-Castaway-
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#322 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「や、川上京介。遅かったじゃないか」

グラシアはまたも余裕の顔で手を上げた。
京介は椅子に座らされて眠っている愛を見て、額に青筋を立て叫ぶ。

京介「藍を返せ!」
グラシア「この子のスキルはまだ支配できていないのでね…残念ながら返す訳にはいかない」

グラシアが藍の髪を撫で付ける。
京介は眉間に皺を寄せ、より一層顔が強張った。

京介「…その手で…藍に触んな!」
グラシア「ん?触られたくないなら止めたらどうだい?」
グラシアが余裕の態度なのに警戒心を抱くべきだったが、京介は怒りでグラシアを殴ることしか考えていなかった。

京介「上等だてめぇ!」

⏰:08/01/21 23:58 📱:P903i 🆔:QgkZYMa6


#323 [◆vzApYZDoz6]
内藤「待て川上!」

内藤が我を忘れて飛び出した京介を制止しようとしたが、間に合わない。
京介は一気に踏み込んで振りかぶり、不気味に笑うグラシアの顔面に渾身のストレートを撃ち出した。
しかし、その拳はグラシアまであと数mmのところで止まった。
京介の拳が帯電したように紫電が走り、微細な稲光が光る。いくら拳を押し付けようにも、グラシアには届かなかった。

グラシア「どうした?触られたくないんじゃないのか?」

グラシアが眼前で意地悪くにやついた。まだ右手で藍の髪を撫で付けているのを見て、京介の額に再び青筋が走る。

⏰:08/01/22 00:07 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#324 [◆vzApYZDoz6]
京介「とりあえずその手を退けやがれ!」

今度は藍を撫でている右腕目掛けて、右足を蹴り上げた。
しかし結果は同じ。蹴り上げた京介の足は見えない何かにぶつかり、グラシアには届かない。何度も拳や蹴りを撃つが、その度に弾かれた。
ならば投げ飛ばそうと掴み掛かるが、やはり見えない何かに阻害され、グラシアに手が届く前に弾かれる。
何も知らない人がここだけ見れば、よくできたパントマイムだと感心するかもしれない。

京介「くそっ…!」
グラシア「止める気は無いのかな?ならば向こうへ帰ってもらおうか」

そう言うとグラシアは藍を撫でるのをやめて、右手を腰に構えた。

⏰:08/01/22 00:17 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#325 [◆vzApYZDoz6]
京介は無駄な攻撃で体力を使い、息が上がっていた。そこへ、グラシアの素早い掌呈突きが繰り出される。
腹目掛けて放たれた掌呈をかわすことも出来ず、体をくの字に曲げて内藤らの元へ吹っ飛んだ。

ラスダン「大丈夫!?」
京介「くっそ…何で当たらないんだ?」
内藤「不用意に突っ込むんじゃない」

困惑する京介を尻目に、内藤がグラシアを見据えた。グラシアは再び椅子に座りながら、余裕の顔で内藤らを見る。

グラシア「…バニッシ、君は少し気に入らないんでね。遠慮なくやらせてもらうよ」
内藤「好きにしろ。それから、今は内藤だ」

⏰:08/01/22 00:31 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#326 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「おっとその前に」

グラシアが、わざとらしく大振りで手を突きだし、踏み込もうとする内藤を制止した。

内藤「何だ?」
グラシア「いや、邪魔が入っては困るのでね。川上京介、アリサ、ラスダン。君達は…『動くな』」
京介「…は?」

京介が何を言ってるんだこいつは、という風に目を細め、内藤のそばに行こうとする。
だが、京介の体は目と口以外全く動かなくなっていた。驚いて目で周囲を見回すと、ラスダンとアリサも動きが止まっているようだ。

京介「あれっ…何で動かないんだ?」
内藤「そうか…『写し』は終わってたんだっけか?」
グラシア「その通り」

⏰:08/01/22 00:49 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#327 [◆vzApYZDoz6]
グラシアは言いながら立ち上がり、藍が座る椅子の後ろから、風船人形を引っ張り出した。

グラシア「この風船にはね、川上京介、君のスキルがコピーされている」

グラシアが京介の方を向いて、風船を揺らしながら説明しだした。

京介「俺の、スキル…?」

京介は、分からない事だらけで困惑していた。

グラシア「そう。説明しようか…私のスキルは『アナザーコンプリート』。人体支配とスキル支配、2つの支配を使う事ができる」

グラシアがゆっくりと椅子に腰掛けて、頬杖をつく。

グラシア「この風船は、リッキーが君のスキルをコピーして貼り付けたものだ」

⏰:08/01/22 01:14 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#328 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「私はこの風船に『スキル支配』をかけた。そうする事で、君のスキルを手に入れようと思ってね。ただ、リッキーがスキルをコピーするには、敵がスキルを使用した状態を視認する必要があるんだ」

グラシア「そこで、バウンサー本部にリッキーを送り込んだ。彼の体に、相手にスキルを強制使用させる特殊な周波を出す機械を埋め込んでね。…コピーは成功、私は君のスキルを手に入れた。ただ、リッキーに機械を埋め込みっぱなしにしたせいで、君は地下牢で再びスキルを発現したようだがな。まぁ、彼はもう用済みだったが」
京介「あいつは…使い捨てだった訳か」

⏰:08/01/22 01:23 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#329 [◆vzApYZDoz6]
京介は動けぬ体で、歯をくいしばりグラシアを見据えていた。

グラシア「まあ、そう怒るなよ。…そうしてコピーし、今使用しているのが、君のスキル『スレイブオブキング』だ。自らを絶対的な『王』とし、他人の『行動選択権』を支配するスキル―――要するに、他人を思い通りに操れる、ということだ」

グラシアが京介を一瞥し、右手で藍の頭を撫でた。

グラシア「…君のスキルはそうして手に入れた訳だが、この子はなかなか目を醒ましてくれないのでね」
京介「てめぇ…!」

眠る藍を見て京介が歯をくいしばるが、体が動かない。
そんな京介の気持ちを察したのか、内藤が後ろ手で京介を制した。

⏰:08/01/22 01:39 📱:P903i 🆔:PI.xtWT2


#330 [我輩は匿名である]
内藤「川上、お前は動けないだろ。下がってろ」
グラシア「バニッシ、まさか君ごときが支配者クラスである私に勝てるとでも?」
内藤「やってみなければ分からんだろう」
京介「支配者クラス?」

次々と疑問が浮かぶ京介を、グラシアがめんどくさそうに一瞥した。

グラシア「なんだ、何も知らないのか?」
京介「そりゃちょっと前まで普通の高校生だったんだから」
内藤「それは俺が説明してやる」

内藤が、なぜか勝ち誇ったような顔をしている京介をちらっと見た。
グラシアは頬杖をついたまま、見下すように京介達を眺めている。

グラシア「それは助かる…説明してやれ」

⏰:08/01/23 00:16 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#331 [◆vzApYZDoz6]
↑は俺です。なぜか酉が無くなってましたorz

⏰:08/01/23 00:18 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


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