-Castaway-
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#49 [主◆vzApYZDoz6]
内藤「はい着地ー、っと」
窓から飛び出した内藤とハルキンは、1階シャッターの前に着地した。
後ろを振り返ると、ジェイト兄弟が風船人形を引き摺って走っていく姿が見える。
ハルキン「よし、隔離は成功だな。さぁ、結界を解きっぱなしにするわけにはいかん、行くぞ。ラスカに合図を出してくれ」
了解、と内藤が胸に着けたピンマイクに話しかける。
内藤「3つ数えたら再度結界を張ってくれ」
ラスカ『了解。無理しちゃ駄目よ』
内藤「ああ。カウントを始める―――3」
ハルキンが敵の配置を確認する。
右前方にアリサがいつでも来い、といった感じに立っている。
左前方には、羽を休めるドラゴンに凭れている男がこちらを見ていた。
:07/12/18 14:08 :P903i :TmlkQt.c
#50 [主◆vzApYZDoz6]
ハルキン「化け物退治は俺が専門だし、ウィニーは俺がやる。お前はあの女を相手しろ」
内藤が無言で頷いた。
内藤「―――2」
ハルキンは竜騎士を、内藤はアリサを見据る。
内藤「―――1」
ハルキン「…さて、久々に暴れてくるかな」
2人が、一瞬姿勢を低くし、地を蹴る足に力を入れ、
内藤「―――0!」
倒すべき敵の元へ、一気に踏み込む。
駆ける2人の背後で、本部が再び結果に包まれた。
:07/12/18 14:22 :P903i :TmlkQt.c
#51 [主◆vzApYZDoz6]
1階フロアにエンジン音が戻ってくる。
後ろ手に網にくるまれた風船人形の大群を引く兄弟が駆けてくるのを見て、
座って待っていた京介が立ち上がった。
兄弟は、部屋に入った瞬間に急ブレーキでストップし、反動で後ろの網を投げ飛ばした。
兄「よし、キョウスケ!そいつらは強くぶん殴れば割れるから、どんどん潰していってくれ!」
弟「俺達兄弟も手伝うぜ!」京介「分かった!」
網から這い出て次々と立ち上がる風船人形達の群れに、京介が踏み込もうとしたその時、人形から2つの影が飛び出した。
:07/12/18 14:33 :P903i :TmlkQt.c
#52 [主◆vzApYZDoz6]
兄「よし、俺達も行くぞ!」
兄弟が同時にスロットルを回し発進させようとした時、兄弟の前に影が降り立った。
?「おっと、お前らの相手はこの双子の兄ハル・レインと」
?「弟ハル・ラインの担当だ!」
2人の男がジェイト兄弟の前に立ちはだかり、構えをとった。
右のハル・レインが右手を突きだし掌を下に、左のハル・ラインが左手を突きだし掌を上に向ける。
2人の掌が重なるその姿は、まるで二人三脚ならぬ二人三腕だ。
兄「へっ、どうせ人形共潰してから外に出る予定だったんだ」
弟「こいつらがここにいるって事は、外はアリサとウィニーしかいないって事だね」
兄「ああ。サーキットにしてはちょっと狭いが、派手に飛ばすぜ!」
兄弟がスロットルを回し、一気に走り出す。
併走し向かってくるジェイト兄弟を迎え撃つべく、ハル兄弟も踏み込んだ。
:07/12/18 14:50 :P903i :TmlkQt.c
#53 [主◆vzApYZDoz6]
京介「大丈夫かなーあの2人」
向かい合う兄弟を横目で見ながら、京介は軽快に人形を潰していた。
人形達は数は多いものの、スキルは持っていないし動きも緩慢。身体が強化されている京介の相手ではない。
次々と人形を潰していると、棒立ちで動かない人形が京介の目に止まった。
京介「はっ、故障か?なら遠慮なく」
京介が顔面にパンチを撃ち込む。
しかし京介の攻撃は、その拳が当たる前に、棒立ちだった人形が鋭敏な動きで身を屈め、空振りした。
京介「なっ!?…ぐあっ!!」
腹に衝撃が走る。
京介の体は、攻撃を避けられた人形に体当たりされ人形の群れの外にまで吹っ飛んでいた。
:07/12/18 15:43 :P903i :TmlkQt.c
#54 [主◆vzApYZDoz6]
吹き飛ばされた京介の体は、壁に当たってようやく止まった。
強化された身体に感じる痛みは殆どない。京介が頭を掻きながら顔を上げると、無数の人形が視界に入った。
京介「あれっ!?潰した人形が元に戻ってる!」
自分の数m先にある倒した人形の皮がゆっくりと起き上がり、膨らんでいく。
『びっくりしたかな?…自己紹介をしようか。私はリッキー、所属はウォルサー。風船を操る『バルーンファイト』を持つレンサーだ』
人形の動きが止まり、どこからともなく男の声が響き渡る。
リッキー『今、この人形達を使えば、この本部を破壊する事など造作もない。…だが、それでは詰まらないので、あるゲームを考えた』
:07/12/18 15:59 :P903i :TmlkQt.c
#55 [主◆vzApYZDoz6]
京介「バルーンファイトって明らかどっかのアーケードゲームパクってるだろ!だいたいゲームって何をしようってんだよ?」
リッキー『10分待つ。それまでに人形に擬態化した私を見つけ、倒すことが出来れば君の勝ちだ。しかし、君が倒されたり、10分以内に私を倒すことが出来なければ…この本部が破壊されると同時に、彼女の命も戴く事になる』
京介「彼女…?」
リッキー『上を見たまえ』
上を見ると、気を失っている幼馴染みが風船に吊るされていた。
京介「藍!!」
リッキー『何、10分経つまでは殺したりはしないさぁ、ゲームスタートだ。せいぜい楽しませてくれ』
男の声が消え、再び人形達が動き出した。
京介「てめぇ!!ブッ殺す!!」
京介は蠢く人形の群れに、躊躇なく踏み込んだ。
:07/12/18 16:12 :P903i :TmlkQt.c
#56 [主◆vzApYZDoz6]
-ハルキンVSウィニー-
ウィニーは窓から飛び降りるハルキンと内藤を憂鬱に眺めていた。というのも、彼は戦うのが嫌いだった。
人を殴るのが嫌、等という人間的な理由ではなく、ただ単純に殴られると痛い、殴ると痛いから、嫌いだった。
だから、ハルキンがこちらに向かってくるのを見て、心底うんざりしていた。
ウィニー「はぁ、やだなぁ。…めんどくさいや、カイン、飛ぶぞ」
懐からおもむろに黒い物体を2つ取り出す。1つは小型アンテナのような物で、もう1つはソニーの某家庭用ゲーム機を思い出させるようなコントローラ。
:07/12/19 00:00 :P903i :SHcTx/1A
#57 [主◆vzApYZDoz6]
アンテナのような物を、ウィニーがカインと呼ぶドラゴンの首筋に差し込む。ウィニーがコントローラを操作すると、ドラゴンが天空高く飛翔した。
加速をつけて踏み込んでいたハルキンは、ドラゴンの真下で止まり上を見上げる。
ハルキン「『オペレートゲーマー』か。確か具現化したアンテナを生物に差し込んで操るスキルだったな」
ウィニー「いつまでそこでじっとしているつもりなんだよ。…めんどくさい奴だな。カイン、早くやっつけて家へ帰ろう」
かなり高い位置で様子を伺っていたドラゴン咆哮を上げる。
頭を下にして羽ばたかず、凄まじいスピードでの急降下。
だが、どんどんと近付いてくるドラゴンを前に、ハルキンは余裕の表情を見せていた。
ハルキン「…ワープの原理を知っているか?」
:07/12/19 00:49 :P903i :SHcTx/1A
#58 [主◆vzApYZDoz6]
急降下の加速を使い、ドラゴンの爪を前に出す。ウィニーの駆るドラゴンが、体ごとのし掛かるようにハルキンを押し潰す。
だが、攻撃が当たる直前までそこにいたはずのハルキンがいない。そんな馬鹿な、奴はどこに……
ハルキン「ワープとは、空間を圧縮して現在地点と目的地点を近付け、移動距離を限りなく0に近付ける事を言う」
突然の後ろからの声にウィニーが慌てて振り向くと、いつの間にか背後に回っていたハルキンが話を続けていた。
ウィニーが間髪入れずにコントローラを操作する。今度はドラゴンの太い尻尾がハルキンに叩き付けられた。が、やはりハルキンの姿が見当たらない。
そんな、動く気配すらないのに、一体どこへ……
ハルキン「フィクションでは何万光年と先へ移動する為の手段として使われていたが、近年では軍事兵器への応用が注目され始めていてな」
:07/12/19 01:12 :P903i :SHcTx/1A
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