-Castaway-
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#302 [◆vzApYZDoz6]
更にスロットルを回して、窓を目指しスピードを上げた。
兄「2人とも、俺の合図で跳べよ!!」
ガリアス「よし!!」
リーザ「分かりましたわ!!」
兄「ミスんなよフラット!!」
弟「任せろ!!」
要塞との距離がどんどん縮まる。リーザは剣袋から刀を取り出した。
兄がブレーキに手をかけ、叫ぶ。
兄「行くぞ!1、2の―――3!!」
合図と同時に、兄弟が全力でブレーキを引いた。
跳び出したガリアスとリーザはその反動で宙を舞う。ガリアスは拳で、リーザは鞘に入ったままの刀で、窓に向かって一撃を叩き付けた。
:08/01/19 19:10 :P903i :YFlO93FE
#303 [◆vzApYZDoz6]
防弾ではないとはいえ多少の厚みはあったが、ガリアスとリーザは窓を突き破り、そのまま中に転がり込んだ。
それを見て、兄弟が拳をぶつけ合った。
兄「よっしゃ!」
弟「上手くいったね」
兄「ああ。…俺達は待機だな」
弟「うーん、大丈夫かな…」
屋内では戦えない状態でいざというときに戦えるかどうか、不安がある。
弟「…信じるしかない、か」
兄「そうだな…よし」
兄が聳え立つ要塞を見上げ、両腕を上げて叫ぶ。
兄「頼むぜ、みんな!」
叫ぶ兄を見て弟が笑い、同じように要塞を見上げた。
要塞からは、衝撃音が漏れていた。
:08/01/19 20:22 :P903i :YFlO93FE
#304 [◆vzApYZDoz6]
バイクの急ブレーキの反動で宙を舞う。
リーザは、刀を鞘に納めたまま逆手で柄を握り、窓に向かって全力で突き出した。
突いた部分から放射状に亀裂が走る。体を丸めてそこへ飛び込み、窓全体を突き破った。
そのまま中へ転がり込み、顔を上げる。
リーザ「とりあえず成功ですわね…でもここは何処かしら…?」
そこは狭い通路。すぐ右手に連絡通路への道が分かれているだけで、あとは階段も部屋も見当たらなかった。
リーザが立ち上がり、体のガラス片を払い落とす。
ゆっくりと通路を進んでいると、何処からか衝撃音が聞こえてきた。
:08/01/20 00:50 :P903i :YgALv/g.
#305 [◆vzApYZDoz6]
更に通路を進むにつれて、衝撃音が大きくなっていく。
そこに、階段を見つけた。左折して下に下りる階段をのようで、衝撃音はそこから聞こえている。
リーザは階段を下りることにした。
直下階段を下りきると、そこは中庭のような拓けた空間になっていた。
そこの中央に向かって、無数の風船人形が蠢いている。次々と風船が吹っ飛んでいくあたり、恐らく誰かが風船に囲まれているのだろう。
リーザ「これは…助けるべきかしら」
リーザが鞘から刀を引き抜く。
風船を外側から蹴散らし、中央にいる人物に徐々に近付いていった。
:08/01/20 11:21 :P903i :YgALv/g.
#306 [◆vzApYZDoz6]
レイン「おっと、誰かが加勢してくれてるみたいだぞ」
ライン「それは助かるな。減る気配がなくてしんどかったところだ」
風船人形に囲まれていたのは、ハル兄弟だった。
始めは外側の風船が吹き飛んでいたが、どんどんこちらに近付いてきている。
軈てあと2、3歩のところまで到達し、爆発のような衝撃でその辺の風船が一基に吹き飛んだ。
リーザ「あら…あなた方は」
レイン「お、あんただったのか」
ライン「出来ればこのまま加勢してほしいんだが」
3人は、迫る風船を吹き飛ばしながら会話した。
リーザ「勿論そのつもりです。ここまで来たら、私も動けませんから」
:08/01/20 11:33 :P903i :YgALv/g.
#307 [◆vzApYZDoz6]
レイン「それは助かる。こいつら一向に減る気配がないからな」
リーザ「それでしたら私のスキルを使えば、多少は楽になるかと」
リーザが言いながら、一度刀を鞘に納めた。
直ぐに風船に抜き打ちを食らわせる。すると、斬った風船の切り口から爆発のような衝撃が生じ、周囲の風船と共に吹き飛んだ。
ライン「なんだそれは?」
リーザ「私のスキル『ストライクボム』です。鞘に納めた刀が、爆弾になります」
レイン「俺と闘った時はそれ使わなかったな」
リーザ「鞘に納める暇がありませんでしたから」
リーザが微笑み、再び鞘に刀を納める。
抜き打ちで、再び風船を吹き飛ばした。
:08/01/20 11:43 :P903i :YgALv/g.
#308 [◆vzApYZDoz6]
リーザのスキル『ストライクボム』。
スキル発動中に刀を鞘に納めると、刀を抜いた最初の一閃だけ斬撃が爆撃と化す。
爆発の威力は、鞘に納めていた時間に比例して大きくなる。
リーザ「…まぁ相手が風船人形ぐらいでしたら、一瞬納めるだけでも十分」
リーザは抜き打ちで吹き飛ばして再び鞘に刀を納める事を繰り返し、どんどん風船を蹴散らした。
レイン「これはなかなかいいな」
ライン「兄貴、使われなくてよかったな」
レイン「それは俺の実力だ」
リーザ「さあさあ、残りを片付けましょう」
3人が笑い合う。依然大量に残る風船に向かい、散り散りに踏み込んだ。
:08/01/20 11:53 :P903i :YgALv/g.
#309 [◆vzApYZDoz6]
-突入・ガリアスの場合-
急ブレーキの反動で跳び出し、窓に拳を突き立てる。
入った亀裂に体を丸めて飛び込み、窓を突き破って中に転がり込んだ。
ガリアス「成功、か。しかし…ここは何処だ?」
そこはガリアスも見た事がない場所だった。
リーザが突入した場所とは違い、こちら側は連絡通路に繋がっていない。
歩いてみると、壁に沿って通路が続いているが、勾配がついている。徐々に下っていく感じがした。
周囲に注意を払いながら暫く歩いていると、1つの扉に突き当たった。
:08/01/20 13:23 :P903i :YgALv/g.
#310 [◆vzApYZDoz6]
ガリアス「…入ってみるか」
暫く考えたが、他に道はない。
意を決して扉を開けた。
扉の奥は、大きな部屋となっていた。
部屋の中央に何やらよく分からない機械が2つあり、4隅には柱のようなものがあった。柱からケーブルが床を伝って、中央にある右側の機械に繋がっているのが見てとれる。
ガリアス「これは…」
機械に近付いたガリアスは驚愕し、食い付くように左側の機械を覗き込む。
機械のコンソールパネルを操作すると、文の羅列が表示された。
柱は、この機械によって張られた結界に守られているようだ。
ガリアスは、無言でコンソールを操作し続けた。
:08/01/20 14:10 :P903i :YgALv/g.
#311 [◆vzApYZDoz6]
-要塞内部・ハルキンとラスカの場合-
ラスカ「もー、何よこの要塞?ゲリラに襲撃される訳じゃあるまいし」
ハルキンらは、2階連絡通路から4階にある管制コントロール室への、複雑かつ長い道程を走っていた。
2階フロアを横切り階段を昇る。次に兵器開発室、資料室、に繋がる廊下を渡る。廊下の突き当たりにある、3階から4階まで吹き抜けになっている兵隊修練場から4階へ上がり、修練場を出て廊下を右へ曲がった突き当たり。
そこに、管制コントロール室はある。
ハルキン「まぁ複雑なのは別に構わんが…人や風船人形すら見当たらんのは気になるな」
:08/01/21 18:03 :P903i :QgkZYMa6
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