-Castaway-
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#401 [◆vzApYZDoz6]
京介「くそっ…藍に手を出すな!」
内藤「すみませんグラシア様あなた様は神様ですどうか下僕にしてください」
グラシア「五月蝿い!そこを動くなよ!全員だ!」

グラシアが爪を振りかざしながら、フェンスを伝い入口に移動する。京介らは、睨むことしかできなかった。
やがて入口にまで到着し、後ずさるように階段へ向かう。

グラシア「くくく…やはり最後に勝つのはこの俺だったよう…」
ハルキン「通行の邪魔だ低能!」

言いかけたグラシアの無防備な後頭部に、ハルキンの強烈な蹴りが直撃した。

内藤「よし今だ!」
京介「あいつやっぱり馬鹿だぜ!」

⏰:08/02/05 01:36 📱:P903i 🆔:D0w4yy/Y


#402 [アリス]
あげときます(o>_<o)

⏰:08/02/06 15:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#403 [◆vzApYZDoz6]
突然現れたハルキンに不意の一撃を食らい、グラシアが吹き飛ぶように転がる。そのグラシアを追うように、京介らが走った。

グラシア「ぐっ…寄るなぁ!」

グラシアが爪を藍に突き立てようとしたとき、体の異変に気が付いた。
体が、萎んでしまっている。レッドデーモンの効果が切れ、体躯は元の大きさに戻っていた。
鋭利な爪が付いていた手が元に戻ったことで抑制力を失い、途端に京介らに囲まれる。グラシアはそれでも藍を抱えたまま、ハルキンを睨み付けた。

グラシア「貴様…私に何をした?」
ハルキン「俺は何もしていないが?まぁイルリナは助けたがな」
グラシア「まさか…!」

⏰:08/02/06 22:04 📱:P903i 🆔:jsejo7Lc


#404 [◆vzApYZDoz6]
グラシアがフェンスから外を見て、目を見開いた。
眼下に広がる雪原にジェイト兄弟が潰した戦車やら戦闘機やらが転がる合間を、2人の女性が走っていた。透明な薄紅色の結界を張りながら、恐らくこの基地の出口であるトンネルへ向かって。
走る2人との大きな離差に加えて要塞の屋上から見ているため、豆粒ほどの大きさにしか見えないが、片方の女性の格好はグラシアに見覚えがあった。

グラシア「イルリナと…あれはラスカか…!」
ハルキン「あれだけ離したんだ、お前のスキル支配はもう効かない。観念するんだな」

⏰:08/02/07 07:34 📱:P903i 🆔:WUGfi2tM


#405 [◆vzApYZDoz6]
グラシアが視線を戻し、陰湿な目でハルキンを睨み付ける。

グラシア「確かに私のスキルの効力は、離れると薄くなる…だがなぜ貴様がそれを知っている?」
ハルキン「クルサをわざわざ司令室に居させたり、イルリナを地下に監禁したり…支配してる連中は皆、お前の側にいたからな。何と無くだ」
グラシア「…そうか。…だがな、まだこの娘がいる!」

グラシアは懐から素早くナイフを取り出して、再び藍の喉元に突き付けた。

グラシア「俺から離れろ!!」
ハルキン「…全く。悪足掻きは…」
藍「……んっ……うん…?」

ハルキンが言いかけた時、藍が目を覚ました。

⏰:08/02/07 14:01 📱:P903i 🆔:WUGfi2tM


#406 [◆vzApYZDoz6]
藍の瞼がゆっくりと開いていく。その場にいた全員の視線が集中する中で、藍が呑気な声を出した。

藍「あれっ…ここどこ?」

藍の視界に写るのは沢山の人間。京介と内藤とアリサ以外の顔は知らない。誰だろうと考えている最中に、ようやく自分が誰かに抱えられている事に気付く。
抱えている人間を見上げると、引きつった顔をしている男と目があった。続いて見えたのは、振りかぶった男の右腕と、その先に握られている鋭利なナイフ。
震える男の唇が、僅かにつり上がった。
眠っていた藍の現状を理解できていない脳でも、自分が殺されそうな事は理解した。

⏰:08/02/07 14:21 📱:P903i 🆔:WUGfi2tM


#407 [◆vzApYZDoz6]
グラシアが最後の悪足掻きに打って出た。どうせ逃げられないなら――

グラシア「――死に花だ!」
京介「藍!!」

京介が叫んで駆け出すのと、グラシアがナイフを振り下ろしたのは同時だった。

藍「きやっ!!」

思わず藍が目を瞑る。
だが、ナイフは刺さった感触はない。代わりに大岩が降ってきたような大きな音と、抱えられている腕から体が落ちたような感覚がした。
藍が恐る恐る目を開けると、そこにあったのは見覚えのある古ぼけた茶色い扉。既に閉まりかけだった扉がゆっくりと閉じていき、閉まりきった途端に点のような光を巻いて消滅する。

京介とグラシアは、居なくなっていた。

⏰:08/02/07 23:34 📱:P903i 🆔:WUGfi2tM


#408 [◆vzApYZDoz6]
グラシアの元へ駆けた京介の視界は突然真っ白になり、浮遊感に襲われ、次の瞬間には芝生のような地面を転がっていた。

京介「いってぇ…」

京介が、地面で打った後頭部をさすりながら辺りを見回した。

京介「ここって…」

周囲は見渡す限りの大草原。生き物は見当たらず、建物はおろか、木の1本すら生えてない。地平線の彼方に高い山々が霞んで見えるだけで、まるでモンゴルの大草原を彷彿とさせる。
そこは、京介と藍がレンサーの住む異世界『ディフェレス』に来た時、扉を通って最初に出た場所だった。
バタン、と扉の閉まる音が響く。振り返ると、既に扉は無くなっていた。

⏰:08/02/08 00:02 📱:P903i 🆔:cbzn3QkA


#409 [◆vzApYZDoz6]
京介は光が巻いた跡が残る場所を一瞥し、訳の分からないまま地面を睨む。膝を付いて、最初にここへ来た時の記憶を手繰り寄せた。
あの時も同様に扉が消え、藍が同じような扉を見付けていた。その扉をくぐって出たのが、さっきまで居た場所。

京介(扉…)

京介が顔を上げ、扉を求めて周囲を見回す。

京介「あっ…グラシア!」

京介から少し離れた横で、グラシアが先程の京介と同じように頭をさすっている。
京介に気付いて顔を上げ、これまた同じように膝を付いて周囲を見回す。遠くを眺めながら溜め息をついて、芋虫を噛み締めるような苦い表情を浮かべた。

⏰:08/02/08 00:19 📱:P903i 🆔:cbzn3QkA


#410 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「あの娘は…ここに居ないのか」

グラシアが遠くを眺めたまま、静かに呟いた。

京介「あの娘…ってのは藍か。多分いない」
グラシア「…そうか…こんな事になろうとは…くくく…」

グラシアが俯き、くぐもった笑いをする。その不気味な声とは裏腹に、表情はどこか哀愁さが漂っていた。
1人現状を理解しているようなグラシアに、京介が眉をしかめた。

京介「おい、お前は何か知ってるのか?…ここはどこなんだよ?」

京介が少し強めに言い放つ。グラシアは薄く笑みを浮かべたまま、目を細めて冷ややかに京介を見詰めた。

グラシア「ここは…あの娘のスキルが生んだ世界だ」

⏰:08/02/08 00:36 📱:P903i 🆔:cbzn3QkA


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