僕⇒俺
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#636 [氷雨]
「やった!!」
「俺も……来ていいですか?」
少し遠慮がちに孝裕さんも尋ねる。
「いいに決まってる!けど、来る時は電話しろよ!」
その言葉に孝裕さんはものすごく嬉しそうに笑って、「はい!」と叫んだ。
そして、最後に……
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#637 [氷雨]
「あ、陽?さっきの話、進めておく」
そう言って孝裕さんは乗って来た雅さんの車に乗り込み扉を閉めた。
クラクションを小さく鳴らして去って行く車を見送りながら、俺は瞳を瞑り、覚悟を決めた。
リビングには家族みんな集まっていて、楽しくテレビを見ている。
:08/05/17 21:10 :D704i :☆☆☆
#638 [氷雨]
「俺!!」
そんな楽しい雰囲気をぶち壊すように俺は大きく叫んだ。
家族3人は驚いて声の主、俺に視線を送る。
1番に口を開いたのはお母さんだった。
「どうしたの?急に……」
不意を付かれたからかいつもの元気よさは隠れていた。
:08/05/17 21:14 :D704i :☆☆☆
#639 [氷雨]
「あーー……俺さ、本格的にモデルする。だから迷惑とか掛けるかもだけど……よろしく」
そう少し照れながら言った。
顔を上げると家族全員が笑顔で、
「迷惑じゃないし、むしろ支えてやる!」
生意気な口を聞きながらも俺は三依に笑顔を送る。
「本当にお馬鹿さん、迷惑なんてかけまくって?迷惑じゃないんだから」
:08/05/17 21:18 :D704i :☆☆☆
#640 [氷雨]
お母さんの優しい矛盾にも笑顔で「ありがとう」と言った。
「俺はお前のお父さんで先輩で師匠!頼りまくりなさい!」
いつもの明るくおちゃらけた物言いにも安心感が湧き、自然と笑顔になる。
「俺、頑張るよ!」
俺の夢は《トップモデル》
お父さんみたいなモデルになる事だ。
:08/05/17 21:22 :D704i :☆☆☆
#641 [氷雨]
新しい夢。
けれど、まだ進めない。
俺はまだ逃げ続けているから。
大切な大切な人を傷付けて。
けれど、進むという事はまた傷付ける。
俺はまた1人の人を傷付ける。
「三依?ちょっと話があるんだ」
:08/05/17 21:26 :D704i :☆☆☆
#642 [氷雨]
「何……?」
三依は何もわかっていない笑顔で俺に笑いかける。
俺は最低だ。
深く深く心が痛むけれど、言わなければ始まらない。
「俺は北原さんを好きじゃないんだ……」
自分で言いながらズキズキと胸が痛み、顔を顰める。
:08/05/17 21:29 :D704i :☆☆☆
#643 [氷雨]
:08/05/17 23:00 :D704i :☆☆☆
#644 [氷雨]
「……………………えっ?」
数秒してから三依はあやふやな言葉を呟く。
まだ俺の言葉を頭まで理解できていないのか、眉を寄せて考えている。
俺はただ次の三依の言葉を待つ。
暫くして……
「陽兄…?どういう事?」
睨みを利かせて俺に尋ねた。
:08/05/19 20:23 :D704i :☆☆☆
#645 [氷雨]
その瞳はギラギラと輝いて、俺の胸にチクチクと痛みが走る。
俺は重なくなった口を開く。
「『一緒に放課後、帰るだけでいい』って、北原さんが言って、俺はそれに逃げた」
三依の瞳を真っ直ぐに見て、逃げたい気持ちを抑えていた。
三依は明らかに《怒》の表情で俺の話を聞く。
「俺は葉山さんが好きなんだ。北原さんも知っているけど…、俺は葉山さんの気持ちが怖くて北原さんに逃げたんだ…」
:08/05/19 20:30 :D704i :☆☆☆
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