-Castaway-
最新 最初 全
#296 [◆vzApYZDoz6]
リーザ「私はもう一度要塞へ向かいます。私に代わって、シーナを預かってもらえませんか?」
リーザが要塞を横目に訊いた。
弟「あれ…これなんてデジャヴ?」
リーザ「どうしました?」
弟「あ、いや何でもないよ。シーナちゃんは護っとくよ」
兄「ところで2人共走ってきたばっかなのに大丈夫か?なんなら俺が送っていくぜ?」
兄が、要塞を見据えるガリアスとリーザに訊いた。
2人共、返答は同じ。
ガリアス「いや、いい。『ヴィエロシティー』を使えばすぐ行けるし」
リーザ「私も大丈夫です。それに、それでは2人を護る人がいなくなりますわ」
?「護る人がいればいいんじゃない?」
:08/01/19 06:23 :P903i :YFlO93FE
#297 [◆vzApYZDoz6]
突然の何者かの声に、全員が振り返る。
トンネルの入口に、1人の男が立っていた。
兄「バンじゃねぇか!どうしてここが?」
兄が車に近付いてくる男に訊いた。
(バン。内藤の弟です)
バン「そろそろ最後の戦いになるらしいから、って兄ちゃんに言われて。助太刀に来たよ!」
バンが車のドアの前に回り、腕を組んで仁王立ちした。
バン「ここは俺が護っとくから、ジェイトさん達も行ってきなよ」
兄「…悪いな!さぁ、2人共そうゆう事だ、乗りな」
兄が笑って2人を見る。
ガリアスが兄の後ろ、リーザが弟の後ろに座った。
:08/01/19 06:30 :P903i :YFlO93FE
#298 [◆vzApYZDoz6]
リーザは後ろを振り返って、心配そうに訊いた。
リーザ「彼に任せて大丈夫なんでしょうか」
弟「多分、今の俺や兄ちゃんよりかは強いよ。大丈夫さ」
弟が後ろを振り返る横で、兄がスロットルを回す。弟もそれに倣った。
雪山にエンジン音が響く。マフラーの排気熱で、足下の雪が水に変わっていく。
ガリアス「てゆうか俺は別に1人でも大丈夫なんだけど…」
兄「何言ってんだよ、俺達も行こうってのに。ノリ悪いな」
ガリアス「つうか俺のスキル使った方が…」
弟「何でもいいから早く行こう!」
ガリアスはまだ愚痴っていたが、弟の声を合図にバイクが駆け出した。
:08/01/19 12:36 :P903i :YFlO93FE
#299 [◆vzApYZDoz6]
2台のバイクが雪煙を撒き散らしながら、基地を縦断していく。
兄弟が胸元から何かを取り出しながら、後ろに乗る2人に話し掛けた。
兄「今の俺達は屋外では戦えないから、要塞のすぐ側で待機しておく!」
弟「何かあったらこれで知らせて!」
風のせいで大声になりながら、後ろ手で取り出したものを渡す。
兄弟が渡したものは、小型の無線機だった。ガリアスとリーザがそれぞれ受け取り、懐にしまい込んだ。
それを確認した兄弟が尚スピードを上げて、要塞に向けひた走る。
ジェイト兄弟の視界の中で徐々に大きくなっていく要塞を見据え、突破口となる場所を探した。
:08/01/19 12:49 :P903i :YFlO93FE
#300 [◆vzApYZDoz6]
一番最初に目に入ったのは、要塞の正面中央にある大きなシャッター。
恐らくは大型戦車等が出撃するためのものだろうが、安易に正面から侵入するのは避けたい。
シャッターの隣に自動ドアのような入口を見付けたが、これもまた正面玄関らしい雰囲気。中に何があるかは分からない状況で、正面突破はやはり無理があった。
ジェイト兄弟がそんな思案をしている内にも、バイクは刻一刻と要塞に近付いていく。
兄が焦燥感で眉間に皺を寄せた時、弟が要塞を指差して言った。
弟「ねぇ!あの窓からは入れないかな!?」
兄「窓!?」
:08/01/19 18:40 :P903i :YFlO93FE
#301 [◆vzApYZDoz6]
弟が指差した方を向く。
要塞の端に、確かに窓がある。窓があるのは2階あたりで、左右にある倉庫との連絡通路のそばにそれぞれ大きな窓が、ポツンとあった。
このまま行けば、ジャンプして後ろに乗る2人に窓を突き破らせる事は可能だろう。だが、ここは要塞だ。
兄「ああゆうのって、防弾ガラスになってるんじゃねぇのか!?」
ガリアス「大丈夫だ!」
後ろで状況を把握していたガリアスが、大声で口を挟んだ。
ガリアス「あそこは防弾にはなっていない筈だ!」
兄「よーし、それなら大丈夫だな!」
兄弟が目配せし、併走していた状態から左右に離れる。
:08/01/19 18:54 :P903i :YFlO93FE
#302 [◆vzApYZDoz6]
更にスロットルを回して、窓を目指しスピードを上げた。
兄「2人とも、俺の合図で跳べよ!!」
ガリアス「よし!!」
リーザ「分かりましたわ!!」
兄「ミスんなよフラット!!」
弟「任せろ!!」
要塞との距離がどんどん縮まる。リーザは剣袋から刀を取り出した。
兄がブレーキに手をかけ、叫ぶ。
兄「行くぞ!1、2の―――3!!」
合図と同時に、兄弟が全力でブレーキを引いた。
跳び出したガリアスとリーザはその反動で宙を舞う。ガリアスは拳で、リーザは鞘に入ったままの刀で、窓に向かって一撃を叩き付けた。
:08/01/19 19:10 :P903i :YFlO93FE
#303 [◆vzApYZDoz6]
防弾ではないとはいえ多少の厚みはあったが、ガリアスとリーザは窓を突き破り、そのまま中に転がり込んだ。
それを見て、兄弟が拳をぶつけ合った。
兄「よっしゃ!」
弟「上手くいったね」
兄「ああ。…俺達は待機だな」
弟「うーん、大丈夫かな…」
屋内では戦えない状態でいざというときに戦えるかどうか、不安がある。
弟「…信じるしかない、か」
兄「そうだな…よし」
兄が聳え立つ要塞を見上げ、両腕を上げて叫ぶ。
兄「頼むぜ、みんな!」
叫ぶ兄を見て弟が笑い、同じように要塞を見上げた。
要塞からは、衝撃音が漏れていた。
:08/01/19 20:22 :P903i :YFlO93FE
#304 [◆vzApYZDoz6]
バイクの急ブレーキの反動で宙を舞う。
リーザは、刀を鞘に納めたまま逆手で柄を握り、窓に向かって全力で突き出した。
突いた部分から放射状に亀裂が走る。体を丸めてそこへ飛び込み、窓全体を突き破った。
そのまま中へ転がり込み、顔を上げる。
リーザ「とりあえず成功ですわね…でもここは何処かしら…?」
そこは狭い通路。すぐ右手に連絡通路への道が分かれているだけで、あとは階段も部屋も見当たらなかった。
リーザが立ち上がり、体のガラス片を払い落とす。
ゆっくりと通路を進んでいると、何処からか衝撃音が聞こえてきた。
:08/01/20 00:50 :P903i :YgALv/g.
#305 [◆vzApYZDoz6]
更に通路を進むにつれて、衝撃音が大きくなっていく。
そこに、階段を見つけた。左折して下に下りる階段をのようで、衝撃音はそこから聞こえている。
リーザは階段を下りることにした。
直下階段を下りきると、そこは中庭のような拓けた空間になっていた。
そこの中央に向かって、無数の風船人形が蠢いている。次々と風船が吹っ飛んでいくあたり、恐らく誰かが風船に囲まれているのだろう。
リーザ「これは…助けるべきかしら」
リーザが鞘から刀を引き抜く。
風船を外側から蹴散らし、中央にいる人物に徐々に近付いていった。
:08/01/20 11:21 :P903i :YgALv/g.
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194