-Castaway-
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#236 [◆vzApYZDoz6]
グラシアの手が一瞬青く光った。
グラシア「失礼した。…もういいぞクルサ」
クルサが押さえ付けていた手を離す。急に離されたためイルリナが躓くようによろめいた。
イルリナが1歩下がり、自分の胸元に手を当てる。体は、特に何もおかしな所はない。意識もはっきりしているから、支配されたという訳でもなさそうだ。
イルリナ「…今私に何をしたの?」
グラシア「その質問は後で答えよう。とりあえず、俺達と一緒に帰ってもらおう」
クルサが今度は立ったまま手を重ね、イルリナに向ける。
グラシア「別に抵抗してもらっても構わない。どうせ無駄だがな」
:08/01/08 20:57 :P903i :DkUPgSHo
#237 [◆vzApYZDoz6]
イルリナ「…ふざけてるの?ここから逃げるぐらいなら……っ?」
イルリナが何かしようとして動きを止めた。
ライフアンドデスによって所持しているスキルが、使えない。使えば逃げる事ができるスキルが、発動しない。
それならば、と攻撃用のスキルを試みるが、やはり発動しない。
イルリナは驚愕と憔悴の入り交じった表情で、視線を落として困惑した。
イルリナ「スキルが…なんで…」
クルサ「ドリフターポート、パーティネガション」
気が付くと、イルリナ・グラシア・クルサが立つ地面と頭上に、黒い円ができている。
:08/01/09 01:17 :P903i :BlcCJlsg
#238 [◆vzApYZDoz6]
イルリナがバックステップで黒い円から逃れようとする。
が、今度は体が動かない。視線だけを上げると、グラシアが嘸可笑しいといったように顔を歪めて歯を見せていた。
グラシア「やはり無駄だったな」
イルリナは何かを喋ろうとしたが、もう声も出せなかった。
地面と頭上の黒円が繋がり、3人を黒い円柱が包む。
グラシア「なーに、殺しはしないさ。今はな…」
クルサ「―――ポートアボート!」
グラシアの笑いを残し、円柱が3人と共に煙を上げて消え失せた。
:08/01/09 01:26 :P903i :BlcCJlsg
#239 [◆vzApYZDoz6]
飽きることなく、楽しそうにホタルを眺めるアリサ。
そんなアリサを見て、バニッシはアリサを連れてきて良かったと思っていた。
パンデモを出る事は、今はいい。また今度にしよう。
そんな事を考えていた、その時。
バニッシ「―――!」
バニッシがまた、謎の気配を感じて立ち上がる。今度はさっきよりもはっきりとした気配が、さっきよりも遠い所にある。
その気配は自分らに気付いてる風ではない。だが、忘れかけていた不安感が再び、克明に蘇ってくる。
:08/01/09 01:41 :P903i :BlcCJlsg
#240 [◆vzApYZDoz6]
アリサが立ち上がってるバニッシに気付き、少し呆れたような顔をした。
アリサ「また?さっきからちょっと変…」
アリサの言葉を待たずに、バニッシが駆け出した。
アリサ「あっ、ちょっと!…もー!」
アリサが追い掛ける。
だがバニッシの駆ける速度は速く、どんどん差が離れる。
周囲の暗さも相まって、バニッシを見失ってしまった。
アリサ「…見失っちゃった」
アリサが項垂れながら辺りを見回す。
戻ろうにも、自分が今何処にいるか分からない。
仕方なく立ち止まり、その場でバニッシを待つことにした。
その後ろに、黒い円柱が現れた。
:08/01/09 22:38 :P903i :BlcCJlsg
#241 [◆vzApYZDoz6]
バニッシは雑木林を抜け、修練場に辿り着いた。中央に歩いていき、辺りを見回すが、例によって誰も居ない。
気配は確かに修練場から感じた筈だったが、また逃げたか若しくは隠れたか。
バニッシが眉間に皺を寄せ、深刻な表情で頭を掻く。
今日はもう帰った方がいいな、と思った時に、大事な事に気が付いた。
バニッシ「しまった…アリサ連れてくるの忘れてた!」
バニッシが慌てて崖に走っていき、一足で飛び越える。
飛び越えた崖の上には、雑木林から出てきたアリサが立っていた。
:08/01/10 23:26 :P903i :a4m5MZjc
#242 [◆vzApYZDoz6]
アリサ「もー、1人でどっか行かないでよ!」
アリサが怒ったように口を尖らせる。
バニッシ「…お前、1人でここに来れたのか?」
アリサ「誰かさんのせいで迷っちゃったけど、適当に走ってたらね」
バニッシ「ああ、悪い」
あの小川への道は結構複雑だ。途中に深い谷があったりして、知らない者がそこへ行くのは難しい。本当にアリサは1人で来たのだろうか。
バニッシはそう思ったが、一応アリサは無事だったので、黙って帰ることにした。
:08/01/11 09:25 :P903i :frq1vZoY
#243 [◆vzApYZDoz6]
2人で肩を並べ、アリサの家に向かう。バニッシは、横を歩くアリサの肩が震えているのに気付かなかった。
修練場を出て、細い道を歩く。家が増えるにつれ、ざわめきが目立った。
バニッシは不安が募った。やはり何かあったのだろうか。そう思った時、後ろから声がした。
「兄ちゃん!」
2人が後ろを振り返る。バニッシはその声を知っていたので、同時に返事をした。
バニッシ「どうしたんだバン?」
バン「あっ、アリサ姉ちゃんもいるや。ちょうどよかった」
:08/01/12 00:09 :P903i :QPQfzk3U
#244 [◆vzApYZDoz6]
そこに居たのは少年だった。
背は150センチ前後ぐらい、半袖のシャツに7分丈のズボンを履いている。一見すると小学生くらいに見えるその少年は、少し息を切らしながら後ろから走ってきていた。
(バン。バニッシの歳の離れた弟です)
バニッシ「何かあったのか?」
バン「うん。お祭り終わった頃からイルリナおばちゃんがどっか行っちゃって、まだ帰ってきてないんだ」
バニッシは心臓が大きく鳴った。イルリナが消えたのは、あの気配の主の仕業に違いないだろう。
バン「2人ともどこ行ってたの?イルリナおばちゃん見てない?」
バニッシは驚いているであろうアリサに顔を向ける。
だがアリサは別段驚いている様子はなく、素っ気ない顔をしていた。
アリサ「さあ…あたし達は見なかったよね?」
バニッシ「え?…あ、ああ。まぁ見てない」
アリサ「大丈夫よバンちゃん、そんな心配しなくても。前にもこんなことあったし、そのうち帰ってくるわよ」
:08/01/12 01:05 :P903i :QPQfzk3U
#245 [◆vzApYZDoz6]
また『続き』って出てしまったorz
読んでくださってる方、亀更新すみませんm(__)m
最近忙しいために、平日は1〜2レスぐらいしか更新できません;;;
今日はこれで終わりになります。明日は少し余裕があるので、多少更新できると思います。
ちなみにアリサと内藤の過去話はもうちょっと続きます。
:08/01/12 01:10 :P903i :QPQfzk3U
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