-Castaway-
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#35 [主◆vzApYZDoz6]
内藤はすぐに距離を取った。
今はアリサの油断があったからこそ反撃できたが、次はそうはいかない。

内藤「川上はまだ戦っているのか…」

内藤が横目で背後を確認する。
京介が自分の元へ走ってきていた。

京介「あれ?普通に大丈夫じゃん…」

京介は、確かに脳の処理能力が強化されている状態だ。
それはつまり、普段より反応は早いが、筋力が上がったという訳ではない。
危機が迫る内藤の元へ一瞬で近付く事などできるはずもなかった。

内藤「遅いぞ、川上」
京介「いやだって走る速さ変わってないし…大の男をあんだけ吹っ飛ばせたのに」
内藤「そりゃそうだ。あいつらは風船だからな」
京介「風船?」
内藤「喋ってる暇は無い、とりあえず藍を連れて逃げるぞ」

内藤は、既に立ち上がって埃を払っているアリサを横目で見た。

京介「げっ、あいつピンピンしてんじゃん」
内藤「とりあえずスキルを返せ」

内藤は再び人差し指を突っ込み、引き抜いた。

京介「いってぇ!ったく、それやらないと返せな―――うわっ!!」

内藤は、京介を藍のいるベンチ目掛けて投げ飛ばした。

⏰:07/12/16 15:34 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#36 [主◆vzApYZDoz6]
京介「いってぇ…」
藍「ちょっと京ちゃんどうしたの?行ったと思ったらすぐ帰ってきて」
京介「いや、逃げるぞって言われて…」

言いかけたところで、地面の異変に気がついた。
自分と藍がいる場所を囲むように、ピンク色の光の筋が、円を描いている。
光の筋が京介達の周囲を360度回りきると、円の中の地面もピンク色に光りだし、京介達が全身光に包まれる。
光が消えると、京介達の姿は無くなった。

⏰:07/12/16 15:44 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#37 [主◆vzApYZDoz6]
内藤「よし成功」
アリサ「『ゲートキャバ』ねぇ…♪スキルを持ってないフリをするなんてセコいわね♪」
内藤「お前が持ってないと思い込んでいただけだろう」

内藤は京介達が消えたのを横目で確認し、向き合う。中指はピンク色の光を発している。

アリサ「結局計画は失敗ね…でもまぁ逃げた先はあなたの親元でしょう?♪」
内藤「さあな。…さてと、俺ものんびりしてられないから帰らせてもらうわ」

内藤は後ろへ跳んだ。
着地点は、京介達が消えた場所。
内藤が着地と同時に中指を地面に擦ると、地面が再び輝きだした。
同じように内藤を光が包む。

内藤「まぁ、次があればお互い本気でやろうじゃないか」

言い終わるか分からないうちに、内藤も消え去った。

⏰:07/12/16 16:06 📱:P903i 🆔:jBKYDY9A


#38 [主◆vzApYZDoz6]
アリサ「ふふっ、行っちゃった♪」

アリサは手に持った携帯電話に右手をかざす。
右手をスライドさせると、光の剣が消えていった。

アリサが携帯電話をしまっていると、どこからともなく男が現れた。

アリサ「あら、今頃どうしたのよガリアス♪」

ガリアス、と呼ばれたその男が後頭部を掻いた。
外観は若い。下はジャージをはいて、上は丈の長いTシャツという、良く言えばラフな、悪く言えばやる気のない格好だ。

ガリアス「いや、モルディブで張ってたんだけどよ…まさかこんなところに現れるとは思わねぇしさ」
アリサ「そうねぇ♪…アサカ・アイだっけ?♪」
ガリアス「うーん、先に手をうつべきかな」
アリサ「あら、今日は随分やる気じゃない♪」
ガリアス「色々あったんだよ。俺はアサカの方をやるけど、お前はどうする?」
アリサ「騒動は多い方がいいんじゃない?♪」
ガリアス「お前は何だかんだでえげつねぇな…まぁ俺はもう行くわ。早いに越した事はないし、奴等の行き先なら見当がつく」

ガリアスは踵を返し、そのままレンガ道の先の闇へ消えていった。

アリサ「自分でやる気かしら?♪まぁいっか…帰りましょ♪」

アリサが再び携帯電話を取り出しボタンを操作すると、忽然と消え去った。

⏰:07/12/17 01:12 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#39 [主◆vzApYZDoz6]
京介「今度はどこだよ…」

京介と藍は、またしても見知らぬ場所に出てウンザリしていた。
そこは荒野のようで、京介達はそこを縦断する道路の真ん中に立っていた。
例によってまわりに人影はない。が、道路の端に一台の車が停まっていた

藍「あそこに車があるけど」京介「いやっ、怪しさ満点だぜ」

と、急に京介のそばの地面が光りだす。
現れたのは内藤だった。

内藤「2人とも無事だな。今から俺んち行くぞ」
京介「内藤んちとか別に興味ねぇんだけど」
内藤「いいからついてこい」

内藤は車のドアを開け、エンジンキーを回す。
京介と藍が後部座席に乗り込んだのを確認し、発進させた。

⏰:07/12/17 01:23 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#40 [主◆vzApYZDoz6]
道はずっと直線で、たまに勾配がついていた。
1時間ほど車を走らせていると、1軒の建造物が見えてきた。
内藤が家の前で車を止めて降りる。京介と藍もそれに倣った。

京介「なんつうか、ちっこい家だな」

京介が呟く。
確かに、家と言うには小さく、大きめの納屋、と言った方が近いかもしれない。

内藤「ま、別荘みたいなもんだな」

内藤が言いながらドアを開けた。

内藤「なっ…シーナ!リーザ!大丈夫か!」

内藤が慌て中に入ったのを見て、京介も中を覗いた。
中は1つの部屋になっていた。さっぱりして、特に物も無い。
が、中央に人が2人、横たわっていた。

⏰:07/12/17 01:37 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#41 [主◆vzApYZDoz6]
藍「どうしたの?」
京介「あれ!人が倒れてる!」

京介と藍も駆け寄る。
倒れている2人は双子のようで、どちらも長い金髪の髪を束ねている。
意識はあるようだ。

内藤「大丈夫か!?誰にやられた?」
リーザ「う…ん、内藤…?」
シーナ「あなたが来たってことは、まさか…」
京介「なぁ、どうしたんだ?」

京介が内藤の前に身を乗り出したのを見て、2人が声を荒げる。

リーザ「こっちへ来ちゃ駄目!」
藍「きゃっ!!」

京介が驚いて後ろを振り返ると、ジャージをはいた男が藍を肩に抱き抱えていた。

ガリアス「まったく無用心だな、誘拐のし甲斐が無い」
京介「待ちやがれてめぇ!!」

ガリアスが素早く家から出ていった後を、京介が追う。
しかし、京介が家の外に出ても回りに誰もいなかった。

京介「あれ!?どこ行った?」ガリアス「ここだよー、カワカミ君」

辺りを見回していた京介の頭上から声がした。
京介が見上げると、そこにいたのはドラゴンに乗るガリアスだった。
ドラゴンの背中にはもう1人男が乗っている。

⏰:07/12/17 01:59 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#42 [主◆vzApYZDoz6]
京介「おい!藍をどうする気だ!降りてこい!」
ガリアス「別にどうもしないよ、彼女が抵抗しなければね」

ガリアスの肩に抱かれている藍は暴れたりする様子もない。気絶させられたようだ。

ガリアス「まぁ、取り返したければ取り返しに来なよ」

そう言ってもう1人の男に目配せする。
男は頷き、京介を一瞥してから前を向く。
ドラゴンはそのまま空の彼方へ飛び去った。
京介が肩を落として振り返ると、ちょうど内藤がリーザとシーナに肩を貸しながら、家から出てきた。

内藤「おい、大丈夫だったか!?浅香は!?」
京介「連れていかれたよ…」
内藤「そうか…。だがそれなら行き先は見当がつく」
京介「本当か!?」
内藤「あぁ。藍が抵抗しなければ殺されたりはしないだろう。今はとりあえずこの2人を…」

突然、会話を遮るように、大きな電子音が乗ってきた車から鳴り響く。
内藤が車に近付いてドアを開け、無線機のような物を取り出しボタンを押した。

内藤「どうした?」
『今すぐホームへ戻ってきて!凄い数の襲撃が…!』内藤「何!?分かった、すぐに行く!!」

内藤は無線機を車に放り投げ、京介らの元へ駆け寄った。

京介「どうしたんだよ?」
内藤「説明してる暇はない、とにかく行くぞ!」

内藤が中指で地面を擦る。
京介・内藤・リーザ・シーナの4人がピンクの光に包まれた。

⏰:07/12/17 02:20 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#43 [主◆vzApYZDoz6]
-バウンサー本部-
円筒状に縦に長い建物に、スキンヘッドの男達が無数の銃弾を浴びせている。
男達の後ろにはアリサが立っていた。

アリサ「んもぅ、鬱陶しい結界ねぇ♪みんな、どんどん撃っちゃってー♪」

アリサの声をバックに、スキンヘッドの男達が銃撃が更に激しさを増す。

「うーん、これじゃスティーブの散歩にも行けやしないな」
「何言ってんですか会長!この結界もあれだけの攻撃が続くと持ちませんし、早く手を打たないとヤバいですよ!」

その様子を中から見ている2人の男が、険しい顔で話をしていた。

(ハルキン、31歳。バウンサーのトップで、通称『会長』と呼ばれています)
(ラスダン、26歳。バウンサーの一員です)

⏰:07/12/17 16:21 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


#44 [主◆vzApYZDoz6]

ハルキン「いやまぁ分かってるんだけどねそれは」
ラスダン「ならばこちらも反撃するなりしないと…!ジェイト兄弟なら出撃準備が出来てますけど、出しますか?」
ハルキン「まぁ待て、ラスカが連絡してたから、そろそろ内藤が戻ってくるはずだ。敵はアリサの他にも何人かいるようだし、こちらの出撃も数が揃ってからだ」
ラスカ「あんたそれまで結界はってろって言うの?冗談じゃないわ、こっちだって辛いんだから!」

部屋の中央から1人の女が喋りかける。
(ラスカ、?歳。バウンサーの一員で、様々な結界を作るスキル『タレント』を持つレンサーです。)

ハルキン「ん?まぁ頑張れ」
ラスカ「まぁ、人の苦労も知らないで…!」

⏰:07/12/17 16:26 📱:P903i 🆔:m2d30OU2


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