-Castaway-
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#298 [◆vzApYZDoz6]
リーザは後ろを振り返って、心配そうに訊いた。

リーザ「彼に任せて大丈夫なんでしょうか」
弟「多分、今の俺や兄ちゃんよりかは強いよ。大丈夫さ」

弟が後ろを振り返る横で、兄がスロットルを回す。弟もそれに倣った。
雪山にエンジン音が響く。マフラーの排気熱で、足下の雪が水に変わっていく。

ガリアス「てゆうか俺は別に1人でも大丈夫なんだけど…」
兄「何言ってんだよ、俺達も行こうってのに。ノリ悪いな」
ガリアス「つうか俺のスキル使った方が…」
弟「何でもいいから早く行こう!」

ガリアスはまだ愚痴っていたが、弟の声を合図にバイクが駆け出した。

⏰:08/01/19 12:36 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#299 [◆vzApYZDoz6]
2台のバイクが雪煙を撒き散らしながら、基地を縦断していく。
兄弟が胸元から何かを取り出しながら、後ろに乗る2人に話し掛けた。

兄「今の俺達は屋外では戦えないから、要塞のすぐ側で待機しておく!」
弟「何かあったらこれで知らせて!」

風のせいで大声になりながら、後ろ手で取り出したものを渡す。
兄弟が渡したものは、小型の無線機だった。ガリアスとリーザがそれぞれ受け取り、懐にしまい込んだ。
それを確認した兄弟が尚スピードを上げて、要塞に向けひた走る。
ジェイト兄弟の視界の中で徐々に大きくなっていく要塞を見据え、突破口となる場所を探した。

⏰:08/01/19 12:49 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#300 [◆vzApYZDoz6]
一番最初に目に入ったのは、要塞の正面中央にある大きなシャッター。
恐らくは大型戦車等が出撃するためのものだろうが、安易に正面から侵入するのは避けたい。
シャッターの隣に自動ドアのような入口を見付けたが、これもまた正面玄関らしい雰囲気。中に何があるかは分からない状況で、正面突破はやはり無理があった。
ジェイト兄弟がそんな思案をしている内にも、バイクは刻一刻と要塞に近付いていく。
兄が焦燥感で眉間に皺を寄せた時、弟が要塞を指差して言った。

弟「ねぇ!あの窓からは入れないかな!?」
兄「窓!?」

⏰:08/01/19 18:40 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#301 [◆vzApYZDoz6]
弟が指差した方を向く。
要塞の端に、確かに窓がある。窓があるのは2階あたりで、左右にある倉庫との連絡通路のそばにそれぞれ大きな窓が、ポツンとあった。
このまま行けば、ジャンプして後ろに乗る2人に窓を突き破らせる事は可能だろう。だが、ここは要塞だ。

兄「ああゆうのって、防弾ガラスになってるんじゃねぇのか!?」
ガリアス「大丈夫だ!」

後ろで状況を把握していたガリアスが、大声で口を挟んだ。

ガリアス「あそこは防弾にはなっていない筈だ!」
兄「よーし、それなら大丈夫だな!」

兄弟が目配せし、併走していた状態から左右に離れる。

⏰:08/01/19 18:54 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#302 [◆vzApYZDoz6]
更にスロットルを回して、窓を目指しスピードを上げた。

兄「2人とも、俺の合図で跳べよ!!」
ガリアス「よし!!」
リーザ「分かりましたわ!!」
兄「ミスんなよフラット!!」
弟「任せろ!!」

要塞との距離がどんどん縮まる。リーザは剣袋から刀を取り出した。
兄がブレーキに手をかけ、叫ぶ。

兄「行くぞ!1、2の―――3!!」

合図と同時に、兄弟が全力でブレーキを引いた。
跳び出したガリアスとリーザはその反動で宙を舞う。ガリアスは拳で、リーザは鞘に入ったままの刀で、窓に向かって一撃を叩き付けた。

⏰:08/01/19 19:10 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#303 [◆vzApYZDoz6]
防弾ではないとはいえ多少の厚みはあったが、ガリアスとリーザは窓を突き破り、そのまま中に転がり込んだ。
それを見て、兄弟が拳をぶつけ合った。

兄「よっしゃ!」
弟「上手くいったね」
兄「ああ。…俺達は待機だな」
弟「うーん、大丈夫かな…」

屋内では戦えない状態でいざというときに戦えるかどうか、不安がある。

弟「…信じるしかない、か」
兄「そうだな…よし」

兄が聳え立つ要塞を見上げ、両腕を上げて叫ぶ。

兄「頼むぜ、みんな!」

叫ぶ兄を見て弟が笑い、同じように要塞を見上げた。
要塞からは、衝撃音が漏れていた。

⏰:08/01/19 20:22 📱:P903i 🆔:YFlO93FE


#304 [◆vzApYZDoz6]
バイクの急ブレーキの反動で宙を舞う。
リーザは、刀を鞘に納めたまま逆手で柄を握り、窓に向かって全力で突き出した。
突いた部分から放射状に亀裂が走る。体を丸めてそこへ飛び込み、窓全体を突き破った。
そのまま中へ転がり込み、顔を上げる。

リーザ「とりあえず成功ですわね…でもここは何処かしら…?」

そこは狭い通路。すぐ右手に連絡通路への道が分かれているだけで、あとは階段も部屋も見当たらなかった。
リーザが立ち上がり、体のガラス片を払い落とす。
ゆっくりと通路を進んでいると、何処からか衝撃音が聞こえてきた。

⏰:08/01/20 00:50 📱:P903i 🆔:YgALv/g.


#305 [◆vzApYZDoz6]
更に通路を進むにつれて、衝撃音が大きくなっていく。
そこに、階段を見つけた。左折して下に下りる階段をのようで、衝撃音はそこから聞こえている。
リーザは階段を下りることにした。
直下階段を下りきると、そこは中庭のような拓けた空間になっていた。
そこの中央に向かって、無数の風船人形が蠢いている。次々と風船が吹っ飛んでいくあたり、恐らく誰かが風船に囲まれているのだろう。

リーザ「これは…助けるべきかしら」

リーザが鞘から刀を引き抜く。
風船を外側から蹴散らし、中央にいる人物に徐々に近付いていった。

⏰:08/01/20 11:21 📱:P903i 🆔:YgALv/g.


#306 [◆vzApYZDoz6]
レイン「おっと、誰かが加勢してくれてるみたいだぞ」
ライン「それは助かるな。減る気配がなくてしんどかったところだ」

風船人形に囲まれていたのは、ハル兄弟だった。
始めは外側の風船が吹き飛んでいたが、どんどんこちらに近付いてきている。
軈てあと2、3歩のところまで到達し、爆発のような衝撃でその辺の風船が一基に吹き飛んだ。

リーザ「あら…あなた方は」
レイン「お、あんただったのか」
ライン「出来ればこのまま加勢してほしいんだが」

3人は、迫る風船を吹き飛ばしながら会話した。

リーザ「勿論そのつもりです。ここまで来たら、私も動けませんから」

⏰:08/01/20 11:33 📱:P903i 🆔:YgALv/g.


#307 [◆vzApYZDoz6]
レイン「それは助かる。こいつら一向に減る気配がないからな」
リーザ「それでしたら私のスキルを使えば、多少は楽になるかと」

リーザが言いながら、一度刀を鞘に納めた。
直ぐに風船に抜き打ちを食らわせる。すると、斬った風船の切り口から爆発のような衝撃が生じ、周囲の風船と共に吹き飛んだ。

ライン「なんだそれは?」
リーザ「私のスキル『ストライクボム』です。鞘に納めた刀が、爆弾になります」
レイン「俺と闘った時はそれ使わなかったな」
リーザ「鞘に納める暇がありませんでしたから」

リーザが微笑み、再び鞘に刀を納める。
抜き打ちで、再び風船を吹き飛ばした。

⏰:08/01/20 11:43 📱:P903i 🆔:YgALv/g.


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