-Castaway-
最新 最初 全 
#438 [◆vzApYZDoz6]
父「今までよく頑張ったな。苦労したろう?」
グラシア「父さん…!」
父「お前を研究体にした父さんを許してくれとは言わない。だがお前は私の研究の成果であり、誇りだ」
グラシアが目に涙を浮かべて、殺した筈の父親にすがり付く。
父「お前のした事は許される事じゃない。でも父さんだけは許してあげよう」
父親はグラシアを優しく片手で抱き寄せた。
父「だからもう…おやすみ」
残る手に握られた拳銃をグラシアのこめかみに当てた。乾いた銃声が響くのと同時に、グラシアの意識が完全に途絶える。
基地の地面に激突したグラシアの顔は、憑き物が落ちたような穏やかな目をしていた。
:08/02/13 02:52
:P903i
:Grvs9S/A
#439 [◆vzApYZDoz6]
京介「スキルなんてものがあるから…レンサーなんてものが居るから、こんな事になったのか?」
内藤「かもしれんな。人の業、というやつだ」
京介「…」
京介は、落ちていったグラシアを追わなかった。
死んでしまったのかは知らない。少し気になったが、グラシアは京介をディフェレスに巻き込んで藍を拐った張本人だ。
京介はハルキンの話を聞いた時、不憫に思いこそはしたが同情はしなかった。
藍「…京ちゃん」
フェンスを背にして渋い表情を浮かべていた京介に、藍が寄り添うように近付いた。両手で京介の片手を握り、恥じらうように視線を落とすその姿は、なんともいじらしい。
:08/02/13 04:40
:P903i
:Grvs9S/A
#440 [◆vzApYZDoz6]
京介「どした?」
藍「…その、お礼忘れてたし…助けてくれてありがと」
俯いたまま小さく呟く藍を見て、京介の表情が柔らかく綻んだ。
京介「いいよ、俺がしたくてした事だし」
藍「…なによ、格好つけちゃって!」
京介「って、それはちょっとひどくね?」
内藤「いいじゃないか、ツンデレ」
京介「いやいや、一体何の話?」
ライン「いいねぇ、若いって」
レイン「いや、俺達も十分若いぞ。と言うわけで嫁にならんか?」
リーザ「丁重に、お断りしますわ」
ガリアス「…恋愛、か。全くついていけんな」
ブロック「右に同じく。俺にとってはバイクが恋人さ」
フラット「上に同じく。俺にとっては以下略」
:08/02/13 04:52
:P903i
:Grvs9S/A
#441 [◆vzApYZDoz6]
藍の一言をきっかけに、さっきまでの戦闘が嘘のように場の雰囲気が和む。
皆を一頻り見渡して、ハルキンが満足そうな笑みを浮かべた。
ハルキン「一件落着、だな」
アリサ「帰りましょ、バニッシちゃん♪」
内藤「おいやめろ、くっつくな」
レイン「あーうぜぇうぜぇ」
ライン「おもいっきりひがむな」
京介「……ま、何はともあれ、これで終わったんだな」
ラスダン「いいや。…まだ終わってないみたいだよ」
1人浮かない声のラスダンに、全員が振り返る。
ノートパソコンを具現化し、自分が今しがた頭の中で見ていた映像をディスプレイに表示させ、皆の方に向けた。
:08/02/13 05:11
:P903i
:Grvs9S/A
#442 [◆vzApYZDoz6]
そこに映っていたのは、携帯型のミサイル等とは比較にならない程の大きなミサイル。
1基の大陸間弾道弾が、京介達がいるこの基地へ、猛スピードで飛んできていた。基地との距離を見る限り着弾まであと僅かしか無いだろう。
内藤「あいつの言ってた道連れとは、これのことか…!」
リーザ「早く逃げましょう!」
一行が踵を返し、屋上の扉へ向かう。
その時、要塞内部で大きな爆発が連続して発生した。
ハルキン「ちっ!誰かが自爆スイッチでも押しやがったか!?」
続いて起こる激しい縦揺れに要塞が耐えきれず、京介達の足下から真っ二つに分かたれた。
:08/02/13 12:22
:P903i
:Grvs9S/A
#443 [◆vzApYZDoz6]
亀裂が走った要塞屋上で、一行は完全に2手に別れた。
内藤「全員無事か!?」
内藤が辺りを見回す。
亀裂を挟んで内藤がいる側は、自分の腕にくっついていたアリサと、後ろで傍観していたハル兄弟、ガリアス。ジェイト兄弟とバイクも居た。
階段は、亀裂を挟んだ向こう側。間に走る溝は深く、階段からは脱出出来そうにもない。
ブロック「みんな掴まれ!!」
だが、内藤側には鉄の巨人がいた。屋上から飛び降りて脱出するのは可能だろう。
内藤が爆音に掻き消されまいと、声を張上げた。
内藤「ハルキン!川上!そっちは頼んだぞ!」
:08/02/14 01:28
:P903i
:E0IzjAOc
#444 [◆vzApYZDoz6]
任せろ、という京介の叫びが返ってくる。内藤はそれを確認し、鉄の巨人の元へ駆け出した。
既にエンジンを吹かして準備万端整う巨人の右腕にガリアスが、左腕にハル兄弟が掴まっている。
アリサ「早く!♪」
アリサが大振りに手招きする。自爆の影響で激しく縦に揺れる屋上を這うように走り、アリサを抱え込んで、ちょうど巨人の肩にあたる突起に手を掛けた。
フラット「しっかり掴まってろ、舌噛むなよ!いくぜ!」
アクセルを吹かし、クラッチを弾くように離す。
駆け出した巨人がフェンスを突き破り、内藤の体に浮遊感が生まれる。
次に訪れるであろう落下感に備え、内藤が片目を強く瞑った。
:08/02/14 01:38
:P903i
:E0IzjAOc
#445 [◆vzApYZDoz6]
京介「藍、走れるか!?」
藍「大丈夫!急ごう、京ちゃん!」
京介とハルキンの居る階段側に別れたのは、戦力はさして大きくない藍とラスダン、そして手負いのリーザ。
怪我人を守らねばならぬ状況で、懸命に非常通路の大螺旋階段を降りていた。
京介が藍の手を引きながら落ちてくる瓦礫から藍を守り、ハルキンが手負いのリーザに肩を貸しながら瓦礫を潰して道を開く。ラスダンが脳内で頭上を視て状況を見極め、出来るだけ落下物の少ない道を先導する。
そんな風に、出来るだけ全力で螺旋階段が終わる2階に到着した。
ハルキン「あと少しだ!」
京介「よし…うわっ!」
:08/02/14 01:50
:P903i
:E0IzjAOc
#446 [◆vzApYZDoz6]
要塞のどこかで2次爆発が起きた。
立っていられない程の揺れと耳をつんざくような爆音。それに加えて、さっきよりも大きな瓦礫が、まるで壁のように落ちてくる。
1階へ降りる階段は廊下の端。だが、そこまでの道程の間に落ちてきた瓦礫が立ち塞がった。
京介「道が!」
行く手を阻まれ、全員が足を止める。
激しい縦揺れでまともに走れていなかった為、巻き込まれる事は無かった。
だが振り返るとそこにも降り注ぐ無数の瓦礫が。
ハルキン「こっちもか!」
瓦礫に挟まれ密閉空間となった廊下から脱出するには、床を壊すしかない。
だがそれよりも先に、瓦礫の塊が京介達の頭上に襲い掛かった。
:08/02/15 01:05
:P903i
:cxnz/jkI
#447 [◆vzApYZDoz6]
京介「くそっ!」
藍「きゃっ!」
藍が咄嗟に目を瞑り、京介が落ちてくる瓦礫を叩き散らす為身構える。
ハルキンの空間制御は間に合わない。これだけの数と質量の瓦礫を潰しきるのは不可能に近い。
それが分かっていてもハルキンが構えた、その時。
廊下の壁を勢いよく突き破って、無数の隼が現れた。
その隼は全て純白で、体は肉ではなく紙吹雪の塊。
不意の出来事に京介の動きが止まるが、瓦礫の方は隼が次々と粉塵に変えていき、落ちてこない。
程無くして、隼が突き破り穴が空いた壁から、青い巾着袋を片手にクルサが出てきた。
クルサ「危ないところだった…」
:08/02/15 01:15
:P903i
:cxnz/jkI
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194