-Castaway-
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#10 [主◆vzApYZDoz6]
さっきと同じドアを、今度は京介が開く。

京介「あれ…また変なとこに出たぞ?」


そこはマンションの階段だった。が、明らかに外の風景が自宅のマンションとは違う。
辺りは夜のようで、マンションを出るとレンガの道が左右に伸びており、脇には該当の光が点々と続いている。向かいや隣にもレンガ造りのマンションや家が並んでいる。その町並みはロンドンの市街のようだが、人は全く見当たらず、あまりに閑散としている。

藍「なんか怖いね…」

京介「まぁ…とりあえずまたドアが無いか探してみようぜ。離れんなよ」

やはりドアが消え失せて壁になっている場所を一瞥しながら、藍の手を引いて外に出る。

京介達がレンガ道の真ん中に出ると後ろで、瓦を割ったような大きな音が響いた。

京介「なんだ!?」


見ると、男が立っていた。

⏰:07/12/15 19:38 📱:P903i 🆔:cNAOSz2Y


#11 [主◆vzApYZDoz6]
男はスキンヘッドで、黒いジャケットに黒いカッターを着ていた。肌も褐色で、周囲の薄暗さも相まって景色に溶け込んでいた。
男の足元を見ると、まるで上空からボーリングの球を落としたかのように、レンガが抉れ捲り上がっていた。

京介「何だよお前…?」

後ろの藍を右腕で制しながら言う。

?「やはり来たか…悪いが、死んでもらおう」

京介「はっ?」

男は既に右腕をふりかぶっていた。

⏰:07/12/15 19:58 📱:P903i 🆔:cNAOSz2Y


#12 [主◆vzApYZDoz6]
京介「危ない!!」

京介は藍を抱え右に飛ぶ。

間一髪。
男の右腕は、つい半瞬前まで京介達がいた場所の地面にめり込んでいた。

男が腕を引き抜き、京介達の方へ向き直る。
男の右腕は、左腕の3倍はあろうかというぐらいに膨れ上がっていた。
京介はすぐに立ち上がり、藍を抱え起こす。

藍「ありがとう…でも何あの人!?」

京介「分からねぇけど、とにかく逃げるぞ!!」

京介は藍の腕を引っ張り走り出した。
男もそれを確認し、体をかがめた。

?「逃げるのはいい事だが…遅いな」

一気に飛び出す。
一瞬で京介達を飛び越えた。

京介「げっ」

?「無駄な足掻きはするんじゃない」

男は再度右腕を打ち出す。
京介は走っていて急に止まったため体勢が不安定だった。

京介「やべ…!」

その時、京介の前に見慣れた人物が現れた。

⏰:07/12/15 21:19 📱:P903i 🆔:cNAOSz2Y


#13 [主◆vzApYZDoz6]
藍「…内藤先生?」

京介「えっ?」

内藤「ふぅ…間一髪か」

内藤が男の拳を払いながら溜め息をついた。

(内藤 篤史、35歳。京介と藍のクラスの担任です。)
京介「内藤!!何でここに!?」

内藤「川上、先生を呼び捨てで呼ぶもんじゃないぞ」
?「誰だ、貴様は」


男が左手を前に突きだし構えをとった。
内藤もそれに倣い、体勢を立て直す。

内藤「俺も地球から来た人間だ。…こいつらと同じ、な」

内藤が後ろの京介達を顎で指す。

?「地球人か…ならば貴様も死んでもらうが」

⏰:07/12/15 22:16 📱:P903i 🆔:cNAOSz2Y


#14 [主◆vzApYZDoz6]
京介と藍は困惑していた。
京介は頭の中で数々の疑問が浮かぶ。
地球から来た…って、じゃあここは何処なんだ?
地球人か…って、あいつは地球人じゃないのか?
藍はわけもわからず黙って立っていた。
京介はとりあえず内藤に訊いた。

京介「なぁ、内藤、何か知ってるみたいだけど、一体なんなんだ?」

内藤「ん?それはあとで説明する。てゆうか先生を呼び捨てに―――」

会話を遮るように男が踏み込んだ。
初撃、2撃目よりも遥かに早く右ストレートが打ち出される。

内藤「……全く気が早いな。親から教わらなかったか?」

内藤の左手が男の右拳に添えられた。
男の右拳を、スピードを殺さず手前に引く。

内藤「人が喋っている時は―――」

間髪入れず右手で男の右肩を掴み、さらに引く。
左手は男の拳から離れ、そのまま弧を描きながら男の踏み込み足を掴む。
内藤が左右の腕を勢いよく交差させると、男の体が宙に舞った。
内藤はそのまま右拳を腰に構え―――

内藤「―――邪魔をするんじゃない!」

―――渾身の掌呈突きを繰り出した。

?「ごはっ!!」

男は血を吐き、体は数m吹っ飛んだ。

京介「内藤ってあんな強かったっけ…?」

内藤「だから先生を呼び捨てにするんじゃない」

⏰:07/12/15 23:01 📱:P903i 🆔:cNAOSz2Y


#15 [主◆vzApYZDoz6]
内藤はポケットから煙草を取り出し、火をつける。銘柄はマルボロメンソールだ。深く煙を吸い、ゆっくり吐き出した。
京介はその様子を見ながら、内藤が何故か持っていたロープで謎の男を縛り上げていた。
藍はすぐそばにあったベンチに腰掛け、2人を静かに眺めていた。
京介が男を縛り終えた頃合いを見計らって、話を始める。

内藤「さてと…何から話すべきか」

京介「とりあえず、此処は何処なんだ?」

内藤「この世界は『ディフェレス』と言ってな…まぁ簡単に言えば異世界だな」
藍「あの人は一体何なんですか?」

内藤「あいつは『ウォルサー』っつー組織の組員…つうか戦闘員だ。…なんて言っても分からんだろう」

京介「全然分からん」

内藤「ごもっとも。一から説明しよう。黙って聞け」

⏰:07/12/15 23:15 📱:P903i 🆔:cNAOSz2Y


#16 [主◆vzApYZDoz6]
内藤は短くなった煙草を携帯灰皿に押し付けた。

内藤「『ディフェレス』には、普通の人間の他に『レンサー』と呼ばれる特殊な力を持った人間が存在する。その特殊な力は『レンサースキル』と言って…まぁ色々ある」

京介「色々ある、ってハショんなよ。つうか何の漫画だそりゃ…」

内藤「五月蝿い。黙って聞け。…んでな、ウォルサーはそのレンサーの力で、世界征服というありきたりな事を企んでるんだ。
そして、その企みを阻止せんとする『バウンサー』という組織も存在する。俺もそこの所属だ」

藍「え?じゃあ担任をしてるのはなぜなんですか?」

内藤「うん。お前は言葉遣いが正しくて宜しい。…まぁこれにも理由があってな、ウォルサーが世界征服を目論むにあたって地球人を狙いだしたんだ。
つうのも、地球人の中にも極少数のレンサーがいる。しかも、そのスキルは他と比べ物にならないぐらい強力なものが多いんだ。ウォルサーはそこに目をつけ、スキルを持った地球人を誘拐・洗脳して利用しよう、っつーとんでもない計画を企てたんだ。」

⏰:07/12/15 23:55 📱:P903i 🆔:cNAOSz2Y


#17 [主◆vzApYZDoz6]
京介「話が突飛すぎてついていけないんだが…スキルとか洗脳とか」

内藤「その洗脳がやっかいでな…そこに縛られてるあいつも洗脳で操られている。簡単なスキルなら人に覚えさせる機械があってな、レンサーではない普通の人間でもスキルを持たせれば戦える。奴等はそうやって駒を増やしているんだ」

京介「なんか映画でなかったかこんなの?」

内藤「話を戻すぞ。地球人の誘拐を防ぐために、俺が地球に派遣された。スキルを持つ地球人の発見と保護が目的だ。
そして発見したスキルを持つ地球人が…お前だ、川上」

京介「俺!?いやいやはっきり言ってそんなわけわからん能力とか持ってないから!!」

内藤「いや、お前はスキルを持っている。『扉』が開いたのが何よりの証拠だ」

⏰:07/12/16 00:07 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#18 [主◆vzApYZDoz6]
京介「扉…ってまさか」

京介は藍と顔を見合わせる。

藍「あのドア?」

内藤「そうだ。あれはレンサーしか開けれない扉でな…ウォルサーに移動型の強力なスキルを持った奴がいてな、そいつの仕業だ。
その扉はレンサーの側に出現する仕組みになっているから、お前を担任に成り済まして見張っていたんだ…だがたまたま臨時の職員会議があってな…」

京介「頼りにならねぇな…

⏰:07/12/16 09:18 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#19 [主◆vzApYZDoz6]

京介「あれ?でもあいつらは地球人…って言うか、まぁ要するに俺を、利用しようとしてんだろ?何で殺すんだ?ってかさっきも言ったが、俺そんなわけわからん能力とか持ってないから」

内藤「あいつらの言う『地球人』は、スキルを持たない地球人の事だ。…まぁつまり、浅香、お前の事だ」

藍「私を殺そうと…?」

京介「いや、何で殺す必要があるんだよ?」

内藤「どうゆう訳かレンサーではない地球人には洗脳が効かない。つまり、ディフェレスの実情を知ればバウンサー側の人間になられる。まぁ、敵になる前に殺そうって事だ。…しかし何で浅香は扉を通れたんだ?」

⏰:07/12/16 11:06 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


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