-Castaway-
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#331 [◆vzApYZDoz6]
↑は俺です。なぜか酉が無くなってましたorz

⏰:08/01/23 00:18 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#332 [◆vzApYZDoz6]
内藤「支配者クラスってのは、お前やグラシアの持ってるような、何かの『支配者』となるスキルの事を指す。
ちなみにそれ以外のスキルは、種類によって分類される。俺やアリサなら『操作』スキル、ラスダンなら『調査』スキルだな」
京介「へー…って、何でそれだけで内藤があいつに勝てないかもって事になるのさ?」
内藤「支配者クラスのスキルは…身体強化能力が最初から付加される。しかもかなり協力なヤツが、な。お前も覚えがあるだろう」
京介「……そういやリッキーと最初に闘った時は、あっという間に風船を蹴散らせたような…」
グラシア「もうその辺でいいだろう?」

⏰:08/01/23 00:30 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#333 [◆vzApYZDoz6]
グラシアが不意に口を挟んだ。目を細め眉間に皺を寄せ、飽々したようにこちらを見ている。

内藤「…ふん、そういえば俺はお前を倒しに来たんだったな」

内藤が向き直り、重心をゆっくりと落とした。
部屋の奥にいるグラシアとの距離はおよそ7m。内藤なら一瞬で詰め寄れる距離だ。
見えない何かに守られているグラシアとどう闘うか、そんな思案を巡らせながら、地につけた足に力を入れ踏み込もうとしたその時。

グラシア「ああ…言っておくが、闘うのは私じゃない」

グラシアが座る王座の前の小階段に、黒い円柱が煙を巻いて出現した。

⏰:08/01/23 01:43 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#334 [◆vzApYZDoz6]
現れたのはクルサだった。4年前と変わらずその顔は無表情で、その口は無言で閉ざされ、その視線は俯いたまま。
そんなクルサを前にして、内藤の視線がクルサを通り越してグラシアを一瞥する。静かに目を閉じながら、右ポケットから煙草を取り出した。

内藤「京介のスキル使ったりクルサを使ったりバリアを使ったり…」

呟きながら煙草をくわえ、先端に着火した。深く煙を吸入し、溜め息と共にゆっくりと吐き出していく。

内藤「お前は自分の力で闘おうともしないんだな」
グラシア「何とでも言いたまえ。むしろ今人の力を借りたいのは君なんじゃないか、バニッシ?」

⏰:08/01/23 21:43 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#335 [◆vzApYZDoz6]
グラシアは椅子の背凭れに体を預け、見下ろすように内藤を眺めていた。その目は完璧に格下を見る目だ。

グラシア「私が自分の力を使わなくとも、今私が有利な状況は変わらないだろう?」

グラシアは言うと、視線をクルサに向けながら、顎で内藤を差した。
後ろに居て見えてもいないグラシアの動きにクルサが反応し、右手に巾着の青袋を具現化する。袋の口が独りでに開き、紙吹雪がクルサの周りを舞った。

グラシア「…だいたいクルサを支配しているのは私のスキルを使っているからだ。れっきとした私の力だろ、バニッシ?」
内藤「自分の力?お前の思考回路はとんだ間抜けだな」

⏰:08/01/23 21:52 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#336 [◆vzApYZDoz6]
腕を組みながら煙草を吸っていた内藤が、目を細めながらグラシアを見た。煙草は既に半分程まで吸われている。

グラシア「強がりは止めたまえ」
内藤「どうかな?」
グラシア「もういい、やれクルサ」

グラシアがふっと小さな溜め息をつきながらクルサに指示する。それに呼応し、クルサの周囲を舞っていた紙吹雪が、クルサを中心にとぐろを巻くように龍の形を成していく。
クルサが左手を開き、前へ。紙龍がクルサの左腕に巻き付いた。開いた掌に重なるように、紙龍の口が内藤を向く。

クルサ「紙潜龍・紅紙炎射――カットアウト!」

内藤に向けて、紅い無数の紙吹雪が放出された。

⏰:08/01/23 22:31 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#337 [◆vzApYZDoz6]
まるで火炎放射のような紙吹雪が迫るのを前に、内藤が煙草を大きく一吸い。

内藤「仕方ないな…」

呟くのと同時に、紙吹雪が直撃する。
しかし、そこに内藤はいなかった。ただ1本の短くなった煙草を宙に残して。

京介「…あれ、内藤は…」

動けないため目だけで見ていた京介が呟きかけたその時、凄まじい衝撃音が辺りに響いた。
京介が轟音の方に目をやる。
王座にふんぞり返って座るグラシアのさらに向こう、京介がいる場所と対面の壁に、クルサの顔が叩き付けられている。
壁にめり込むクルサの顔を押さえ付けていたのは、内藤だった。

⏰:08/01/23 22:42 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#338 [◆vzApYZDoz6]
内藤「しばらく寝てろ」

内藤がクルサの顔から手を離すと、クルサがゆっくりとずり落ち、内藤の足下に力なく倒れ込んだ。
内藤が足を引き抜く。踏み込んだ足下はコンクリートの床が抉れ、捲り上がっている。
その様子を、背凭れから顔を覗かせてグラシアが見ていた。

グラシア「ほー…なかなかやるじゃないか」
内藤「どうでもいいけど、油断しすぎだ」

言い終えると同時に、グラシアの視界から内藤が消えた。
次の瞬間、グラシアの右から、バリアが何かを弾いた音が響く。

内藤「ちっ、藍にも触れないか!」

内藤は、一瞬で藍の椅子の横に移動していた。

⏰:08/01/23 22:51 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#339 [◆vzApYZDoz6]
内藤「ならこっちだ!」

内藤が今度は、藍が座る椅子の後ろにある、京介のスキルをコピーした風船に、回し蹴りを繰り出した。
だが、同じように足を弾かれる。

内藤「ふん、こっちもか。えらく臆病なもんだな」
グラシア「臆病?自分の力を発揮するための当然の策だ」

グラシアは特に慌てる様子もなく、椅子に座ったまま内藤を眺めた。

内藤「結局お前を倒すしかない、か」
グラシア「…俺を倒す?クルサを倒したぐらいでいい気になるなよ」

グラシアが呆れたような表情を浮かべ、含み笑いをする。その眼前に、右腕を振りかぶる内藤が現れた。

⏰:08/01/23 22:58 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


#340 [◆vzApYZDoz6]
内藤「なら試してみるか」

内藤が、素早く重い一撃を振り降ろす。が、やはりその拳があと数mmまで迫ったところで、グラシアを覆うバリアに弾かれた。
構うものかと言わんばかりに、内藤が続けて殴り、蹴りかかる。
グラシアはバリアの内側で、馬鹿にするような目で内藤を見ていたが、やがて飽きたように目を閉じて溜め息をつき、呟いた。

グラシア「もういいよ、『動くな』」

声と同時に、殴りかかろうとしていた内藤の動きがピタリと停止する。内藤が目だけを動かし、グラシアを見上げた。

内藤「くそっ!」
グラシア「そうしているのがお似合いだ」

⏰:08/01/23 23:05 📱:P903i 🆔:I.ywfF/k


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