-Castaway-
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#397 [◆vzApYZDoz6]
フラット「どらせいっ!」

右手をガリアスがしがみつく剣に伸ばしながら、左手の剣を後ろに振るう。
無造作に振るわれた一閃はかわされたが、右手は剣を逆手に捕まえていた。振り返り様に、腕を回すように剣を払う。

フラット「食らえプラズマ!」

剣に纏っていた紫電が、斬撃を肥大させるように放電した。
まさか剣から電撃が撃たれるとは思っていなかったグラシアに、その電撃が浴びせられる。

グラシア「ぎゃっ!」

いくら筋肉が膨らみ皮膚が硬くなろうとも、元は人間。
声にならない声を上げて、地面を転がるように鉄の巨人から離れた先には、屋上の入口。

内藤「おいおい、みっともねぇな」

⏰:08/02/04 00:24 📱:P903i 🆔:a0Cu9JGg


#398 [◆vzApYZDoz6]
グラシア「くそっ!」

グラシアが飛び退くように離れ、フェンスの側に駆け出す。グラシアが走る先には、ヘリコプターを爆破された時に一旦その手から離れた藍がいた。

内藤「おっと浅香はあんなところにいたのか」

思わず京介が飛び出さんとするところを内藤が制する。その時、入口から更にぞろぞろと声がした。

ライン「おい兄貴、俺達をみっくみくにした赤鬼さんは今、多勢に無勢だ」
レイン「それはいい情報だ。みっくみくにし返してやるか」
リーザ「あなた達、治りが早いですわね…私もシーナがいればこれぐらい…」
ラスダン「駄目だよ喋っちゃ!」
アリサ「内藤ちゃん大丈夫?♪助けに来たわ♪」

⏰:08/02/04 00:38 📱:P903i 🆔:a0Cu9JGg


#399 [◆vzApYZDoz6]
中庭で倒れた3人と介抱していた2人も追い掛けてきた。
ハル兄弟は自己治癒力を片方に順番に注ぎ込んだらしく、傷はすっかり治っている。リーザはラスダンに肩を借り、包帯代わりに腹の傷に巻いているラスダンの上着には血が滲んでいる。アリサは飄々と内藤に視線を送っていた。

内藤「…なんだこの大所帯」

入口の騒がしさを余所に、止まっていたガリアスに動きが戻る。
それを合図に戦える面子が、藍に腕を回し爪を突き立てるグラシアに向き合った。
多勢に無勢、最早追い詰められたグラシアは、とうとう最後の手段に打って出た。

グラシア「…動けば…こいつの命はないぞ」

⏰:08/02/04 00:53 📱:P903i 🆔:a0Cu9JGg


#400 [◆vzApYZDoz6]
京介「てめえ…」
内藤「駄目だな…見ろ、あいつの目。ありゃ犬の目だ」

京介や内藤達の戦える面子がにじりよる。が、グラシアはフェンスを背にしているため、なかなか背後を取れない。
その上、今のグラシアはレッドデーモンのスキルにより身体能力は大幅に上がっている。下手に動けば藍が殺される状況下、京介らは動くに動けなかった。

グラシア「犬の目、か。畜生とでも何でも言うがいい…だがな」

グラシアが爪を藍の首筋に突きつける。浅く刺さった爪の先から血が滲み出た。

グラシア「そうなれば最早関係無いぜ?」

⏰:08/02/05 01:28 📱:P903i 🆔:D0w4yy/Y


#401 [◆vzApYZDoz6]
京介「くそっ…藍に手を出すな!」
内藤「すみませんグラシア様あなた様は神様ですどうか下僕にしてください」
グラシア「五月蝿い!そこを動くなよ!全員だ!」

グラシアが爪を振りかざしながら、フェンスを伝い入口に移動する。京介らは、睨むことしかできなかった。
やがて入口にまで到着し、後ずさるように階段へ向かう。

グラシア「くくく…やはり最後に勝つのはこの俺だったよう…」
ハルキン「通行の邪魔だ低能!」

言いかけたグラシアの無防備な後頭部に、ハルキンの強烈な蹴りが直撃した。

内藤「よし今だ!」
京介「あいつやっぱり馬鹿だぜ!」

⏰:08/02/05 01:36 📱:P903i 🆔:D0w4yy/Y


#402 [アリス]
あげときます(o>_<o)

⏰:08/02/06 15:15 📱:P902iS 🆔:☆☆☆


#403 [◆vzApYZDoz6]
突然現れたハルキンに不意の一撃を食らい、グラシアが吹き飛ぶように転がる。そのグラシアを追うように、京介らが走った。

グラシア「ぐっ…寄るなぁ!」

グラシアが爪を藍に突き立てようとしたとき、体の異変に気が付いた。
体が、萎んでしまっている。レッドデーモンの効果が切れ、体躯は元の大きさに戻っていた。
鋭利な爪が付いていた手が元に戻ったことで抑制力を失い、途端に京介らに囲まれる。グラシアはそれでも藍を抱えたまま、ハルキンを睨み付けた。

グラシア「貴様…私に何をした?」
ハルキン「俺は何もしていないが?まぁイルリナは助けたがな」
グラシア「まさか…!」

⏰:08/02/06 22:04 📱:P903i 🆔:jsejo7Lc


#404 [◆vzApYZDoz6]
グラシアがフェンスから外を見て、目を見開いた。
眼下に広がる雪原にジェイト兄弟が潰した戦車やら戦闘機やらが転がる合間を、2人の女性が走っていた。透明な薄紅色の結界を張りながら、恐らくこの基地の出口であるトンネルへ向かって。
走る2人との大きな離差に加えて要塞の屋上から見ているため、豆粒ほどの大きさにしか見えないが、片方の女性の格好はグラシアに見覚えがあった。

グラシア「イルリナと…あれはラスカか…!」
ハルキン「あれだけ離したんだ、お前のスキル支配はもう効かない。観念するんだな」

⏰:08/02/07 07:34 📱:P903i 🆔:WUGfi2tM


#405 [◆vzApYZDoz6]
グラシアが視線を戻し、陰湿な目でハルキンを睨み付ける。

グラシア「確かに私のスキルの効力は、離れると薄くなる…だがなぜ貴様がそれを知っている?」
ハルキン「クルサをわざわざ司令室に居させたり、イルリナを地下に監禁したり…支配してる連中は皆、お前の側にいたからな。何と無くだ」
グラシア「…そうか。…だがな、まだこの娘がいる!」

グラシアは懐から素早くナイフを取り出して、再び藍の喉元に突き付けた。

グラシア「俺から離れろ!!」
ハルキン「…全く。悪足掻きは…」
藍「……んっ……うん…?」

ハルキンが言いかけた時、藍が目を覚ました。

⏰:08/02/07 14:01 📱:P903i 🆔:WUGfi2tM


#406 [◆vzApYZDoz6]
藍の瞼がゆっくりと開いていく。その場にいた全員の視線が集中する中で、藍が呑気な声を出した。

藍「あれっ…ここどこ?」

藍の視界に写るのは沢山の人間。京介と内藤とアリサ以外の顔は知らない。誰だろうと考えている最中に、ようやく自分が誰かに抱えられている事に気付く。
抱えている人間を見上げると、引きつった顔をしている男と目があった。続いて見えたのは、振りかぶった男の右腕と、その先に握られている鋭利なナイフ。
震える男の唇が、僅かにつり上がった。
眠っていた藍の現状を理解できていない脳でも、自分が殺されそうな事は理解した。

⏰:08/02/07 14:21 📱:P903i 🆔:WUGfi2tM


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