]
「いつも『アキコ』て呼ぶのに」

「びっくりしたぁ」


幸は先ほどと変わらず、笑顔のままだ。


秋子の瞳には動揺がはしっていた。

「‥‥え‥?」

⏰:09/02/25 16:25 📱:PC 🆔:☆☆☆


#680 [トイロ]
『アキコちゃん!
おれ、ホラ吹きじいさんに、すげぇこと聞いてきたんだ』


『また〜?もうさちくん、どうせウソにきまってるよ』


『いや、今度こそマジだぜ
じいさんが言うにはな、すっげえー大事なヤツは下の名前で、しかもよびすてにするんだって!』

⏰:09/02/25 16:26 📱:PC 🆔:☆☆☆


#681 [トイロ]
『へえ〜そうなんだ』


『だから、おれは今日から「アキコ」て呼ぶぞ!
アキコちゃんもおれのこと「さち」て呼べよ!』


『うん、わかった、さち』

⏰:09/02/25 16:27 📱:PC 🆔:☆☆☆


#682 [トイロ]
『おう、アキコ』





「な‥、なんで‥‥」

秋子の瞳から涙が零れた。

⏰:09/02/25 16:28 📱:PC 🆔:☆☆☆


#683 [トイロ]
ぐいっと幸の身体が斜めに引っ張られた。


腕を掴んでいる、小百合が上目使いで幸を睨んでいる。

「すみませんが、お付き合い願えます?」

口調は丁寧だが、顔はまったく笑っていない。

⏰:09/03/09 17:23 📱:PC 🆔:☆☆☆


#684 [トイロ]
「ちょっ、‥さゆり!?」

桜の止めにも応じることなく、小百合は幸の腕を掴んだまま、教室を出ていってしまった。


虚空をみつめていた秋子は、支えきれなくなったのか、がくんと体制を崩し、その場で倒れた。


「アキコ!?」

桜が慌てて駆けより、秋子を起こした。

⏰:09/03/09 17:24 📱:PC 🆔:☆☆☆


#685 [トイロ]
(幸‥‥それが幸の答えなの?)

薄れる意識のなか、幸の自分に対する呼びかけばかりが、秋子の頭の中で反芻していた。


「さゆりが何かしでかす前に、早く追いかけないと;
でもアキコをこのままにしておく訳にも‥‥あー!どうしたらいいんだ‥」

⏰:09/03/09 17:25 📱:PC 🆔:☆☆☆


#686 [トイロ]
今日は月の初日で、体育館より全校朝礼がある。

その為、マイペースな輩が集まってる、このクラスにはもうほとんど人が残っていなかった。


「あいつら〜いつもダラダラ行くクセに、なぜ今日に限って‥」


「桜?何してんの」

⏰:09/03/09 17:26 📱:PC 🆔:☆☆☆


#687 [トイロ]
「げっ、色!」


教室を覗きこんでいる男子生徒は、桜の家の隣りに住んでる、花緒 色(ハナオ シキ)。


「いつもいつも失礼な女だね、桜は」


桜は全く聞く耳をもたず、言った。

⏰:09/03/09 17:27 📱:PC 🆔:☆☆☆


#688 [トイロ]
「この際、仕方ない!
色!アキコを保健室まで運んでくれないか
オマエなら朝礼に遅刻しても怒られないだろ」


「ま〜大事な幼なじみの頼み事なら、断るわけにもいかないなぁ
帰り、マック奢ってね」


「なにが"大事"な幼なじみだ‥‥」

⏰:09/03/09 17:27 📱:PC 🆔:☆☆☆


#689 [トイロ]
色がニヤリと笑う。

「なにか言った?」


「何でもねーよ!
お望みどーり奢ってやらぁ!
じゃ、あたしはさゆりを追いかけっからな」


「ちょっと待った!
運んでほしいなら、後ろに乗っけてよ」

⏰:09/03/09 17:28 📱:PC 🆔:☆☆☆


#690 [トイロ]
「はあ?別におんぶじゃなくてもいいだろ
抱えて行けよ」


「それだけは譲れないな」


桜が言い返そうとしたが、色の真剣な眼差しにやたら圧倒するものを感じ、渋々承諾した。

⏰:09/03/09 17:29 📱:PC 🆔:☆☆☆


#691 [トイロ]
「ったく、めんどくせーヤツだな!」


「悪いね♪」


桜はアキコを抱えると、色の背中に乗せた。


「ほら、これでいいだろ
ちゃんと優しく運べよ!」

⏰:09/03/09 17:30 📱:PC 🆔:☆☆☆


#692 [トイロ]
そう走言い残して走り去る桜の後ろ姿をみて、色が静かに呟いた。


「オレがお姫さま抱っこするのは、桜だけって決めてるんだよ
‥ってまあ、君は知らないだろうけど」


色は少しだけ笑って、保健室に向かった。


++++++++++

⏰:09/03/09 17:30 📱:PC 🆔:☆☆☆


#693 [トイロ]
※訂正

×そう走言い残して

○そう言い残して

ごめんなさい(∵)

⏰:09/03/09 17:33 📱:PC 🆔:☆☆☆


#694 [トイロ]
小百合と幸は屋上に出ていた。


「‥なんだよ」


「それはこっちのセリフですわ!
なんですの、先刻の、アキコちゃんに対する態度は!?」


「別にあいつをなんと呼ぼうが、俺の勝手だろ」

⏰:09/03/09 17:34 📱:PC 🆔:☆☆☆


#695 [トイロ]
「それだけではありませんわ!
アキコちゃんを散々弄んで!
どこまで振り回せば、気が済みますの!?」


「ああ゛?何言ってんだ」


「アキコちゃんに好意を持っているような素振りを見せて‥乙女心をなんだとお思いになっていらっしゃるのかと伺ってるんです!」


「‥お前か、アキコにそんな愚弄を吹きこんだのは‥」

⏰:09/03/09 17:35 📱:PC 🆔:☆☆☆


#696 [トイロ]
「ぐ、愚弄!?
失言もいいところですわ!
私はただ貴方が親友と言うのは、好きということだ、と助言したまで‥」


幸の内でなにかがはち切れたように、怒鳴った。

「余計なことしやがって!
お前のせいで、俺は大事な奴を失ってしまったじゃねぇかっ!」

⏰:09/03/09 17:36 📱:PC 🆔:☆☆☆


#697 [トイロ]
「えっ、てことは‥貴方もアキコちゃんを好きでいらっしゃったってことですか!?
でしたら、どうしてアキコちゃんの想いに応えてあげなかったんですの!!?」


「黙れっ!!
お嬢様育ちの世間知らずなお前に、俺の何が分かるってんだ
さっきからキレイごとばっか、ほざきやがって」


「‥っ‥‥‥‥」

⏰:09/03/09 17:37 📱:PC 🆔:☆☆☆


#698 [トイロ]
「お前が"きっかけ"をつくらなければ‥‥‥‥お前さえいなければっ!!!」


−バキッ


幸は突然左頬に走った激痛に声を漏らす。

そして向こう側のフェンスまで弾き飛ばされた。

⏰:09/03/09 17:38 📱:PC 🆔:☆☆☆


#699 [トイロ]
「それ以上言ってみろ!
もう一発おみまいしてやるぞ!」

息を切らした桜が、赤くなってる拳を幸に突き出す。


後ろにいる小百合に声をかけた。

「さゆり、大丈夫か?
てコラっ!どこ行くんだ、おいっ!」


小百合が階段を慌ただしく降りる音がきこえる。

⏰:09/03/09 17:39 📱:PC 🆔:☆☆☆


#700 [トイロ]
屋上にいるのは、勇ましいポーズの桜と、左頬がいやな色に腫れ、口から少し出血している幸だけとなった。


「ったく、なんだよこれ
はたから見たら、二股男に喝をいれる女じゃんか」


そう悪態をつくと、幸がぷっと笑いをこぼした。


桜がむっとしていると、幸はその視線に気付き、きまり悪そうに下を向いてしまった。

⏰:09/03/09 17:40 📱:PC 🆔:☆☆☆


#701 [トイロ]
すると今度は、桜が噴き出す羽目となった。

「あはは、冗談だ
ウケてくれてどーもな☆
あ、でも殴ったのはジョークじゃないぞ」


「ああ、わかってるよ(笑)
俺も言いすぎた
遅かれ早かれ、結局はこうなってたのに‥‥倉持さんには八つ当たりしちまったな」

⏰:09/03/09 17:41 📱:PC 🆔:☆☆☆


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