-Castaway-
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#281 [◆vzApYZDoz6]
ハルキンが親指と人差し指で輪を作って口にくわえ、音を鳴らした。
すると、ハルキンの背後の山道の草陰から、大きな動物が飛び出してきた。
スティーブは1年前に比べ、とても大きくなっていた。サイズは、ジェイト兄弟の乗るバイクと同じぐらい。
威嚇している訳でもないのに、紫の体毛が逆立ち、針鼠のようになっている。
そのままハルキンに飛び付いて擦り寄った。
バン「何て言うか…デカくなってない?」
ハルキン「そうか?」
ブロック「いや普通にデカくなってるし」
フラット「てゆうかスティーブって絶対犬じゃない気がするんだけど」
:08/01/16 19:55
:P903i
:QnaipzGw
#282 [◆vzApYZDoz6]
バン「何でもいいけど大きくなったなー」
バンがスティーブに近付いて、しゃがみこんでスティーブの頭をわしゃわしゃと撫でた。
バンは、喜ぶスティーブ越しに見える山道に、人影がいる事に気が付いた。
バン「あっ…兄ちゃん!」
バニッシ「よぉ、バン。ちょっと背伸びたんじゃないか?」
バニッシがゆっくりと歩いてくる。
見た目は変わらないが、威圧感のようなものが感じられた。
ハルキンが俯いて、満足そうに笑みを溢した。
ハルキン「まぁマシにはなったみたいだな」
バニッシ「…じゃあ、もう1度言わせてもらう」
:08/01/16 20:08
:P903i
:QnaipzGw
#283 [◆vzApYZDoz6]
バニッシがハルキンに向き直る。
バニッシ「俺を…連れていってくれ」
ジェイト兄弟がにんまりと顔を見合わせる。
ハルキンが唇の端を持ち上げ、目を細めた。
ハルキン「乗った船からは降りられないぞ」
バニッシ「上等だ」
ハルキン「その意気、忘れるな。…お前は今日から俺達の仲間だ」
ハルキンが手を差し出す。
バニッシはほくそ笑んで、がっちりと握手を交わした。
その様子を見ていたバンは嬉しそうに笑い、咳払いをする。
バン「俺はここに残るよ」
バニッシが、バンに近付いた。
:08/01/16 23:18
:P903i
:QnaipzGw
#284 [◆vzApYZDoz6]
バニッシ「…そうだな、お前はやっぱりまだ小さい。父さん達にはよろしく言っておいてくれ」
バン「分かった。それから…」
バンが、1年前と同じように拳を突き出す。
バン「絶対にアリサ姉ちゃんを助けること!」
バニッシが拳を見つめて、小さく溜め息をついた。
バニッシ「お前に言われなくてもな…そのために出るんだよ。…約束だ」
バニッシが1年前と同じように拳をぶつけ、踵を返した。ハルキンが満足そうに笑う。
ハルキン「それじゃあ、行くとするか」
バニッシ「ああ…行こう」
見送るバンを尻目にバニッシが仲間と共に山を下りていく。
アリサとの誓いを胸に立てて―――
:08/01/16 23:31
:P903i
:QnaipzGw
#285 [◆vzApYZDoz6]
――――……
ウォルサー本拠、兵隊居住区3階の最奥の部屋。
内藤はゆっくりと煙草を吹かしながら、目を瞑って物思いに耽っていた。
アリサは暫く黙って見ていたが、少し遠慮がちに話を再開した。
アリサ「…母さんは、もうすぐ用済って事で殺されるわ♪多分、クルサちゃんも…♪」
内藤「……グラシアが、京介のスキルを支配したら…か」
内藤が、既に許容範囲を超えて吸殻が詰め込まれている携帯灰皿に、今しがた吸い終えた4本目の煙草を押し付ける。
携帯灰皿をしまい、座ったまま軽く前屈みになって、アリサを見上げるように視線を上げた。
:08/01/16 23:47
:P903i
:QnaipzGw
#286 [◆vzApYZDoz6]
内藤「…リッキーは、既に京介を『写した』んだな?」
内藤が顎に手を当てながら訊いた。
アリサ「そうよ♪…だから、早くしないと…」
内藤「その前にお前だ―――」
内藤がアリサの言葉を遮り、おもむろに立ち上がった。そのままアリサに近付いて、手足に縛られていた縄をほどいた。
内藤「―――待たせたな、アリサ」
4年越しの約束が、果たされる。
アリサは恥ずかしそうに、内藤の胸に顔を埋めた。
アリサ「…遅いんだから」
内藤「悪いな」
内藤が照れ臭そうに、アリサの頭を撫でつづけた。
:08/01/18 11:40
:P903i
:c7QlUVWo
#287 [我輩は匿名である]
あげます
:08/01/18 14:38
:P902iS
:☆☆☆
#288 [◆vzApYZDoz6]
:08/01/18 22:16
:P903i
:c7QlUVWo
#289 [◆vzApYZDoz6]
>>286内藤「…さてと、残りのパンデモの人間も助けないとな」
少しの沈黙のあと、自分の胸に顔を埋めるアリサの肩を掴んで引き離す。
2人ともベットに座ったまま向き合った。
アリサ「母さんはどこに捕まってるか分からないわ…♪でもクルサちゃんなら、グラシアの側にいるはずよ♪」内藤「そうか…」
内藤が少し思案する。
2階で見た地図には、牢屋等の類は中央要塞には見当たらなかった。
管制コントロール室に行けば監視カメラを使って分かるかもしれないが、位置的に遠い。
内藤「…先にクルサかな。お前はどうする?」
アリサ「あら、そんなの決まってるじゃない♪」
:08/01/18 22:36
:P903i
:c7QlUVWo
#290 [◆vzApYZDoz6]
アリサを勢いよく立ち上がり、拳を内藤に突き付けた。
アリサ「あたしをこんな話し方にしたグラシアを、ぶっ飛ばすのよ!♪」
自信満々に言うアリサを見て、内藤がニカッと歯を見せて立ち上がった。
内藤「よーし、なら行くか。多分浅香も一緒にいるはずだ」
2人が顔を見合せ、肩を並べて部屋を出、中央要塞の入口へ。
行き先は1つ。グラシアの待つ、敵陣の一番奥へ。
内藤「いざ、司令室―――4年前の借りを返しにな!」
アリサ「見てなさいよ、グラシア!♪」
パンデモの絆を取り戻すために、扉を開けて駆け出した。
:08/01/18 22:49
:P903i
:c7QlUVWo
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