-Castaway-
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#140 [◆vzApYZDoz6]
-ラスダンの足取り-
ガリアスがハルキンに言われるままにドアを見ると、そこには見慣れた女性が立っていた。
ガリアス「母さん…?」
母親「ガリアス!」
母親がガリアスに抱き付く。ガリアスは驚いて母親の顔を見た。
痩せており、力を入れると折れてしまいそうな華奢な体。だが、間違いなく自分の母親だった。
ガリアス「母さん…!」
ハルキンは2人の親子の再会を見て満足そうにほくそ笑み、2人の背中越しに入口を覗いた。
そこにラスダンの姿はない。
ハルキンの様子を見ていたラスカが心配そうに話し掛けた。
ラスカ「内藤達の方かしら?」
ハルキン「…まぁ、外に出ればあいつのスキルは使える。上手くやれるだろ。…お2人さん!」
:07/12/31 13:42 :P903i :SihxquWw
#141 [◆vzApYZDoz6]
ハルキンが遠目からガリアス親子に話し掛ける。
ハルキン「俺達はもう行く。俺達がここに来たところに車が置いてある」
ハルキンは踵を返し、顔だけガリアスの方に向けた。
ハルキン「付いてくるかはお前の勝手だが…このまま此処に居ても危険だ、とだけ言っておこう」
:07/12/31 13:49 :P903i :SihxquWw
#142 [◆vzApYZDoz6]
ハルキンが走り出す。ラスカもガリアスを一瞥し、ハルキンを小走りで追い掛けた。
ラスカ「人質取られてた事、どうして分かったの?」
ハルキン「ラスダンから『思念』を受けていた。まぁ…当初は俺らでなんとかするつもりだったから…どうなるかは本人次第だな」
ハルキンがチラッと後ろを見る。ガリアス親子の姿は無くなっていた。
無言で振り返り、走り続ける。
暫く経つと、連絡通路が見えてきた。
ハルキン「…さぁ、兎にも角にも突入だ」
2人は連絡通路を駆け抜け、聳える要塞の中に入っていった。
:07/12/31 14:02 :P903i :SihxquWw
#143 [◆vzApYZDoz6]
-突入・リーザとシーナの場合-
シーナ「……長い!!」
シーザ「いいから走りなさい」
リーザとシーナは剣袋を背負い倉庫内を走っていた。
倉庫内部は外見と同じく対になっており、ハルキンらが入った倉庫の左右対称になっているだけ。中央要塞までの道程も左右対称で同じだ。
ただ、内装が違っていた。ハルキン側の倉庫はコンテナや段ボール等が乱雑に置いてあったが、こちら側にはそれらの類いは殆ど見当たらない。
代わりに升形の仕切りが等間隔に並んでいる。その仕切りの端には梯子があり、仕切りの上を縫うように通る通路に繋がっているのが、下を走るリーザ達の目にも見てとれた。
:07/12/31 14:33 :P903i :SihxquWw
#144 [◆vzApYZDoz6]
リーザ「多分ここは戦車格納庫ね。仕切りもなんか駐車場っぽいし…」
シーナ「何でもいいけどその仕切りのせいでこんな時間掛かってるんだから!」
シーナが不機嫌そうに眉間に皺を寄せ、頬を膨らませる。
等間隔に並んだ仕切りは左右からせり出すように交互に並んでいるため、リーザ達もそれに沿って大きく蛇行しながら走るしかなかった。
シーナ「これじゃ敵に会う前に疲れちゃうわー…」
リーザ「ほらほら!文句言ってる暇があったら急ぎなさいな」
相変わらず機嫌の悪いシーナをリーザが宥めながら、蛇行して走り続ける。
軈て仕切りがなくなり、道が広くなった。前方には連絡通路が見えている。
:07/12/31 14:43 :P903i :SihxquWw
#145 [◆vzApYZDoz6]
シーナ「あっ、あとちょっとじゃない!あれ要塞の入口よね?」
リーザ「そうね。…気を引き締めて行きましょうね。ここまでに何も無かったのは不自然……ッ!?」
連絡通路を走っていた2人の姿が掻き消え、宙に剣袋だけが浮く。
次の瞬間、攻撃を受け止めた剣の金属音と共にリーザとシーナが現れた。通路を挟んで左右に別れ、共に男の拳を止めている。
シーナ「ちょっと不意討ちなんて危ないわよ!」
リーザ「刺客、ですか…いいでしょう。お相手致します!」
:07/12/31 19:07 :P903i :SihxquWw
#146 [◆vzApYZDoz6]
シーナとリーザが剣を翻し拳を払い除ける。
ハル・ライン「不意討ちは致し方無い。俺達は平和主義者だからな」
ハル・レイン「刺客、か。本当はバイク野郎と再戦したかったんだが…外で暴れてるようで」
2人に払われたハル兄弟が一旦下がる。
双子の兄レインは双子の姉リーザと、双子の弟ラインは双子の妹シーナと、再び向き合った。
シーナ「ハル兄弟ね。ジェイトから話は聞いてるわ。確かスキルは『ツインキャンサー』―――」
リーザ「―――コンビ技が得意だそうですわね。離れたのは失敗じゃないですか?」
:07/12/31 20:07 :P903i :SihxquWw
#147 [◆vzApYZDoz6]
ライン「そいつは認識違いだな。『ツインキャンサー』の能力は合体攻撃に加えてもう1つ―――」
レイン「―――2人が半径20mの範囲で共闘している場合、総合的に身体能力が上昇する」
兄と姉、弟と妹が、別々に会話する。
―――――――――――
-ハル・ラインVSシーナ-
シーナ「へぇ…ま、タイマンなら望むところだしね!」
ライン「元気のいいお嬢さんだ。……では」
ハル・ラインが構える。
左手を突きだし掌を下へ。ジェイト兄弟と戦った時と同じ構えだが、今回は1人だ。
:07/12/31 20:26 :P903i :SihxquWw
#148 [◆vzApYZDoz6]
ハル・ラインが構えたのを見て、シーナも剣を構える。
シーナが持つのは乱れ波紋の日本刀。鞘を投げ捨て、先刻の不意討ちで既に鞘から抜かれていた刀の柄を握る。正眼の構えから右足を後ろに引き体軸を右に向け、柄の端を持つ左手を臍に当てる…武蔵野の構え。
シーナの戦闘準備が整ったのを確認し、ハル・ラインが口を開く。
ライン「双子柔術ツインキャンサー弟役=ハル・ライン…推参する」
シーナ「…なら私も。…柳生新陰流免許皆伝、双子の妹シーナ」
ハル・ラインが拳を握り身を屈め、重心を前に傾ける。
シーナもそれに倣いゆっくりと切っ先を下ろし右手を引き、重心を前に。
ライン「いざ!」
シーナ「仁恕に勝負よ!」
2人が同時に地を蹴り踏み込み、ぶつかり合う拳と刀から火花が散った。
:07/12/31 21:07 :P903i :SihxquWw
#149 [◆vzApYZDoz6]
5mはあろうかという距離は一瞬で詰まった。右拳と刀の撃ち込む力は互角で、互いに弾かれあう。
シーナ「せいっ!」
休む間も無くシーナが追撃。素早く体勢を立て直し、弾かれあい開いた距離を一足で詰める。
右拳を弾かれ、右膝を地に付いていたハル・ラインに、凄まじいスピードで袈裟斬り下ろしを繰り出した。
ライン「ふっ!」
ハル・ラインは振り下ろされる剣に左手を添え合わせて斬撃を逸らした。
シーナの手元で絞られて水平に止まった刀に添えた左手を乗せて押し、反動で右膝を起こす。更にそのまま身を浮かせての回し蹴り。
:08/01/01 02:17 :P903i :KRat.OYw
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