-Castaway-
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#109 [◆vzApYZDoz6]
ハルキン「とりあえず今は時間がない。さっさと終わらせて貰うぞ」

ハルキンが右拳を構え、天井スレスレにいるウィニーとの距離およそ10mを、空間制御を使い縮める。一瞬にして懐に飛び込み、渾身のストレートを撃ち出した。

ウィニー「今回は前のようにはいかない」

そう言った刹那、ウィニーが忽然と消え去り、ハルキンの拳が空を切った。ハルキンが少し驚いたような表情を見せる。

ハルキン「外した?」
ラスカ「会長後ろ!!」

戦えないため、下で結界を張り身を守っていたラスカが叫ぶ。
ハルキンが声に反応し後ろを振り返るのと、ドラゴンの尻尾がハルキンに叩き付けられるのは同時だった。

⏰:07/12/25 09:58 📱:P903i 🆔:NYrpWQ/k


#110 [◆vzApYZDoz6]
ハルキンが叩き付けられ地面に急降下する。ラスカが着地点に結界を張ったが、ハルキンが寸でのところで身を翻し受身をとった。
心配したラスカがハルキンに駆け寄る。

ラスカ「大丈夫!?」
ハルキン「あぁ、これぐらい大丈夫だ。奴は俺が倒すから、ラスカは自分の身を守っていろ」

ハルキンが天井近くのウィニーを見上げる。ウィニーがほくそ笑んでる後ろにガリアスがいるのが見えた。

ハルキン「よぉ、後ろの若造、今のはお前の能力か?」
ガリアス「教える訳ないだろ」
ウィニー「そうだ。お前は黙って死ねばいいんだよ」
ハルキン「お前には聞いてない…自力では何も出来ない低能が」

⏰:07/12/25 10:22 📱:P903i 🆔:NYrpWQ/k


#111 [◆vzApYZDoz6]
ウィニーの顔が強張った。明らかに怒りを顕にし、表情が歪んでいる。

ウィニー「あぁ?今カイトに吹っ飛ばされた癖に粋がんなや」
ハルキン「今俺を吹っ飛ばしたのもお前じゃなくドラゴンだろ雑魚低能」

ハルキンが前回と同じような余裕の表情で喋るのを見て、ウィニーの眉間が寄り、唇の端がひきつる。

ウィニー「お前はそんなに俺に…」
ガリアス「もういいよ、喋るなお前。勘に障る」

⏰:07/12/25 11:12 📱:P903i 🆔:NYrpWQ/k


#112 [◆vzApYZDoz6]
ガリアスが少し機嫌が悪そうな表情でウィニーの言葉を遮り、さらに続ける。

ガリアス「ハルキン、あんたも分かっただろう?俺のスキル『ヴィエロシティー』は物体を光速移動させることができる。あんたの空間圧縮や空間転移も、相手の位置が分からなければ出来ないだろう」
ハルキン「それがどうした?退いてくれ、とでも?」
ガリアス「その通りだ。俺は嫌でもこいつの手助けをしなくちゃならないし、あんたが邪魔をするならウォルサーの一員としてあんたを排除しなくちゃいけない」
ハルキン「……」

⏰:07/12/25 11:35 📱:P903i 🆔:NYrpWQ/k


#113 [◆vzApYZDoz6]
ハルキンはガリアスと目を逸らさずに沈黙した。後ろではラスカが不安そうに、まだ天井近くを飛んでいる2人とハルキンを交互に見ていた。
ウィニーはドラゴンの上に座って肘をつき、明らかに不機嫌そうな態度をとっていた。とうとう待ちくたびれて口を開く。

ウィニー「いい加減にしろや揃いも揃って黙りこくって気持ちわりぃ!!要するにお前はどう足掻いても勝てねぇんだよ!時間稼ぎに必死か!?」

ウィニーの甲高い笑い声が響く。
ガリアスは溜め息をつきながら俯き、ラスカは不機嫌そうにウィニーを睨み付ける。
皆が嫌悪感を顕にする中、ハルキンは自分がここに入って来た扉を見ていた。

⏰:07/12/25 11:47 📱:P903i 🆔:NYrpWQ/k


#114 [◆vzApYZDoz6]
ウィニー「余所見してんじゃねーよ!!」

ハルキンはウィニーを無視し、扉を見つめていた。軈て笑みを浮かべながら視線を戻す。

ハルキン「あぁ、悪いな何も聞いていなかったよ」
ウィニー「ははは!逃げる算段を考えるのに必死か?」
ハルキン「俺が逃げるなんていつ言った?妄聴も大概にしときな低能」

ウィニーの唇がより一層ひきつる。目は赤く血走っていた。

ウィニー「あぁもういいよ、お前は殺す。ガリアス、やるぞ」
ガリアス「……」
ウィニー「おい聞いてんのかガリアス!てめぇには耳ねぇのか!」

ガリアスは後頭部を掻きながら溜め息をつき、ハルキンに視線を向けた。

⏰:07/12/25 12:00 📱:P903i 🆔:NYrpWQ/k


#115 [◆vzApYZDoz6]
ガリアス「本当に退く気はないのか?あんたがこのままあのドアに帰るなら、俺は追うつもりはない」

ガリアスが入口の扉を指差して言う。ハルキンは扉には目もくれず言葉を返した。

ハルキン「悪いが俺達にはスティーブの散歩よりも先に、藍を取り返すという目的があるんでな」
ガリアス「……残念だよ」

⏰:07/12/25 12:10 📱:P903i 🆔:NYrpWQ/k


#116 [◆vzApYZDoz6]
ガリアスらの姿が忽然と消え去る。風切り音と共に、ウィニーの声が響いた。

ウィニー『ははは、大人しく逃げればよかったものを!あんたなら、光速移動する物体は質量が増加する事は知ってるだろう?全体重をかけて押し潰してやるよ!!』

再び声が消え、風切り音が響き渡る。
ハルキンは宙を見上げた。その表情は、前回の戦いと同じく余裕に満ちている。

前回と同じような表情で、前回と似たような言葉を口にした。

ハルキン「…さて、君はブラックホールというものを知ってるかね?」

⏰:07/12/25 12:21 📱:P903i 🆔:NYrpWQ/k


#117 [◆vzApYZDoz6]
ラスカが『ブラックホール』という単語に過敏に反応した。驚いた表情で視線をハルキンに向ける。
ハルキンは宙を見上げているが、言わんとする事はラスカに伝わっていた。

ラスカ「ったく…どうなっても知らないよ!」

ラスカが自身の周りを纏っていた結界を解く。それをハルキンが横目で確認し、満足そうに唇の端を上げた。

ハルキン「ブラックホールってのは、太陽の何倍もあるような大質量の恒星が寿命を終え、超新星爆発と呼ばれる熱放出の後、自重力により星が圧縮されてできる」

⏰:07/12/25 12:48 📱:P903i 🆔:NYrpWQ/k


#118 [◆vzApYZDoz6]
ウィニー「ははは、ここで光さえも飲み込むブラックホールを作ろうってか!?大質量の星もないのに!?」
ハルキン「ブラックホールは飲み込んでいるのではなく、物質を微粒子レベルで破壊し自身に取り込んでいるんだ」
ウィニー「うるせぇから死ねよ!!」

ウィニーを乗せたドラゴンが突如現れた。
現れた場所はハルキンのすぐ後ろ。ドラゴンが爪を前に出し、ハルキンを今まさに千切らんとしている。
だが、ドラゴンの爪はハルキンに届かなかった。

ハルキン「『押し潰す』といっておきながら後ろからか…ゲスはどこまでいってもゲスだな」

⏰:07/12/25 13:00 📱:P903i 🆔:NYrpWQ/k


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