-Castaway-
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#461 [◆vzApYZDoz6]
最初に京介と藍がくぐった茶色い扉が、目の前に現れる。

京介「…本当に大丈夫か?」
内藤「大丈夫だ。早くしろ」
京介「よーし…」

京介が静かにドアノブに手を掛ける。藍が笑いながら、後ろから楽しそうに声を掛けてきた。

藍「おじゃましますって言った方がいいんじゃない?」
京介「いやー、大丈夫だろ?」

京介の顔が綻ぶ。
ノブを下げて押し開けるタイプの扉。その扉のノブである水平棒をゆっくりと下げて、ドアを開けた。
京介、藍、内藤の3人が中に入っていくと、蝶番が独りでに閉まっていく。
バタン、と閉まりきった瞬間に、扉が光を巻いて消えていった。

⏰:08/02/15 22:51 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#462 [◆vzApYZDoz6]
ラスダン「…行ったね」
ラスカ「行ったわね」
リーザ「行きましたね」
シーナ「行ったのね」
ブロック「行ったんだな」
バン「行っちゃったね」
イルリナ「行っt」
フラット「もういいよ!」
イルリナ「……」
フラット「あっ、いやその…ごめんなさい」
ハルキン「何をやってんだお前らは」

ハルキンが呆れたように振り返り、本部を眺めた。
グラシアに対抗する為の組織、その本部。グラシアを倒した今はもう必要ない。

ハルキン「バウンサーも…これで解散だな」
ラスダン「そうだね…」
イルリナ「さっ、私達も帰りましょうか」
バン「うん…あれ?」

バンが辺りを見回す。内藤の他に居る筈のパンデモの人間が1人、見当たらなかった。

⏰:08/02/15 23:00 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#463 [◆vzApYZDoz6]
京介らが扉をくぐったその先は、見慣れた風景。
白い壁に白い階段、側には郵便受け。そこは京介と藍の住まうマンションの1階。
元居た場所に…地球に、帰ってきた。

京介「って言ってもなんか実感ねぇな」
藍「地球とたいして変わらなかったもんね」
内藤「確かにな」
「私は初めてだからなんか新鮮ね♪」

「「「…はっ?」」」

3人が振り返る。
『何で?』と考える程度の驚きの京介と藍に対し、内藤は普段ではあり得ないぐらいに目を丸くして、開いた口がなかなか塞がらなかった。


後日、京介と藍の通う学校に、新しい保険医が着任した…とかなんとか。

⏰:08/02/15 23:11 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#464 [◆vzApYZDoz6]
-ディフェレスのその後-

バウンサーは解散した。しかし、ハルキン、ラスカ、ラスダンの3人は、衣食住揃う本部でずっと生活していた。
今日は自分の家に帰ったジェイト兄弟とシーナとリーザが、本部にやって来る日。
シーナが忘れてきた刀を回収するために、ジェイト兄弟のバイクで基地まで行き、ラスダンのスキルを使って探す予定だ。
本部で待っていたラスダンの耳に、聞き慣れたエンジン音が聞こえてきた。
窓から外を見る。バイクに跨がるジェイト兄弟と、バイクの後ろに乗るシーナとリーザが見えた。
外に出ようとするラスダンを、ハルキンが呼び止める。

⏰:08/02/15 23:23 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#465 [◆vzApYZDoz6]
ハルキン「基地に行くなら、クルサも探してこい」
ラスダン「へっ?それなら一緒に来たら?」
ハルキン「俺はスティーブの散歩に行かないと」
ラスダン「ふぅん…分かった、探しとくね」

ラスダンが踵を返し部屋を出る。
エレベーターを降り、ジェイト兄弟らの待つ表へ出た、その時だった。
ズシン、という重い音。音がした瞬間だけ、地面が揺れた。
そしてその音は等間隔に響いていた。まるで巨人が地を踏みしめる足音のように。
そしてその音は、明らかに本部の建物内から聞こえてきいる。

ブロック「あー、スティーブか」
フラット「散歩は久々だから喜んでるんじゃない?」

⏰:08/02/15 23:32 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#466 [◆vzApYZDoz6]
ラスダン「はっ?スティーブって犬じゃ…」
ブロック「犬だぜ?」

ジェイト兄弟があっけらかんと言い放つ。その間にも、足音は響いていた。

ラスダン「えっ…シーナとか知ってた?」
シーナ「昔見たことあるわ」
リーザ「昔はもうちょっと小さくて、まだ愛嬌があったんですけど…」
ブロック「あんだけデカいんじゃ餌代も馬鹿にならねぇんじゃねぇか?」
フラット「体長余裕で5、6メートルはあるよな」
ラスダン「…早く行こう。嫌な予感がする」
フラット「え?」
ラスダン「いいから」

ラスダンに促され、兄弟がスロットルを回して走り出す。
少し走った所で、後ろからこの世の物とは思えない程の甲高い咆哮が響いた。

⏰:08/02/15 23:41 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#467 [◆vzApYZDoz6]
-地球のその後-

京介は学校の屋上で、仰向けに寝転がっていた。

地球から帰ってきた時は既に昼になっていたので、学校を休んだ。
藍と一緒に学校を1日休んだ程度では、クラスメイトに変な噂を立てられたりはしなかった。
親にも特に何も言われなかった。どうやら内藤がディフェレスに来る前に上手く言いくるめたらしい。

寝転がったまま、ポケットから1本の細い棒を取り出して太陽にかざす。
京介は地球に帰る前の日の晩、内藤に『スキルを消去する方法は無いか』と訪ねて、その棒を貰った。

京介「『耳に入れれば減衰させれる』…って言ってたけど…本当かな」

⏰:08/02/15 23:52 📱:P903i 🆔:cxnz/jkI


#468 [◆vzApYZDoz6]
暫く棒を見詰めていると、屋上のドアが開いて藍が入ってきた。

藍「あっ、ここに居たんだ」
京介「どうした?」
藍「別に用事は無いんだけど…あっ、それ…」

藍が京介の持っていた棒に気付いた。
おもむろに制服のスカートのポケットに手を突っ込んで、何かを取り出す。
藍が見せたそれは、京介が持っている物と同じ細い棒。

京介「あっ、お前も?」
藍「抜け駆けは、許しまへんでー」
京介「…懐かしいなそれ。お残しは、だっけ」
藍「そうそう」

ちなみに、忍たま乱太郎ネタ。
知ってる人は知ってると思います。

⏰:08/02/16 00:06 📱:P903i 🆔:Nvi.CgcA


#469 [◆vzApYZDoz6]
以後、何事も無かったかのように再開。

藍「やっぱり、こういう争いを生む力なんて、無い方がいいもんね」
京介「だな。俺は普通に幸せに暮らせればそれで…」

言いかけて、言葉が止まる。
普通に幸せに暮らすために必要な物を1つ、忘れていた事に気付く。
必要な物、というより者は、京介の目の前で棒をどちらの耳に入れればいいか迷っている。
これを機に、いい加減ひねくれるのはやめようと思っていた。

藍「ねぇ、どっちがいいかなこれ?」
京介「どっちでもいいけど、その前に1ついい?」
藍「どうしたの?」


京介「――俺と付き合ってほしいんだけど」

⏰:08/02/16 00:14 📱:P903i 🆔:Nvi.CgcA


#470 [◆vzApYZDoz6]
それから半年が経った。

京介と藍は3年に上がり、学校はもうすぐ夏休みに入る。
3年でも京介と藍はクラスが一緒だった。
担任も同じく内藤。最近は休憩時間の度に保健室に入り浸る姿が目撃され、美人の保険医と仲睦まじいと生徒達の噂の的になっていた。

いつもと同じ朝。
いつもと同じように、マンションの一室、京介の家の前に藍が立っていた。
京介は、いつもと同じように遅刻ギリギリらしい。
待ちくたびれた藍が階段に座ろうとした時に、京介の家の扉が開いた。

藍「遅い!!」
京介「へい、すんません」
藍「まーたギリギリなんだから…早く行こ!」
京介「よっしゃ」

⏰:08/02/16 00:24 📱:P903i 🆔:Nvi.CgcA


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