-Castaway-
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#386 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「こんな所にもう用はない。逃げる事になるのは癪だがな」
ガリアス「逃げられねぇよ!」

開け放たれたままのドアから、ガリアスが息を切らして現れる。しかし、グラシアが不気味な薄ら笑いを浮かべて振り返ると、ガリアスの体が吹き飛んだ。

グラシア「お前にはどうにもできんよ」

そう言い放つグラシアの背後には、ヘリコプターがもう間近に迫っていた。徐々に減速するヘリコプターを見上げながら、着地点にゆっくりと歩いていくグラシアに、ガリアスが呟く。

ガリアス「言ったろ、逃げられねぇよ」

掻き消される呟きが聞こえていたかのように、鉄の巨人がフェンスの奥から飛び出した。

⏰:08/01/31 20:54 📱:P903i 🆔:.ut2PBe.


#387 [名無しの書き手さん◆vzApYZDoz6]
ブロック「また俺達の出番だぜ!」
フラット「屋上に出たのは間違いだったな!」

ジェイト兄弟の駆る鉄の巨人は、その両足に付いたローラー車輪でフェンスを駆け上る。
身体には飆を纏い、両手にはその体躯に見合う巨大な両刃剣を握り締めて、ヘリコプターに飛び掛かった。

グラシア「なにぃ!?」

両手を天に掲げてヘリコプターを見上げていたグラシアの悲鳴に近い叫び声と同時に、綺麗に両断されたヘリコプターがやりすぎ感のある爆発を起こした。
大きな爆音で揺れる屋上に、鉄の巨人が爆煙を巻いて滑るように着地する。
風が逆巻く両刃剣を構え直し、グラシアに向き合った。

⏰:08/02/01 17:35 📱:P903i 🆔:PBa5kcbA


#388 [◆vzApYZDoz6]
フラット「こっからは逃げられやしねぇぜ!」
ブロック「そんな可愛い子を汗臭い汚い脇に挟むなよ!」

鉄の巨人が、挑発するように刃先をグラシアに向ける。グラシアの体は常人では考えられない程膨張していたが、鉄の巨人はそれよりもさらに大きく、黒光りするその車体が圧倒的な威圧感を持っていた。
中庭から立て続けに造反を食らったグラシアの怒りは既に心頭状態だった。
唇をひくつかせながら何かを言おうとするグラシアの後頭部に、今度は鉄製の何かがぶち当たる。
当たったのドア板。後ろを見れば、ドアが引き千切られて無くなった螺旋階段への入口に、ガリアスが立っていた。

⏰:08/02/01 17:52 📱:P903i 🆔:PBa5kcbA


#389 [◆vzApYZDoz6]
ガリアス「お得意のバリアは使わないのかよ?」

グラシアにドアをぶつけたガリアスが、得意そうな笑みを浮かべる。
グラシアは自分の後頭部にめり込むドアをゆっくり剥がし、地面に立てて置いた。

グラシア「ああ、発生装置に何かしたのはやはりお前か。…ふざけやがって!」

置いたドアを、ガリアスに向かって思い切り蹴りつける。回転しながら凄まじいスピードで元へ飛んでくるドアを、ガリアスは寸での所で避けた。
避けたガリアスの元へ、血走った目と引きつった笑みを浮かべながらグラシアが歩いていく。

グラシア「この怒り、どうしてくれようか?」
フラット「俺達にぶつければ?」

⏰:08/02/02 12:26 📱:P903i 🆔:V0kcwsys


#390 [◆vzApYZDoz6]
両刃剣ジェイトソードの鋒が、グラシアの首筋に突き付けられる。言いながら巨人の左腕が両刃剣の柄に伸び、突き付けた刃と反対側、巨人の懐に伸びる刃とそれに付いた柄を割り折るように、離した。逆手に持つ左手の剣を手元で回し、順手に持ち変え岡っ引きのようにグラシアに突き付ける。
その様は、正に二刀流。
突き付けられた二枚の刀身越しに、グラシアが巨人を睨む。異様に細めたその目からは危険な香りが漂っていた。
それに臆することなく、弟が言い放つ。

フラット「さぁて、兄貴にばっかり見せ場はやれないぜ」

飆が逆巻く巨人が握る双剣に、一瞬紫電が走った。

⏰:08/02/03 22:26 📱:P903i 🆔:8OogwqYw


#391 [◆vzApYZDoz6]
紫電は直ぐ様大きくなり、バチバチと弾ける音を立てながら、刀身を蛇のように包み込む。
足元から全身を逆巻く飆。両手に携えられた武器に宿る稲光。
その様は、巨大な漆黒の体に風神と雷神を一挙に宿したよう。

フラット「『プラズマアウト』。能力は…見りゃ分かるだろ」

稲妻を纏う双剣を突き付けたまま、巨人の首元のコクピットからグラシアを見据える。
対するグラシアは、惚けたような顔で巨人を見上げていた。

グラシア「……うびょ…規…」
ブロック「は?」


蟻が呟いたような小さな声。
次の瞬間、グラシアと後ろで見ていたガリアスが同時に巨人の下へ駆け出した。

⏰:08/02/03 22:45 📱:P903i 🆔:8OogwqYw


#392 [◆vzApYZDoz6]
フラット「え、何?」

戸惑いながらも弟が両腕を操り、稲妻を纏う双剣を振り下ろそうとする。
だがその腕は全く動かない。その事態をいち早く察知した兄が、ならば退くぞと足を操作。
だがこれも動かない。コントローラとなっているハンドルやクラッチ、アクセルは動くのに、鉄の巨人がそれに対し全く反応を示さない。電子回路でも潰されたのか、というずれた考えが兄の頭を過った。
そんな兄弟など余所に、グラシアが拳を腰に構える。ジェイトソードの刀身分、およそ5mの距離をほぼ一足で懐まで詰め寄り、赤く変色し肥大した拳を撃ち据える。
それを阻害したのは、独りでに宙を舞った双剣だった。

⏰:08/02/03 22:59 📱:P903i 🆔:8OogwqYw


#393 [◆vzApYZDoz6]
動かない巨人の手から双剣が飛び出し、うち1本が巨人の懐に飛び込もうとするグラシアの進路を阻むように地に突き刺さる。
立て続けにもう1本がグラシアを狙う。目の前に突き刺さった大剣が邪魔でそれ以上前に踏み込めず、舌打ちをしながら懐から離脱した。

ガリアス「そのスキルは知ってる。あいつらが武器を出しててよかった」
グラシア「…ふん」

グラシアが、阻害したガリアスを賤しく睨み付ける。
突き刺さった双剣が抜かれ、紫電を纏ったままガリアスの頭上に滞空した。

ガリアス「はっきり聞くけど…何秒?」
グラシア「分からない方がスリリングじゃないか?」

⏰:08/02/03 23:11 📱:P903i 🆔:8OogwqYw


#394 [◆vzApYZDoz6]
ガリアス「同時に2つ操るとスピード落ちるんだけどなー」

グラシアとガリアスが踏み込んだ。
今度は剣を突き立てず、払うように斬りかかる。グラシアがそれを往なし殴りかかる所を、もう1本で防ぐ。殴れば剣の紫電にやられるために仕方なく退くグラシアに、払われた剣を突き立てる。
グラシアに圧倒的な体躯とスピードで後れを取る分、ガリアスは双剣とそれに纏う稲妻で補っていた。
素手のゴリラと、特殊警棒を持つ猿のような戦いを、巨人を止められ為す術のない兄弟が眺めていた。

フラット「あれ…出番は?」
ブロック「どうやら俺達は武器提供しただけみたいだ」

⏰:08/02/03 23:25 📱:P903i 🆔:8OogwqYw


#395 [◆vzApYZDoz6]
戦いを見詰める。時間は長いようで短い。鉄の巨人が動きを止めてから、まだ20秒ぐらいしか経っていないだろう。
とその時、戦う2人に異変が起きた。
グラシアが頬を歪ませながら兄弟を一瞥したかと思うと、ガリアスが見計らったように1本の双剣の柄にしがみつく。もう1本を、動けない巨人へ向けて飛ばし付けた。

フラット「ちょっ…!」

弟が、動かないと知りつつ反射的に腕を操作する。
だが、腕は動いた。巨人が紫電を纏う大剣を受け取ると同時に、グラシアがしがみついたままヴィエロシティーの力で離れようとするガリアスに叫ぶように言った。

グラシア「10秒規制!」

⏰:08/02/04 00:02 📱:P903i 🆔:a0Cu9JGg


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