-Castaway-
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#172 [◆vzApYZDoz6]
目を閉じて静かに喋るリーザの表情は愁いに満ちていた。
それを見たハル・レインは少し申し訳なさそうな顔をしたが、すぐに表情を引き締めた。

レイン「感謝する。後は俺達に任せてくれ」

一礼して踵を返す。後ろで腕を組んで立っていたハル・ラインの横を通りながら鼻で笑った。

レイン「まぁ、よくもここまで人をコケにしてくれるよなぁ?」

⏰:08/01/02 13:51 📱:P903i 🆔:RqwpsYaM


#173 [◆vzApYZDoz6]
ハル・ラインは後ろの要塞入口に向かう兄を尻目に、俯いてクックッと含み笑いをした。
すぐに踵を返し、意地悪な笑みを浮かべながら兄と肩を並べて要塞へ歩き出す。

ライン「ま、落とし前はきっちりつけてもらうさ」
レイン「そうだな。顔面フルボッコにしてやるか」

リーザが心配そうに見送る前方で、要塞への大扉に2人が手をかける。

レイン「行くぜ。元上司へのお礼参りだ」
ライン「ウォルサー総指令官グラシアを…ぶち殺す」

扉を開けた兄弟が、反旗を翻すために駆け抜けた。

⏰:08/01/02 15:17 📱:P903i 🆔:RqwpsYaM


#174 [◆vzApYZDoz6]
-母親らが囚われていた地下牢-

ラスダンが地下牢への階段を足早に降りていく。最後の3段を一足で飛び越え、尚走る。
暫く走っていると、鉄格子に凭れて座る京介の姿が見えた。奥には倒れ臥しているリッキーの姿。
肩で息をしながら、ラスダンが安堵の溜め息を洩らした。

ラスダン「倒していたんだね」
京介「全然楽勝だったよ」

膝に頬杖をつき、向かいの牢をぼんやりと眺めながら京介が呟く。
怒っているわけでも哀しんでいるわけでもないのに、その表情は少し沈んでいた。

⏰:08/01/02 17:36 📱:P903i 🆔:RqwpsYaM


#175 [◆vzApYZDoz6]
京介の体は既に正常に戻り、赤い光も発していない。だが、少し近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。

京介「さ、早く行こうぜ」
ラスダン「…あ、あぁ」

ラスダンは少し不安になりながらも、牢の奥へ歩いていく京介についていく。
歩いてる最中でもそのよくわからない不安は消えず、ラスダンは急がねばならないのに走るのも忘れていた事に気が付いた。
一体何があったのかは分からない。だが今は藍を助け出すのが先決だ。

ラスダン「京介、走ろう。一刻も早く藍ちゃんを助けないと」

⏰:08/01/02 17:56 📱:P903i 🆔:RqwpsYaM


#176 [◆vzApYZDoz6]
京介「……そうだな」

京介は無言で止まり、目を瞑って俯き、両手で勢いよく頬を叩いた。

ラスダン「京介!どうしたのさ?」
京介「何でもない!行くぜ!」

京介が走り出した。
ラスダンには京介の胸中など知る由も無かったが、何かを吹っ切ったんだろうという事は伝わった。
ラスダンは満足げに笑い、京介の後を追って走る。

軈て、扉が見えてきた。

⏰:08/01/02 23:26 📱:P903i 🆔:RqwpsYaM


#177 [◆vzApYZDoz6]
扉を開けると、薄暗い通路があった。
コンクリートの壁に蛍光灯が天井に点々と続いており、まるでトンネルのようになっている。

ラスダン「多分、この先に中央要塞の入口があるはずだよ…行こう!」

京介が頷き走り出す。ラスダンも後に続いた。
扉はすぐに見えてきた。

京介「よし!待ってろ藍!」

扉を勢いよく開け、要塞の中に駆けていった。

⏰:08/01/02 23:37 📱:P903i 🆔:RqwpsYaM


#178 [◆vzApYZDoz6]
-突入・内藤の場合-

内藤が突入したのは倉庫の奥の扉。中に入るといきなり昇り階段に直面した。他に道も見当たらない。

内藤「何だこりゃ…外に階段つけろよ、スペースの無駄遣いしやがって」

文句を溢しながら階段を上る。
内藤以外の者が入った場所とは違い、内装は綺麗で証明も明るい。階段を上りきった先に自動ドアがあることからも、明らかに人が使っているだろう。

内藤「2足歩行戦車もあったしメタルギアの気分だな…気を付けるか」

内藤が自動ドアの前に立つ。ドアが機械音を立ててスライドし、中に入った。

⏰:08/01/02 23:50 📱:P903i 🆔:RqwpsYaM


#179 [◆vzApYZDoz6]
そこは居住区として使われているようだ。
ロビーのテーブルに置かれたコーヒーカップや、談話室のソファーに開いたままで置かれている雑誌など、人の存在を匂わせるものが多々あった。
左の壁に並ぶ部屋は個室か寝室だろうか、ドアに数字が書かれている。
それらの全ては、つい先程まで使われていたような感じがした。
ついさっき出動した戦車隊の居住区か、それとも内藤らの侵入に気付いて既に退避した後なのか。

内藤(後者は…あまり考えたくはないな)

⏰:08/01/03 00:15 📱:P903i 🆔:7ZY8twyc


#180 [◆vzApYZDoz6]
周囲を探りながら歩いていると、壁に地図を発見した。
ここはやはり居住区で、今内藤が居るのは2階。キッチンやバスルーム、談話室といった生活空間と、居住者の寝室の一部がある。1階の戦車格納庫へ続く階段があるあたり、恐らく戦車隊の居住区なのだろう、と内藤は胸を撫で下ろした。
3階は全エリアが居住者の寝室となっている。中央要塞への入口も3階にあった。
2階は粗方調べていた内藤は中央要塞の構造を覚えてから、3階へ向かった。

⏰:08/01/03 00:33 📱:P903i 🆔:7ZY8twyc


#181 [◆vzApYZDoz6]
3階への階段を上り、廊下を歩く。
2階で寝室を調べようとはしていたが、プライベートルームだからか全てに鍵が掛かっていた。
一応3階でも調べようとするが、やはり鍵が開いている部屋はない。藍の救出という目的が先にあった内藤は、ドアを破ってまで調べようとはせず、鍵が掛かっていたらそれ以上そこに留まろうとはせずに進む事にしていた。
だが、廊下の奥にあったドアの前で内藤は完全に留まった。

内藤「これは…怪しさ満点だな」

⏰:08/01/03 00:50 📱:P903i 🆔:7ZY8twyc


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