-Castaway-
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#457 [◆vzApYZDoz6]
-帰りの車内-

ラスダン「結果的に殆ど無事だし、まぁよかったよね」
ラスカ「あたしは殆ど何もやってないけどね」
ハルキン「何人か死亡フラグが立ってたみたいだが」
リーザ「それは私の事でしょうか…」
京介「藍も危なかったなー」
藍「京ちゃん…それ終わった後だからそんな簡単に言ってるんだよね?」

何かよく分からない話題で盛り上がる車内。ちなみに内藤とラスダンとジェイト兄弟は外でバイクに跨がっているため、会話に不参加。

シーナ「あっ…!要塞に刀忘れてきた!」

シーナが唐突に声を上げる。
リーザが顔をしかめた。

⏰:08/02/15 19:55 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#458 [◆vzApYZDoz6]
リーザ「まぁ…そう言えば私があなたを車に運んだ時、持っていなかったわね」
シーナ「どーしよう…あれ大事な刀なのに」
ハルキン「後で取りに行けばいいだろう」
ラスダン「僕が手伝うよ。瓦礫の下にあるんでしょ?」
シーナ「じゃあお願いするね…ジェイトにも頼んどかないと」

そうこう話している内に、車はバウンサー本部に到着した。
京介は車から降り、倉庫にバイクをしまうジェイト兄弟を藍と共にぼんやりと眺めていた。そこに内藤が声を掛ける。

内藤「疲れただろ」
京介「かなり、な」
内藤「今日は寝て、明日地球に帰るぞ」

それだけ言って、内藤はバウンサー本部に入っていった。

⏰:08/02/15 20:05 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#459 [◆vzApYZDoz6]
暫くして京介も本部に入る。
用意された部屋のベッドに1人寝転んで、天井を仰いだ。

考えてみれば、たった1日の出来事。
自分と藍がここへ来た事から始まり、藍が誘拐され、闘い、藍を取り返し、グラシアを倒すまで。
グラシアが起こしたその一連の事件の動機と、その裏にある過去。
それらは全て、特殊な力…スキルと、それを持つ人間…レンサーが関わっていた。

正直、もう関わりたくはない。藍もそう思っているだろう。
その為にどうすればいいか。考えた結果、京介は1つの答えを見つける。

無言でベッドから起き上がり、部屋を出た。

⏰:08/02/15 22:26 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#460 [◆vzApYZDoz6]
-次の日-

地球に帰る京介らを見送る為に、バウンサーの面子が表に揃っていた。
ディフェレスに来て2日目。早くも地球に帰る日となった事が、京介には少し可笑しかった。

帰るには藍のスキルを使うらしいが、藍はスキルを使えない。
京介とグラシアが草原に飛ばされた時に、京介を戻すために藍のスキルを使ったのは内藤だった。
今回も内藤がスキルを使う。

京介「…ってあれ?内藤も地球に帰るのか」
内藤「当たり前だ。お前らが卒業するまで業務契約続いてるからな」
京介「そんな事務的な理由かよ…」

内藤はぶつくさと何かを言っている京介を無視して、藍のスキルを発動した。

⏰:08/02/15 22:41 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#461 [◆vzApYZDoz6]
最初に京介と藍がくぐった茶色い扉が、目の前に現れる。

京介「…本当に大丈夫か?」
内藤「大丈夫だ。早くしろ」
京介「よーし…」

京介が静かにドアノブに手を掛ける。藍が笑いながら、後ろから楽しそうに声を掛けてきた。

藍「おじゃましますって言った方がいいんじゃない?」
京介「いやー、大丈夫だろ?」

京介の顔が綻ぶ。
ノブを下げて押し開けるタイプの扉。その扉のノブである水平棒をゆっくりと下げて、ドアを開けた。
京介、藍、内藤の3人が中に入っていくと、蝶番が独りでに閉まっていく。
バタン、と閉まりきった瞬間に、扉が光を巻いて消えていった。

⏰:08/02/15 22:51 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#462 [◆vzApYZDoz6]
ラスダン「…行ったね」
ラスカ「行ったわね」
リーザ「行きましたね」
シーナ「行ったのね」
ブロック「行ったんだな」
バン「行っちゃったね」
イルリナ「行っt」
フラット「もういいよ!」
イルリナ「……」
フラット「あっ、いやその…ごめんなさい」
ハルキン「何をやってんだお前らは」

ハルキンが呆れたように振り返り、本部を眺めた。
グラシアに対抗する為の組織、その本部。グラシアを倒した今はもう必要ない。

ハルキン「バウンサーも…これで解散だな」
ラスダン「そうだね…」
イルリナ「さっ、私達も帰りましょうか」
バン「うん…あれ?」

バンが辺りを見回す。内藤の他に居る筈のパンデモの人間が1人、見当たらなかった。

⏰:08/02/15 23:00 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#463 [◆vzApYZDoz6]
京介らが扉をくぐったその先は、見慣れた風景。
白い壁に白い階段、側には郵便受け。そこは京介と藍の住まうマンションの1階。
元居た場所に…地球に、帰ってきた。

京介「って言ってもなんか実感ねぇな」
藍「地球とたいして変わらなかったもんね」
内藤「確かにな」
「私は初めてだからなんか新鮮ね♪」

「「「…はっ?」」」

3人が振り返る。
『何で?』と考える程度の驚きの京介と藍に対し、内藤は普段ではあり得ないぐらいに目を丸くして、開いた口がなかなか塞がらなかった。


後日、京介と藍の通う学校に、新しい保険医が着任した…とかなんとか。

⏰:08/02/15 23:11 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#464 [◆vzApYZDoz6]
-ディフェレスのその後-

バウンサーは解散した。しかし、ハルキン、ラスカ、ラスダンの3人は、衣食住揃う本部でずっと生活していた。
今日は自分の家に帰ったジェイト兄弟とシーナとリーザが、本部にやって来る日。
シーナが忘れてきた刀を回収するために、ジェイト兄弟のバイクで基地まで行き、ラスダンのスキルを使って探す予定だ。
本部で待っていたラスダンの耳に、聞き慣れたエンジン音が聞こえてきた。
窓から外を見る。バイクに跨がるジェイト兄弟と、バイクの後ろに乗るシーナとリーザが見えた。
外に出ようとするラスダンを、ハルキンが呼び止める。

⏰:08/02/15 23:23 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#465 [◆vzApYZDoz6]
ハルキン「基地に行くなら、クルサも探してこい」
ラスダン「へっ?それなら一緒に来たら?」
ハルキン「俺はスティーブの散歩に行かないと」
ラスダン「ふぅん…分かった、探しとくね」

ラスダンが踵を返し部屋を出る。
エレベーターを降り、ジェイト兄弟らの待つ表へ出た、その時だった。
ズシン、という重い音。音がした瞬間だけ、地面が揺れた。
そしてその音は等間隔に響いていた。まるで巨人が地を踏みしめる足音のように。
そしてその音は、明らかに本部の建物内から聞こえてきいる。

ブロック「あー、スティーブか」
フラット「散歩は久々だから喜んでるんじゃない?」

⏰:08/02/15 23:32 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#466 [◆vzApYZDoz6]
ラスダン「はっ?スティーブって犬じゃ…」
ブロック「犬だぜ?」

ジェイト兄弟があっけらかんと言い放つ。その間にも、足音は響いていた。

ラスダン「えっ…シーナとか知ってた?」
シーナ「昔見たことあるわ」
リーザ「昔はもうちょっと小さくて、まだ愛嬌があったんですけど…」
ブロック「あんだけデカいんじゃ餌代も馬鹿にならねぇんじゃねぇか?」
フラット「体長余裕で5、6メートルはあるよな」
ラスダン「…早く行こう。嫌な予感がする」
フラット「え?」
ラスダン「いいから」

ラスダンに促され、兄弟がスロットルを回して走り出す。
少し走った所で、後ろからこの世の物とは思えない程の甲高い咆哮が響いた。

⏰:08/02/15 23:41 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


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