-Castaway-
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#46 [主◆vzApYZDoz6]
京介はエレベーターを降り、1階のフロアに出た。
1階は非常に広く、学校の講堂ぐらいの広さがある。
京介は、前方からバイクに乗った2人がやって来ているのに気付いた。
1つのバイクは車輪が車体に比べとても大きく、直径2mはあるかというぐらいだ。
もう1つのバイクは胴体部が大きく、屋根つきのバイクをさらに増築したような感じになっている。
(ジェイト兄弟。大きなタイヤの『ジェイトレッグ』を狩る兄と、大きな胴体の『ジェイトドット』を狩る弟の兄弟です。会話では『兄』と『弟』です)
兄「おーっす!あんたがキョウスケか。話は聞いてるな?俺達があのハゲ風船共を捕まえてくるから、あんたは中で奴らをバチボコにしてやれ」
弟「兄ちゃん、シャッター開けるぜ」
ジェイト弟がシャッターを開けた先に、銃撃を続ける無数の風船人形がいた。
ジェイト兄がエンジンを吹かす。
兄「ほんじゃ、頼むぜ!」
2人のバイク乗りが敵陣に駆けていった。
:07/12/17 17:29 :P903i :m2d30OU2
#47 [主◆vzApYZDoz6]
:07/12/17 17:33 :P903i :m2d30OU2
#48 [主◆vzApYZDoz6]
外へ向かう狭い通路を走る2台のバイク。
うち、大胴体のジェイトドットは徐々に減速し、大車輪を持つ機体ジェイトレッグは加速していた。
兄「いくぜ!ジェイトレッグ!バウンサー特製―――」
ジェイト兄が左ハンドルのボタンに手をかける。
シャッターを飛び出し、銃撃を続ける風船の頭上へ大ジャンプした。
兄「捕獲用地引き網!」
ジェイト兄がボタンを押し込む。
機体の横の一部が口を開け、大きな網が左右へ飛び出した。
風船人形「これは!」
兄「よし!いけるか弟よ!」
弟「任せろ兄ちゃん!」
風船達に被さる網の右端を、ジェイト弟が掴む。
ジェイト兄は着地して左へ走り、旋回走行で網の左端を掴みすぐさま加速した。
それを確認したジェイト弟も一気に発進させる。
狭い通路の先に左右からバイクが現れ、通路を隼の如く駆け抜けた。
風船人形の塊が、引っ張られた勢いで飛ぶように中へ突っ込んでいった。
:07/12/18 02:25 :P903i :TmlkQt.c
#49 [主◆vzApYZDoz6]
内藤「はい着地ー、っと」
窓から飛び出した内藤とハルキンは、1階シャッターの前に着地した。
後ろを振り返ると、ジェイト兄弟が風船人形を引き摺って走っていく姿が見える。
ハルキン「よし、隔離は成功だな。さぁ、結界を解きっぱなしにするわけにはいかん、行くぞ。ラスカに合図を出してくれ」
了解、と内藤が胸に着けたピンマイクに話しかける。
内藤「3つ数えたら再度結界を張ってくれ」
ラスカ『了解。無理しちゃ駄目よ』
内藤「ああ。カウントを始める―――3」
ハルキンが敵の配置を確認する。
右前方にアリサがいつでも来い、といった感じに立っている。
左前方には、羽を休めるドラゴンに凭れている男がこちらを見ていた。
:07/12/18 14:08 :P903i :TmlkQt.c
#50 [主◆vzApYZDoz6]
ハルキン「化け物退治は俺が専門だし、ウィニーは俺がやる。お前はあの女を相手しろ」
内藤が無言で頷いた。
内藤「―――2」
ハルキンは竜騎士を、内藤はアリサを見据る。
内藤「―――1」
ハルキン「…さて、久々に暴れてくるかな」
2人が、一瞬姿勢を低くし、地を蹴る足に力を入れ、
内藤「―――0!」
倒すべき敵の元へ、一気に踏み込む。
駆ける2人の背後で、本部が再び結果に包まれた。
:07/12/18 14:22 :P903i :TmlkQt.c
#51 [主◆vzApYZDoz6]
1階フロアにエンジン音が戻ってくる。
後ろ手に網にくるまれた風船人形の大群を引く兄弟が駆けてくるのを見て、
座って待っていた京介が立ち上がった。
兄弟は、部屋に入った瞬間に急ブレーキでストップし、反動で後ろの網を投げ飛ばした。
兄「よし、キョウスケ!そいつらは強くぶん殴れば割れるから、どんどん潰していってくれ!」
弟「俺達兄弟も手伝うぜ!」京介「分かった!」
網から這い出て次々と立ち上がる風船人形達の群れに、京介が踏み込もうとしたその時、人形から2つの影が飛び出した。
:07/12/18 14:33 :P903i :TmlkQt.c
#52 [主◆vzApYZDoz6]
兄「よし、俺達も行くぞ!」
兄弟が同時にスロットルを回し発進させようとした時、兄弟の前に影が降り立った。
?「おっと、お前らの相手はこの双子の兄ハル・レインと」
?「弟ハル・ラインの担当だ!」
2人の男がジェイト兄弟の前に立ちはだかり、構えをとった。
右のハル・レインが右手を突きだし掌を下に、左のハル・ラインが左手を突きだし掌を上に向ける。
2人の掌が重なるその姿は、まるで二人三脚ならぬ二人三腕だ。
兄「へっ、どうせ人形共潰してから外に出る予定だったんだ」
弟「こいつらがここにいるって事は、外はアリサとウィニーしかいないって事だね」
兄「ああ。サーキットにしてはちょっと狭いが、派手に飛ばすぜ!」
兄弟がスロットルを回し、一気に走り出す。
併走し向かってくるジェイト兄弟を迎え撃つべく、ハル兄弟も踏み込んだ。
:07/12/18 14:50 :P903i :TmlkQt.c
#53 [主◆vzApYZDoz6]
京介「大丈夫かなーあの2人」
向かい合う兄弟を横目で見ながら、京介は軽快に人形を潰していた。
人形達は数は多いものの、スキルは持っていないし動きも緩慢。身体が強化されている京介の相手ではない。
次々と人形を潰していると、棒立ちで動かない人形が京介の目に止まった。
京介「はっ、故障か?なら遠慮なく」
京介が顔面にパンチを撃ち込む。
しかし京介の攻撃は、その拳が当たる前に、棒立ちだった人形が鋭敏な動きで身を屈め、空振りした。
京介「なっ!?…ぐあっ!!」
腹に衝撃が走る。
京介の体は、攻撃を避けられた人形に体当たりされ人形の群れの外にまで吹っ飛んでいた。
:07/12/18 15:43 :P903i :TmlkQt.c
#54 [主◆vzApYZDoz6]
吹き飛ばされた京介の体は、壁に当たってようやく止まった。
強化された身体に感じる痛みは殆どない。京介が頭を掻きながら顔を上げると、無数の人形が視界に入った。
京介「あれっ!?潰した人形が元に戻ってる!」
自分の数m先にある倒した人形の皮がゆっくりと起き上がり、膨らんでいく。
『びっくりしたかな?…自己紹介をしようか。私はリッキー、所属はウォルサー。風船を操る『バルーンファイト』を持つレンサーだ』
人形の動きが止まり、どこからともなく男の声が響き渡る。
リッキー『今、この人形達を使えば、この本部を破壊する事など造作もない。…だが、それでは詰まらないので、あるゲームを考えた』
:07/12/18 15:59 :P903i :TmlkQt.c
#55 [主◆vzApYZDoz6]
京介「バルーンファイトって明らかどっかのアーケードゲームパクってるだろ!だいたいゲームって何をしようってんだよ?」
リッキー『10分待つ。それまでに人形に擬態化した私を見つけ、倒すことが出来れば君の勝ちだ。しかし、君が倒されたり、10分以内に私を倒すことが出来なければ…この本部が破壊されると同時に、彼女の命も戴く事になる』
京介「彼女…?」
リッキー『上を見たまえ』
上を見ると、気を失っている幼馴染みが風船に吊るされていた。
京介「藍!!」
リッキー『何、10分経つまでは殺したりはしないさぁ、ゲームスタートだ。せいぜい楽しませてくれ』
男の声が消え、再び人形達が動き出した。
京介「てめぇ!!ブッ殺す!!」
京介は蠢く人形の群れに、躊躇なく踏み込んだ。
:07/12/18 16:12 :P903i :TmlkQt.c
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