-Castaway-
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#292 [◆vzApYZDoz6]
問題は武器。
ジェイト兄弟の武器は、殆んどが弟ジェイト・フラットが駆るジェイトドットに搭載されている。
搭載されている武器の内、銃器は対戦車バルカン、対歩兵マシンガン、ランチャーグレネード。その全ては弾薬がもう残っていない。
両刃剣ジェイトソードは、合体しなければバイクに乗って剣を振るのとたいして変わらないだろう。
そんな状態で援護に行ったところで役に立たないのは明白だったが、かといってこのまま何もせずにいる訳にもいかなかった。

兄「どうするかなー……あれ?」

項垂れる兄の視界が、遠くにいる人影を見つけた。

⏰:08/01/19 05:44 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#293 [◆vzApYZDoz6]
兄「誰だあれ?」

人影は左側の倉庫からこちらへ走ってきている。
見たところ、1人ではなく、誰かを背負っているようだ。

弟「誰かが怪我でもしたかな?」

弟も気付き身を乗り出す。
軈て車まで走ってきたその人物は、負傷した味方ではなかった。

兄「おっと、ガリアスじゃねぇか」
弟「『思念』で話は聞いてるけど、人質取られてたんだって?」

やって来たのは、自分の母親を背負っているガリアスだ。

ガリアス「……ああ、母さんが監禁されてたんだ」

息を切らしながら、母親を背中から下ろす。
そのまま車のドアを開けて、母親を車内に入らせた。

⏰:08/01/19 05:55 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#294 [◆vzApYZDoz6]
ガリアス「車、使わせてもらうぜ?」
兄「ああ、使え」

ガリアスが返答を確認してから、車のドアを閉めた。
そのままジェイト兄弟と向き合った。

ガリアス「なぁ、ずっとここにいるのか?」
兄「今のところはな」
ガリアス「なら、母さんを護っていてくれ」

ガリアスが言いながら踵を返す。

弟「お前は?」
ガリアス「もう一度要塞へ行く。グラシアを殴らないと気が済まない」

ガリアスが目を細くして要塞を眺める。
中央に聳え立つ要塞。その右側にある倉庫から、人影が近付いてきているのが見えた。

ガリアス「あれは誰だ?」

⏰:08/01/19 06:04 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#295 [◆vzApYZDoz6]
兄「ん?どいつだ?」

ジェイト兄弟がガリアスの指先を追う。
その人影も、後ろに誰かを背負っている。まだ遠くて顔はよく分からないが、剣袋には見覚えがあった。
軈て負傷した仲間が車まで走ってきた。

兄「リーザ!シーナは何かあったか?」
リーザ「ええ、ちょっと敵との戦闘で」

リーザが息を切らしながら車を開けると、中にいたガリアスの母親が視界に入った。

リーザ「…後ろ、失礼しますね」

リーザが軽く会釈をし、後部座席にシーナを寝かせてドアを閉める。
そのままジェイト兄弟に向き合った。

⏰:08/01/19 06:12 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#296 [◆vzApYZDoz6]
リーザ「私はもう一度要塞へ向かいます。私に代わって、シーナを預かってもらえませんか?」

リーザが要塞を横目に訊いた。

弟「あれ…これなんてデジャヴ?」
リーザ「どうしました?」
弟「あ、いや何でもないよ。シーナちゃんは護っとくよ」
兄「ところで2人共走ってきたばっかなのに大丈夫か?なんなら俺が送っていくぜ?」

兄が、要塞を見据えるガリアスとリーザに訊いた。
2人共、返答は同じ。

ガリアス「いや、いい。『ヴィエロシティー』を使えばすぐ行けるし」
リーザ「私も大丈夫です。それに、それでは2人を護る人がいなくなりますわ」
?「護る人がいればいいんじゃない?」

⏰:08/01/19 06:23 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#297 [◆vzApYZDoz6]
突然の何者かの声に、全員が振り返る。
トンネルの入口に、1人の男が立っていた。

兄「バンじゃねぇか!どうしてここが?」

兄が車に近付いてくる男に訊いた。

(バン。内藤の弟です)

バン「そろそろ最後の戦いになるらしいから、って兄ちゃんに言われて。助太刀に来たよ!」

バンが車のドアの前に回り、腕を組んで仁王立ちした。

バン「ここは俺が護っとくから、ジェイトさん達も行ってきなよ」
兄「…悪いな!さぁ、2人共そうゆう事だ、乗りな」

兄が笑って2人を見る。
ガリアスが兄の後ろ、リーザが弟の後ろに座った。

⏰:08/01/19 06:30 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#298 [◆vzApYZDoz6]
リーザは後ろを振り返って、心配そうに訊いた。

リーザ「彼に任せて大丈夫なんでしょうか」
弟「多分、今の俺や兄ちゃんよりかは強いよ。大丈夫さ」

弟が後ろを振り返る横で、兄がスロットルを回す。弟もそれに倣った。
雪山にエンジン音が響く。マフラーの排気熱で、足下の雪が水に変わっていく。

ガリアス「てゆうか俺は別に1人でも大丈夫なんだけど…」
兄「何言ってんだよ、俺達も行こうってのに。ノリ悪いな」
ガリアス「つうか俺のスキル使った方が…」
弟「何でもいいから早く行こう!」

ガリアスはまだ愚痴っていたが、弟の声を合図にバイクが駆け出した。

⏰:08/01/19 12:36 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#299 [◆vzApYZDoz6]
2台のバイクが雪煙を撒き散らしながら、基地を縦断していく。
兄弟が胸元から何かを取り出しながら、後ろに乗る2人に話し掛けた。

兄「今の俺達は屋外では戦えないから、要塞のすぐ側で待機しておく!」
弟「何かあったらこれで知らせて!」

風のせいで大声になりながら、後ろ手で取り出したものを渡す。
兄弟が渡したものは、小型の無線機だった。ガリアスとリーザがそれぞれ受け取り、懐にしまい込んだ。
それを確認した兄弟が尚スピードを上げて、要塞に向けひた走る。
ジェイト兄弟の視界の中で徐々に大きくなっていく要塞を見据え、突破口となる場所を探した。

⏰:08/01/19 12:49 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#300 [◆vzApYZDoz6]
一番最初に目に入ったのは、要塞の正面中央にある大きなシャッター。
恐らくは大型戦車等が出撃するためのものだろうが、安易に正面から侵入するのは避けたい。
シャッターの隣に自動ドアのような入口を見付けたが、これもまた正面玄関らしい雰囲気。中に何があるかは分からない状況で、正面突破はやはり無理があった。
ジェイト兄弟がそんな思案をしている内にも、バイクは刻一刻と要塞に近付いていく。
兄が焦燥感で眉間に皺を寄せた時、弟が要塞を指差して言った。

弟「ねぇ!あの窓からは入れないかな!?」
兄「窓!?」

⏰:08/01/19 18:40 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#301 [◆vzApYZDoz6]
弟が指差した方を向く。
要塞の端に、確かに窓がある。窓があるのは2階あたりで、左右にある倉庫との連絡通路のそばにそれぞれ大きな窓が、ポツンとあった。
このまま行けば、ジャンプして後ろに乗る2人に窓を突き破らせる事は可能だろう。だが、ここは要塞だ。

兄「ああゆうのって、防弾ガラスになってるんじゃねぇのか!?」
ガリアス「大丈夫だ!」

後ろで状況を把握していたガリアスが、大声で口を挟んだ。

ガリアス「あそこは防弾にはなっていない筈だ!」
兄「よーし、それなら大丈夫だな!」

兄弟が目配せし、併走していた状態から左右に離れる。

⏰:08/01/19 18:54 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


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